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接着とは分子間力と分子間結合

放送大学で学んだことを忘れないように記録しておこう。

「身の回りの材料・接着」という科目の授業を受けた。室内装飾系の商売柄、ものを何かに張り付けるのは、毎日の日課で時に問題になるから、この科目を履修した。

例えば、壁に壁紙を貼るとか、床にビニール製のタイルを貼るとか、ガラスに透明な飛散防止用のフィルムをはるなど、用途は様々で素材もみな違うものばかりなのである。

だから、材料の接着する仕組みにはとても興味があったし、どうすれば剥がれないように貼れるのか、またどうしたら剥がすことができるのかが、この授業の最大に関心事だったのである。

ファンデルワールス力と水素結合

接着とは、材料と材料をくっつけることを言い、分子間力によって材料同士を結合することができる。

その分子結合にも2種類あって、1つはファンデルワールス力、2つ目は水素結合だ。

1つ目のファンデルワールス力とは、分子間が引き合う力のことであるが、その力は極めて小さい。例え話で、重力と同じと言う人がいるが、正確には違うらしい。※詳しくは↓で調べてください(^▽^;)

2つ目は、水素結合といって水分子が強い結合力を持つというものだ。水が何にでもくっつくのはこの力の作用だ。

例えば、ガラスに濡れたハンカチを付けると落ちないのは、水素結合によって接着され、乾いても剥がれないのは、接着面の水の層が徐々に薄くなり、今度は分子間力が発生して落ちないのである。ただし間に空気が挟まれると空気には水素結合の作用がないので、落ちてしまうのである。

実際の現場では

実際の現場では、2つ目の水素結合の知識が役に立ちそうだと思い、実際に役立った。それは、水素結合はいわゆる「濡れ」の作用だということが分ったからである。

どういうことかと言うと、紙製のガムテープを貼る場合は、一度くっついてしまうと剥がすのが大変で失敗が効かないのに対して、液体タイプの糊を使用した場合、乾く間は容易に剥がすことができるが、よほど重い材質を張り付けなければ、接着面を垂直にしても簡単には落ちない。これが「濡れ」の効果だ。

これによって壁紙など、少し位置がずれて接着したとしても、数分なら簡単に直すことができるのだ。

乾かすと固まるは違うケースもある

よく糊を早く乾かそうと思って、水分を抜き硬化を早めようとする時があるが、それをやって良いのは水溶性のデンプン糊などの場合だ。溶剤タイプの場合は、水素結合の科学反応によって固まるタイプがある。

これは、水分子に反応して凝集性が高まるので、乾燥させ水分子を飛ばすことは、この凝集性(固まる)を阻害することになって、固まる強度が落ちてしまうのである。

だから、接着剤の横に書いてある、オープンタイム(硬化するまでの時間)を守って、その時間内に張り付けることが望ましい。

剥がすときは

これとは逆に剥がす場合は、水素が何にでも結合しやすい作用を利用して、水で濡らし接着力を弱めるのだ。切手を剥がすのも、この要領だし、障子を剥がしたり、シールをはがす時も水に濡らしておくと剥がれやすくなる。

一方で強力な溶剤タイプの接着剤(特に水に強いウレタン系)の場合には、水をはじくので簡単には剥がれない場合がある。その場合は、剥離剤(溶剤)を使用して凝集性を弱めるか、力で界面(接着面)を破壊するしかない。

このように材料によって、接着剤の種類を変え、濡れの効果を活かして、時に剥がす時の場合も想定しておくと、何かと生活の役に立つのかもしれない。

私の場合は、とても仕事に活かすことができて、この授業は活学であった。




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