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医療関連感染症①

放送大学で学んだことを忘れないように記録しておこう。

医療関連感染症とは

入院時に発症または潜伏期間になかった感染症により、入院後48時間以降に発症した感染症の総称である。

代表的な感染症

①中心静脈カテーテル関連感染:中心静脈カテーテルとは、最も太く心臓に近い静脈に挿入するカテーテルを指す。主な原因微生物は、グラム陽性球菌と呼ばれる細菌である。予防にはマキシマル・バリア・プレコーションと呼ばれる方法が推奨される。


②尿路カテーテル関連感染:尿路カテーテルとは、尿路・尿道にカテーテルを挿入して尿をプラスティック製のバックにためて尿量を正確に記録する。その場合、尿路カテーテルを介した感染症が発生しやすくなる。シンプルな予防策は、不要になった尿路カテーテルを早期に抜去することである。

③院内肺炎:世界の死因で最も重要な疾患の1つが肺炎である。肺炎は、病院内に入院している患者全員がかかるリスクがり、その予防が非常に需要だ。主な原因は唾液が喉を伝って気管に入る微小誤嚥から生ずる。入院患者では昼夜無関係に寝ている体制を取ることから、誤嚥が少なからず生じている。予防策としては、患者の状態が許せば、なるべく頭を上げておく(head-up)。また鎮静薬で眠っている患者は、定期的に鎮静薬を中止し、気管に通している菅が抜けないかを医学的に評価することが必要である。

④手術部位感染:手術部位に感染を起こすことが知られていて、これまでの研究によれば、手術後に死亡する患者の約4分の3は術後発症した感染症が原因であることが分ってきている。そのため予防が院内での重要な課題になっている。予防策としては、剃毛をなるべく行わない、抗菌薬の予防投与、患者に対して禁煙や血糖のコントロール、またステロイド薬のような免疫を下げる薬を投与している場合は、なるべく減量することなどが必要である。

⑤クロストリジウム・デフィシル感染:院内で発症する下痢で、感染症が原因の下痢の9割近くがクロストリジウム・ディフィシルと呼ばれる腸内細菌によるものである。この細菌が抗菌薬や抗がん剤で腸内の正常な腸内細菌叢が破壊されると異常増殖し、病原であるトキシン(毒素)を産生する。予防策は、アルコール手指消毒薬には耐性を示すため、院内ケアに際しては、医療従事者はケアの前後で流水・水道水にて手洗いすることが予防策である。

院内における包括的感染症対策

1970年代から先進国を中心に包括的な院内での感染症対策が施行されてきた。しかし重要なことは院内全体での取り組みが不可欠という点だ。医療従事者は一人ひとりが医療安全、感染対策を十分に認識する必要がある。

現在、多くの医療機関では、インフェクション・コントロール・チーム(ICT)と呼ばれる組織や感染制御部といった部所が設置されている。




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