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建築の新常識「デザインビルド方式」~DB方式を適用した初の公共施設 大熊町新庁舎完成~

建築関係者のみならず、これから施設の新築・建て替えを予定している自治体・民間企業の方は、ぜひおさえておきたいDB(デザインビルド)方式
今回は、CM(コンストラクションマネジメント)の専門家である山下PMCが、そのメリットとリスクをわかりやすく解説します。

まずおさえておくべき発注方式

近年、民間の施設建築プロジェクトでは、様々なバリエーションの発注方式が採用されるようになしました。
その代表例のひとつは、ECI(アーリー・コントラクター・インボルブメント)方式です。この方式は設計段階から施工者が参画し、施工の実施を前提として設計に対する技術協力を行うものです。
たとえば、特殊な敷地条件の場合等、設計者の計画通りに工事ができるかどうか、技術的問題・リスクがある場合、施工者の技術力とノウハウを設計段階から投入ですることで、効果を発揮します。

そして、1つの会社が設計と施工を一括して受注する設計・施工一括発注方式を採用するプロジェクトも増えています。設計事務所と施工者がコンソーシアム(JV)を組んで設計業務を受注するDB(デザインビルド)方式は、設計・施工一括発注方式のひとつで、非常に注目を集めています。

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DB方式を適用した初の公共施設「大熊町役場新庁舎」

2019年5月に開庁した令和初の新庁舎、福島県大熊町役場新庁舎は、山下PMCがCMを担当しました。注目すべき点は、基本設計からDB方式を適用した初めての公共施設であることです。

民間工事と公共工事の最も大きな違いは、建設資金が自己資金か税金かという点です。当然、公共工事の発注では、税金の使い方について、公正性・透明性が厳しく求められるため、その責務を果たすための仕組みが組み込まれています。

公共施設建築でDB方式を適用する場合の落とし穴

たとえば、

・設計内容や金額に変更があった場合は、庁内確認や議会への承認が必要
・設計後、工事発注前に請負契約を締結する場合は先行発注ができない
・議会承認後の契約書がないと正式発注できない

といったように、行政のルールは厳格に定められているので、民間と全く同じ感覚でプロジェクトを推進すると思わぬ落とし穴にはまる危険があります。

山下PMCは、民間の施設建築で数百の設計・施工一括発注方式、DB方式の実績をもっています。
そこで、厳しい時間的制約があった(通常の半分もない超短期間)大熊町役場新庁舎の建築では、DB方式を提案しました。

でも、たとえDB方式の経験が豊富でも、行政ならではの仕組みを意識していなかったら、予定通り完成できなかったかもしれません。

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当社のサイトでは、CMとして公共施設建築ならでは業務フローを把握し、先回りして対処することで、行政の仕組みを崩さず、上手にDB方式の利点を引き出したノウハウを惜しみなく紹介しています。

担当したプロジェクトマネジャーも「公共でのデザインビルドの勘所がつかめた!」と手ごたえを感じていました。

デザインビルド方式をここまで深く、そしてわかりやすく掘り下げた事例は他にありません。ぜひ、ご覧ください。

現在工事中の「横浜市新市庁舎」もDB方式を採用

公共工事の「そもそもの話」はこちらで解説


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