勝沼 悠

専門健康心理士。教育問題などなどにnoteを書いてます。

勝沼 悠

専門健康心理士。教育問題などなどにnoteを書いてます。

マガジン

  • いじめを再定義する ーなぜ学校はいじめを認めないのかー

    私はスクールカウンセラーとして多くの小中学校、高校で勤務してきました。現場で経験を重ねながら、大きないじめ事件が起きた時の報告書などを読んでいく中で、いじめを認めないメカニズムが見えてきました。  この本ではいじめを行為としてではなく、加害行為があるのにそれが見過ごされるメカニズムこそをいじめと定義すべきだと提言し、それによっていじめの問題点や対策を考えていきます。

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最近の記事

補論『囚われのいじめ問題』を受けて

 このマガジン『いじめを再定義する ーなぜ学校はいじめを認めないのかー』では2011年の大津いじめ事件を一つの軸にいじめ問題を考えてきました。事件から10年の昨年、大津いじめ事件を再検証する『囚われのいじめ問題――未完の大津市中学生自殺事件 』が出版されました。  この本はかなり衝撃的な内容で、報道の仕方や過去を今の視点で振り返る証言の問題で事件がいじめだったという方向に傾いてしまったのではないかという疑問を投げかけています。  細かく書くと膨大な量になってしまうので一つだけ

    • 2021年私的映画ベスト5

      『シャン・チー/テン・リングスの伝説』  今年のマイベストはMCUの新ヒーロー、シャンチー! 去年は絶対シャンチーかエターナルズのどっちかは外すと思ってたが、蓋を開けてみればどっちもそれまでのMCUとは違った魅力の映画になっていた。 『ゴジラvsコング』 ゴジラとキングコングがついに激突! 人物のドラマはあくまで添え物として機能させ、怪獣たちのバトルをちゃんと中心に持ってきてる。しかも二大怪獣の戦いの描き方が本当にうまい! 怪獣映画の正しい形。 『フリー・ガイ 』

      • 2021年の私的今年の5冊

         今年のベストはやはりコロナ関連のこの本。 『新型コロナ データで迫るその姿: エビデンスに基づき理解する』  春に出た本ながらこの時点でファクターXなどの様々な要因から世界各国の感染状況を考察し、コロナの姿を炙り出します。  2冊目は性教育ブームの中で一番のこの本。 『子どもと性の話、はじめませんか? からだ・性・防犯・ネットリテラシーの「伝え方」』   性教育の姿勢、考え方からこんな時どうすればという具体的なメソッドまでぎっしり中身がつまった性教育本の決定版。

        • 私的2021年流行語大賞

           本家ユーキャンのは「リアル二刀流/ショータイム」だった今年の流行語大賞。ちなみに去年は。。。  私の20221年の流行語大賞は。。。 キャプテン・ブーメラン  多くの人にとって「え、そんな言葉聞いたことない」という言葉だろうと思われるのでまずはこの言葉の説明を。  キャプテン・ブーメランは今年公開された映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』のキャラクター・この映画はバッドマンやスーパーマンのDCの世界で囚人となったヴィラン達が政府と取引きして減刑と引き換え

        補論『囚われのいじめ問題』を受けて

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        • いじめを再定義する ーなぜ学校はいじめを認めないのかー
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        • コロナと放射能と東京オリンピック
          20本
        • 不登校とコロナを巡る希望的観測
          8本

        記事

          緊急提言 2学期から学校は登校代価システムを用意すべき

           デルタ株で日本中が今までとレベルの違う感染者が出ている今日このごろ。緊急事態宣言が出てるとはいえ、人々はけっこう日常の生活をしていて、感染者数は一向に減らない中、来週には2学期が始まります。一部で2学期開始の延期が決まっていますが、一週間で状況が好転するようには見えません。一斉休校や分散登校は授業時数や家にいることが難しい子どものことなど様々な問題があります。今後コロナがどうなるか分からないことを考えると時に強く、時に長期にできるような柔軟な対応が求められます。  私が提唱

          緊急提言 2学期から学校は登校代価システムを用意すべき

          コロナと放射能とオリンピック

           この1年半、コロナに関する様々なニュースに流れる度に私はこの10年福島で起きたことを思い出していました。。ウィルスは見えず、それ故に怖いものですが、見えない恐怖というのを私達は一度体験したはずです。  福島で考えたことについては以前にまとめたのですが、この時書いたことがコロナ禍の今にも共通して言えるのではないかと考えるようになりました。それは見えない放射能を見える化することです。  それまで単発的に福島のことからコロナ禍を見るというnoteをあげていきましたが、東京オリン

          コロナと放射能とオリンピック

          「オリンピックだけが特別なのか」への答え

           前回で個人に対しては怖がる(感染を避ける)行動に対して広い幅を認めることを提案しましたが、それだけでは感染拡大を防げません。ここでは全体としてどうするべきかを書いていきます。   その前にこれを書いてる現在、オリンピックの開会式がやってるのですが、その開催や観客数を巡って是非が問われています。  緊急事態宣言下で「なぜオリンピックが特別なのか?」の声が上がってるのですが、実はこれ、多くの人が誤解しています。今回の緊急事態宣言ではイベントは観客数5割で開催できます。その基準

          「オリンピックだけが特別なのか」への答え

          見える化の次にすること

           コロナの被害を可視化することができたら次にすべきことはコロナの被害を見ないようにすることです。”見ない”は”見えない”とは違います。見えるようにしたところで見る必要がない部分は見ないようにするのです。  コロナの被害がどれくらいなのか、そして対策によってどれくらい緩和できるのかが見えてきたら次にやることはなんでしょう? コロナの根絶と答えたくなりますが、どうもこれは難しいように見えます。  コロナの害や対策が見えたら、次にすることはどれくらいの被害なら許容できるのかを決める

          見える化の次にすること

          ドラマ『ロキ』を楽しむために見るといいヨーロッパ映画2本

           最終第六話の展開から賛否両論出たドラマ『ロキ』。私はかなり高評価なのですが、それは『ロキ』を見て二本のMCUに関係ない映画を思い出したからです。  ※ 以下この記事にはドラマ『ロキ』のネタバレがあります。  一本目は『ファニーゲーム』。というか全てのミヒャエル・ハネケ作品です。『ファニーゲーム』は平和に暮らす家族が突然やってきた若者二人に理由なくひどい目に遭わされる映画ですが、この若者二人はこれが映画だと知っているメタキャラクターで観客に語りかけてきて、見てる人はこの不条

          ドラマ『ロキ』を楽しむために見るといいヨーロッパ映画2本

          コロナは短期戦なのか長期戦なのか問題

            今の日本のコロナ対策はなぜうまくいかないのか。その理由の一つはこの問題にあります。  コロナに関することで政治家やメディアから「今がこらえ時です」とか「今が一番の頑張りどころです」という言葉を何度も聞いたのではないでしょうか? 一方で街頭インタビューなどで「どうせなら短く強い措置をした方がいい」という声もよく聞かれます。  コロナ禍が1年以上続いていることからももう十分に分かることですが、対コロナは短期的な対策で取り組むことではありません。最大の力の入れどころだけきっちり

          コロナは短期戦なのか長期戦なのか問題

          オリンピック開催を認めさせる方法(オリンピックを止める方法)

           コロナ禍の日本には政策を評価しその責任を明確にすることが欠けていると書きましたが、ここではそれをもとに東京オリンピック開催を反対派に認めさせる方法を書いてみたいと思います。この方法で政府に追及することがそのままオリンピックを止めさせる方法になりますので反対派の人もよければ最後までおつきあいください。  オリンピック開催を認めさせるのはこの手順にそってやればいいのです。 1  感染拡大の定義を決める  オリンピックを開催することによってコロナがどれくらい増えるか。これをど

          オリンピック開催を認めさせる方法(オリンピックを止める方法)

          被害と責任を可視化する

           対コロナの政策がなぜ迷走しているのか。それはコロナがちゃんと見えていないからです。といっても見えるようにすべきなのはコロナそのものではなく、コロナによる被害です。  原発事故後の福島県でその地域の空間線量を計りながら個人の空間線量を測定、推定しないことで健康被害の予想が難しくなっていた現状を以前に書きましたが、理屈はこれと同じです。大事なのは被害をできるだけ可視化すること、被害を定義することです。  順を追って説明していきます。 1 被害の定義を決める  まず、コロナの

          被害と責任を可視化する

          命と人生を天秤にかける愚

           『だめんず・うぉ~か~』などで有名な漫画家の倉田真由美さんのツイートを見た。コロナ禍で緊急事態宣言が出ている中で命を守る為に様々な業種の営業を自粛するべきだという論調への抗議の意を感じる。    これと同じようなことを原発事故後の福島で感じたことを思い出した。  福島県では被曝の被害を避ける為に強制的な避難がなされた。その人たちの多くは仕事などそこで暮らしていた多くのものを失った。新しい家と新しい仕事を得た人も多かったが、うまくいかず大きく人生を狂わされた人も多かった。

          命と人生を天秤にかける愚

          学校に行かないということ

           コロナによる自主休校や不登校ユーチューバゆたぼんで学校に行かないという選択肢が注目されています。  しかし、この「学校に行かない」という言葉、それが何を表してるのか曖昧なのです。コロナによる自主休校という現象はそれを明らかにしています。  コロナで学校に行かないという選択をした児童生徒は物理的に学校に行かないという選択をしたわけですが、全く学校というものから離れる選択をしたわけではありません。学校に行かなくても学校のプログラムには参加し単位を取るという意思がある子が大半でし

          学校に行かないということ

          麻生太郎義務教育発言をよく聞いてみた

           麻生副総理の昨年9月のN高での講演での発言が今ごろになって話題になっているらしい。「義務教育は小学校まで」「微分積分やサインコサインはいらない」と発言していたらしく非難が殺到している。  現在もこの講演は公開されているので早速動画を見てみた。  問題の箇所は25分くらいののN高の生徒の質問に答える場面。 「今の教育は中学などは個人の多様性が抑え込まれてる教育の仕方だと思います。(中略)今の教育はベストな仕方ですか?」  という質問に対して出した麻生副総理(以下敬称略)

          麻生太郎義務教育発言をよく聞いてみた

          コロナと放射能

           私は震災以降、被災地の支援活動は直接関わっていませんが、心理職として福島県に足繁く通っていました。そこで感じたことについては以前に『放射能を見えなくさせたものとその処方箋』という文章にまとめました。  そんな私から見て最近のコロナ禍の中で起きる様々なことに対して「これは福島で前に見たな」と思うことが多くあります。目に見えない重大な心配事であるコロナへの反応は同じく目に見えない放射能への反応と共通点が多々あるのです。であるならば、福島の時に起きたことへは今日本中でコロナによ

          コロナと放射能