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[文字起こし]いんよう!第66回【研究者とオタクとサブカル】

最近忙しくて、いんよう不足でイライラしていたので、カッとなってやった。後悔はしていない。

(なんとなく、難易度低そうだったのもあって最新回(2019年11月19日公開)です。実際、通常の半分にあたる3時間ですみました)これ以前にいっぱい興味深い回や、自分が取り上げられて感動した回もあるんですけど、すみません!!まとまった時間がとれなくて……(泣)

(♪)
よう/「サブカルとオタクの違い」ってことだけどさ……。
いん/……んっふっふ(笑)「~ことだけどさ(低音ボイス)」って(笑)
よう/(構わず)これ、多分厳密には分けられないと思うんだけど……
いん/うん(笑)
よう/なんか、サブカル……。そのね、いわゆる「オタク」って言われてる人が、たまに「サブカル野郎」とかって、サブカルを揶揄している瞬間があるじゃん。良いとか悪いとかじゃなくて。
いん/……オタクをサブカルを揶揄する……んですか?
よう/うん。揶揄する意味で「サブカル」っていう語を使うっていうか。
いん/確かに「サブカル」って最近ポジティブな意味で見ないですね。
よう/あ、まあそうかもしれないね、いろいろ文脈がありすぎてね。
いん/そうですね。


よう/だから、限定して……オタク側が、ある特定の人たちとかを、こう……「サブカル」って揶揄する瞬間があると思うんだけど。その用法に限定して話をするとね。
いん/うん。
よう/なんとなく、俺の印象としては……(両者は)「何かのものごとがとても好きで、どんどん掘ってく」ってところは似てるんだけど、……
いん/うん。
よう/「そういうことをやってる自分が、とがってて、良いものと思ってやっている」かどうか、っていうことだと思うんだよね。
いん/ふ~ぅん?
よう/一言でいうと「イケてる感」を出してるかどうかだと思うんだけどね。
いん/なるほど?
よう/そういうのが出てくると、おしゃれな感じとか、イケてるとか、ポジティブなニュアンスを感じたのに対して、「イラっとした気持ち」を揶揄しているときに、「サブカル」っていう言葉が使われている気がするんだよね。「そういう時にも使われる」っていうか。

いん/……ちょっと僕、それ聞いてて驚いたんですけど。
よう/うん。
いん/あの……オタク目線がない状態の人たちが、いきなり「サブカル」って聞いたら……むしろ「サブカルってオタクのことでしょ?」って。そう思ってる人のほうがマジョリティでは……。
よう/そうそう、そうだよね。でも、「サブカルとオタクは違う」みたいな言説があるんだよね。
いん/分かる。しかも……
よう/(かぶせて)「一緒にしてくれるな」っていうさ。
いん/(さらにかぶせて)オタクが言うときの「サブカル」は、また別なんですよね。
よう/そうだね。だから例えば……「マイナーなジャンルを好きである」とか、あるいはまあ、例えば『アベンジャーズ』みたいな すごいメジャーなコンテンツであっても、その見方や楽しみ方がサブカル的かどうか、っていうのはあるわけじゃん。
いん/はいはいはい。サブカル「的」ね……!!(うなり気味に)なるほど、「アベンジャーズでもサブカル的な見方」ね……!!
よう/うん。つまりそこを詳しく掘っていくってことだと思うんだけどさ。マニアックに。
いん/う~む……!それって、「解析」とか「研究」とかっていう目線を持ち出したときに、ハイカルチャー的な掘り方とサブカルチャー的な掘り方が……みたいな、そういう話ですか?
よう/うん……(逡巡)そうだね、なんか、まず、こう……「掘ってく」っていうのが1つあるんだけど、あとは「着眼点がマイナーである」ってこともあると思うんだよね。
いん/あ~……。

よう/なんか、アベンジャーズの中ではうまい例が思いつかないんだけど(苦笑)
いん/んふっ(笑)
よう/うーん、なんだろうね……例えば、「出てくる武器だけひたすら調べる」とかさ……
いん/ああ……(うなずく感じ)
よう/「出てくる技だけ調べる」とか……あとは、その……
いん/(かぶせて)「出てくる人種だけ見ていく」とか、そういう感じですか。
よう/うんうん。なんかそういう、マイナーな着眼点を持つっていう……。だから、普通に「アベンジャーズの新作ができたら見に行くんだ」っていうファンは、別にサブカル的とは言わないと思うんだけどさ。

いん/あんまり「オタク」と「サブカル」のことって今まで考えてなかったんですけど……僕があんまり「サブカル」とかいう表現を今まで大して使ったことがないんで。「そう言われてみれば」っていう感じがいっぱいありますね。
よう/正直、俺の中では個人的には「サブカルでもオタクでもなんでもいい」と思ってるんだよ。
いん/ふふっ(笑)
よう/「好きなように楽しめばいいじゃん」と思ってるんだけど……
いん/確かに。
よう/その……たまにオタクと呼ばれる人々が発する「サブカルと一緒にするな」っていう言葉の意図は、いろいろニュアンスはあるんだろうけど個人的に感じるひとつとしては「自分たちのやってることが、高尚だとかおしゃれだとかイケてるとか、そういうことは思っていないから一緒にしないでくれ」っていう瞬間があるような気がするんだよね。

いん/あの……ちょっとこれ「オタク論」かもしれないし、いろんなところで話されてるかもしれないんですけど。
よう/うん。
いん/先輩は、その「オタク論」を「ほかのところでしゃべってる話」とか「これはもう言われてるからさ」って言いますけど、この『いんよう!』を聞いてる人の半分は、「オタク論」をそこまで知らないと思うんですよ。
よう/うん。
いん/半分は知ってるかもしれないけど(笑)
よう/うん。いや、「オタクとは何か」とかそういうのは、荷が重いんだけどね。

いん/なんか、最近ぼくTwitter文脈ばっかりなんで……。昔の2ちゃんねる文脈にも、それほどどっぷりは居なかったんですけど、多分いま僕Twitter文脈にはすごく居るんですよ。
よう/うん、そうだね。
いん/うん。で、そのTwitter文脈で「オタク」っていうと、実はもうこの3年くらい、「オタク=推しまくる人」っていうニュアンスが一番強いんですよ。
よう/……あ~、いや、まあどんどん広がっているだろうからね。じゃあ、もっと限定しようか。
いん/そうそう、その「限定」が欲しい。
よう/あの~……長くアニメを見ている人の中で、……まあ長くなくてもいいんだけど、要するにアニメを見ている人の中にもいろいろなタイプがいるんだけど、そのひとつに「おしゃれなアニメを見るとちょっとイラっとする」っていう人がいるんだよ(笑)
いん/あははははは(笑)
よう/で、例えば、すごく……ポップにアニメを語ってることに対して、ちょっとイラっとする、っていうさ。
いん/ええと、「おしゃれなアニメ」っていうと、例えばジブリとかですか?
よう/いやいや、ジブリは全然違うと思う。
いん/え、違うんだ(笑)じゃあ、どれ?
よう/ええと、人にもよるんだけど「シャフトがおしゃれでひっかかる」っていう人もいるんだ。「シャフトがあんまり好きじゃない」っていう人。
いん/シャフト……?
よう/えっと、『化物語』とか『まどか☆マギカ』とか作ってるとこ。
いん/あーあれ、おしゃれ……?(笑)
よう/映像がすごいスタイリッシュだからさ。
いん/あ~……それ「おしゃれ」なんですね。なるほど!

よう/なんかもっとこう……例えば男性オタクだったら、「もっとガッチリした萌えキャラが出てくればいいんだよ!」みたいなさ(笑)
いん/あははははは(笑)
よう/なんか「おしゃれとかいらねーから!」とか「スタイリッシュとか知らねーから!」みたいな(笑)
いん/はぁ~。
よう/だからちょっと、いろんな……自意識とかコンプレックスとかルサンチマンとか、いろいろなものがそこには含まれていると思うんだけど……
いん/そういう面もあるんだ、なるほどなあ。あんまり考えたことなかった。

よう/そう。例えばさ、「おしゃれなロック音楽」にイラっとするロックファンとか、いない?
いん/あ、ええ。それは今、地獄のフタがパカッと開きました(笑)あははははは(笑)
よう/あははは(笑)
いん/あ、「地獄」は扉か。「地獄の釜」は、フタね。地獄のフタはあかねえからね(笑)
よう/ああ、いやセルフツッコミいいけどさ(笑)
いん/あははははは(笑)
よう/まあ、なんかそういうのと、ちょっと近いと思うんだけど。
いん/いやまあ、分からなくはないな。
よう/うん。
いん/「ロックが好き」っていうから「何が好き?」って聞いたら「GLAYがすごく好きで」って言ったら一部の人がめちゃくちゃキレる、っていう……(笑)
よう/あ、そうそうそう。GLAYが悪いわけじゃないんだよ。
いん/そう、GLAYは良いんです。あとあれもそう、「ドラムが好き」っていう人に「何が好きなの?」って訊いて「X-JAPANの」って言った瞬間にブチ切れるロックファンとか……(笑)
よう/あははは(笑)X-JAPANが悪いわけじゃないんだよね(笑)
いん/そう、素晴らしいんですけど、一部の人はブチ切れる。まあ、それと同じ構図がアニメファンにもある、と。
よう/そうそうそう。例えば『攻殻機動隊』は素晴らしいし、例えば押井守版とか、まあカミヤマ(?)もそうだけど……押井守も攻殻機動隊も悪くないけど、「アニメ、何が好きですか?」って訊かれて『攻殻機動隊』しか出てこないヤツが、アニメをおしゃれに語っているとイラっとする、みたいなね(笑)
いん/怖ぇ(笑)……あはははは(笑)分かる!
よう/(笑)すごくいろいろ見たうえで『攻殻機動隊』って言ってるんだったらもちろん良いんだけど……みたいなさ。要は、何かを深く掘ったり好きだったりする人って、そういうめんどくさいところがあるじゃん。
いん/ありますね~。うん……(しみじみ)
<--(8分16秒)

★本題

よう/で、それでだよ。
いん/(ぼそぼそ)最近ぼく「めんどくさい」ってポジティブな意味にしか取ってなかったから、一周回って逆に新鮮だな……。あ、はい「それで」?(笑)
よう/それでね、ここからが本題なんだけど(笑)
いん/まだ本題じゃなかったんだ(笑)くっくっく(笑)
よう/俺は一応、研究者だし、いっちーは、医療者なわけでしょ?
いん/ほんっとーに本題だ(笑)はいはい。

よう/で、全員が全員というわけじゃないと思うんだけど、「何かひとつのことを深くやってる、専門領域がある」という部分があるじゃん。
いん/はいはい。
よう/で、そういう、研究者や医者のなかで、……う~ん……。オタク的とか、マニア的、サブカル的、なんでもいいんだけど。どのタイプが多いんだろうね?
いん/お、多……?(笑)
よう/……っていう話なんだけどさ。
いん/いま、ふかぁ~く考え込んだから……(笑)
よう/変な間だったね(笑)
いん/マニア、サブカル……??
よう/まあ何でもいいよ、ほかの言葉でもいいんだけど。
いん/……ちょっと、研究者の話は、後回しでいいです?
よう/いいよいいよ。
いん/僕、研究者の話もできなくはないじゃないですか。一応、振り返って。
よう/いやまあ、いっちーならもう「病理学者」でもいいよ。
いん/いちおう「病理医」にしましょう。
よう/うん。


いん/病理医で、……ついこないだ、病理学会に出て。
よう/うん。
いん/明日の夜に岡山に移動して、明後日、細胞学会に出るわけです。だから、両方とも病理医がいっぱいいるんですね。
よう/うん。
いん/そういう、日の当たるところで発表とかしている病理の人たちっていうのは、どっちかっていうと「教師っぽい」んですよね、僕の中では。
よう/あ~……ええっとそれは「教育者に近い」ってこと?
いん/いやぁ~……。教授とも違う……そうですね、教育者の側面がすごいある。
よう/「トレーナー」みたいな感じ?
いん/トレーナー……。うん、そうかもしれない。「自分が持ってる知識は自分だけがわかっててもダメだろう、だからこういうところに出てしゃべらないと」っていう人たち。そういう人たちと年に2回くらい、すごい濃厚に接触する、見る機会があるじゃないですか。
よう/うんうん。
いん/だから、この学会シーズンは病理医の印象は一気に「教師」っぽくなるんですよね、僕の中では。
よう/まあね、レクチャーとかね、いろいろあるからってのはあるよね。
いん/そう。しかも委員会とかで会う人たちも、み~んな面倒見がよくて「この知識を後世に伝えよう」みたいな人ばかりなので、病理ってそういう人が多いな、って思っちゃうんです。
よう/うん。


いん/で、年に2回だけそう思って、残りの時間……学会で会わないとき、ひたすらデスクで顕微鏡見てるときは、あの……「サブカルをたたき切るオタク」みたいな人が一番多いように感じてます。
よう/あ、そうなんだ。え、それはどういうところで?「何かに詳しい」以上のニュアンスがあるわけでしょ?
いん/詳しくて、愛着があって……
よう/うん。
いん/で、「病理診断について臨床医とか経営とかが中途半端なこと言うなよ」とか、「学生が『病理医は収入が少ない』とか適当なこと言うなよ」とか……
よう/ああ「仕事が楽だ」とかね。
いん/そういう、世の中のぬるい批評……批判?に対して、「おめえ、なんにも知らないくせに適当なこと言うなや」っていう人のほうが、多くみえるんですね。学会とかがないときは。


よう/いやあ、そうだなあ……。なんか、「サブカル」「サブカルチャー」といわれる分野の中にも、いろいろなジャンルがあるけれども……もうひとつ……「マイナーなものに詳しかったり、マイナーな着眼点で掘ってたりする」っていうのとは別に、「社会的な文脈として『日陰者』というイメージがあるかないか」っていうところがあるじゃん。
いん/そうですね、ありますね。
よう/ない人もいるし、ある人もいる。ないジャンルもあるし、あるジャンルもある。……と思うんだよね。
いん/そうですね。
よう/で、「病理医」ってさ、歴史的な経緯を考えるとね、「日陰者」の文脈があるよね。
いん/あります!日陰者!
よう/比較的、新しく独立した診療科でしょ?
いん/そうです、はい。
よう/昔は外科医が兼任してたりしたわけだよね、大昔は。
いん/そうです。平成元年に、ようやく標榜科として成り立って、その後、ようやく病理診断科が単独でなんとかかんとかって……忘れちゃったけど。とにかくこの30年くらいで、急に変わってきたんですよ。ようやく医者っぽくなってきた、みたいな。

よう/そうだよね。で、まあ、だんだん認められる存在になってきたものの、初期のころには「あの仕事は医者じゃない」みたいな中傷を受けながら頑張ってきた世代がいるわけだよね。
いん/いますいます。
よう/で、その名残が今も、うっすらあるってことだよね、人によっては。
いん/ありますね。あるいは学生が将来を決めるときに、そういうニュアンスをつい つぶやいてしまう、っていうところはありますね。
よう/そうだよね。いっちーも、最初にTwitterアカウントを作った理由として、「マイナーだといわれている病理診断医や病理学をもっと広めてポップにしたい」っていう動機があったわけだよね。
いん/最初はそうでした。ってことはつまり、全然ポップじゃなかったってことなんです。

よう/そうだよね(笑)で、アニメもさ……ここ20年くらいですごく変わったわけだよね。ちょっと社会的によくないイメージがあったものから……。
いん/そうですね。
<--(14分11秒)

よう/どうでもいいけどさ、山本 美月(やまもと みづき)っていうさ、女優さん?モデルさん?っているじゃん。
いん/おお、おお?……突然(笑)話が270°くらい変わったけど(笑)ええ、はいはい?
よう/……あの人、すごいアニメ好きみたいなんだよね。有名みたい。
いん/あ、そうなんだ!
よう/うん、けっこうガッチリ好きなんだよ。さっき言ったような、ふわふわしたアニメファンじゃなくて、本当に。
いん/ほう(笑)

よう/だからさ、すごい変化なわけだよね!? こう……ああいう人がね。まあ、前から加藤 夏希(かとう なつき)さんだっけ?……とか、いるけどさ。
いん/ああ……加藤夏希!いたいた、懐かしい!(笑)……いましたね(笑)
よう/そう、エヴァンゲリオンがすごく好きなんだっけ。
いん/『ナッキー・パンチ』(※アニマックスのアニメ情報番組)っていうの、やってたなあ。

よう/まあそういうさ、ある意味ファッションリーダー的な人が(アニメの)話をし始める、っていうくらい、時代が変化してるっていうね。
いん/……確かにそうですね。でも、そこで出てくるのは、「中途半端にこの世界の表層だけさらうなや」っていう……なんか、ルサンチマンとして眠っていたもので。
よう/うん。
いん/だから、本当にそこに真正面から「いやいや、バカにしないでくれ。私は本当に好きなんだ」っていう人が入ってくるとリスペクトになる、っていう構図があるじゃないですか。マイノリティ世界の我々には。
よう/いやぁ、あるなあ……(しみじみ)
いん/あるでしょ?あのね、こないだグラビアアイドルの倉持 由香(くらもち ゆか)さんっていう人……

よう/ああ、ゲーマーと……プロゲーマーと結婚した人ね。
いん/そう!そうそう。あの「尻職人」の。あれね、僕たまたま、長いこと相互フォローなんですよ。
よう/うん。
いん/で、あの人、すごいTwitter文脈とか分かってる人らしくって。
よう/うん。
いん/なんか色々な方向で、相互フォローとかも丹念に作っていくんですけど……やっぱり「eスポーツ」が始まる前から、プロゲームの世界とかにゴリゴリにハマってたんで……
よう/そうそう、なんか元々、すごくゲームがちゃんと好きな人みたいだね。それは初めて知ったんだけど。
いん/そうなんですよ。で、相互フォローだからひととおり、ツイートとか見てたんですけど……やっぱりずっと、「eスポーツ」って(世間が)言う前から、ゲームの話してるんですよね、確かに。
よう/ここまで盛り上がる前にね。
いん/そう、盛り上がる前に。そうすると、やっぱりオタクはリスペクトするから、燃えないんですよ(笑)
よう/ああ、その「結婚する」とかいう話でもね。
いん/なんなら、即座に良い記事が出て、みんなで言祝ぐ(ことほぐ)っていうね。本当に「そんなことってありえないでしょ?」……っていうぐらい、みんな「おめでとう」「おめでとう」ってなってるんです。でも、それはなんで?……っていうと、オタク気質みたいなのが業界にあって。
よう/うん。


いん/「お前、中途半端に好きって言ってるだけじゃ許さないよ」みたいなのがあるじゃないですか。
よう/……やっぱり、なんかこの……「相手の態度を問う」みたいなのって、なんだろうね。
いん/ありますね。で、病理もきっとそれ、あるんですよ。
よう/あるだろうね。「傷つきたくない」っていう気持ちが根底にあるのかも。「自分の大事なものを、雑に扱われたくない」っていう気持ちでしょ?ひとつにはさ。

いん/……かな? あるのかもしれない……。もっといったら僕、今まであんまり言語化してなかったけど、「病理の世界でサブカル的に語るなや」みたいなことを今まで言ってた可能性がある(笑)
よう/「ポップに語るな」みたいなこと?(笑)
いん/いや~(笑)「中途半端に切り口だけ変えて、うわっつらで学術みたいなこと立ててんじゃねえよ」って思ってたフシがあるなあ~(苦笑)
よう/ああ、その「揶揄としてのサブカル」というか、「ファッションサブカル」みたいな意味合いで……
いん/(かぶせて)「ファッションサブカル」!!(笑)そうそうそう!(笑)
よう/そういう語感に近い意味合いをいだいた、っていうことね。
いん/それは、あるかもしれないなあ……。
よう/ああ。

いん/でもさすがに僕、Twitterを選んだこと自体が、「病理の文脈がこれにぴったり合ってる」って思ったからなんですよね、もともと。
よう/「Twitterっていうツールが、病理とかの置かれている立場を考えると親和性があるんじゃないか」ってこと?
いん/そうそう。「アンチサブカルと親和性のあるオタク」が集う世界だ、と勝手に思って始めたんですよね。だったらそれって病理にぴったりでしょ?……って。それが今、思ったより汎用ツールになってしまったんで、ちょっとこれは計算外だったんですよね。

よう/まあそうだね。ちょっとTwitterの雰囲気が変わったというのは、俺も感じるけれども……。そうか、なんか……いやあ、話がちょっと戻るんだけど、音楽ってさ……。
いん/音楽ね。
よう/音楽マニア、音楽オタク。
いん/ええ。
よう/なんか、「マニア」と「オタク」のニュアンスの違いもあるじゃん。
いん/んふっ(笑)ありますね~! 「マニア」と「オタク」の違いか~、難しい……。
よう/もともとは「音楽マニア」だよね。
いん/もともとは「マニア」ですね、うん。
よう/これはその……辞書的な意味というか、やっぱり「オタク」っていうのは、ネガティブな意味で使われることが多いとされているみたいなんだよね。それは「オタクと呼ばれている人自体がだめ」とか、そういうことではなくて。
いん/確かに……。分かるわかる。
よう/言葉としてネガティブなニュアンスを含んで使う人が今でも多い、と。だいぶ変わってきたけれども。
いん/……そうですね。いやあまいったな、おれ偏ってたな(笑)最近、ポジティブな意味でしか使ってない(笑)でも、そうですね。


よう/うんうん……いや、今さ、結構二面性があるよね。ほめる意味でも使うし、昔ながらのネガティブなニュアンスを込めて使う場合もあるからさ。「蔑む」とまではいかなくても。
いん/(小声で)いや、やばいやばい、ポジな方に入っちゃってるな……。はい、なるほど。
よう/「アニメオタク」とは言うけど、「アニメマニア」とは言わないじゃん。
いん/ほんとだ!!「アニメマニア」って聞いたことないですね!……ん?「アニマックス」は、あったか(笑)
よう/だよね。「オタク」っていう言葉が一般化する前から、アニメを熱心に見てた人はいてさ。だから「アニメマニア」って語があってもよさそうなものだけど、少なくとも今は使われてないよね。
いん/確かに、聞いたことないですね。
<--(20分14秒)

よう/で、音楽は、多分「音楽マニア」……だったんだよね?
(途中でベルが鳴りだす)
いん/そう……ですね。「ジャズマニア」とかでしょう。
よう/そうだね。で、「音楽オタク」っていうのも、今は使う場合もあるかもしれないけど……(今は)何でも「オタク」ってつくようになったからさ。
いん/おお~……うん、言われてみれば。
よう/なんか……どうなんだろうね、その……「アニメ」ってさ、全体でいうとそんなにおしゃれな方には寄ってないんだと思うんだけど……
いん/なるほど(笑)
よう/「音楽」って、めちゃくちゃ幅が広いからさ。
いん/そうですね~(しみじみ)
よう/うん。すっごいおしゃれなものから、すごくマニア的なものから……古典もあるし。
いん/いやあ、言葉の定義難しいな……。
よう/いやさ、だから「音楽好き」と一言でいっても、もう一体感が持てるようなジャンルではないわけでしょ?
いん/本当だ、そうですね。「『音楽が好き』ってなんだよ」っては話になってきますね。
よう/うん。でもアニメはさ、「アニメが好き」っていうだけで、ちょっと連帯感が広がるギリギリのライン。……もうちょっと広がるとダメな気がするんだけどさ。
いん/た し か に……。でもアニメも、もうそろそろ(一体感が)危ないんだ……。
よう/いやまあ、ちょっと今もうダメかもしれないね。
いん/そうですねえ……。なるほどなあ。


よう/で、なんか……いっちーも音楽聞くけれどさ。どういうところに立ってるのかなーと思って。
いん/僕は……「メジャーレーベルが、ミュージックステーションで流してる曲はいらん」っていうところが、やっぱりオリジナルにあるわけですよ。
よう/あはははは(笑)だと思う。「くそサブカル野郎」だね(笑)
いん/そうそう(笑)最近は、もう3周くらい回って「きゃりーぱみゅぱみゅ、全然聞ける」とか、「岡崎体育がミュージックステーションに出ると拍手する」っていう、もうよく分からない拗(こじ)らせ方になって……単純に「悟った人」みたいになってしまってるので、何でも聞きますけど。
よう/……解脱(げだつ)したんだね。
いん/解脱……(笑)「解脱」ね。アニメの解脱もあるのかなあ……?アニメ、難しいな。でも、あれですよ。アニソン方向に解脱したのは、『いんよう!』で毎週のように……あ、毎週じゃねえな。毎回のように聞いて、1年たったじゃないですか。だからアニソンに対する理解は、だいぶふくらみましたね。
よう/ああ。……興味は?
いん/興味も、ある。
よう/そうなんだ。


いん/興味もあるし、音楽的にも面白いんですけど、「アニソン」ってだけでくくれないって分かってしまったので……。
よう/……ん~、そうだね。アニソンの定義というかジャンルの定義が難しい、っていう話はあるみたいだけどね。
いん/ええ。なんかただ、一部のドラマとか映画が、今までサントラでやってくれてたことを、歌でやってくれたほうが、僕は風景が見えやすくて好きなんですよ。
よう/……「映画のサントラ」ってこと?
いん/例えば、スターウォーズの音楽とかって、別に歌詞とかついてないし……
よう/ああ、インストじゃなくて歌詞がついてるっていう……。そうだね。
いん/ええ。それって主題歌とかエンディングテーマってことじゃないですか。僕はその方が語りやすくて、音が大事に扱われている感じがして、好きなんですよね、もともと。
よう/ああ、なるほどね。
いん/だから今、アニソンとしてジャンルを広げてくれるのは、超たのしい、っていう……ほんとに。


よう/そうかあ。まあ結構、すすめるのもさぁ……どういうのを(選ぼうかと迷うけど)。まあ勿論、自分が好きなものの中から選んでいるんだけど、どういうジャンルをすすめようかと……。「ゴリゴリのロックバンドを勧めても、いっちーは元々知ってるよなあ」とかも思ったり。かといって……
いん/いや正直、どれを勧められても、ありがたいんですよ、アニソンって。
よう/そうか。
いん/なんでかっていうと、「これは知ってるけど、知らないアニメで流れてたんだ」とか「このアニメも音楽も知らないけど、知ってる曲とオーバーラップしてるな」とか、フックが1つ2つ増えるので……
よう/なるほど。
いん/「アニソンっていうだけで、聞いて楽しい」っていうのが今のところ、ありますね。


よう/ちなみに、あのね。すすめる候補の中には入っていないんだけど……
いん/ほう?
よう/今期のアニメで、どれだか忘れたけどね……「the pillows(ピローズ)」、あるよ。
いん/……え?……マジですか!?
よう/「the pillows(ザ・ピローズ)」。いまだにイントネーションが分からないけど。
いん/フリクリでもないのに……?
よう/うん。何かでね、流れてたよ? うん。
いん/そうなんだ……!聞きてぇなあ……。
<--(24分56秒)

よう/まあ、じゃあ……(話を切り替える口調で)いやあ、ちょっと……本当はさ、なんていうだろ……「研究者とか、医学研究者とかが、ひとつのことをやっているときの態度が、オタク的な人が多いのか、マニア的な人が多いのか、それとは違う感じハマリ方なのか?」っていうことをしゃべりたかったんだけど、あんまりそっちのほうに話がいかないからさ……。
いん/あははははは(笑)
よう/なんかまあ、また機会があったら……考えが深まったら、その話をしようか。
いん/しましょう、いずれ……1年後くらいか。
よう/俺といっちーの間にずっとあるテーマのひとつだと思うので。
いん/これ、我々……楽しくいろんなことを今、しゃべってましたけど、本丸のところを避けて話が進みましたからね。
よう/そうだね。
いん/1回聞いただけじゃ、分からないかもしれないな~(笑)
よう/うん……。えっとじゃあ、そのままアニソンにいくとして……
いん/はいはい、アニソン。
<--(25分59秒)


よう/あの……本当に、ロックバンドにするかどうか悩む、ってとこだったんだけど。
いん/はい。
よう/『Phantom Joke(ファントムジョーク)』っていう……
いん/ああ!

よう/『Fate/Grand order』のアニメを今やってて、そのオープニングテーマ。
いん/それって、GFO……?
よう/そうそう。たらればさんが、激ハマりしてるっていう。
いん/FGOって、アニメになってるんですか。
よう/なってるね。FGOって、「章」がいっぱいあって、その中の1つで「絶対魔獣戦線バビロニア」っていう副題がついてるんだけど……。FGOの第4章だったかな?そこだけを抜き出して、1クールのアニメになってるっていうね。

いん/その『Phantom Joke』を教えてもらって、聞くじゃないですか。
よう/うん。
いん/なんか、メジャーバンドで言うと、「フレデリック」っていうバンドがあるんですけど……
よう/ああ、名前は聞いたことあるぞ。
いん/その「フレデリック」に似た声……フレデリックと同じ引き出しの中に、俺が入れてる……「これ、知ってるなあ」って。
よう/うん。
いん/でも、アニソンだと思って聞いてるんで……前奏のところでは「アニソンだ」と思って聞き始めてて。
よう/うん。
いん/「でもなんか、聞き覚えあるな、こういうタイプ……ポップスでもあるよなあ」ってなって「へえ、アニソンってだいぶ、ポップなんだなあ」って思って、さっとそのバンド名をみたら、「UNISON SQUARE GARDEN(ユニゾンスクエアガーデン)」って書いてて(笑)
よう/(笑)

いん/まんま、J-POP……ではないけど、インディーズとメジャーの中間に立ってる、いわゆるバンドミュージックの一方の雄でいるやつじゃん!みたいな。
よう/あははは(笑)「やつじゃん」の手前が、めっちゃ長かったけどね(笑)
いん/なんか、UNISON SQUARE GARDEN って難しくて……
よう/立ち位置がね。
いん/あの、すごい濃厚なファンがいっぱいいるんですよ。
よう/ああ、なるほど。
いん/活動を休止してまた復活して……っていう時も、すごい盛り上がって、Twitter文脈とも相性が良くて……っていうんで、僕もよく知ってるんですけど。
よう/うん。
いん/でも、そういうの抜きにすると、フレデリックとかと一緒で。まずボーカルが早口なんですよね。
よう/ああ、すごい譜割り(ふわり)がいっぱいあるってこと?歌詞の。
いん/そうです。あとは転調しそうでしない、とかですね。いくつかポイントがあるんですけど。
よう/あははは「転調しそうでしない」か、なるほど。
いん/あの、基本的にこう、なんか展開が早いタイプで……あとは「どこがサビか分からない」というか「全体的にサビだ」っていうところと、「全体的にAメロだ」っていうところがあるんですけど。
よう/あ~(なるほど)。


いん/「言われてみれば、超アニソンじゃん!!」って。アニソンで投げられるとアニソン性を感じてしまう、という(笑)
よう/あのねえ、俺全然詳しくないんだけど、UNISON SQUARE GARDEN は、相当、大型コンテンツのアニメ主題歌に起用されてるよ。かなりの数。
いん/あ~、そうなんだ!
よう/うん。だからアニソン界でもかなり大きな存在なんだ。
いん/そうなんだ~。なんていうか、UNISON SQUARE GARDEN は、一部にコアなファンがいるんですけど、「ゴリゴリのバンドミュージックのファン」ではない層なんですよね、その人たちは。
よう/あ~、なるほど。だからまあ、アニメから入ってきて、UNISON SQUARE GARDEN を知って、ゴリゴリのファンになってる……っていう層も一定数いるんだろうね。
いん/いるかもしれません。あとは、女性ファンのほうが多いイメージがあります。
よう/ああ……それはなんとなく分かる気がするなあ。
いん/そうですか。
<--(29分23秒)

よう/で、俺、ちょっと違う文脈なんだけど……このさ、UNISON SQUARE GARDEN の作詞作曲とか、音楽面を支えているベースの人で、田淵(たぶち)さんっていう人がいて。
いん/はい。
よう/あの~、「日本一動くベーシスト」って言われてるらいんだけど。それは「演奏の時に動く」っていう意味らしいんだけど。確かに「めちゃくちゃ動いてるな」って、MV(ミュージックビデオ)とかを見るたびに思うんだけど。
いん/あっはっは(笑)

よう/それとは全然違う顔があって。
いん/おお。
よう/まずミュージシャンとしては、作詞家の畑 亜貴(はた あき)さんと、作曲家の田代(たしろ)さんっていう人と、あともう1人……え~っと……ド忘れしたけど、とにかくプロデュースチームをやってたりするんだよね。UNISON SQUARE GARDEN とかも手がけてて。
いん/え~、そうなんですか。
よう/うん。なんか、いろいろなアーティストに楽曲を提供するってことも……あ、そうだ。ごめんごめん「Q-MHz(キュー・メガヘルツ)」っていうんだけど。

いん/そうなんだ。
よう/あとね、『たっち(田っ智)レディオ』っていうポッドキャストを、もう10年くらいやってたりするんじゃないかな。
いん/あ、そうなんですか。全然知らなかった。
よう/で、その田淵さんって人がね、なんつーか、ま~ぁ、いいアニメファン・アニメオタクなんだよね(笑)
いん/あははは(笑)
よう/まず早口だし、ずっとしゃべってるし、ちょっとめんどくさいっていうね(笑)
いん/ああ、そうなんだ(笑)なんか、UNISON SQUARE GARDEN と……フレデリックはちょっと違うんですけど、ブルーエンカウントとか、あのあたりは、聞いてるときに「ニュアンス」があるんですよ。
よう/うん。
いん/で、それが何なのかなっていうのが、僕自身そんなに分からないでいたんですけど……今、聞いてて「アニメかぁ!」って思ったとこありますね。
よう/いろんな……音楽性とか、立ち位置を含めて、ね?


いん/なんか、メディア戦略……じゃなくて、何ていうんだっけ、いろんなメディアを横断しながら売ってくやり方っていうのに、のるタイプなんだなって。
よう/「メディアミックス」?
いん/あ、そうそうメディアミックス。……なのかな?って思って今、聞いてました。
よう/ふ~ん……なるほど?
いん/音楽性としては……これだけタイトなのに、ちゃんと平板にならない音楽を作るってのは、才能だと思うんですよね。
よう/ああ……。「タイト」ってどういう意味?
いん/短い時間の中に、すごいうねらせなければならないっていう……上に行ったり下に行ったり、よく分からない曲になりがちなのに、ちゃんと盛り上げたり、おとなしくしたりできるっていう。これは、こういう曲を作りなれていないと作れんべや、っていうところがある。
よう/ああ、確かになあ……。なんかこう、ダイナミズムを感じるけれどもね。
いん/そうなんですよ。勢いや、ダイナミズムを、このスピードで出すっていうのは思ったより大変だと思うんですよね、多分……。
よう/ふ~ん……。
いん/なので、「いやあ、こういう技術があるんだなあ」っていう感じだったんですけど……。「いやあ、UNISON SQUARE GARDEN って、アニソン文脈だったかぁ、知らんかったなあ」って。「ラジオでも普通にかかるのになあ」って。
よう/うん。それだけ……ではないんだろうけれどもねぇ。アニソンの中でも、すごく大きな存在だと思います。
いん/そうですね。「そうだったんですね、なるほどなあ」と思いましたね(笑)


よう/はい。じゃあ、(今週はこれで)いいですかね。まあ「マニア」とかの話は、またいずれするとして。
いん/話しきれなかったという、珍しい……ははは(笑)
よう/ぜんっぜん、話に入っていけないまま終わるけれども、今日は以上です。ありがとうございます。
いん/ありがとうございました。
(♪)
<--(32分57秒)

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