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電車で目の前に座っていた、ある女性の指輪の話

ある日の飲み会帰りのこと。

終電間際の東横線に乗っていると、電車で目の前に座っていた女性が、隣に座っている友達数人と「あはは」と笑い合っていた。彼女もまた、飲み会帰りなのかもしれない。

彼らが何の話をしていたのかはすっかり忘れてしまったけど、その女性は笑いながらバックの中を探して、ハンドクリームを手の甲にぬっていた。そのとき、左手の薬指につけていた結婚指輪を愛おしそうに見つめながら、くるくると回していたのを見てしまった。

そのときは特に何とも思わなかったのに、最寄り駅で降りて自宅まで歩いている帰り道にふとそのときのことを思い出し、そういうのすごくいいなと思った。

その場に相手はいないのに、相手のことを思い出していることがわかったのだ。

すごく素敵だなと思った。ふとしたときに愛情って見えるものなんだ。帰ったらたぶん今日の飲み会の話をするんだろうな。そんなことを想像して、勝手に羨ましくなった。

愛には形はないけど、愛をあえて形にすることで、見たり触ったりすることができる。僕も、結婚したらきちんと結婚指輪を買いたいな。

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