SOA Exam STAM: Short-Term Actuarial Mathematics対策でやったこと

まとめ
・STAMは日本ア会でいう損保数理。ただし試験範囲は日本ア会より狭く、問題もパターン化している
・SOAのHPで公開されているサンプル問題での対策では足りない
・計算量が多く、試験時間3時間半にも関わらず時間との勝負

受験時期

・2019年6月下旬

受験時の前提知識

・日本アクチュアリー会正会員、CERA保持
・TOEIC 825
・Exam P, FM取得

勉強時期・総時間

・2019年5・6月いっぱい
・200〜250時間程度

勉強教材

・SOAのHPで公開されているサンプル問題
・Coaching Actuariesが公開しているFormula Sheet
・Coaching ActuariesのAdaptによる到達レベルの確認
教科書等は特に買っていません

試験の一般的なことについて諸々

 Exam PやFMと同じようにテストセンターで受験します。試験の一般的な事項はExam Pと同じなので、過去の記載をご覧ください。

SOA Exam P: Probability対策でやったこと
https://note.com/youkun510/n/n37da423bd46c

 ただしExam STAMでは、頻出の確率分布やそのモーメントなど、かなりの量のFormulaを試験時に参照することができます。覚えるべきものと覚えなくてもいいものの選別のためにも、早めに確認することをお勧めします。

試験時に参照できるFormula Tableのサンプル
https://www.soa.org/globalassets/assets/Files/Edu/2019/2019-02-exam-stam-tables.pdf

勉強方法について

 STAMは日本アクチュアリー会の試験でいう損保数理の範囲となります。とはいえ、ア会の試験より試験範囲は狭く問題もパターン化しているので、STAM難民みたいな状況はあまり発生しづらい印象です。

 また、SOAのHPでサンプル問題が多く用意されているため、問題の雰囲気や難易度はすぐにつかみ取ることができると思います。

サンプル問題
https://www.soa.org/globalassets/assets/Files/Edu/2018/2018-04-exam-stam-questions.pdf
サンプル問題の解答
https://www.soa.org/globalassets/assets/Files/Edu/2018/2018-04-exam-stam-solutions.pdf

 内容としては、保険商品に確率分布を適用したり、確率分布のパラメータを推定したり、信頼性理論周辺の問題を解いたりといったもので、ア会の試験のようにGLM、積立保険、コピュラや極値理論等は出題されません。

 ただし注意する必要があるのは、サンプル問題を見ると結構ちゃんとシラバス全体をカバーされているように見えるのですが、シラバスのうち、
・Insurance and Reinsurance Coverages (5-10%)
・Pricing and Reserving for Short-Term Insurance Coverages (15-25%)

の部分はあまりカバーされていないように思いました。

 なので、普通に考えると指定教科書から勉強することになると思いますが、シラバスの教科書リストのうち何がどのシラバスの部分をカバーしているのかよくわからなかったので、ここでもCoaching Actuariesを使って直接出題パターンを勉強するという作戦に出ました。(Coaching Actuariesについては前回書いているので、下記をご覧ください)

SOA Exam IFM: Investment and Financial Markets対策でやったこと
https://note.com/youkun510/n/n54865976d963

 Coaching Actuariesでは、Exam IFMで記載したのと同じく、分野別に難易度を徐々に上げて対策していきました。ア会の損保数理を勉強したことがある人は、理解に困る問題に遭遇することはほとんどないと思います。多くのパターンは、Coaching Actuariesが提供するFormula Sheetにある公式を思い出して、試験で提供される公式集をたまに参照して、ひたすらゴリゴリ計算して……みたいな問題だった印象でした。

 ただ、計算量が多いというのと、模擬試験で3時間半かかるということで、私は結局Earned Level 7(9割以上の人が合格する水準)までは届かず、たぶん6,7割くらいの人が合格する水準であろう、Earned Level 6 程度で本番に臨みました。

 本番ではとにかく時間が足りず、見直しの時間も5分あったかなかったかというところでした。指定の電卓が関数電卓でとても扱い辛いので、これも拍車をかけていたと思います。如何にショートカットする解答ができるか、というところにかかっているように思えました。

まとめ

 ASAコースの中では結構難しい科目に入るかと思いますが、日本アクチュアリー会の試験を乗り越えた人にとっては、かなり楽勝な試験に思えると思います。一方で、SOAのSTAMをア会の損保数理より先に受ける場合は、まずは理論的な背景を理解する必要があるため、教科書による勉強は必須になるでしょう。そのくらいの難易度のイメージでした。

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