SOA Exam IFM: Investment and Financial Markets対策でやったこと

 IFMに関しては最近再編成された試験科目であり、特にSOAのサイトでのサンプル問題が十分に整理されていません。さらに日本アクチュアリー試験に対応するであろう投資理論の科目よりも広範な試験範囲を有するため、Exam P やExam FMと異なり(おそらく)SOAのサンプル問題だけでは対応することができません。

 したがってこの科目からは、Coaching ActuariesというWeb上の副教材を購入し、それにそって学習を進めました。

受験時期

・2019年11月下旬

受験時の前提知識

・日本アクチュアリー会正会員、CERA保持
・TOEIC 825
・Exam P, FM, STAM取得

勉強時期・総時間

・2019年11月いっぱい
・100〜150時間程度
※執筆時点(2019年12月末時点)では合格発表はまだですが、Preliminary Analysisで合格水準を得ている状態です。

勉強教材

・Coaching Actuariesが公開しているFormula Sheet
・Coaching ActuariesのAdaptによる到達レベルの確認
教科書等は特に買っていません

試験の一般的なことについて諸々

 Exam PやFMと同じようにテストセンターで受験します。試験の一般的な事項はExam Pと同じなので、過去の記載をご覧ください。

SOA Exam P: Probability対策でやったこと
https://note.com/youkun510/n/n37da423bd46c

 ただしExam IFMでは、Call/PutオプションのGreeksの算式や、標準正規分布の計算機能がついています。

試験時に参照できるFormula Tableのサンプル
https://www.soa.org/globalassets/assets/Files/Edu/2018/exam-ifm-pp-table.pdf
テストセンターが提供する標準正規分布計算機能のサンプル
https://www.prometric.com/soa

Coaching Actuariesについて

 前述の通りIFMは最近再編成された試験で、一応SOAのサイトで旧試験のサンプル問題が公開されているのですが、当該試験科目としてのサンプル問題が整っていないということを踏まえ、身銭を切って副教材を購入することにしました。

IFMのシラバス内に記載されている旧科目のサンプル問題
past MFE exams
https://www.soa.org/globalassets/assets/Files/Edu/2018/ifm-derivatives-questions-solutions.pdf
Finance and Investment
https://www.soa.org/globalassets/assets/Files/Edu/2018/2018-exam-ifm-sample-questions.pdf

 SOAの試験については、Web上で様々な副教材が販売されています。Actuarial Outpost(SOAについての2ch的なサイト)を覗いてみると、いろいろとある中でCoaching Actuariesを利用している人が多そうだったので、これを利用することとしました。

Actuarial Outpost
http://www.actuarialoutpost.com/actuarial_discussion_forum/
Coaching Actuaries
https://www.coachingactuaries.com/

 Coaching ActuariesはWeb上で展開されているSOA向けの勉強教材です。Exam PAを除く一次試験の各科目ごとにLearnとAdaptという2つの機能が販売されています。

 Learnは動画等で試験範囲の内容について解説してくれるようです。(なお、私はこのLearnを買ったことがありませんので、その質についてはよくわかりません。)

 主にお世話になるのはAdaptで、こちらは問題集と模擬試験が大量に揃っています。特に、
 ・試験範囲の項目と難易度ごとに問題が整理されている
 ・模擬試験により自身の到達している学習レベルが明確にわかる
という点で非常に優れた学習ツールとなっています。

 とりわけ、2つ目の学習レベルがわかるという点はとても便利です。SOAの一次試験は、日本アクチュアリー試験と比較してかなりパターン化された問題が出題されるので、「ここまで勉強すればほぼ確実に合格する」というラインがわりと明確にわかるからです。

 ということで、Coaching ActuariesはSOAの一次試験において、IFMに限らず非常に有効なツールです。しかしお値段はIFM Adapt 180daysで$205(!)となっています。かなりギリギリなプライシングですね。(なお、180日以上の購入なら、一回だけ不合格の際にさらに180日無料で延長してくれるみたいです)

勉強方法について

 基本的にはCoaching Actuariesで整理されている分野別に、低難易度から徐々に高難易度にしていき、最終的には9割以上の人が合格する水準であるレベルの一歩手前というところまで行き着きました。(Earned Level 6.5くらい)

 ただし、最初は低難易度とはいえ初見では解けない問題が多かったため、まずはCoaching Actuariesが公開しているFormula Sheetを確認・暗記しつつ問題を進めました。なお、Formula Sheetは無料でダウンロードすることができます。(サイトへの登録は必要)

Coaching ActuariesのFormula Sheet 一覧
https://www.coachingactuaries.com/formulas/

 Formula Sheetの内容は一見すると結構たっぷりあるように見えますが、半分以上は正誤問題の内容であり、問題を解きつつ覚えていけばだいたい覚えられると思います。私は最終的には全て記憶して試験に臨みました。

 シラバスの中には、アジアンオプションとかバリアオプションを2項モデルで計算させたりする問題など、結構タフな計算をさせる問題もありますが、基本的には日本アクチュアリー試験の投資理論の前提知識があれば、理解に苦しむことはないと思います。

 ただし、私が個人的に苦労したのはMarket Efficiency and Behavioural Financeの項目です。この項目は主に計算問題ではなく正誤問題で出題される分野ですが、英語で記憶すべきことが多く、またその記憶すべきこともあまり演繹的な内容ではなかったため、非常に苦労しました。最終的にはほぼ捨て問扱いでした。

まとめ

 SOA的には、IFMはP、FMに次いで3番目に受けることを薦められている試験とのことですが、この試験で難易度が一気に上がる印象です。最初2つのノリで勉強を進めるともしかしたら苦労すると思うので、まずはCoaching ActuariesのFormula SheetやSOAで公開されているサンプル問題を見て雰囲気をつかみ、もし自信がなさそうなら、ちゃんと副教材に投資したほうが良いと、個人的には思いました。


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