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素案:理解を深めたいときの読みかた

小説を楽しむときなど、読むということは漠然にやるのが基本的には良いが、意識的に読み込むべきときもある。例えば、新しいことを理解するために読む場合である。

そのような特別のときにどのように読むべきか、考え中の読み方を素案として以下に記載する。

理解度のレベル

まず、読み方は深く理解する必要があるほど、理解するために複数の工夫をしなければならない。そこで、まずは理解度を簡単に分けて、その理解度に応じてどのように読むかで話を進める。

読み方のレベルは、ざっと低い順に以下の通りに分ける。

  1. 読んだことは知っている

  2. 読んだ情報を知っている

    • 言われれば、読んだ内容だと分かる

  3. 読んだ内容を理解している

    • 自分で説明でき、考えに用いることができる

これを分けるのには、前提として「初めから深い理解には至れない」というものがある。そもそも初めから深く理解できればこのようなことは考慮しなくて良いからである。従って、理解度の低いところから徐々に高めるにはどうすればよいかを検討する。

また、これは3を必ず志向するものではなくて、別に2の理解レベルでいい内容については、そこまでで止めれば良い。

全体構成

「本にざっくり目を通したあと」「内容を整理して」「それを内容を見ずに再現できるようにする」という基本的な流れ。

理解深度を高める1

先の分け方において、まず初めのレベル「読んだことは知っている」ために必要なのは、目を通すことである。

なぜなら、ここでの読者の想定は「本の話題についてほとんど知らない」だからである。つまり、そもそもどのような話をしているのかを把握しなければならない。

従って、この工程ではまず以下を押さえることを目的として読む。

  • 話題を理解する

    • 小見出しごとにどのような話を扱っているか

  • 話の外観、進め方を押さえる

    • 小見出しのレベルで、どのように話が進んでいるか

  • 各文の内容を押さえる

    • 知らない語をなくしておく

    • もしここで知らない語があまりに多いなら、一度、より入門的な書籍に取り組む

ただし、あまりここでは、逐一立ち止まって読むことを想定していない。むしろ読み進めながら軽く分からないところを調べたり、各節の内容をふりかえったりするぐらいを想定している。なぜなら、本を理解するために立ち止まってしまうと、そもそも読み終えるのが辛くなってくるからである。

「初めから深い理解には至れない」という言い訳をしつつ、文章を好きなペースで読み進めながら、まずはざっくり概要を把握するという具合である。

なお、線を引く派だとしても、できればこの段階では線を引かない方がいいかもしれない。というのは、まだこの段階では理解が浅いので線ばかりになる可能性があるほか、あとで理解が高まったときに別の点を強調しておくべきだったと後悔する可能性があるからである。

理解深度を高める2

つぎに「読んだ情報を知っている」状態を目指す。この段階では「言われれば、読んだ内容だと分かる」状態に至りたい。

しかし、先の目を通したあとの理解度は、大体「理解はしているが、何の内容だったか覚えていない」ぐらいのレベルを想定している。したがって、本の内容が結局何を言っていたのかについて、まとめる必要がある。

ここでは、本の内容をまとめるために、以下を行う。

  • 分からない言葉をなくす

    • 知っている言葉でも、筆者の特殊な使い方で分かりにくいことがあるので、それを整理する

  • 結論までの道のりを整理する

    • 各節の概要を見直して、結論をまとめる

      • 合わせて「どのようにその結論を導いたのか」を整理する

    • 紹介されていた内容を大きく幾つかの項目として列挙する

      • 合わせて「どのように各項目を紹介していたか」を整理する

ここまで来れば、概ね本の概要については把握しており、何の内容についての本だったかぐらいは言えるようになっているだろう(たぶん)。

この辺りで各トピックにおいてメインの文章については、線を引き始めてもいいかもしれない。

理解深度を高める3

最後に「読んだ内容を理解している」状態を目指す。「本の内容を自分で説明でき、考えに用いることができる」状態である。

読んだ内容を使えるようになるためには、自分の中に落とし込む必要がある。それを「自分で説明できるか」と「自分の考えのなかで使えるか」によって測る。

この状態に至るために行うのは、基本的に一つであり、それは「内容の再現」である。

自分の中に落とし込んだ「知識」について、人はすらすら話せるとする。例えば何度も作っている料理の工程についてすらすら話せる。とすれば、いま私が読んだ本についてその「知識」が自分の中に落とし込めていれば、それについてすらすら話せるはずであり、それは本の内容を概ねその通りに再現できるということである(少なくとも、そのことによって理解度を検証できるようにする)。

ということで、本の内容の再現に取り組む。ただしこのフェーズはかなり各自で得意なやりかたがあると思われる。例えばノートにまとめる、メモを貼る、一部を書き写すなど。以下は、あくまでその一例である。

  1. まず内容に関する質問を作成し、答えられるようにする

    1. 結論までの話の進め方がどのようだったかを見直して、論理の各ステップに対して質問を作成する

    2. 例えば、数学の本で「実数」「自然数」「整数」と導入があれば、「実数とは何か」「その中で自然数とは何か」「それに対して整数とは何か」と言った形で作る

  2. つぎに質問なしに論を再現できるようにする

    1. 質問に答えたのを手がかりに、今度は質問を見ることなく、論を再構成できるようにする

    2. 例えば、先の数学の本なら「まずXXとして実数について話し、そこから自然数をYYという形で導入、そこから整数をZZという形で…」といった形で再構成する

  3. 紙面に概略を再現する

    1. 個々の答えという形式ではなく、書籍を再度書くような形で、Wordなどを用いて紙面に書籍の概略を再現する

その他

以上で理解を進める。以下は、それ以外の読書に関する補足的な事項である。

長い文章をどこまでよむべきか

どこで区切っても良い。ただし、読んだところが、全体として何を話していたか箇条書きできる程度の量にする。

なぜなら、「目を通す」のは話題を把握するためであるから、内容を忘れると再度同じことをしなければならなくなる。従って、読んだ話題や話の進め方を整理しておける量が望ましい。

例としては、目次があれば目次ごとに読み進めて、話題をおさらいしていく。一時間でどのぐらい読み進められるかが分かっていれば、一、二時間で切りが良いあたりまで目次の区切りを把握して置いて、そこまで読むのがいいかもしれない。

なお、ここで②や③まで踏み込む必要はない。どんな話題について、どんな話をしていたか説明できれば良い。

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