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アルバイトとして入社後34歳で社長に!オプト 代表 金澤大輔さんに訊いた「新時代のチーム論」

インターネット広告代理店 マーケティング最大手 株式会社オプト。金澤大輔さんは、2015年、34歳の若さで同社の代表取締役社長に就任すると、落ち込んでいた業績をV字回復に導き、社員の幸福度も向上したそうです。
そこで、今回は、山下PMC 代表 川原が同社を訪問し、金澤さんが考えるチーム論について、訊きました。

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株式会社オプト 代表取締役社長 CEO 金澤大輔さん
大学卒業後、テレビ制作会社を経て、2005年にアルバイトとしてインターネット広告会社 株式会社オプトに入社。2008年営業部部長、2010年営業本部本部長と実力を発揮。34歳の若さで2015年に代表取締役社長CEOに就任。停滞気味だった業績を3年で回復させるなど、経営手腕が注目されている。

社員みんなを巻き込んでつくった8つのバリュー

-2018年に発表された「オプト オクタゴン」という8つのバリュー(意志・姿勢)。

巻き込め。仲間を、個客を、世の中を。
誰より先に動け。攻めの姿勢を忘れるな。
つねに心をオープンに。意見の相違に怯えるな。
プロフェッショナルとして、どこまでも粘れ。
いかなる変化も、とことん楽しむ勇気を持て。
「つくる」「生み出す」喜びを、力に変えろ。
目標を持て。実現のためのビジョンを持て。
最後は自分が突破する。それが、我々の仕事だ。

川原 御社の社員が共有する「オプトオクタゴン」の内容は非常に衝撃的でした。業種業態が異なるものの、わが社の考えと同じだったのです。御社はこのバリューを掲げてから、業績は上がり、離職率は下がったと伺いました。どのような経緯があったのでしょうか?
金澤 私が代表になった2015年には、当初700人くらいの社員がいましたが、その年に約20%が退職してしまったのです。
川原 業務に影響が出てしまうレベルですね。
金澤 そこで2016年に、会社を再生させようと決意しました。そのためには、バリューをつくることが必要だと痛感し、社内プロジェクトを立ち上げたのです。それを社員総会で発表し、社員みんなを巻き込んで決めていきました。

700人の全社員の質問に答えた

―バリュー発表の約半年前、2017年7月に「自分の未来と、個客の未来の、重なるところへ。」というビジョンと、「誠実な野心家であれ。」というイズムも発表されました。

金澤 それはもともと私がもっていた考え方を言語化したものです。広告業界は、クライアント最優先で“自分”がないことが多い。それゆえに、右向け右の組織になりがちです。そこで“自分”を前面に押し出すビジョンを決めました。「誠実な野心家」は文字通り。これを軸に社員との対話を繰り返すことで8つのバリューを決めていきました。
川原 金澤さんは全社員とお話されたとか。
金澤 1ヶ月かけ、仙台から沖縄まで行き、約700人の社員とグループ面談をしました。本音で話し合い、すべての質問に答えました。なかには「この会社に未来が見えない」 という不安の声、「将来を感じないのは経営者の責任」という厳しい意見もありました。
川原 そのスピード感には驚かされます。全社員と対話することで、部署別に偏りもなくなりますね。
金澤 はい。代表である私と話すことで、それまでの閉塞感が打破され、社員の温度が沸騰してきたことを実感しました。
川原 その膨大な意見を1ヶ月半でまとめたのですか?
金澤 社員同士が議論を重ね、決定していったのです。クリエイティブディレクターの渡辺潤平さんにも入っていただき、言葉選びにも細心の注意を払いました。
川原 8つに集約された「意志と姿勢」は建設業界である弊社の考えとも合致していました。それほど普遍的な内容なのです。これら、各人の専門性を支えていくことが想像できます。
金澤 ありがとうございます。発表から半年ぐらいで、バリューが生きものになったと感じました。
川原 社員の方々に変化があったということですか?
金澤 はい、そうです。会社は360度評価を採用しているのですが、今までスキル面での評価が中心だったのに、このバリューが達成しているかどうかの評価も加わることになりました。

ルールがなくても、自発的に動くチーム

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オプトでは、就業時間など細かいルールは決めていない。なぜならば、社員がビジョンの達成に向けて、自発的にチャレンジする空気があるから。
経営者の仕事は、仕事の目標を定めることではなく「ビジョン」を決めて共有することだと金澤さんは語る。
写真は金澤さんの仕事を支えるツール。

人が悦んでくれるとうれしい。それが人生の根本的な幸せ

川原 ボトムアップで施策が出てくるとは、とてもすばらしいです。
金澤
 そうなのですね。今、人と会社の関係が変わっており、ビジョン、ミッション、バリューの要素は不可欠です。なぜなら、かつては、会社が人を選んでいましたが。これからは人が会社を選ぶ時代です。プロジェクトが立ち上がったら、そこに優秀な人が集まりチームをつくるという流れは今後も加速するでしょう。
川原 会社がプロジェクトのクラウドのような存在になるという未来予想は、もうされています。
金澤 正社員という存在はなくなり、学歴や経歴なども問われない時代になるでしょう。そんなときに人を惹きつけるのは、価値や社会貢献という時代になっています。
川原 世の中全体がマッチングの時代になっています。それを肌で感じている若手ほど、自分がどうしたいか、どんな人物に成長していきたいかを考える傾向があると私も感じています。

一人ひとりが社長

金澤 このバリューは、“社会に求められる人であり続ける”ことにもつながっています。オプトという会社には、創業者(鉢嶺登氏)の「一人ひとりが社長」という考えに基づく、自立・自律を促す社風がありました。そもそもこのバリューが根底に流れていたのです。だからこそオプトを辞めた人のなかには、学校の先生や、東証一部上場企業の代表、または地域創生の仕事をしている人もいます。
川原 実に多様性に富んでいますね。ところで、金澤さんのその姿勢や考え方はどのようなところから生まれたのでしょうか?
金澤 私は子供のころから人を悦ばせることが大好きなのです。大学時代に大規模なイベントを開催し、多くの企業の協賛を集めたこともありました。それに自信を得て、法人化したのです。そうしたら、企業が離れていきました。私たちには、学生だから価値があった。スキルではなくブランドでし
かなかったのです。

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山下PMC 代表 川原(写真左)、オプト CEO 金澤さん(写真右)

ADからルールがまだ固まっていないインターネット業界へ

川原 学生時代に、経営の難しさを学ばれた。
金澤 卒業後は、仕事が一番辛い業界に飛び込んでいこうと思いました。僕が人生を賭けてやりたいことは、人の心を悦ばせること。その最大公約数はテレビだと考え、テレビ業界に入り、ADをやりました。しかし、完全な縦割り社会で、チャンスを待ちながら20代を過ごさねばなりません。その危機
感から、ルールがまだ固まっていなかったインターネット業界に入ったのです。
川原 それが2005年、オプト入社の年ですね。すぐに採用されたのですか?
金澤 いいえ。約40社受けて採用してくれたのが、ここだけでした。しかも、最初は時給で働くアルバイトでした。
川原 それからすぐに頭角を現し、入社約10年で代表になった。
金澤 はい。一人ひとりが社長ですから、なんでも挑戦できました。それがドラマを生み、さらなる感動を呼んでくる仕事に夢中になりました。そこに自己犠牲の気持ちは全くなかったですね。

会社をいい意味で利用し、自分を高めていく

川原 意志をもって働くことは、悦びでもあります。
金澤 たくさんの失敗をして、次の学びに活かしていきました。その自由な環境で仕事をできた経験が、私の根底に流れているのです。
川原
 強いチームにルールは不要というのも、私の考えと同じです。
金澤 だからこそバリューが必要なのです、誰もが拠り所にできるバリューが。それさえあれば、仕事の苦しい局面を乗り切り、燃える心を維持できます。そのためには誰かが悦び、事業が社会問題を解決し、自分の人生がよくなるという“実感”が必要です。
川原 会社はそのためのプラットフォームなのですね。
金澤 はい。会社をいい意味で利用し、自分を高めていくそのイメージがあるから、人は能動的に働くのです。私は「物心両面の幸福」という言葉が大好きです。物質的にも、精神的にも満たされるからこそ、幸福が実現する。
川原 これからの経営は事業戦略だけでなく、命が吹き込まれたミッション、ビジョンと行動規範が必要だと改めて感じました。
金澤 それがあれば、細かいルールがなくとも、各々が自分の働き方を考え、チームも組織も向上していきます。もちろん、これを維持するためにはきめ細かに施策を打つ必要がありますし、外部の方からの意見やビジュアルイメージも必要になります。

社員の幸福度向上に必要な3つの要素

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ただ仕事でよい成績を上げるだけでは幸福度は得られない。個人、クライアント、そして社会との共有・悦びの共有のサイクルが必要。

可視化しにくい“思想”をビジュアルで伝える

―オプトは、2018年に外部のライター、アートディレクターなど、フリーランスのクリエイターのオープンイノベーションファームである「スタジオオプト」を開設しました。



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オプト本社にて

金澤 自己実現のために働く人が増えていることを感じ、ビジネス面でも先陣を切りたいと感じて立ち上げました。立ち上げてみて驚いたのは、約400人の応募があったことです。自分のパフォーマンスを最大限に発揮できる場所を探しているのだと感じました。
川原 それは私たちの建築ビジネスのヒントになりますね。
金澤 つまり、生きたビジョンとミッションがあり、そこに共感してくれれば、人は動くと感じました。私、このファームを立ち上げてから、スーツを着ることをやめました。
川原 そうなんですか!
金澤 スーツ姿では、周囲の方々に堅いイメージをもたれてしまうからです。
川原 可視化しにくい“思想”をビジュアルで伝える……そういう視点も必要です。今回は気付きもあり、とても共感いたしました。ありがとうございます。

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山下PMC 広報

山下PMCは、日本初のPM(プロジェクトマネジメント)/CM(コンストラクションマネジメント)専業会社。現在、総事業費3兆円以上の施設建築プロジェクトを担当。100名の一級建築士をはじめとする、建築のプロフェッショナル集団です。 https://www.ypmc.co.jp/

私たちのハイコンセプト・ハイタッチ

お客さまの「施設参謀」として建築プロジェクトのマネジメントを行う山下PMC。本マガジンでは、プロジェクトマネジャー一人ひとりの仕事への想いや、プライベートで夢中になっていること等をフラットに紹介します。
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