見出し画像

HIV感染症

放送大学で学んだことを忘れないように記録しておこう。

2015年末現在、世界の感染者数は3670万人、新規感染者は210万人、死亡者数は年間110万人である。日本では約1000人の新規HIV感染があり、先進国中で唯一、新規感染者数のコントロールができていない。新規感染者の割合は、異性間の性的接触22.1%、同性間の性的接触77.9%である。またMSM(男性間性交渉者)である場合が多い。

治療法

抗HIV薬の進歩により、「正しく治療をすれば」HIV感染者も非感染者と同等の生命予後が期待できるようになった。

①多剤併用療法(HAARTT) 作用の違う3剤以上を組み合わせて行う。

②抗ウイルス療法(ART) HIV治療≒ARTと呼ばれることが多い。ARTの目標は、血中HIV-RNA量を検出限界値に抑え込むことであり、これにより免疫能(CD4)の改善が期待できる。

③日1回1錠の治療法(STR) 不完全な治療は耐性ウイルスの出現を誘導するため、薬剤の選択は慎重に行う。近年は新薬の開発は進み、複数の抗HIV薬を一つにまとめた錠剤も使用可能になり、このような配合剤を用いた、1日1回1錠の治療法はSTRと呼ばれている。

HIV感染症との関連と疾患

①精神疾患患者 50%以上のHIV感染者が精神疾患を抱えている。HANDと呼ばれる認知機能の低下もみられる。また精神疾患に伴い日和見感染症としては、コリプトコックス髄膜炎が最多である。その他日和見感染症としては、jcウイルスによる進行性多巣性白質脳症、神経梅毒やヘルペス脳炎の頻度も高い。

②脂質代謝異常  感染者に多い生活習慣(アルコール、運動不足)や多くの抗HIV薬は脂質代謝異常を引き起こす。また、HIVの感染自体によりHDLコレステロールが低下するとの報告もある。

③骨代謝異常 感染者での骨減少症は67%に認められ、身体活動の低下、サイトカインの影響が示唆されているが、抗HIV薬による影響も大きい。

④喫煙 新たにHIVに感染した人の中で、喫煙者は60%、非喫煙者は39%と有意差があり、喫煙しているとHIVに感染しやすいと主張している専門家もいる。また喫煙していると、肺炎、結核、細菌性肺炎を合併しやすいという研究もある。

⑤ワクチン ガイドラインによりHIV感染者には多種のワクチンが推奨されているが、実際には接種率は少ない。理由はワクチンが敬遠されている場合と接種費用が更生医療でカバーされない経済的な面も影響している。

⑥妊娠・出産 新規HIV感染者のうち若年女性感染者が増加しており、今後HIV母子感染に携わる機会が増える予想がある。しかし母子感染予防を適切に行えば、母子感染を1%程度に低減することが可能である。※母子感染対策①妊娠中の抗HIV薬投与②選択的帝王切開術による分娩③出生児への抗HIV薬予防投与④母乳の禁止


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?