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流れ星をつくろう!ALE 代表 岡島礼奈さんに訊いた「人を巻き込む力」

超小型人工衛星から粒を放出し、人工流れ星をつくる。そんな世界初の宇宙エンターテインメントの事業化を目指す、株式会社ALE(エール)代表取締役社長の岡島礼奈さん。
2019年に人工衛星の打ち上げに成功し、全世界が注目するなか、すでに多くの問い合わせも来ているそうです。
そんな今話題のALEのオフィスにお邪魔し、宇宙大好き壮年 山下PMC 代表 川原秀仁があれやこれや質問してきました。

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株式会社ALE 代表取締役社長/CEO 岡島礼奈さん
1979年鳥取県生まれ。東京大学理学部天文学科卒業後、東京大学大学院理学系研究科天文学専攻にて博士号取得。起業や会社勤務を経て、2011年に宇宙関連のエンターテインメント事業(人工流れ星開発)や、人工衛星の開発事
業を手がける、株式会社ALEを設立。

流れ星はできるよね!

-2019年1月、流れ星の素となる粒子を積んだ人工衛星の打ち上げと、高度500㎞の軌道投入に成功したALE。今後は、人工流れ星の粒を放出する高度400㎞の高さまで降下させるミッションを行います。

川原 欲しい場所や時間に流れ星を登場させる。岡島さんが、この宇宙を舞台にしたエンターテインメントを思いついたのは、2001年のしし座流星群だと伺いました。
岡島 はい。大学で天文学を研究していた当時、同級生と流星群を見ていて「塵を大気圏に突入させれば、流れ星はできるよね!」と話していました。
川原 私も幼いころから星空を見ていました。今でも覚えているのは、5歳のとき、父に池谷 関彗星(1965年9月)を見に連れて行ってもらったことです。以来、夢中になり、地元 佐賀県唐津市の地平すれすれで観測できる、フォーマルハウトやアケルナルなどの記録をつけていました。しかし、人工流れ星という発想はなかった。岡島さんの発想は新鮮です。
岡島 私も星を見るのが好きでしたが、成長するにつれ、宇宙そのものに惹かれていきました。中学生のときに『ホーキング、宇宙を語る』を読み、宇宙への興味が募りました。地球は銀河の端にあり、中心にはブラックホールが存在し、さらに銀河は拡がっている―。そんなことを想像していました。

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岡島さんの話に聞き入る

“役に立たない学問”と言われたことも

川原 そして大学に進学されたのですね。
岡島 大学で気づいたのは、天文学が他人から「役に立たない学問」のように扱われることが多いこと。天文学をはじめとする、物理などの基礎科学が、文明をつくっているのにもかかわらず、扱いが低いことに、憤りを覚えたことがありました。たとえば、スマホなんかは基礎科学の塊です。
川原 同感です。皆が便利に使い、イノベーションを起こし、社会課題を解決しているツールは基礎科学の恩恵だということに気づいていない。
岡島 そうなんです!GPSも相対性理論がなければできません。衣料や日用品をとっても、便利で快適な生活を支えているのは基礎科学です。人工流れ星は、エンターテインメント性だけでなく、この基礎科学の発展にも寄与します。
川原 それは多くの人が注目するということですか?
岡島 私たちの流れ星は、中心から半径200㎞圏内にいる人たちに見られるのですが、それを見た子供たちが、「あれは人がつくっているんだって」と、科学や天文、物理や量子学に興味をもつようになってすそ野が広がり、科学が指数関数的に進化することを期待しています。
川原 天体ショーを楽しむことが、未来につながるのですね。
岡島 地上ではエンターテインメントでも、上空では壮大な科学実験を行っています。流れ星の素となる粒が、大気圏や、大気圏突入のデータを採取し、これが科学発展に寄与します。何百粒も放出するので、私たちは大気圏突入のデータを世界一多くもつ企業になります。いずれ高精度な天候予測も
できるようになると考えています。
川原 一石二鳥どころか、三鳥、四鳥にもできるのですね。それが思わぬ実用的発見にもつながる。
岡島 私たちのミッションは、「科学を社会につなぎ、宇宙を文化圏にする」ことです。今後、人類は、宇宙と地球を行き来するようになるでしょう。そのときに、私たちの経験、データ、考え方が大きく寄与すると確信しています。

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人工流れ星の仕組みは、「素」となる約1cmの金属を含む粒をセットした放出装置を積んだ超小型人工衛星を打ち上げ、地上からおよそ400km上空の軌道に乗せる。衛星の周回などを計算することで、放出場所と日時を設定できる。多くの人がALEの理念に共感し、産官学連携、クラウドファンディング等により、支援者と必要な資金が集まってきている。ラウドファンディング等により、支援者と必要な資金が集まってきている。

同じ考えをもつ者同士が語り合うことで生まれるエネルギー

-世界初の人工流れ星事業。これは、誰もが思いつかない壮大なプロジェクトだと感じます。

岡島 実はそうでもないんです。宇宙工学を学んだ人なら理論上は可能だと考えます。
川原 それ、私にも既視感があります。今の事業のスタートアップのときに、事業内容を話すと、多のときに、事業内容を話すと、多くの人が荒唐無稽な話だと受け取りましたが、ある人は「同じことりましたが、ある人は「同じことを考えたことがある」と共感覚をもってくれた。
岡島 一見、不可能とされることを可能にするには「そうだよね、同じことを考えたことがある」という人を集めていくことが大切です。同じ考え方をもつ者同士が語り合うと、エネルギーが生まれ、それがまた他の人を動かします。結果として多くの人を巻き込み、実現に向けて加速するのです。
川原 すべてのことにいえますが、本気で考えることが大切です。
岡島 物理法則の限界を超えなければ、なんでもできます。ただ、夢を叶えるためには、本気で考え、取り組まなければなりません。

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しし座流星群に願ったこと

川原 実は不可能なことはそれほど多くはないのかもしれませんね。私たちの事業も、今でこそ軌道に乗り始めていますが、20年前当時の建築業界では、不可能に近いと考えられていた。岡島さんがしし座流星群を見ていた2001年、私たちはこの事業を立ち上げたばかりで、事業資金も乏しくて、流
れ星を見ながら、つい「カネ、カネ、カネ……」と祈っていました。
岡島 よく流れ星を見ながら願い事を口にすれば、その願いが叶うといいますが、何を見てもその願いが口に出るほど、実現したいという思いが強い人が、願いを叶えるのです。流れ星を見た・見ていない、は関係ない。大切なのは努力する気持ちをもつことです。
川原 当時、4時間の間ずっと流れ星を目にしながら、仕事の突破口が見つかることと資金繰りの改善を祈っていました。それは今でも強く記憶に残っています。

風向きが変わった

岡島 小さくとも、事業が動き始めると、次から次へと壁が立ちはだかってきます。
川原 特に、民間宇宙事業は前例がない、ゼロからのマネタイズです。可能性は大きいですが、障壁も並大抵ではない。それを1歩1歩、確実に進めることはすごい。
岡島 その〝壁〞は、いつかなくなるでしょうか?
川原 なくなるのではなく、いつの間にか超越してしまうのではないでしょうか。無我夢中でヴァン・アレン帯を抜け、終わってみれば「何だ、こんなことだったのか」と。
岡島 そのとき、見える景色が変わりますか?
川原 はい。倍数ではなく、乗数単位で変わってくるはずです。
岡島 確かに、創業当時は人工流れ星の話をすると、面白い会社だといわれました。しかし2013年12月に、人工流れ星が宇宙空間で光ることが実験で検証されたことで、まず内側の意識が変わりました。さらに、2019年の衛星の打ち上げで風向きが大きく変わりました。あれで「技術がある」と認められたように思います。

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ALE 岡島さん(写真左)、山下PMC 川原(写真右)

JAXAが認めてくれた

川原 実績の強みはあります。施設建築もそうですが、1つ成功例ができるというのは、強い。
岡島 JAXA(宇宙航空研究開発機構)の方も、最初は私たちの事業を疑問視していたようで……。人工流れ星を積んだ衛星は、JAXAの革新的衛星技術実証1号機に搭載していただけましたが、そのためには安全対策など、膨大な
数の基準をクリアしなくてはなりませんでした。当初は四苦八苦。なかなかクリアできず、多くの方々に心配とご迷惑をおかけしました。ですから打ち上げの記者会見の舞台袖で、JAXAの方から「ここまでくると思わなかった」と声をかけられました。私たちの努力を、宇宙に対し本気で取り組むJAXAが認めてくださったのは、本当にうれしかったです。

2022年、いよいよ事業スタート!

川原 誰もが雲をつかむような話を、本格的な事業にまで押し上げたことは、創造力と執念の賜物です。可視・不可視の法則をつなげていき、努力を重ね、現実に落とし込んでいかれたのですね。
岡島 そうなんですかね。自分の思いを多くの人に伝え続けたことは大きいと思いました。
川原 今後、どのように事業化されていくのでしょうか。
岡島 2020年に世界初の人工流れ星を成功させ、2022年にはいよいよ事
業をスタートさせたいと思っています。
川原 2010年後は人工流れ星が当たり前に見られる社会になっている
ことでしょう。私も、建築の世界で頑張っていこうと思います。

「人を巻き込む力」まとめ

■「できるよね」を実行に移す
理論上可能なのは知っているのに、誰も挑戦しなかった人工流れ星。発注者・受注者双方にメリットをもたらす可能性を感じられながらも、日本の建築業界では、取り入れられてこなかったPM/CMという制度。不可能と可能の境界線は「実行するかどうか」にある。

賛同者と味方を巻き込む
賛同する他者を巻き込んでいくことで、指数関数的にプロジェクトは前進する。ステークホルダーだけでなく、産官学連携、クラウドファンディングでの事業資金集めなどでさらに加速する。

成功例が1つできると流れは変わる
常に突破口を考え、実現に向けて社会を動かす執念ともいえる強い思いが必要。そして、1つ成功例をつくると、風向きは大きく変わる。

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山下PMC 広報

山下PMCは、日本初のPM(プロジェクトマネジメント)/CM(コンストラクションマネジメント)専業会社。現在、総事業費3兆円以上の施設建築プロジェクトを担当。100名の一級建築士をはじめとする、建築のプロフェッショナル集団です。 https://www.ypmc.co.jp/

私たちのハイコンセプト・ハイタッチ

お客さまの「施設参謀」として建築プロジェクトのマネジメントを行う山下PMC。本マガジンでは、プロジェクトマネジャー一人ひとりの仕事への想いや、プライベートで夢中になっていること等をフラットに紹介します。
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