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エピソード70 逆柱

70逆柱

逆柱(さかばしら)または逆さ柱(さかさばしら)は
日本の木造建築における俗信の一つで、木材を建物の
柱にする際、木が本来生えていた方向と上下逆にして
柱を立てることを言う。

古来より逆柱にされた木は、夜中になると家鳴り等を
起こすとも言われていた。
また、家運を下げさせるほか、火災などの災いや不吉
な出来事を引き起こすと言われており、忌み嫌われて
いた。

妖怪漫画家・水木しげるによれば、逆さにされた柱か
らは木の葉の妖怪が出現する、もしくは柱自体が妖怪
と化すともいう。
また小田原では、ある商家で祝い事の最中に
「首が苦しい」と声が聞こえてきたので、声の主を捜
したところ、座敷の柱から声が発せられており、その
柱が逆柱であることが分かったという。


70逆柱 オリジナルストーリー

金衛門:
いや~やっと我が屋敷が出来た。
ワシはでっち奉公から初めて店を持ち、いまや町一番
の油問屋になれた。
そしてやっと夢だったワシの家が持てたんだ。

金衛門の屋敷はあらゆる素材にこだわり木材、瓦、畳
などなどすべてが一流の物をそろえていた。

金衛門:
それにしても見ていてほれぼれする我が家だ。
特にこの家の大黒柱は飛騨の樹齢100年のケヤキ、こん
な立派な木は見たことがない!   ハハハハハ。

その晩はじめて金衛門はこの屋敷に泊まった、屋敷が
出来たうれしさもありこの晩はかなり酒を飲みふらふ
らになりながら床についた。

そして、家の者全員が寝静まった夜中、誰かが金衛門
を起こした。
起こした者はケヤキのお面をかぶっていた。

面の男:
もしもし、もしもし、金衛門さん起きてください。
私はこの家を建てた大工の棟梁です。
これほど立派な家は私達も初めてだ。
ぜひお祝いをさせてくださいな。

金衛門はお面の男に案内されるがまま家の外に出て行
った。そして家の門を出るとなぜかそこは断崖絶壁に
なっていた。

金衛門:
なんだこれは!ワシの家の前は普通の道だったはず、
なんで崖になっとるんだ!!

面の男:
まあまあいいじゃないですが。お祝いなんだから楽し
い体験をさせてあげますよ。まずはこの縄を足に巻い
てと、これはバンジージャンプという遊びです。
いきますよ!

そういうとお面の男は金衛門の背中を思いっ切り押し
た。金衛門は門の前の高か~い崖から落ちていった!

金衛門:
あぁ~~~~っ!

しかし足に縄がついているので谷底には落ちなかった
半泣きで気絶しそうな金衛門はお面の男に引き上げら
れた。

金衛門:
は~死ぬかと思ったよ、何するんだ!

面の男:
ごめんなさい、ちょっと怖かったですかね。
じゃ次です今度は間違いなく楽しいですよ。
さあこの箱に乗ってください。
いいですかしっかり乗れましたか?
今度はジェットコースターという遊び、しかも三回
ループつきですよ!
さあ、楽しんで行ってらっしゃい!

そう言うとお面の男は金衛門の乗った箱を蹴り飛ばし
た。

金衛門が乗った箱は木製のレールを登って行ったかと
思うと急降下してきた、そして輪になったレールを木
の箱は上下逆さまになりながら通り過ぎていった。

面の男:
お帰りなさい。
うれしくて涙が出るくらい楽しかったですか?
ハハハハハ

金衛門:
くらくらする。
何度も何度も、なんてことをワシにするんだ!
ワシが何をしたって言うんだこの野郎!

面の男:
いえいえ、金衛門さんは何もしていません。
でもこの家の大黒柱が逆さまなんです。
私はこのケヤキの精、なんとかしてくれなければまた
あなたの夢に出てきますよ~。

金衛門:
はぁ~夢か~。
でも知らなんだがケヤキの大黒柱逆さまか?
なんとかしなければ、ワシは夢の中で心の蔵が止まっ
て死んでしまうぞ。
なんとかせねば。

次の日金衛門は本当の大工の棟梁を呼び、いまさら
大黒柱の上下を直せないのなら、なんとかこのケヤキ
の怒りを鎮めるようにと、二人で知恵を絞った。

そしてケヤキの大黒柱の天井部分に畳を、床の部分に
天井板を敷き、さらにしめ縄と紙垂(しで)を飾り、
神主も呼んで祈祷してもらいこの家の守り神として祀
ったのだった。

それ以来金衛門の夢の中に、あのお面の男は出てこな
くなった。

金衛門:
は~助かった、
でももうちょっとスリル味わいたかった気もするな~...。

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