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書きたいのに筆が進まない人へ

先週土曜日の昼過ぎ、古い付き合いの友だちから、急に長い長いメッセージが届いた。たぶん、こんなこと悩んでいる人がいる気がするなぁと思ったので、本人に許可を取った上で、全文掲載してみます。

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今日、急にふと思ったことがあって、メッセージを送るね。送る前に読んでみたら結構長かったんだけど笑...…、つらつらと書いてみるね。

私、仕事終わりに駅から歩いていると、ぽろぽろと『このテーマで書きたいなぁ』『あとでこれ書こうかな』と思っているのに、いざ帰宅してパソコンの前でメモ帳のアプリを開いてタイピングしようとすると、急にめんどくさいなぁと思って、ついついマンガを読んじゃうの。これは、仕事で書くことでもちょっと当てはまるんだけど。

で、ギリギリになっちゃって焦る、みたいなことがあって。そのときは「次こそは早くやるぞ」って思うんだけど、わかっていながら、次の記事も遅くなっちゃうの。

これってさ、「書くこと」が嫌い、ってことなのかなぁと思って。嫌いじゃ、ないんだけどなぁ。でも、筆が進まない(まぁタイピングなんだけどさ)。

私、これまで「書くこと」って誰に言われたわけでもなく、いつの間にか続けられた唯一といってもいいぐらいのことなのね。だから、ライターとして書くことを仕事にしたとき、これだったら私できるかなと思ったの。好きということもそうだけど、人から求められるし、向いているかもと思ったからね。

でも、数年続けていくうちに、なんだか「書く」を仕事にしているということに違和感を持つようになっていたの。

例えば、書くことって、読み手を想像するわけじゃない? Aさんにインタビューする場合、私はインタビューをしているから、下調べ含めすでに読者よりもたくさんのことをAさんについて知っているわけだし。でも、どこまで戻ったら、初めて読んだ人にもわかってもらえるのか、そのさじ加減があんまりつかめなくて。

とりあえず書かなきゃ書かなきゃ……、って思うけど、すぐに書きはじめてもいけないから記事の構成を考えないといけない。そういうタイミングに限って、他の部署だったり、近くの人から「これやってくれない?」って期日が短い仕事を任されるの。「断ればよくない?」って言うかもしれないけど、ちょっと難しくて。そっちを優先順位高くしてやってしまうから、自分のやるべきことになかなか取りかかれなくて。

それに、仕事でたまっている書かなきゃいけないことがたくさんあるのに、プライベートで書きたいことを書いているなんて何やってるのって思うから、どんどん言葉にする機会も減って、感情もふさぎ込みがちになっちゃって…。文字にするのがなんだか怖くて、前に進めなくなって。言葉としてアウトプットしないから、言葉にできないもやもやが頭の中を覆うようになって。

でね、ぼーっとしながらハッと思ったの。

私は書くことが好きとか嫌いとかなわけではなくて、自分の考えていることを整理して言語化するのに「書く」がちょうどよかっただけなのだ、と。「書くこと」は、目的じゃない。感情や考えを整理するための道具なのだと気づいたの。私はこれまで、道具を使うことに躍起になっていただけかもしれない。

「書く」というのは、単に物事を忘れないようにするための行為に留まるものではなくて、自分の考えを整理するための道具なのだ。 - 「書く」のは特別な道具

それから、パッと視界が開けたような気がして。

私の仕事は、言葉を使って整理して、それを再度、文章で届けること。 書くことが先行する文章は、前に進んでいかない。

そういえば昔、取材があった日の夜に電話したとき「記事を書くのがどうしても億劫でたまらないときがある」と言ったよね。「あんなに楽しそうに話してくれるのに、どうしてそれをそのまま書かないの?」とあの時は答えてくれたけど、あのときの私は、書くことが目的だったのかもしれないね。

ライターって、文字を書くことが仕事で、何か書いていないといけないのだと思っていたけど、そうじゃなくてもライターって名乗ってもいいんだなぁと思ったよ。まだまだ先は長いねー。

……ごめんね、取り留めもないし、こんな長いメッセージもらったらいやだろうなぁ笑。でも、ここまで読んでくれると信じてる。いつもありがとう。

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(Photo by Green Chameleon on Unsplash)

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