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[文字起こし]第12回【AI (ディープラーニング) の話②】

引き続いて2回目です。実は、「AIの話題だから」というわけでもありませんが、この11・12回目はGoogleの音声認識で「下訳」をしてから、それを手直しするかたちでやってみました。少々、頭の使い方がいつもと違うので最初は混乱もしましたが、慣れればそれなりに使えて、時短になりますね。

例えば居酒屋やカフェなどで、iPad miniで音声を再生しつつ、Androidスマホに向かってぼそぼそと自分で(少し整文しつつ)同じことをしゃべって入力する、というかたちです(他人から見ると怪しい人ですw)。それをGmailのメール作成画面にぶちこんで自分のPCメールアドレスに送り、あとはPCで編集してます。

実はこれ、「おたよりの回」で一番威力を発揮しそうな気がします。というのも、ナマの話し言葉だと、言いさし・挿入句・倒置等が多用されている部分では修正の手間が増える(場合によっては自分で打った方が早い)のですが、おたより(メール)は、「予め推敲された書き言葉」を読上げている時間がけっこうあるので……。乞うご期待(?)。

(♪)
よう/えっと、先週に引き続いての話なんだけど……。
先々週の冒頭で『やがて君になる』というアニメを見てた時の話をしたと思うんだけどさ。
いん/ほう(笑)あれは、単なるオープニングトークじゃなくて、ちゃんと(本題への)前振りだったんですね、はいはい。

よう/なんかあの……特に最近の作品がそうなのかなと思うんだけど、どんどん映像のクオリティが上がっているんだよね。
いん/あ~……。
よう/一旦レベルが上がると、ファンも「それが当たり前」と思うから、みんなそこからレベルを落とせないっていう現象があるんだけど……。クリエイターとしても、「やっぱりいいものを作りたい」という本能的な欲求があって、どんどん映像のクオリティが上がってるんだけど。
いん/ふむふむ。


よう/特に『やがて君になる』みたいな叙情的な作品は、「繊細な心理」を描いているから……臨場感とか、「そこに人がいる」という感覚があった方が、 説得力があると思うんだよね。
いん/なるほど。
よう/「息吹を感じさせる」と言うか。

(♪チャイム音)

いん/(笑)
よう/今のは、フライングだね(笑)
いん/フライングね(笑)
よう/それで、「存在感を感じさせる」って時に、何をするかというと……まず、背景をすごく書き込むんだよね。
いん/あー、そうですか。
よう/うん。例えばだけどね、「電柱の傷」とか「手すりがちょっと錆びてる」とか、「教室の床の木の塗装がちょっと剥げてる」とか。
いん/あ~……。
よう/ああいうのを描くと、臨場感が上がるからさ。
いん/そうでしょうね。分かります。


よう/うん。「ギャグもの」とかだと要らないけど、「シリアスなドラマ」をやるときは、割とそういうものがあった方が、説得力があると思うんだ。
いん/ああ、なるほど。考えたことなかったけど、全くもって、そうでしょうね。わかるわかる。
よう/で、『やがて君になる』も、「生徒会室」っていう、もともと書道室だった、離れの木造の古い建物なんだけど。やっぱり、超・書き込んでるんだよね。古い傷があったり、すり減っていたりするっていうのが、書き込まれていて。なんかこう、「情報が多いな」と思うんだよ。「映像の情報」が。
いん/はっはぁ~……(なるほど)。


よう/うん。また、そういう背景に対して、日本のアニメキャラってだいたい、「割とシンプルな線のキャラクターデザイン」じゃん。アメリカとかと比べたら。
いん/あ~、分かる!
よう/「目」とかめっちゃ描き込んでるし、「髪の毛の陰影」とかもめっちゃ描き込むんだけど、でも「全体のデザイン」自体は、すごくシンプルなんだよね。
いん/うん、うん。
よう/省略のあるデザイン。そういう、「ある意味で違和感があるもの」が、融合するんだよね。そういう意味で、俺は「情報が多いな」って思うんだけどさ。
で、たぶん、人間の頭ってさ、そういう画像を全部、瞬間的に処理してるよね。
いん/なるほど。分かりますよ。
よう/うん。で、その処理をする時に、例えば、床がすり減っていたら「ここは古い建物なんだな」と思ったりする。あるいは「直すお金がないのかな」とかさ。
いん/うん(笑)
よう/つまり、他の情報とリンクさせて、最終的な結論を出すじゃん。
いん/そうですね。
よう/「建物が古い」とかいうのも、ひとつの概念でしょ。
いん/なるほど。分かりますよ。


よう/あるいは例えば、「そこに人がいて」「正対して立っている」としたら、「このふたりは知り合いなのかな」と思うわけじゃん。つまり、「そこに、ただ人がふたりいる」というだけの情報ではないよね。文脈ってものから、なんとなく結論を見出してくるじゃん。
そういう能力をAIが獲得したら、それは本格的に知性と呼べるのではないかっていうさ……。
いん/ああ……。
よう/「概念」を獲得して、それによって「論理的な思考」ができるようになるのではないかと。「人間に近い思考」がね。……で、そうすると最終的には「基礎研究が要らなくなる」っていうか、「(基礎研究を)人間がやる必要性が無くなる」んじゃないかって思うんだ。

いん/今ですねえ……先輩の言うことを聞いてて、「全く同じ意味のこと」と「正反対のこと」と、両方を考えました。
よう/おっ、いいですねえ。どっちから話しますか?
いん/では、正反対の方から話しましょう。あのですね、先輩が古い床を見て、それを言語化しますよね。
よう/そうだね。概念化するってことだね。
いん/しかも、そこから概念を抽出してきて、解釈を加えるっていうことなんですが……今、言いながら思ったんですが、これは、人間はできるんですよ。けど、AIは多分できないですね。
よう/「今のところ」ってことだよね。
いん/そうです。ところがですね。AIは「画像全体の雰囲気的なものを直感でぶち込んで、全部混ぜた状態でアウトプットする」というのが、すごく得意で。
それは、神戸大学の感染症内科の、岩田 健太郎(いわた けんたろう)という先生がやってるんですけど……Twitter がとても下手な人。
よう/あはははは、下手なんだ(笑)
いん/あの人は無駄に敵を作るから、下手なんです。
よう/あ~、そういうことね。
いん/頭は、すごくいいんですよ、僕は尊敬してますし教科書もめっちゃ持っているんですけど。でもあの人は Twitter はやめたほうがいい(笑)
よう/あはははは(笑)

いん/本当にね、尊敬できる本をいっぱい書いてて素晴らしいんですけど。で、その彼の本の中にあったんです。彼が書いた……というか、紹介してくれてるんですけど、「ゲシュタルトという考え方がある」と。
よう/ほう。それは「ゲシュタルト崩壊」のゲシュタルトなんですか?
いん/多分そうなんだと思います。「診断学の中でゲシュタルトを使って診断をしろ」っていうのを、時々言うんですけど。
……あのですね、「1コ1コ解析した情報を積み上げるのではなく、全体像から直感的にバシッと診断するやり方」を頭のどこかに入れておけ、という考え方なんですね。
よう/なるほどね。

いん/で、彼が本に書いていたのを覚えているので、そのまま言ってみますけど。
よう/はい。
いん/「今ここに、レンガが1コあります。その隣にもレンガが一個あります。その上に半分ずらしてレンガ1コあります……」これを永遠に続けていくよりも、すごく遠くから「東京駅」と言った方が、ビシッと伝わることがある、というんです。そういう診断方法があると。
よう/ああ。

いん/つまり、局所をいくら積み上げていっても、全体に届くまでにえらい時間がかかるとか、そもそも描写できない場面が、コミュニケーションの中とか、診断学の中に、ある。で、「全体像から直感的に繋げる」ということを大事にしなさい、という概念がひとつあると。
よう/うんうん。
いん/それが、さっき言ってた中でいうと「全体の雰囲気をまるまる読む」ということなんですけど。これは、AIが超・得意なんですよ。画像解析する時って。

よう/うん。……1コ、反論があるけど、とりあえず最後まで聞こう。

いん/で、(AIは)その「全体のパターン」を、まるまるフラットな状態で落とし込んで、人間が言語化できないところのパターンまで全部、統計で読んでしまってから診断を出す。だから、AIはスゴいんですけど……。
でも、それはすでにできていることなんです。逆に言うと、「床1コに着目して、ぐーっとミクロに拡大していって、そこに情念を込める」みたいな読み方のほうが、たぶん下手なんですよね、AIは。
よう/うん。
いん/「全体には影響を与えないんだけど、そういうところも解釈ができるな~」みたいな、後付けで解釈してストーリーを足していくということが、AIにはできないので……。
よう/うん。
いん/AIは既に、「全体を読むこと」はできてるんだけど、だから、「それだけでは足りない」っていう、結論は似ているけどちょっと違う話じゃないかな?……って、僕は思ってるんですよ。

よう/AIが判断できないのは、多分、「因果」だと思うんだよね。「因果関係を調べる」ということだと思うんだけど。
いん/あー、「因果」ね……。
よう/うん。AIにとっては、「原因」も「結果」も多分、同列だよね。
いん/そうですね。
よう/「どっちが原因か」というのは、多分、まだ考えられないんだよね。

いん/それに関しては……。(AIは)「因果」じゃなくて「相関」を出すんですけど……
よう/うん。
いん/でもですね。相関するAとBについて「どちらが原因でどちらが結果か」を人間が定義することで、「因果」にちょっと近似するんですよね。
よう/「それをAIが自分で判断できるのか」という問題が、1コあるかなあと思うのと……
いん/基礎研究の場合はわかりませんが、医療の場合は、「死」ということが絶対的な「結果」なので……。「死ぬか死なないか」というアウトカムを出した時点で、「相関」が「因果」に近づいちゃうんですよね……。

よう/ええと……まあね。「基礎研究は残る」という話だったじゃん。
いん/そうそう。
よう/それは、「基礎研究というのは、論理的思考が必要だから、残るんじゃないか」という話なわけだよね?
いん/僕の考えは、実はちょっと違うんですけどね。
よう/ほう?

いん/基礎研究って、「アウトプットが分かんないところから、新しいアウトプットを探してくる」というような面があると思うんで……。
よう/あ~、うんうん、なるほどね。それって「概念を新しく作る」ってことだと思うんだよね。それを実験で証明するっていうステップが入るけどさ。
いん/はいはいはいはい、そうですね。


よう/うん。ええっと……例えば、「実験する」っていうこと自体は、研究者がやらなくてもいいわけじゃん。さっきの話で「医者っていうポジションがなくなる」っていう話と同じでさ。
いん/んっふふふ(笑)
よう/「実験をする人」がいればいいんだよ。
いん/分かる(笑)まったく同感(笑)
よう/うん。実際、いわゆる「技官」と呼ばれている人がいるからさ。
いん/いますね。
よう/「技術的には高い水準のものを持っているけども、研究者ではない」という人。論文を書いたりはしない……まあ、(論文に)参加することはあるけど。でも、基本的には論文も書かない、学会発表もしないことが多い。でも「実験の技術」は確実に持っている、と。そして、研究者を技術的にサポートをする。
いん/はいはい。

よう/で、「研究」とは、「観察して仮説を立てて証明する」ということの、繰り返しだと思うんだけどさ。
いん/うんうん。そうですね。
よう/それって、「論理的に思考する」ということかな、と基本的には思うんだけど……新しく概念を作ったり、概念と概念の関係性を考えたりするわけじゃん。
いん/うん。
よう/「因果関係」もそのひとつだけどさ。「Aという遺伝子がなくなるから、Bという結果が出てくるのではないか」という仮説を立てて、実験をやる、みたいなことじゃん。
いん/そうですね。
よう/うん。で、そういう思考方法って、結局、「床がすり減っているからこの建物が古い」というのと、同じレイヤーにあることだと思うんだよね。
いん/あ~、なるほどな~。


よう/うん。「Aという遺伝子がなくなると、この病気になる」という推測が成り立つとすれば、それは観察によって、ある程度何かしらの仮説が出てきているわけだから……
いん/はいはいはい。
よう/それをもし、「論理的思考」と呼ぶならば、AIがそれをできるようになれば、基礎研究者も要らなくなると思う。究極的には。

いん/……えーとですね。「因果関係において、どっちが原因でどっちが結果か」という話について言うと、「帰納と演繹」までだったら、AIはできるかもしれないんですよね。
よう/そうだね。
いん/確か、どっちかが得意で、どっちかは不得意だったと思うんですけど……でも、ある程度はいけるんですよ。でも、「仮説形成法」は無理かもしれません。今のところは。
よう/ああ……そうだね、今のところは、確実に無理だね。
いん/はい。「インダクション(induction/帰納法)とディダクション(deduction/演繹法)は出来るけど、アブダクション(仮説形成法)は出来ない」みたいなところにあるので……
よう/そうだね、なんか呪文みたいになっているけどね(笑)
いん/あはははは(笑)

よう/今日話していることはな~……。どうなんだろうな。ん~……。「本当の意味で、人工知能が考え出すかどうか」っていう話でしょう?
いん/そうそうそう。
よう/まあ、分からんけどね。ニューラルネットワークというか……。今、「AIといえばディープラーニング」みたいな感じになっているわけじゃん。
いん/そうですね。一応そんな雰囲気がありますよね。「本当は違うけど」みたいなことを言う人もいますが。
よう/うん。で、「ディープラーニングを突き詰めていったら、論理的に思考するものができるかどうか」は、よくわからないけれども……。他の方法を研究してる人も、いるだろうし。ただ、AIが「概念」を獲得し、さらに「概念を組み合わせる」ということも獲得していったら、いつか、シンギュラリティ(に到達する)……というか、「ある時、人間の知性を超える」という話になるわけだよね。
いん/はい。そうですね。
よう/うちらも専門家じゃないから、「最終的な結論」は分からんね。「なんとなくできるんじゃないか」みたいな話しか、できないからね。

いん/そうなんです。でも僕は、どっちかっていうと「本当に詳しいことは分からんけど、できれば『AIは人間の仕事を奪い切ることはないよ』という、希望的な観測をしている人たち全員、死なねぇかな」っていう思いが、あるだけなんで……(笑)
よう/でもそれだとさ、「AIはそのうち論理的思考もできるようになって、人間の知性とか、人間のできることは、全部できるようになる」っていうことじゃないの?
いん/いや、僕の考えはちょっと違っていて。
よう/うん。

いん/AIが「全部」はできなくてもいいんです。ただ、「人間が高い給料をもらえる仕事」を、全部AIが奪うだけで、だいぶ、我々はダメージを受けるな~、というところなんですよね。
よう/まあ、確かにそうだな……。
いん/「こんなこと、AIにはやらせないよね。馬鹿馬鹿しいから」という仕事だけしか残らなかったら、割と絶望的なんですけど……。「そういう絶望を見てみたいな」という暗い希望が、僕にはあるんです(笑)

よう/(笑)仄暗い(ほのぐらい)ね、「暗い」というよりは……。
いん/なんか、いいでしょう? 僕は、そういうことを言い続けたいんです。「医者はなくならないよ」という人に、「いや医者こそなくなるよ」と言いたい。「看護師は、なくならないよ」とか言いながら(笑)
よう/いや、わかるけどね。
いん/わかるんだ(笑)

よう/いや、その心情だよ? 意見とかじゃなくて……。なんだろうかね、うちらの、この自虐願望と破壊願望みたいなのは。
いん/いや、なんか楽しそうじゃないですか(笑)それで、最終的には人間の仕事の給料差みたいなのに意味がなくなってきて……。「珍しい仕事だ」とか言って、イキってる奴らが全員失望して、ベーシックインカムになる……みたいな世界を、見てみたいじゃないですか。
よう/それ、もう柞刈 湯葉(いすかり ゆば)さんが書いてる話だよね。
いん/そうだった、あはははは(笑)

よう/いや本当にさ、文明が進むにつれて、人の仕事をだいたい機械がやってくれるようになってきてるわけじゃん。
いん/そうですね。
よう/で、「(人間に)余力ができるから、どんどん違うことをやって、より豊かになる」というサイクルで文明が進歩してきて。特に、産業革命以降はその傾向が顕著なわけでしょ。
いん/そうですね。


よう/だから、いわゆる「知的労働」と呼ばれるものの範囲が広がっていってさ。
いん/そうですね。
よう/だから、なんかこう……端的に言うと、昔、畑を一人耕すのは大変で、無理だったけど、今は機械があればひとりでできるから……
いん/うん。
よう/だから、「食べるものを得る」以外の仕事がどんどん増えてきて、っていう話だよね。
いん/そうですね。
よう/それをどんどん突き詰めていって、もう完全に「人間が働かなくても機械が人間の衣食住を満たしてくれる」とか、「人間が働かなくても 医食住+αを満たしてくれる」ってなったら……それは、もう人間、働かなくてもよくね?って話になるよね、当然。
いん/そうです。

よう/そしたらさ、「働いてお金をもらって暮らす」という、資本主義の原理が、根底から崩れるよね。
いん/そうですね。
よう/「じゃあ資本主義は、もういらないんじゃない?」という話に当然、なるよね。

いん/そうです。で、先輩。そういう世の中を想像した時に、人間は何をやるのか?っていうと、「芸術だ」という話が出ると思うんですけど……
よう/はい。
いん/意外とAIって、芸術もいけるんですよね(笑)
よう/うん、意外といけると思うね(笑)(できるようになるのは)早いと思う。

いん/あははははは(笑)……あの、昨日かな? Togetter という「Twitter をまとめるサービス」の、上位に来ていたニュースがあって。「2015~2018年までの、AIによって自動生成された美少女のイラストの変遷」っていう……
よう/ああっ、それ見た~!
いん/見ました?
よう/うん。もうあれね……なんかこう、なんていうの?「セミプロ」?「プロとしての個性を持っているか」というと、そうでもないけど、「うまい」というレベルには、完全に達してるよね。
いん/確かに。ラノベの表紙だったら、いけると思う(笑)
よう/なんか、普通に可愛かったもん。
いん/そうそう(笑)
よう/戦慄するよね……。

いん/そうなんですよ。だから、もうそろそろ音楽の分野でも、何か来るでしょう。ていうか、既に一部の音楽には、来てるみたいですけど。
よう/うん。
いん/だから、「人間はもう仕事しなくていいから、あとはクリエイティブに」とか言っている人たちも、後ろから撃たれる時代が、もうそろそろ来るわけです。
よう/ああ……。そうするとさあ、いわゆる「既存のルートに乗ったもの」、例えばポップス。ポップスの文法に則った、「皆がいいと思う曲」は、割とすぐAIが作るようになっちゃうんじゃないかと思うんだよね。
いん/そうですね。

よう/だけど「ビートルズが出てくるか」っていう話になるわけだよね、今度はね。
いん/そうそう。本当にそうですね。
よう/「全く今までなかったジャンル」を……まあ全くなかったわけじゃないと思うけど、でもやっぱり「全然フェーズが変わっちゃうような作品」を、いきなり作るような人がさ……。
いん/うん。やっぱり「真の意味でのクリエイティブ」はどうなるんだろう?と思いますもんね。


よう/うん。そこまでAIが到達するには……というか「今のAIの延長線上にそれがあるのか」っていう問題でもあるし。
あと、「論理的思考」っていう意味でいうと、「数学の証明」っていうのは、AIができるようになるのかな?っていう……それはけっこう、最後まで残りそうな気がするんだよね。
いん/どうでしょうね、残りそうですね。純粋基礎……
よう/そうそう。純粋な論理的思考というか……インスピレーションもあるけど、純粋に論理的なものだよね、数学って
いん/本当に、そうですね~……。
よう/それを「新しい論理を作る」とか、あるいは「今までになかった方法」で、証明するわけじゃん。
いん/そうなると、「純粋数学をやっている人たちが、世の中で一番高い給料をもらえたら、気持ちいいだろうな」という気持ちが、ちょっとありますよ(笑)
よう/ああ、それはね、分かる。分かるけどね、それはいっちーの価値観なんだよね、たぶんね~。
(19分40秒)

いん/そう(笑)……あ、あと、ごめんなさい、すごい納得してるんですけど、今、ふと思っちゃったことがあって。さっき、アルファ碁の話をしましたよね。
よう/うん。
いん/アルファ碁の棋譜を見た、人間の囲碁を打っている人たち(=棋士)が、「新しい戦法が見つかるかもしれない」って興奮していたりするじゃないですか。
よう/うん、してるしてる。
いん/だから、(AIは、既に)割とクリエイティブなことをしてるなって思うんですよ(笑)
よう/そうだよね(笑)
いん/割と、ビートルズぐらいだったらすぐ出すんじゃねーかと思う(笑)
よう/あーそうか、AIがね~。
いん/そうそう(笑)「思いもよらなかった新しい音楽」が出てきたりして……(笑)

(♪チャイム音)
(20分14秒)

よう/いや、ただ……1コ思うのは、碁か将棋とかって、ルールがあって目的がはっきりしてるじゃん。
いん/そうですね。
よう/でも芸術は、目的がはっきりしていないからね。まあ、人の心を動かすっていうことだけど……それをうまく数値化したり、言語化できるかっていう話だよね。
いん/いやあ、あんまり詳しくは知りませんが……クラシックでは、バッハの時代から、対位法がどうとかっていう、「音楽理論」がある、というわけですよ。
よう/なるほど。
いん/それが全部ひっくり返ったら、ウケるなと思うんですけどね……(笑)
よう/いやあ、分からないなあ……。


いん/で、今話してて思い出したけど(笑)……これはリスナー置いてけぼりなんですけど……僕は、「技術革新で絶望を見たいタイプなんだな」っていうのが、よくわかりましたね(笑)
よう/だからあれでしょ、いっちーはアナーキストだってことでしょう?(笑)
いん/アナーキストぉ?(笑)いや、どちらかと言うと『けものフレンズ』的な世界が好きなんですよ(笑)
よう/それは、ポストアポカリプスが好きということ?
いん/それそれそれ。ポストアポカリプスが好きなんです(笑)
よう/(笑)ポストアポカリ…「プス」、だよね?
いん/そうです。「ポストアポカリプス」って言えなかったけど(笑)カタストロフ系とか、アポカリプスの後とか。「崩れ去って絶望しかない世界に出る、ほのかな希望みたいなものに浸っていたい」性格だ、ということがよくわかった。
よう/それってでも、「破壊願望」だからねえ。アナーキズムに繋がってると思うんだけど。違うのかなあ……
いん/僕は、「破壊の過程」には興味がないんです。一瞬で終わって欲しい。「破壊した後」を見たい、みたいな(笑)


よう/そうですか……。いや、ちょっと話戻るんだけど(笑)俺、この前「リーマン予想」の本を読んでさ。すげー面白かったから、note にも書いたんだけど。
いん/はい。

よう/なんかその……まあ、「ある素数」を表すためにやるんだけど。リーマンが1859年に発表した論文なんだけどね。本を1冊読むと、最後にリーマンが書いた結論が出てくるんだけどね、リーマン予想とは別にね。
いん/はい。
よう/マジで、本当に「天才か!」と思ったけどね。「何で、この式をこういう風に変形することを思いつくんだろう」って。
いん/そうですか。
よう/うん。

いん/……先輩、数学の造詣も、深いんですか?
よう/いやいや全く。
いん/いやいや。だって、僕それ全然分からないんじゃないかなあ……。
いん/いや俺もね、後半のほうの数学的手続きは、よく分からないよ。
よう/noteに、そう書いてましたよね。あれ、面白かったですもん。「ああ、面白い面白い」と思って読んだんですけど……。
よう/うん。

いん/そうか、やっぱり天才ですか、あの辺は。最後の方は。
よう/えーとね、天才かどうかは分からないけど、びっくりした。
いん/ああ、「びっくり」。
よう/「あ、最終的にこれがこうなるんだ」と思った。それが数学的にどれだけすごいことなのか、俺には評価できないんだけど。
いん/あ~……。
よう/もちろん、著者自身は「すごいことだ」って書いてあったけど。とにかく俺は、びっくりしたね。


いん/へえ~……。「そういう喜びが人間から出てきた」っていうこと自体が、喜びですよね?
よう/「そういうことに喜ぶことがある」ということ? 人間が。
いん/そうです。なんか「人間が『わあっ』と思うようなことが、人間から出てきた」というのが、「喜びの入れ子構造」みたいな……。
よう/ふむふむ。
いん/それに喜んでいる人間を見るのも、嬉しいですね。「ああ、いいねえ」みたいな。「人間が人間を見て喜んでいる、いいねえ」みたいに思うところがありますね(笑)

よう/うん……。いやだから、式変形も途中までは分かるんだけどさ。「よくこんな七面倒くさいことを考えるなあ」と。
いん/あーそうですか……。
よう/俺ね、数学わからないから、たぶん正しくないと思うんだけど……。俺の読んでいる印象としては、「10万ピースぐらいある、真っ白いジグソーパズルをやっている感じ」
いん/ははあ、真っ白なんだ。それはきついな……(笑)
よう/「なんでココとココが合うって分かったんだろう!?」みたいな(笑)
いん/ああ。


よう/「合う」と分かれば、そこにはまるのは、誰でも分かるじゃん。
いん/しかもそれを、AIみたいにゲシュタルトでズバッと合わせるのではなくて。
よう/うん。
いん/よく分からん異能力を持った人が「こうでしょ?」つって合わせていくのが、気持ちいいと。
よう/そうそう。「見える」ってやつね。
いん/そうそうそう。

よう/で、その……ゲシュタルトというか「全体を見て判断しろ」というのは……俺、「論理的全体を集まって統合して、やがて途中の過程が省かれてる」ということだと思うから……「圧縮」だと思うけどね。
いん/そうか、先輩、そういうタイプなんだな、きっと……。
よう/うん。ZIP化してるだけだと思うけどね。
いん/僕は、そこまで行かないのか、それと違うのか分からないですけど……。あの、「言語化できてない処理を脳が勝手にやってくれている」みたいな……
よう/ああ、それは「経験」って呼ばれるやつだよね。無意識下に積み重ねているものが出てくる、っていう……。
いん/そうそう。あるいは単純に、「全体のパターンが類似してる」というところから、錯覚しているのかもしれませんけど。
よう/……そうだなあ……。こういうのは多分「哲学や論理学の古典をちゃんと読んでからやれ」っていう話だね、きっと。
いん/古典読むのは面倒くさいんで、これぐらいの話でいいんじゃないですかね。
よう/俺もそう思う。もういいよ……。
いん/あははははは(笑)

よう/だって、カントとかヘーゲルとかヴィトゲンシュタインとか読まないと、話にならないわけでしょう?
いん/僕、あれ読もうと思ったけど、無理でした(笑)分かんなかった。
よう/誰かに教えてもらいながら読まなきゃダメなものだとは思うんだけどさ。
いん/ああ……。(『はたらく細胞』ならぬ)『はたらく哲学者』とか 、誰かやってくれないですかね(笑)


よう/ああ、作家で原田まりるさんっていう人がいるよ。
いん/もう居るんですか!?
よう/原田まりるさんっていって、元々アイドルなんだけど……
いん/アイドル!?
よう/漫画と哲学がウルトラ大好きで、漫画が家に2万冊ぐらいあるって言う人で……
いん/(爆笑)
よう/それとは別に、大学で哲学をしてたっていう人で。
いん/へえ~。

よう/最初はアイドルをやっていたんだけど、今は多分、引退して、小説を書いてるんだ。それが『ニーチェがやってきた』みたいなタイトルで、要するに哲学のことを分かりやすく説明する、という本なんだけど。まだ読んでないんだけど、そういう本がある、っていうのは、知ってる。
いん/へえ~……それ、読んでみたいなあ。何ていうタイトルですか?
よう/え~とね……「原田まりるさん」で検索すれば、たぶん出てくるよ。「まりる」は、ひらがなで。
いん/ひらがなで。あー、それ読もう。分かったわかった。
よう/うん。
(27分12秒)

いん/あ、先輩、大変。『ゆるキャン△』の6巻がそろそろ出たんじゃないですか。あ、7巻か。
よう/お、いいじゃないですか。
いん/んははははは(笑)

よう/俺、もうずっとね、定期的にね、「志摩リンとあおいちゃんのどっちが可愛いか」を考えるね。
いん/あははははは(笑)
よう/「志摩リンが圧倒的に強いキャラクターだ」っていうのは分かるんだよ。
いん/(ずっとひーひー言いながら笑っている)今日の話と全然関係ない話のに、なんでふたりとも、生き生きと話してるのか分からないけど(笑)


よう/(笑)でもね、あおいちゃんのね……特にアニメを見れば分かるんだけどね? 豊崎 愛生(とよさき あき)さんっていう、(『けいおん!』の)唯ちゃんを演ってた人が演ってるんだけど……
いん/あ~、なるほどね。
よう/関西弁が、めっちゃ可愛いんだよ。「うそやで」っていうセリフがあるじゃん。
いん/うん……うん? うん。ん?(笑)
よう/あおいちゃんが、ノンステップでボケるじゃん。全然普通のテンションで。
いん/あ~、言いたいことは分かりますよ(笑)
よう/で、その後で「嘘やで」って言うんだけど……
いん/うん……あれがいいの?(笑)
よう/まぁ~あ、可愛いね!
いん/あははははは(笑)
よう/若干、関西弁とはイントネーションが違うんだけど……。


いん/我々、やっぱりAIとか哲学の話、しない方がいいんじゃないんですか(笑)
よう/そうだと思うよ(笑)
いん/こっちの方が盛り上がる(笑)まあでも、たまには(AIや哲学の話も)しましょう。
よう/たまにはね。10回に1回ぐらいでいいね。
いん/今日は、これ、何回目ですか? 12回目?
よう/12回目かな。
いん/じゃあ、ちょうどいいんじゃないですかね、これくらいで(笑)
よう/そうそう。だから『はたらく細胞』くらいが、ギリギリなんだよ。
いん/ああ、そこまでですね。分かったわかった。よく分かった。


よう/でしょ?だから前回、「珍しく真面目な話をしてる」って言ったじゃん、俺。
いん/(笑)……置いてけぼり感がすごい(笑)
よう/え?(笑)
いん/いやいや、世の中を置いてけぼりにしてしゃべるのが、得意ですよね、我々。だから、「たまに」にしましょう、ハイ。
よう/うん……まあ、こういうのに元々 興味があるとか、知識があるとか、専門家とか、そういう勉強をしたことがある人は、もっと全然高いレベルの話をする人もいるし、トークも面白く聴けるからさ、別に我々の話なんか全然大したことないと思うんだけど。
いん/んふふふふ、確かに(笑)
よう/まあでも、「生命科学に興味もなければ、AIにも興味がない」という人が聞いたらさ。……何か、俺らがロシア文学の話を聞いてるのと同じ感じだよね。
いん/ぎゃはははは(笑)そうですね。
よう/うん。
いん/僕、フォロワーにロシア文学が好きな人がいるんで……(笑)
よう/あと、「アステカ文明の、最近見つかった証拠」とかの話をされているのと一緒だよね(笑)
いん/(笑)よく、そういう例えがポンポン出てきますね(笑)
よう/うん(笑)「いや、面白そうだけどさあ」みたいな……「もうちょっと詳しく話してくれんか」という気持ちにはなるよね。
いん/ですね……。「我々がギリギリ面白く喋れる話題」を探してきますか。
よう/だから『はたらく細胞』なんだよ、多分。
いん/でも『はたらく細胞』の話は、もう しちゃったから……(笑)
よう/んでも、あのくらいなんだと思うよ、「湯加減」的にはさ。


いん/じゃあ、あの……次回までに僕、『ゆるキャン△』の新刊を読んどくんで、よろしくお願いします(笑)
よう/(笑)『ゆるキャン』の話は、本当にゆるいよね(笑)ただ楽しい。話している俺らが楽しい、っていうさ(笑)
いん/まあ、それはそれで大事なことですよ(笑)
よう/大事なことですね。はい、じゃあ、ありがとうございました。
いん/はい、どうもありがとうございました(笑)
(30分39秒)
(♪)

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