行ったことのない人に、好きなお店の良さを伝えるために

飽き性な自分にも、いくつか「行きつけ」と呼べるようなお店があります。

近くのお店で言うと、「pelican coffee」や「豆点」など。どちらも家から程よく近くて、リーズナブルなのに美味しくて、すぐに出てくる。店員さんもゆったりとしているので、気兼ねなく過ごせる。自分とお店との距離感がちょうどいいところが好きなんです。

※ 今回は、行ったことがない人に、好きなお店の良さを伝えるにはどうすればいいんだろう?と、(現在進行形で)考えているnoteです。こたえが書いてあるわけではありません、一緒に考えましょう。

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話は変わって8月。僕は、神泉にある「燗酒Bar Gats」という、熱燗がすっごく美味しいお店に2回、それぞれ違うメンバーと行ってきました。

料理のコースは、店主・マサさんお任せ。料理が出てくるごとに、それにピッタリな熱燗が出てきて、ペアリングの仕方を教えてくれます。

日本酒はそのまま飲むもの(掛け合わせるものではない)と思っていたけど、彼は料理に合わせて複数の日本酒をブレンドします。「ブレンドは必ず美味しくするための技術だ」とサラッと言いのけるところが、またカッコイイ。

食べ方の指定も面白いんです。例えば、「ハンバーグを一口、口に入れてから、日本酒を追いかけるように飲むんだ」って言うんです。で、それがものすごく美味しい。AとBが口の中で混ざって相乗効果が生まれる「マリアージュ」って、こういうことを言うんだなぁと、そのとき感じました。

すいすいと飲めてしまうけど、それは飲みやすいだけで、アルコール濃度はワインよりも高いから気をつけろよ」って何度も気遣ってくれるほど、マサさんのつくる熱燗の日本酒はするりと飲みやすいです(2回目は3人で14合ぐらい飲みましたが、水は日本酒と同量以上飲んだので二日酔いはしませんでした)。

席数も少なくて(6席ぐらい)、隣の人たちとも距離が近い。お客さんも、だいたいマサさんの知り合いもしくは以前来たことがある人なので、初めましてであっても、一緒にお酒を飲んでいるとついつい楽しくなってしまうほど。美味しい料理は、場をつなげてくれるんだなと感じました。

なんと言っても一番面白いのは、店主・マサさん。日本酒についての膨大な知識(仕込みの違い・酵母についてなど、「何でもおれに聞けよ全部答えてやる」って言うんです)、豪快な笑い方、周りへの気配りなど、確かにクセはあるものの、僕にとってはそれが楽しいんです。しかも、ジャズアーティストの一面も持っていて、その理由は「自分が聞きたい音楽がなかったから」。話を聞けば聞くほど、どんどん新しい情報と知識が増えていきます。

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「燗酒Bar Gats」の料理と熱燗については、2回目に一緒に行った田村さんのnoteにも伝えてもらうとして、自分が2回行ってみて一番考えなきゃいけないなと感じたのは、冒頭にも書いた通り、好きなお店の良さの伝え方についてでした。

Twitterでお店の良さを伝えるためには140文字以内で伝えないといけないため、ある意味ではしょうがないんですが、投稿した後に、自分は「Bar Gats」の良さを伝え切れていないなと気づいてしまったんです。

端的に伝えるには、わかりやすい訴求ポイントが必要です。でも、それを伝えたところで、行ったことがない人にとってみれば似たり寄ったりな表現になってしまいがちです。

このnoteの最初に自分が書いた行きつけと呼べる2つのお店だって、正直、あるあるだと思いませんか?笑

近くのお店で言うと、「pelican coffee」や「豆点」など。どちらも家から程よく近くて、リーズナブルなのに美味しくて、すぐに出てくる。店員さんもゆったりとしているので、気兼ねなく過ごせる。自分とお店との距離感がちょうどいいところが好きなんです。

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お店の推薦の難しいところは、ポジティブ(美味しいとか居心地がいい)な表現ほど、ボキャブラリーが少なくなるということ。食べログのレビュー言語解析をした記事や、古賀さんのnoteでも同じようなことが書かれていました。結局、自分が感じたものを言語化するのには、けっこう時間がかかるんですよね。

人は肯定的な意見よりも否定的な意見を述べるときの方がより豊富な語彙を用いるとことが知られている。この現象は日本語に限らず数多くの言語において観察されており、グルメ番組でレポーターが何を食べても決まりきって「うーん、美味しい!」と言うのを聞くたびに「もうちょっとましな言い方はないのか」とうんざりしていたが、 これで少しは納得がいく。

食べログの口コミに見る人間心理
他方、「いいこと」や「あかるいこと」、そして「前向きなこと」は、なかなか語彙に乏しい。「きょう、こんないいことがあった。うれしかった」を表現することばを人は、おそらく数パターンしか持っておらず、ゆえにどれも月並みで退屈な響きをもってしまう。善良な人に対して「あの人はいつも『いいこと』ばかりを言っていてつまらない」の感想が出てしまうのは、そこで語られることばのバリエーションが乏しすぎるからなのだ。構造としてつまらないのだ。「いいこと」は残念ながら。

ことばの根っこをどう育てるか。

だから今は、「不特定多数の誰かからのレビュー情報」(星付きだとか)が、美味しいかどうかを判断する軸になっていて、そういうのがないと気軽におすすめできなくなっているのが悩ましいです。そして、そういう安易な伝え方にまんまと乗っかっている(=楽している)自分がいるのも、とても悔しいです。

お店の居心地の良さって、簡単にまとめられる情報だけではなく、うまく伝えられないこともあるはず。逆に、完璧に理解しようとせずにただ楽しむことの方が良かったりします。

そういう、完全に理解できていないところを含めて居心地がいい、みたいな、余白を残して伝えられるようにするには、140字だけでは無理で、ストーリーとして伝えないと難しい。それには、考える(咀嚼する・嗜む)時間が必要です。

そういえば、「考えるっていうのは、時間ではなく回数なのだ」と、糸井さんが対談の中で話していました。

「おれは写真についてずっと考えている」という人もほんとうに24時間考えているはずはなくて。「ずっと」じゃなくて、「しょっちゅう」が、たくさん考えるということなんです。

行ってみないとわからない居心地の良いお店は、むやみにTwitterだけで語ろうとせずに、何度も考えて自分の言葉になったとき、noteに書くようにしたいなと思いました。

どう美味しかったのか、どんなものが出たのか、どんなことを話したのか。お店の紹介文は、お店ごとにぜったいに違うはず。それは140字だけでは伝えきれないから。

とはいえ、あまりにも美味しいご飯だったお店だと「撮った写真が少なすぎる問題」ってあると思うんですよね。忘れないように、地道にがんばろうと思います。

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平野太一

タイムカプセル的

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