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理解力なき有能性 : 進化が生物に与える能力(=コンピータンス)には、ふつう "理解力" というものが伴ってはいない #CwC ⑴ | エボサイマガジン


────「理解力なき有能性」?:なんだか強そうなコトバだが、見かけにビビってちゃあいけない、カンタンだ。

たとえば、"笑う"ことはきみに何らかの生物学的効用をもたらしている(=有能である)のだが、そのことをきみはなんにも理解しちゃあいないだろう。

(きみは、きみ自身について────とくにきみ自身の心のロジックについて、一体何を知っているというのだろう?)

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人間は自分自身について一体何を知っているのだろう!────実際、人間は明るく照らされたガラス箱のなかにでも寝かされたようにして、いつか完全に自分の姿を知覚することが、わずかでもできるようになるのだろうか?自然は人間に最もありふれたことさえも、人間の身体についてさえも、秘して語らないではないか。それも腸の曲りくねりとか、血行の速い流れとか、からみ合った筋肉繊維のなどから眼をそらさせて、人間を得意満々の奇術師的意識の世界へ封じこめ、鍵を掛けて密閉してしまうためにほかならない!自然は鍵を投げ棄ててしまったのだ!

(フリードリヒ=ニーチェ『道徳以外の意味における真理と虚偽について』)


なにかがあなたを遠ざけようとしてるの / どうしてかはわからない 私は行かなかった / 心はまるで 穴の空いたドラムみたい / どうしてかはわからない 私は行かなかった / どうしてかはわからない 私は行かなかった ” 

Don't Know Why / Norah Jones


・初回からの続き(読まれてない方はまずはこちらから):


tool 7: ✔️理解力無き有能性(CwC: コンプリヘンション無きコンピータンス, Competence without Comprehension)


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さて、今回みなさんの前に姿を現した思考道具は「理解力無き有能性 “competence without comprehension”」だ。

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