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近所の歩道橋みたいなもの、たくさんある

 近所に歩道橋があります。
 ボロボロのやつ。

 すごく昔に作られたものであり、小さい交差点でスペースも少なかったので歩行者専用の歩道橋でした。
 そして、自転車用には自転車専用の横断歩道が敷かれていました。

 歩道橋の真下にある自転車専用横断歩道。
 これが意味する所は皆さん容易に想像がつくと思います。
 そう、誰も歩道橋を使わないのです。

 歩行者達は「己は自転車である」と自己暗示をかけ、自転車専用横断歩道を渡っているのです。
 まあ至極当然。そりゃわざわざ登りたくないですよ歩道橋。目の前に実質横断歩道みたいなものがあるなら尚更。

 交通量の多い交差点かつ見通しがそこまでよくないため、非常に危険(実際過去に事故が起きたらしい)。
 そしてついに自転車専用横断歩道が塗り潰されて消去されてしまいました。

 なんか道路工事が始まったので(ついに歩行者用の横断歩道が……!?)と胸躍らせていたのですが、現実は非情。
 歩行者は黙って歩道橋を登れという静かな(しかし有無を言わさぬ)メッセージを感じ取りました。

 まあちょっと遠回りすれば一応信号はあるのですが、駅への最短経路は自転車専用横断歩道のコース。
 若干不便は感じますがまあ安全には代えられません。歩行者達も徐々に信号の方へ流れていました。

 そんな折、再びの工事。
 しかも今度は歩道橋の工事。
 もういい加減ボロボロの歩道橋を遂に撤去して信号と横断歩道の設置、道路も見晴らしがよくなり歩行者も最短経路で歩けていい事づくめ!

 ……という工事かと思っていたのですが、終わってみればなんということはなく、ピカピカの手すりが設置されただけでした。

 まあ歩道橋を撤去できない理由はなんとなく想像できます。
 この歩道橋、上にも下にも電線が張り巡らされているんです。しかも交差点なので結構あちこちから電線が通って結構大変。
 歩道橋の撤去工事をするとなると電力会社や電話会社と連絡取って色々調整したり周辺の住民への告知をしたりと莫大な時間と金がかかるのでしょう。
 これが仮に歩道橋新設工事であれば「近くに歩行者が渡れる場所が一切なくて困っている人が大勢いる!」などの背景から工事を推し進められるのでしょうが、今回に関してはまあちょっと遠回りすれば信号もあるしそもそも歩道橋を登ればいいという話でしかないのでわざわざ工事して歩道橋を撤去して信号と横断歩道を作る、なんてことは優先順位がとても低いのでしょう。
 いやまあ上記の背景は全て想像なんですけどね。真相は神のみぞ知る。


 ということで撤去するでもなく使われるでもない歩道橋の話でした。
 タイトルに沿って言い換えると「理想的な状態はあるけどなんか諸々の事情があって現状+αでなんとか維持・運用されている設備・施設って結構あるよね」というお話でした。

 ここは強調しておきたいのですが、「諸々の事情を解決して理想的な状態にすべき!」という主張がしたいわけではなく、「そういうどうしてこんなことに……?みたいなものを見つけた時に(もしかしたらこんな背景があるのかもしれない……)と想像を張り巡らせるのって楽しいですよね?」と言いたかったんです。
 想像や妄想、あらぬこじつけとか大好きなのでこの歩道橋みたいなチグハグなものを見ると作られた背景に思いを馳せてしまうんですよね。
 歩道橋にだって作り手の想いみたいなものはあると思うので。

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