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ドクター中松を忘れるな! 中松氏の珍発明

世間はまだ本当のドクター中松を知らない。
都知事選や衆参選挙には自身が発明したフライングシューズを履き、背広姿でピョンピョンと跳ねながら演説をする。その不思議な姿にコメディアンと思っている人もいるかもしれないが、ドクター中松氏は自称世界一の発明家である。
フロッピーディスクや磁気切符の基本特許を持ち、世田谷に豪華な自宅兼社屋ビルを持つ中松義郎、通称ドクター中松。瞑想中に脳に不要な電磁波を浴びないように、そのトイレは総金貼り。
世界一かどうかはともかく、稀代の発明家であることは間違いない。
私は中松氏のファンだ。現在、中松氏は『サー・ドクター中松王国』の国王であり、ガンと闘病中にも関わらず、自分で自分のガンを治す研究に余念がない。
スジ・ピカ・イキという発明の鉄則(理論・ひらめき・活用)というシンプルな信条も、自分で自分のテーマ曲を作って歌うセンスも、すべてが常識外で素晴らしい(ちなみに発明家はなぜか自分の作品のテーマ曲を作りたがる。こたつの歌とか扇風機の歌とか、自分の盛り上げ方がすでに発明だ)。
世間ではピョンピョン跳ねる変な靴を履いて、毎回、都知事選で落ちているおじさんなのかもしれないが、本当のドクターをみんな知らないから笑っていられるのだ。
ドクターの発明は非常に多岐に渡る。
選挙の時に履いているピョンピョンは『翔ッ靴』として1992年に特許が出願(特許公開平6-189801)されており、

<ジョギングにおいて足の関節に加わる衝撃をなくし、その衝撃を与えるエネルギを走行に有効に利用できる靴を得ること>

ができる靴だ。
 以前、中松氏にお伺いしたところ、

「ピョンピョンといっても普通のプラスチックじゃできませんよ、折れてしまって。金属ならできるかというとできませんよ、重くて。だから新しいプラスチックの発明をやっている。そして今の政治を飛び越えるんだということを哲学的に表現した。ピョンピョン飛んでる妙なオジサンというのは全然違うんですよ。低いレベルで想像するから、下世話な話になっちゃう」

 レベルが低くて申し訳ございません。
 形状記憶プラスチックは、形状記憶合金のように一定温度での形状を記憶する高分子ポリマーで、非常に優れた発明である。そのハイテクを使ってピョンピョン(商品化されており、その愛称だ)を作るというのも、また非凡。
 下世話についでに、中松氏の発明には性に関したものが多い。
 その1つ、『高感度コンドームシステム』(特許公開平7-250858)は上部に突起があるコンドームである。

<本発明コンドームシステムの突起は女性性器のGスポットに接触して刺激>

し、

<性感度を著しく高める>。

 著しく! である。Gスポット! である。特許を出願した平成6年、中松氏60代半ばだったはずだ。なんとも男ではないか! しかも、この突起の中には磁石が埋め込まれている。

<男性の性器の抽送運動>

が行われると

<フレミング右手の法則により>

 女性の血流に電流が流れる。覚えていますか、フレミング右手の法則?
 電流が右手を握るように流れると親指方向に磁界が発生するという。こすると電流が流れるわけだ。その電流が脳の中のドーパミンを増大させ、

<ナマでやるよりも感度が上がる>。

 素晴らしい。サイエンスでセックスだ。
 特許にもこうある。

<人類の敵エイズを撲滅出来る発明であり、人類にとって極めて重要な発明である>

ナマより気持ち良ければコンドームをつける、つければエイズに罹患しない。すべては人類のため、国のための発明なのだ。
 ドクターの発明は広大無辺である

 『護身用かつら』(特許公開2007-285622 ※タイトル画像です)に目が留った。カツラにおもりとヒモがついている。<投げつけて手元に戻る護身用とすることを特徴とするかつら>だという。
 カツラを投げる? 銭形平次? 

 <突然チカンが襲ってきたら> 

 チカン? 女性用なのか、これ。

 <いつでもどこでも犯罪が起こったときに使用者の身を自ら守ることが出来る>

 ……たしかにできるだろうけど。痴漢もビックリするだろうな。痴漢に襲われたら投げるカツラ、しかも相手を倒すなりシュッと手元に戻るのだ。ゆーとぴあのコントのようだ。
 しかもラジコンを搭載し、

<犬との散歩のようにする事も出来るかつら>。

 いやちょっと待ってくれ。カツラと散歩はしないでしょう、いくら何でも。
 カツラにラジコンで女が散歩? 想像して欲しい、いやできないだろう。貞子もビックリの恐ろしさ。バカにでもしようものなら、シュッとカツラを投げつけられる。
 『ズラ刑事』という映画のためにドクターが作ったのだそうだ。
 念のためにDVDをチェックしたら、研究所の所長役でドクターが出演していた。ドクター中松氏が「成功じゃー!!」と叫び、そして本当にヅラがラジコン操作で動いていたのだった。

「こういうこともみんな知らない」

と中松氏に呆れられた。お見それしました。
 でも……だからって特許をとらなくても……。だってドクター以外の誰がこんなことを思いつくというのだ? 特許を取る意味がないだろう、意味が!

「見る人がどう見るかでしょうね。見る人の知能レベルによりますよね。私の発明は愛です。他の人の発明はお金ですから、そこが違う」

 テレビの伝えるドクターは氷山のひとかけらでしかない。ドクターの発明ワールドははるか宇宙のように広大なのだ。


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