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【ビジネス書解説】「図解 50歳からでも間に合うかんたん資産運用術」

こんにちは。
今回は、岡崎 充輝さんの「図解 50歳からでも間に合うかんたん資産運用術」について解説していきます。

はじめに

50代にさしかかり、老後のお金について考える人は多いです。子育てに追われ、なんとか教育費の目処がついたと思えば、今度は自分の老後資金です。親の介護もあるかもしれません。本当にお金の悩みは尽きないです。
50代の多くの人は、社会人になってすぐにバブル崩壊を目の当たりにし、30から40代の時にはリーマンショックで苦しい思いを経験しています。そのためか、投資や資産運用についてあまり良いイメージを持っていない人も多いです。新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)を経て、世の中は大きく変化しました。生活環境が変わった以上、考え方も変える必要があります。そこで押さえておきたいのが、リスクを抑えながらリターンを得る資産運用です。
この記事では、資産運用はギャンブルではない考え方を、わかりやすい言葉を使って厳選した13個をお伝えします。
勉強になった、もっと知りたいと思った人は、いいね、やコメントをください。


具体的なアクションプラン

【1個目】 資産運用で失敗する人の共通点

資産運用と上手に付き合っていく方法を考えます。ブームに乗って資産運用するほとんどの人は、資産運用を誰かに勧められて手を出すタイプです。今はあらゆる運用商品がいろいろな窓口から購入できるようになりました。インターネットの証券会社はもちろん、銀行の窓口や、保険代理店、IFAという金融商品仲介業者まで様々です。
その上で、まずは次の2つの質問に答えられるようにしてください。
1つ目は、今ある貯蓄のいくらまでなら資産運用に回せますか?
2つ目は、毎月いくらまでなら資産運用に回せますか?
この回答をもった上で購入しているのかが、資産運用を開始するポイントになります。

特に銀行はこの数年、金融商品の販売に積極的です。自ら証券会社を立ち上げ、銀行の窓口のそばに証券会社の窓口を設置し、銀行にくるお客様を取り込もうと躍起(やっき)になっています。僕たちの中でも、銀行の窓口で「預金は利息があまりつかない時代のため、こんな商品で貯めるのはいかがですか?」と声をかけられた経験があったりします。ただし、多くの人がどうしてこの商品を購入したのか、質問すると「勧められたから」と答えます。購入した意図も、内容もはっきりしていないです。
銀行は、かつて企業に貸したお金の利ざやで稼いでいました。しかし、それがバブル崩壊以降難しくなり、集めたお金を安全な金融商品で運用する形態に変化してきました。
しかし、今ではマイナス金利によって収益が見込めなくなっています。そこで、現在の銀行は個人の顧客から手数料で稼いでいます。

資産運用はリスクがあります。資産運用をただのギャンブルにするかどうかは自分次第です。資産運用で失敗しないための原則は、リスクに対する理解をした上で、そのリスクを自分でどこまで許せるか?検討することです。


【2個目】 資産運用とは複利を活用すること

アルベルト・アインシュタインは、「数学の歴史上、最大の発見は何か。それは複利だ。」と言っています。複利のパワーは、資産運用の基本です。この効果を味方にしない運用はありえないです。
みなさんが頭の中で計算する金利はほとんど単利です。例えば、100万円を毎年5%で7年間運用したとします。こう聞くと、頭の中で1年間の利息は5万円、7年間で35万円という計算をすると思います。

複利の計算では、2年目から結果が変わります。複利の計算は、105万円に5%の金利で計算することになります。そうすれば、110万2500円、たった2500円ですが、単離よりも利息が増えます。
これが7年経過すると、5万7100円も複利の方が多くなります。

金融機関でよく販売されている商品には分配型というものがあります。毎月配当や隔月配当など、運用成績に応じて配当金を支払うタイプです。これは利息を投資に回さず、分配するため。複利の力を使って増やすことができないのです。分配されるという、直感でわかりやすいものに飛びつくのではなく、運用の基本を勉強して商品を選んでください。


【3個目】 長期で投資することで安定する

変動の少ない投資をする方法の一つは長期投資です。つまり短期の成績に左右されることなく、はじめから長期で運用する前提で投資することです。長期で運用するとリスクが小さくなり、リターンが安定します。リーマンショックや新型コロナウイルスなど、大幅に経済が縮小することは度々起こります。短期的に見ると資産が半分になってしまうこともあり得るのが運用の世界です。しかし、世界の人口がまだ増えている以上、経済はまだ成長していきます。長期的な目線で考えてください。


【4個目】 地域を分散すると安定する

分散投資には、地域分散、商品分散、時間分散があります。わかりやすいのが地域分散です。地域の分散とは、複数の国・地域への投資を組み合わせることです。例えば投資先を米国、日本、欧州など地域別に分散させることや、先進国と、新興国で分散するのも方法の一つです。
一般的に、国や地域によって経済状況や景気動向は異なるものです。例えば米国経済は低迷していてもアジア経済は好調ということがあり得ます。また、世界では東日本大震災やロシアのウクライナ侵攻のように、時々、大事件が起こります。こうした避けることができないリスクを軽減するために、地域分散は重要です。


【5個目】 商品を分散すると安定する

運用商品には、主なもので国内株式、外国株式、国内債券、外国債券があり、それぞれリスクとリターンは違います。最も値動きが激しいのが新興国の株式で、一番安定しているのは国内債券です。これらを組み合わせることで、リスクとリターンをバランスよくしましょう。

国内債券はリターンがかなり低いため敬遠されがちですが、先進国株式、先進国債券、新興国債券、コモディティと逆の動き方をするため、分散投資には効果が高いです。もちろん、この値動きは過去のデータによるもので、今後も一緒とは言い切れませんが、参考になるデータの一つです。

このような商品を組み合わせることが商品分散です。どの資産にどの程度の割合で投資するのかを決めることをアセットアロケーションといい、運用成績の90%が資産配分で決まるとも言われています。実はこのアセットアロケーションを重視した運用を行っていることで有名なのが、GPIF(年金積立金管理運用独立法人)です。厚生労働省所管の独立行政法人で、日本の公的年金のうち、厚生年金と国民年金の積み立て金の管理・運用を行なっている機関です。
国民から大事なお金を預かって運用するため、リスクを最小にしてある程度の利回りが出るように運用に努めています。
リスクがゼロになることはないため、怖がってばかりもいられないです。
だからこそ、リスクをできるだけ少なくする運用を学ぶ必要があります。その一つが、長期投資であり、分散投資です。


【6個目】 時間を分散すると安定する

リスク軽減効果が期待される方法で挙げられるのは、時間の分散です。有名な投資方法でドルコスト平均法があります。ある銘柄の株式に投資したAさんとBさんがいたとします。Aさんは一気に20万円投資し、Bさんは毎月5万円を4ヶ月投資し続けました。結果、総購入金額は同じですが、平均購入単価には差が出ます。この差が最終的に利益を大きく左右します。もちろん、底値で買って最高値で売れば儲かります。
ただし、どこがベストなタイミングかは、プロでもわからないものです。だからこそ、底値の時も最高値の時も淡々と定期的に買い続けることで、銘柄の平均値で買うことになり、価格の変動リスクを抑えることができます。結果、リスクを一番少なくすることができます。このドルコスト平均法は、投資するタイミングを自然と分散できるため、いつスタートするかを気にすることなく始めることができ、併せて購入単価の平準化が実現できます。


【7個目】 自分がもらえる年金額を確認する

老後の一番の収入といえば年金です。しかし、自分が具体的にいくらもらえるかを知っている人は意外に少ないです。
計算式はありますが、難しくてわかりにくいです。そんな時に便利なのがねんきん定期便です。
ねんきん定期便は現在の年金加入履歴をお知らせする通知です。毎年、誕生日の2ヶ月前までの加入内容を、誕生日の月に加入者全てに送られています。

50歳以上のねんきん定期便の見方は簡単です。「このまま60歳までこの状態が継続するとこのぐらいの年金がもらえます」と国が計算してくれているため、その金額を計算すれば大丈夫です。
50歳未満の人の場合は見方が違います。過去の加入実績に応じてもらえる現時点での金額が記載されているだけです。この先60歳、65歳まで年金をかけ続ければ、もらえる年金は増えていきます。制度が変われば、この年金額も変わります。この年金額は現在の制度でもらえる金額であり、将来自分たちが65歳になった時、確実にもらえる年金ではないです。
だからこそ、ねんきん定期便を活用しながら、自分の老後のシミュレーションを立てることが必要です。


【8個目】 将来のお金の計画を立てる

実際に老後に必要なおおよその金額を、5つのステップで計算できます。

ステップ1は年金額を確認してください。
まずは年金の予想額を夫婦それぞれで計算して下さい。ねんきん定期便や年金概算早見表そのままの金額で計算してもいいですが、本当に年金はこのままもらえるのか不安を抱く人もいると思います。そのため、現行の年金額の80%で計算してみてください。その金額に男性・女性それぞれ65歳からの平均余命年数を掛けて、それぞれの生涯年金収入を計算します。

ステップ2は、生活費不足額を計算してください。
夫婦それぞれの生涯年金収入を合算し、そこから老後生活費を計算します。気をつけてもらいたいのは、定年後だからといっても生活費はそれほど変わらないです。

ステップ3は、特別支出を考えてみてください。
老後に必要なお金は、生活費だけではないです。
それ以外にまとまったお金が必要な場合があります。一番わかりやすいのがリフォーム費用や自動車の買い替え費用などです。定年の段階で住宅ローンの繰上げ返済が必要な人もいると思います。こうした費用のことを特別支出と言います。特別支出額については、それぞれの生活環境によって異なります。賃貸住宅の人、持ち家の人、一戸建て、マンションなど、パターンによって準備する金額が異なります。自動車も家族構成に応じて車の種類や台数が変わります。また、病気や介護といった不測の事態の準備も必要になります。
不測の事態は、心配しすぎてもキリがないです。一つの目安として医療費や介護費で500万円ぐらい準備しておきましょう。

ステップ4は、老後資金の目安を導き出してください。
最後に老後の生活費の不足額と特別支出を合計します。この部分が3000万円以上になった人も多いと思います。理由は年金を現在の80%で計算していることからです。これは悲観的なシミュレーションですが、老後の備えは悲観的に考えて準備することが一番賢い方法です。今から準備すれば間に合います。

ステップ5は、特別収入も考慮することです。
費用面の目安がついたところで、特別収入をそこから差し引きます。特別収入は、退職金、満期保険金、個人年金保険の年金受取総額の3つです。特別収入を差し引いてマイナスにならなければ、資産運用は必要ないかもしれないです。


【9個目】 運用目標を考える

必要な貯蓄額をどう準備するのか、2つのポイントを考えます。
1つ目は、今あるまとまったお金を運用します。
先ほどの特別収入を計算した時に、今ある貯蓄は考慮しなくていいのか、と考えた人も多いと思います。
もちろん、現段階である程度、老後のための貯蓄がある人もいるはずです。当然、この貯蓄を運用することが重要です。

2つ目は、これから定年までに運用しながら積み立てます。
貯蓄額を運用したシミュレーション結果は、当然老後の必要金額から差し引くことができます。その上でまだ不足がある場合には、これから老後までに積み立てていく必要があります。そこで登場するのが、毎年の積立額から将来の元利合計を計算するのに使う年金終価係数です。例えば、現在50歳で、あと15年、金利3.0%で1000万円増やすと仮定します。その場合の係数は18.599で、1000万円をこの係数で割れば、これから毎年いくら積み立てる必要があるかわかります。残り1000万円を準備しないといけない場合、約53万8000円となります。ここまで計算すれば、毎年いくら資産運用が必要なのかわかったと思います。今から2000万円増やせと言われると難しいですが、このぐらいの金額までブレークダウンできれば現実的になっていきます。
地に足ついた運用で、目標は達成できます。あとは具体的な行動をしてみてください。


【10個目】 制度と商品の違いをはっきりさせる

最近では、どこの銀行でも、NISAやiDeCoといった宣言を見るようになりました。誤解されがちですが、このNISAやiDeCoは制度であって商品ではないです。
NISAは個人投資家のための税制優遇制度、iDeCoは、私的年金制度です。どちらの制度も、国が投資を促進するために創設したものです。メリットもありますが、デメリットもあります。


【11個目】 儲かっても税金を払わなくていいNISA

制度の説明の前に理解すべきことがあります。それは、資産運用で増えたお金は税金がかかるってことです。資産運用で増えたお金には、名前がついてそれぞれのルールで税金がかかります。しかし、NISAは一定の条件で、増えたお金にかかる税金を払わなくていい制度です。2024年以降は、新しいNISA制度が立ち上がり、シンプルで使い勝手のいい制度になる予定です。


【12個目】 新NISAはメリットだらけ

新しいNISA制度のポイントを5つ紹介します。
1つ目は、つみたて投資枠と成長投資枠の併用ができることです。新NISA制度では、現行のつみたてNISAにあたるつみたて投資枠と現行の一般NISAにあたる成長投資枠が創設されます。2つの違いは購入できる商品です。つみたて投資枠は、長期積立分散投資に適したローコストの投資信託が購入できる枠です。成長投資枠は、投資信託や上場株式のほとんどが購入できる枠です。
2つ目は、年間投資上限額が大幅に増えました。現行のNISA制度での年間投資上限額は、一般NISAは120万円、つみたてNISAは40万円でした。
新NISA制度では成長投資枠が2倍の年間240万円。つみたて投資枠が3倍の120万円。つまり合計360万円まで大幅に拡充されました。

3つ目は、1800万円の生涯投資枠が設けられることです。1800万円までは運用した利益に対して税金がかからないです。生涯で利用できる限度額は購入時の金額で管理します。メリットは、NISA内で購入した商品を売却した場合、売却分の資産評価額の枠が復活し、再利用できます。

4つ目は、恒久的な制度になったことです。一般NISAは2023年末、つみたてNISAは2042年末という期限付き制度でしたが、新NISAは期間の制限がなくなったため、あと何年で終わる心配がないです。そのため、いつでも自由にNISA口座での運用ができます。

5つ目は、非課税保有期間が無制限になります。一般NISAは5年間、つみたてNISAは20年間という非課税保有期間が限られていました。つまり、非課税保有期間満了後に売却するか課税される口座に移すか、非課税口座に再度移すかの選択を迫れることになっていました。しかし、新NISAは非課税保有期間が無制限になったため、これまでのように選択を迫られることがなくなりました。


【13個目】 どんな商品で運用すればいいのか?

資産運用をギャンブルにしないためには、長期投資と、分散投資の基本を意識してください。さらにこの基本を一般の私たちでも可能にしてくれるのが、投資信託です。その投資信託を購入する上で税制上有利になるのがNISAとiDeCoでした。

資産運用において、経済が大きくなっていくマーケットに投資をすることが原則です。投資信託も長期で運用する場合、市場経済に合わせて株価が推移します。大きな原因の一つが人口の推移です。日本は2010年を境に減少に転じ、この先も減少していくことが予測されています。それに比べてアメリカの人口はこの先も増えていきます。人口が増えると、その分経済も大きくなります。経済が大きくなれば、株価も上昇する可能性が高くなります。
もちろん、中国やインド、アフリカといった経済が大きくなることもありますが、先進国の方が政治や、経済の安定性は高いです。そのため、アメリカ市場を中心に資産運用を検討してみてください。その際、アメリカの代表的な株価指数として、NYダウやS&P500などをベンチマークとしたインデックスファンドの投資信託で資産運用に挑戦して下さい。

解説は以上です。
環境は刻々と変化してきました。緊急事態宣言が出された時、日経平均株価は一時1万7千円を割り込み経済は悪化しました。しかし、その後3万円台へと上昇しています。
その後は、ロシアによるウクライナ侵攻からエネルギー価格は高騰し、追い討ちをかけるように円安です。まるでジェットコースターのような変わりようでした。
困難の多い時代です。私たちが老後を迎えることには、人生100年が当たり前になります。この先資産運用は必須の考え方です。まずはこの記事で学んだことを少しずつでいいので始めてみてください。
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