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エピソード99 家鳴り

99家鳴り

家鳴、家鳴り、鳴家、鳴屋(やなり)は、日本各地の
伝承にある怪異の一つで、家や家具が理由もなく揺れ
出す現象。

鳥山石燕の「画図百鬼夜行」では、小さな鬼のような
妖怪がいたずらをして家を揺すって家鳴を起こしてい
る絵が描かれているが、現代では西洋でいうところの
ポルターガイスト現象と同一のものと解釈されている


99家鳴り(やなり)オリジナルストーリー

明治の終わりごろ、千葉の田舎に古い大きな旧家があ
った。
もとはこの地の庄屋の家であったが時代も変わるとこ
の家も不幸が続き没落していった。

今は七代目の藤治郎がこの家を守っていたが、家計は
火の車であった。
藤治郎は月を見上げながらつぶやいた。

藤治郎:
江戸の頃から代々この家を引き継いでいるが、たぶん
今が一番貧乏だ。
困ったもんだこんなデカい家に俺一人で住んでちゃ家
の修理どころか掃除だってままならない。
しかし不思議なんだよな、掃除していなくてもいつも
部屋も廊下もきれいだし、先日の大雨で雨漏りしたか
と思えばいつの間にか直ってる。
何か住んでるのか?

その晩、藤治郎は夢を見た。
枕元に5人の小鬼が出てきて頭の上で踊っている。
そして困ったことは俺達に相談しろよと言って消えて
行った。不思議な夢だった。

三日後、地元でも有名な金貸しが強面の大男二人を連
れ藤治郎の家にやって来た。
そして玄関で 邪魔するよ と言って勝手に家の中に
ズカズカ入って来た。

金貸:
ふ~ん、何もねえ家だな。お前さんかこの家の主は?
実はな、お前さんの爺さんにかなりの金を貸してるん
だ、だがまだその金を返してもらってねえ。
嘘だと思っただろう?こっちにゃちゃんとした証文が
あるんだよ。
さあどうする?利息も揃えて全部払うか?それともこ
の家を手放すか?

金貸し達は三日後にまた来ると言って帰って行った。
藤治郎は頭を抱えた、とても今の藤治郎に払える金額
では無い。かと言ってこの家を手放すのは...。

すると天井の方からバタバタ音が聞こえ、そして不思
議な声が聞こえてきた。どこにも姿は見えなかった。

小鬼:
さっきの証文は偽物だ!俺達は藤一郎様の事をよく知
っている、藤一郎様は絶対借金なんかしない!
後は俺達がやっつけてやる、まかせろ!!

そしてまたバタバタ音が聞こえると静かになった。
藤治郎はあっけに取られていた。

そして三日が経った。

金貸:
どうだ金は用意できたか?なに、無い。
ならばこの家はもらう、お前はここからは出ていけ!

藤治郎は大男二人におもてに投げ出された。

金貸:
フフフ、上手くいった。こんな偽証文に騙されるとは
馬鹿な奴だ。
ん~古いがこれだけデカくて立派な家ならそれなりの
使い道はあるだろう。ハハハハハ。

すると突然家がガタガタ揺れ始めた!
そして鍋や座布団や筆箱やらが宙を舞った。
そして出刃包丁が飛んできて金貸しの頭をかすめ柱に
刺さった。

金貸:
な、なんだこれは!ここは化け物屋敷なのか!
だから誰も手を出さなかったんだな、もう二度と来る
か!

金貸し達がが家から逃げ出し、替わりに藤治郎が家の
中に入った。
すると部屋の中で5人の小鬼達が踊っていた。

小鬼:
お、お前も俺達が見えるようになったんだな。
約束通りこの家は守ったぞ!藤治郎、お前もこの家守
っていってくれよ。

藤治郎:
あの夢は本当だったんだ。
君たちこの家を守ってくれてありがとう。
あの...ついでと言っては何だが俺のお願い聞いてく
れないかな?

後日、町に出た藤治郎はいろんな所に
「本物のお化け屋敷、宿泊者募集」
という張り紙を張り付けた。

すると肝試し、新聞記者、科学者、文豪たちがこぞ
って藤治郎の家に押し寄せた、おかげで宿泊代でこの
家の経済危機は救われることとなった。

小鬼:
よかったよかった。これでこの家も守れたな。
藤一郎様に顔向けできる。
でも藤治郎め~人使い、いや鬼使い荒いな~。
ハハハハ。

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