傷ついたって言えない理由

あの時、自分の気持ちが踏みにじられたみたいに心が痛くて、悲しくて、どうしてこんな気持ちにならなきゃいけないのって悔しくて、心が傷つくというのはこういうことかと思った。原因ははっきりしていて、でもその原因になった人にわたしは傷つきましたと言えず、黙って離れてしまった。

言えなかった理由はいくつかある。

ひとつは、前に同じようなことで傷ついていて、その時には傷つきましたと伝えていたので、もうこんなことは起きないだろうと思っていたから。だから余計傷ついたのだけど。そして、そのせいで「伝えても無駄なんだ」と思ってしまったから。

基本的に、他人を傷つける方が、自分が傷つくよりきついと思ってる。

「傷つきました」と伝えることは相手を傷つけることになると思っているから、伝えることで自分もさらに傷つく。それに、伝える作業で自分も傷ついた気持ちと再度向き合うことになるので、どんどん自分と相手の心がボロボロになってしまう気がする。「傷つきました」と伝えるのはなかなかに厄介なことなんだよ。そこを、思い切って、今後の関係の維持のために伝えたのに、無駄だったというのはとても悲しい。もう、繰り返し伝えても無駄なんだ、離れるしかないんだな、と思った。

それに、「傷ついた」って伝えることで、よくなることって何だろう。一番は、こういうことで傷ついた、って理解してもらえることだと思うけど、それも理解してもらえなかったんだから、伝えるメリットはない気がする。

それが、例えば青色を見ると傷つくとか、特殊なことなら繰り返し伝える意味もあるかもしれないけど、多くの人が一般的に傷つくであろうことなら、しつこく言っても仕方ないよね。

だけど今思えば、それも身勝手な考えだったのかもしれない。

誰だって誰かを傷つけたくない(そう思いたい)。そう考えれば、わたしを傷つけた人のことを、わたしは理解できていなかったのかもしれない。

甘いかな?

相手がわたしを傷つけることを何とも思っていない人間だという可能性もあるのに。

いま、また同じことで傷つきそうになっていて少し怖い。

傷つくことはそれほどなんだけど、さすがに心が折れるだろうし、相手のことを嫌いになってしまいそうな気がして、それが一番怖い。

そうならないように、なるべく相手の立場で考えたいけど、受け入れられることと受け入れられないことがある。これが、価値観の違い、なのかな。

たぶん、また大きく傷つくことになる気がする。そして傷ついたことをわたしはまた言えないだろうと思う。消えたくなりそうな気がする。嫌だなあ。

怖いけど、なるようにしかならない。

わたしはこれまで通り、自分がされて嫌なことはしないようにしよう。誰かが傷つくようなことはなるべく避けたい。理解しあえない人とは仕方ないからそっと離れよう。自分が正しいと思うことを重ねていこう。

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