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ChatGPT は小説「ジュプ・エ・ポァンタロン」を創作できるのか (後編)

ChatGPTにタイトルや文字数を追加して小説をまとめられるかを試しました。


5.タイトルを加えました

「タイトルを『ジュプ・エ・ポァンタロン』としてください」

 理解不能だったようです。あらためて

「フランス語で Jupe et Pantalon です。衣料品店の名前です。」
としました。実は、「フランス語」と打ったところでリターンを押してしまいました。そのため、質問全文を入力しなおしました。両方の結果をご覧ください。

 「ポァンタロン」の意味を私の思惑通りに訳してもらえました。最終的にタイトル名について理解してもらえたようです。


6.文章としてまとめてもらおうと思いました

「このタイトルで小説をまとめてください」

 上京した時期が「夏の終わり」でした。海外の新学期を想定している可能性があります。とすると、頭脳は英語で考え、日本語に訳しているのでしょうか。
 孝子は入学式の日もバイトしていることになってます。「夕食後、両親が帰った後、母親は孝子に寄り添い…」はわかりにくいので、修正が必要でしょう。 


7.短編小説として 3万字で書いてもらおうと思いましたが

「この小説を3万字で書いてください」

 いわゆる、エラーメッセージです。落ちないだけいいと思います。が、エラーメッセージも文章を作って回答するのですね。

 仕切り直しという意味で一旦ログアウトし、再度ログインしました。AIの性質上、私の入力をすべてチャラにするというのも難しいとは思いましたが、気持ちの上での再スタートです。次のように聞いてみました。

「小説を書いてください。何文字まで書けますか?」

 再ログイン前には「創作活動は行えません」と回答があり、言っていることが違うようにも思いましたが、
 この答えに対して
「大学入学のために上京した孝子と送り出したお母さんの物語を3万文字以内で」

 さらに続きます。

と、文章の途中で止まってしまいました。冒頭からの文字数は約750文字でした。書き始めたということは中で何か考えているのかもしれません。出力機能で制限があるのでしょうか。
 しんみりするような内容です。気持ちをはっきりと伝える海外の家族を見ているようです。やはり英語で考え、日本語に訳しているのでしょうか。このままでは使えません。直す必要があります。


8.私の感想

 筋書きを与えて、何度か追加情報を示しました。出力される文章は、指示したポイントにあわせて変更が重ねられましたが、期待していたものとはまだかけ離れていると感じました。話しの展開も断片的で硬いといった印象です。そのまま創作物の完成形とするのはまだ無理だと思います。利用するにしても、かなり手を加える必要があるでしょう。(そうして作られたものが小説なのかという、そもそもの問題もあるかと思いますが、ここでは ChatGPT そのものの性能について話しを続けます)

 今回の実験は自分が書いた小説にどれだけ近づけられるかというものでした。条件を付け加えていくと、それに合わせて修正が施されます。条件を繰り返し追加しその都度修正されました。さらに近づけようとするならば、もっと細かいたくさんの条件が必要になりそうです。そこまで手間暇をかけて ChatGPT で書くのであれば、調査や取材、執筆に労力と時間を費やしたほうがいいと感じました。その調査や取材の下調べなどを効率的にする補助ツールとして利用するほうがよいかもしれません。


 コンピューターで検索したり、計算で何らかの結果を導き出すときに、どのようなキーワードで検索するのか、どのような関数式で結論を導き出すのかは、その入力者の技術や経験による面が大きく、そこにリサーチャーなどの存在意義があります。検索ソフトの特性、検索対象のデータベースの仕組みや入っているデータの癖などを考慮しながら作業を進めるのです。今の段階だと ChatGPT にもそういった使う側の技術や経験が必要に感じました。

 一方でAIというものへの期待が大きいことも確かです。それは誰でも簡単に利用できるようになるという期待だと思います。簡単にできる検索機能ということであれば、私には Google や yahoo がまだ便利です。検索サイト自体が使いやすく改良されてきましたので。
 Google が新たなAI機能を追加しようとし、Microsoft が今回テストした ChatGPT を Bing に取り込んで実験しようとしています。それはこれまでの改良の延長線上と思われます。ChatGPT が取り込まれることで検索のしやすさに加えて、検索結果の選択と統合、それらに基づく最終形のアウトプット作成の補助にまで進めばさらに便利に利用できそうです。

 問題になるのが、多くの人たちが指摘しているように ChatGPT の出力に正しくないものが含まれるかもしれないという点です。ChatGPT にすでに取り込まれた情報の中に間違いが含まれている可能性があります。
 それ以外にも今回のテストでは、不測の事態を二つ紹介しました。入力途中でリターンを押してしまった例では、全文を入力しなおすことで回答を得ることができました。単語の一文字を入力し忘れた例では、ChatGPT が補って修正した単語が出力されました。これは ChatGPT に救われた例です。
 文章の場合、一文字、一単語違うだけで Yes と No が変わってしまうこともあります。入力時点で気がつかず、出力内容を見ておかしいと思わなければ、間違ったまま採用されてしまいます。扱っている内容の情報や知識を基に人間が判断しなければならないということでしょうか。チェックの重要性は非常に高くなります。

 それでは、表題の「ChatGPT は小説『ジュプ・エ・ポァンタロン』を創作できるのか」ですが、現時点での私自身の答えは「まだ、無理です。自分で書きます」ということになります。

                           (終わり)

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