元うつ病患者が伝える_近しい人がうつ病になった時の対処法

元うつ病患者が伝える、近しい人がうつ病になった時の対処法

はじめまして、おっちゃんです。おっちゃんはどこにでもいる中年太りの平リーマンです。朝早くから夜遅くまで激務をこなし、空いた時間で家庭のあれこれをこなし、それでも時間をひねり出して将来の為の勉強を何かしらする、そんなどこにでもいる無理しがちな、無理しないと生きていけないと不安だった平リーマンです。

そんなおっちゃんは仕事中、よくめまいや動悸を感じていましたが、1年ぐらいずっとだったので最早「またか」みたいな感じで慣れて気にしていませんでした。一応、適度な運動や趣味によるストレス発散などもやっていて、ネットに書いてあるような対策、ストレスコントロールはきちんと行っていました。(なので1年も何とかなってしまったとも言えます)

ところがある日、出勤時に改札がくぐれませんでした。五体満足です。普段と変わりはありませんし、意識もはっきりしています。特別その日に会社で辛いことがまっているわけでも、前日に辛いことがあったわけでもありません。でも、改札をくぐれませんでした。上司に促され病院に行くと、そこで医者から「うつ病です」と診断されました。会社は休むことになりました。

おっちゃんがうつ病と戦っている時、たくさんの人から励ましの言葉を頂きました。どの言葉も気遣いが感じられ、優しさに溢れていました。それなのに、そういった好意を受け取ると、うつ病が悪くなるのを心で感じていました。

おっちゃんはそれが何故なのかをずっと考えていました。何せ時間だけはあったもので、ホルモンの働きや脳科学など、助けになりそうな事を色々と勉強したのです。科学的な根拠はなんとなく理解できましたが、他者に伝えるには複雑です。なので、あえて簡単なイメージにして、身近な人のうつ病を支えたいというあなたの想いが逆効果にならないようお伝えしたいと思います。

1.あなたの気遣いがうつ病を悪化させる

身近な人がうつ病になったら、早く元気になってほしいとあなたは思います。だから、「今は休んでいいんだよ」「気にする事なんてないんだよ」と、あなたは優しさを持って普段通りに、もしくは普段よりも優しくその人に接してあげようときっと思うはずです。

「今日は何食べたい? 好きなものでいいよ」

「カラオケ好きでしょ、行って来たら?」

このような優しさに溢れるあなたの言葉が、うつ病を悪化させます。ただ良くなって欲しいだけなのになぜなのか? その理由についておっちゃんの経験をもとに辿り着いた答えを説明します。

2.うつ病は心の粉砕骨折

うつ病を正しく認識する為には、「病気」として捉えるよりも、「怪我」として捉えた方がイメージが的確だとおっちゃんは感じました。

例えばあなたの大切な人が両腕と両手の指を全部粉砕骨折して、ギプスでガチガチに固められていると想像してください。腕以外は健康そのものですが、その状態でお箸を使ってご飯が食べられるかと言われると、まず無理です。無理やりにでも自分でやろうとすると、とんでもない激痛に見舞われるであろうことが容易に想像つきますし、周りの人も想像つくのでそんなことをしろとは言いません。腕を使ってする作業はさせられないと、周りはその人をサポートします。

うつ病の場合、上記でいう「腕を使ってする作業」は「心を使う作業」に該当します。「心を使う作業」とは、何かを決定する事です。上記たとえで言うならば「よし、お箸を使おう」と心に決める行為になります。

うつ病患者は、何かを決定しようと心が働くときに、とんでもない激痛を心に感じているのです。

3.やってはいけない事

あなたは大切な人に好きな物を食べてもらいたくて、元気を出してほしくて「今日は好きなもの作るよ、何が食べたい?」と聞きます。これは、両腕粉砕骨折しているパートナーに「お箸持ってきてあげるね」と言ってお箸でごはんを食べさせる行為にあたります。優しさはありがたいですが、傍から見ても結構ひどいことしてますよね。でも心の骨折は目に見えないので、うつ病患者本人以外にはこれがただ優しいだけの行為にしか見えないのです。

もちろん、うつ病患者はあなたの優しさに感謝していますので、激痛を堪えて「ハンバーグかな。ありがとう」と言うと思います。でも粉砕骨折した心で何かを決める行為は負担でしかありません。なんとかハンバーグという答えをひねり出したものの、無理をした為に心の骨折は悪化してしまいます。

「こうした方がいいよ」や「どうかな?」などの提案・同意を得るような事も、相手の心の決定が必要になるので症状を悪化させます。また、「好きにしててね、17時には帰るからね」などの時間を区切るような事も相手の性格によっては伝えない方がいいです。おっちゃんの場合は「17時までに」といったスケジュールを無意識に立ててしまうので、言われた瞬間に心がぎしぎしと悲鳴を上げていました

一番よくないのは、「少しは良くなった?」と聞くことです。「楽しかった?」みたいな遠回しの言い方でもダメです。これも骨折をイメージしてほしいのですが、1日や2日、お箸でかわりにご飯を食べさせてあげたとして、「骨折よくなった?」と腕を突っつく人はまずいないでしょう。でもうつ病患者にはやるのです。

目で見えないから言葉で確認するしかないのですが、うつ病は心の骨折なので、聞かれるというのは怪我した場所を突っつかれるのと同義です。聞くにしても期間は1日2日休んでからではなく、最低1カ月は間を空けて聞いてください。

好きで両腕骨折する人がいないように、好きでうつ病になる人もいません。事故によるケガのようなもので、「迷惑をかけて申し訳ない」といつも思っているのです。だから、治ったかどうか聞くことは相手を追い詰める以外の意味はありません。サポートする側としては不安な気持ちは当然ですが、できれば症状の確認は医者に任せた方がいいです。

4.どうサポートすればいいのか

それではあなたの大切な人をどうやってサポートすればいいのか。両手を骨折した場合は手の代わりをしてあげますよね。だから、心を骨折した場合は心の代わりをしてあげればいいのです。あなたが、パートナーの代わりに決めてあげるのです。

生きるという事は日常においても決定の連続です。何時に起きるのか、どの服を着るのか、何を食べるのか、休日になにをするのか、どこにいくのか、何時にいくのか等、たくさん決めなくてはいけないことがあります。可能な限りそれら全てをうつ病患者が決めなくてもいい状態にするのが一番のサポートになります。

「夕飯はステーキにするからね」

「出かけてくるから、好きにしててね」

「今度の日曜日は子供と遊園地にいくよ。辛かったら車で寝てていいよ」

など、先にすべて決めてあげるとうつ病患者はほっとします。何かを決める時に気を付けてほしいことは、相手が一人になれる自由を奪わないことです。

うつ病患者は元気に見えていてもいつ発作で気持ちが沈むかわかりません。だからいつでも自由に一人になれる状況を作ってあげてください。また常に「心の粉砕骨折」のイメージを忘れずにいてください。うつ病の一番の薬はとにかく「心を使わずに静養」です。

「なんでここまでしなきゃいけないのか」と思う事はあると思います。介護って本当に大変な事です。だから、そういう気持ちになった時は距離を置いてください。「私は疲れたからやすむ。お前は勝手に生きろ」とでも伝えて、自分が楽になるまで出来るだけうつ病患者に近づかないでください。それが1週間でも1か月でも、あなたに「自分で決めてよ」と思う気持ちがあるのなら近づいてはダメです。うつ病は骨折と同じで静養すれば治ります。無理にサポートする必要はないのです。

5.うつ病は治る

どの程度でうつ病が治るのかというのは人それぞれですが、最低でも半年、長くて100年と考えてください。

完治の判断としては、だんだんと発作の起きる感覚が長くなって、1か月に1度も起きなくなった時がおおよその「完治」です。逆に言えばほとんど完治していても、頻度が少ないだけで発作は起きます。「程度」よりも「頻度」で症状を見てあげてください。

おっちゃんはつい先日「完治」しましたが、それは発作の頻度が一ヶ月より伸びただけで、発作がおきないと保証するものではありません。とはいえ、家族に迷惑をかける頻度が減るのでほっとしています。その気持ちがまたうつ病を改善・抑制するので正のスパイラルに入ったと思います。

うつ病は治ります。必要なのは静養なのです。

あなたの大切な人が苦しんでいる姿は1日も長くは見たくないと思います。でも焦ってはダメです。最低半年はかかる心の骨折なんだと受け止めて、あなた自身が辛くならない範囲でサポートしてあげてください


おわりに

最後まで読んでくれてありがとうございます。うつ病完治ほやほやの今だからこそ伝えたい、伝えられる内容だと思いこのノートを書きました。

あなたの大切な人が1日でも早くうつ病から回復するよう、元うつ病患者としておっちゃんは心から願います。

長い人生の1幕です。どれだけ辛くても次のお話があなた達を待っています。そのお話があなたにとって幸せな1幕でありますように、心を込めてお祈り申し上げます。

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また一生懸命書くからな! ありがとう!
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おっちゃん

34歳おっちゃん。 映画の現場で働いたり、海外のレストランで働いたり、港で貿易の仕事したり、上場企業でサラリーマンしたり。 あなたの隣りにいるおっちゃんも、意外と色んな経験してるもんです。
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