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そうだ、ヒッチハイク、しよう⑤ 岡山編 前編


山口脱出の秘策

時は少し遡り、徳山競艇最終日の優勝戦直前。夜には仕事が決まってるからと調子こいて舟券を買い続けていたら、あてにしていたミクちゃんから今夜は行けなくなってしまったというメールが来て青ざめていた頃。
実はこの時、もう一人懐かしい人物からも連絡を受けていた。その人物こそ軽トラさん。まだ私が女装し始めの頃、毎週のように夜中の公園に集まってお喋りを楽しんでいた頃の公園メンツだ。この時の公園には女装に純男、純女までもが集まって賑やかだった。夜の世界で本名は野暮なので、女装はそれぞれ源氏名を名乗るし、純男は様々なあだ名で呼ばれており、彼は公園まで軽トラで来ていたので軽トラさん。あだ名なんてそんなもんだ

その軽トラさんはどこからか(多分Twitterかなんかだと思うが)私がヒッチハイクで全国を回っていることを聞きつけ、仕事で九州から東京方面まで行くから途中まで乗せて行ってあげようかという連絡をくれた。
そう、彼は軽トラさんから大トラさんにジョブチェンジしていたのだ。
渡りに船とはまさにこのことで、大変有難い提案に二つ返事で応えると、早速翌日の計画を練ることにした。大トラさんが山口を通るのが夜中だから、それまでにどこか高速のサービスエリアまで入っておきたい。それから次の目的地である岡山まで乗せてもらい、適当なサービスエリアで降ろしてもらうという作戦。うんうん、これもまたヒッチ(ry
しかも大変都合の良い事に、一般道から徒歩で高速のサービスエリアまで入れるウェルカムゲートが設置されているところが、現在地から程近い山口の下松と、岡山の吉備にあるのだ。完璧過ぎる。


ヒッチハイク4台目 下松SAから吉備SAまで

山口県下松市にあるウェルカムゲート設置SA、下松

そんな訳で夜まで時間を潰した私は、下松SAに一番近い駅まで電車で向かう。秋芳洞に行った時もそうだったが、ここでもSuicaで乗ったのに降りる駅がSuica非対応で乗務員さんに手間をかけさせてしまった。
東京はもちろん、熊本でも大体のバスや電車がSuicaで乗れるのでついつい何も確認せずに電子マネーで乗ってしまうのだが、田舎は結構電子マネーに対応してなかったり、一部の区間でしか導入されてなかったりして面倒だということを今後ずっと思い知らされる事になる。

電車を降りると、そこは真のド田舎。それから更に山奥の方へ向かうので、スマホのライト機能を使わないと本当に何も見えないくらいの暗闇が眼前に広がる。
この暗闇の中で本当に辿り着けるのか、そして本当に徒歩でサービスエリアに入れるのか、色んな不安を覚えながらも歩き続け、とうとう件のウェルカムゲート発見に至ったのが夜の23時前だった。

人生で初めて徒歩で高速に進入する瞬間

大トラさんに会うのも何年振りだろうか。公園の集会がなくなってからパタリと会うことがなかったのに、未だに私のことを覚えていてくれて、こんな馬鹿げた事にも力になってくれることが嬉しい。何気にB面で会うのは初めてな気もする。
久しぶりの再会を喜び合い、近況報告と昔話に花を咲かせ、このSAで一番美味いらしい皿うどんをご馳走になる。
あの頃も大学生だったけど、私は今でも大学生だという話をしたら流石の大トラさんも多分ちょっと引いてた

腹ごしらえも済んでいよいよ岡山へ向けて出発。大型トラックの助手席に座るのはこれが人生で三度目くらい。
改めて思うのは会話に不向きだということ。広い車内で運転席と助手席が結構離れているせいか、結構な声量で話さなければ互いの声が聞こえない。
今まで知らない人の車ばかりで気を張っていたけど、ここに来て隣にいるのが知り合いということで気が抜けたせいもあるだろう。
食事の時に積もる話は崩し尽くした感もある。
車内はさして会話で盛り上がる訳でもなく、それでも今までで一番居心地の良い空間として真夜中の高速を走り続けた。


広島をスルーする理由

さて、岡山へ向かうトラックの車内は、音楽だけが言葉のない静寂を包み込むちょっぴりエモい空間と化しているので、それを邪魔しないよう今のうちに山口から広島を通り抜けて岡山へ抜ける理由を説明しておこう。
山口の次ぁ広島じゃ思うて楽しみにしとったんじゃけど!とキレる広島県民もおられるかも知れないので。

このヒッチハイク旅に出発したのが4月なのだが、実は3月にゲーム仲間達とオフ会を兼ねた広島旅行を敢行していた。九州、愛媛、広島、大阪にいる総勢6名が参加し、全員から平等に近いのは広島だろうということで開催された広島旅行オフ。一泊二日で初日は宮島、二日目は市内観光を満喫し平和学習も行った。交通手段は新幹線で、宮島の有名な高級ホテルに男六人で泊まるという、今行っている一人貧乏旅とは正反対の豪勢な旅行だった。

宮島は牡蠣よりも揚げもみじが最強
二日目は平和学習。修学旅行かて。

この旅行のお陰でまだ行ったことない県に行きたいと思ったし、この広島旅行は言わばヒッチハイク旅行の序章、プロローグとして一連の流れに組み込みたい、というのはなかなか苦しいのかもしれないが、先月行ってガッツリ観光も済ませた県をヒッチハイクでわざわざ訪れるのもなあ、というのが正直なところで、広島は日本一周の帰り道に回す事にして、今回はスルー。
広島県民には今しばらく我慢をして頂こう。
因みにこの広島旅行メンツは、熊本在住の一人を除いて全員がこのヒッチハイク旅中に再登場する。


岡山到着

岡山といえば桃太郎、桃太郎といえば吉備だんご

ヒッチハイク生活7日目の朝を迎えた。時刻は午前四時。恐らく私を乗せる為に本来のルートとは違うルートをわざわざ通ってくれたであろう大トラさんに礼を言って吉備サービスエリアに降り立つ。
4月とはいえ流石に早朝は寒い。冬用のコートを持ってきていて本当に良かった。
ここ吉備SAにもウェルカムゲートが設置されている為、徒歩で一般道に降りることが出来る。つまり私は車を持たずして高速に乗って移動し高速を降りた事になるのだ。何だかとんでもない事をしている気がする。

高速を降りて快活に入るまで、人も車も一切見なかった気がする

小一時間歩いてようやく辿り着いた快活クラブで仮眠を取る。明日はいよいよ岡山観光。岡山って一体何があるんだ?正直、こうして訪れるまでは岡山の場所を聞かれても日本地図上で正しい場所を指し示すことは出来なかったと思う。そのくらい今までの人生で縁のない県だった。
スマホで岡山の観光スポットを調べているうちにいつの間にか深い眠りへと誘われていた。次回、岡山観光編。



おまけ 今回の移動まとめ

たまたま通り掛かった知り合いに乗せてもらうのもヒッチハイクさね
  • 下松SA(山口)-吉備SA(岡山) ヒッチハイク


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