ふじてゃん!

渋谷区生まれ渋谷区育ち、ゆとり第1世代。日々積み重ねている答えのない思考を、只々書き留…

ふじてゃん!

渋谷区生まれ渋谷区育ち、ゆとり第1世代。日々積み重ねている答えのない思考を、只々書き留めています。

マガジン

  • フクオカシティ アンダーザナイト

    主人公が福岡で体験した、摩訶不思議な出会いと別れ

最近の記事

心の、ゆとり。

あるコラムで、「他人のせいにしないこと、他人に期待をしないことを実践出来れば、人生の多くは上手くいく。」という考えを目にした。 この2つは実は密接に関わっていて、どちらかを等閑にすると、他方を叶えることは難しくなると僕は思っている。 何かの過ちとか上手く行かない事があった時に、謙虚になって「あの時自分はこうしてれば避けられたかな」と振り返るとか、そういう事態が起こる前に避けようとすることは、他人のせいにしないことに繋がるんだと思う。なぜなら自分が想定できる範囲に事が動くから。

    • 寒さの中の温もり

      衣替えをした矢先に雪が降るような季節。あと少しすれば「今年の桜は散るのが早いな」と、例年通り思うのだろうか。 以前、観劇した舞台の中で、こんなセリフがあった。「徳川が滅び、時代が変わっても、この桜は相も変わらず、咲いては散ることを繰り返してゆくのだろうな。私たちの大切にすべきことは、そういう景色だと思わぬか—。」 劇中では叙情的なシーンであったが、こういった感慨は私たちの生活の中においても実は多い様に思う。 毎朝会う掃除のおじさんとの挨拶。道に横たわっている

      • 第4回〜真夜中の雨音と僕が見た夢〜

        夜の雨音は静かに、僕を眠りの淵へと誘う。 アスファルトを叩く軽い音や、走る車の音なんかに耳を澄ませてみると、なんだか落ち着かなかった気持ちも安らかになってくる。目を閉じると、幼少期に部屋から見下ろした、雨に濡れてキラキラ光る夜の環状線の姿がありありと浮かんでくるのだ—。 ある日の真夜中、僕は眠れずにいた。明け方に台風が直撃をする予報であった。テレビを点けると、台風情報と選挙速報が代わる代わる流れていて、盆と正月が一緒に来たような夜だった。 フッと意識を失って、その後

        • キミに幸あれ。

          親友が結婚式を挙げた。これは僕の人生の中でも最も喜ばしい出来事の一つだった。 結婚はシアワセだ。本当にそう思う。けれど結婚しなきゃシアワセじゃないのかと言われれば、それは絶対に違うと思う。 テレビのバラエティ番組、映画、漫画や、その他様々なメディアで取り沙汰される「結婚できない人たち」。そしてそれに抗う「結婚しない人たち」。ショービジネスとしては面白い題材かもしれないけれど、現実に生きる僕にとっては「いつか、宇宙旅行に行ってみたいなぁ」という様な感覚に近い。結婚す

        心の、ゆとり。

        マガジン

        • フクオカシティ アンダーザナイト
          2本

        記事

          第3回〜無意味な無限大〜

          「おい、こうし。さっきから黙っちゃって何考えてんだよ。…なぁ?」 俺の人生はあの時に終わってたんだよな。いや、もっと前か。わかんねぇや—。 頭の中で考えていただけか、口に出して言ったのか、自分でも分からないくらいに俺は酔っていた。 俺はいつからか、この店で夜な夜な飲んでは過去を思い出し、過去に囚われていた。 人生のターニングポイントは高校2年生の頃にあったと思う。その転機の良し悪しは別として、間違いなく人生最大級の転機だった。 俺は片目の視力を失くした。

          第3回〜無意味な無限大〜

          第2回〜あるのは果たして希望か〜

          「アナタが家を出て行くと淋しくなるわねぇ。私の話し相手がいなくなっちゃうわ。」 母は父と離婚してから、彼女なりに息子2人を必死に育ててきた。父は時々この家へ顔を出し、3人に向かってあれこれ厳しい事を言って帰っていったので、僕はまるで子供3人で時間を過ごしてきた様な感覚を抱いている。ただそれは、息子たちが精神的な圧力に耐えられるように与えた緩衝材のような役割を、母が全うした結果だったのかもしれない。 「お酒はバレーボールの帰りだけにしてよ、家で飲む機会が増えてからお

          第2回〜あるのは果たして希望か〜

          許せるオトコ

          小さな頃、アニメかなにかのキャラクターが「オレをことはいいけれど、オレの大切な人たちを傷つけるのは許さない!」という様な事を言っていた。当時の僕はなんとなく、かっこいいなぁと思っていた。前半部分のセリフに、他人のことを許せる寛大さを感じたからだ。最終的に許さないと言っているのも、自分のためではなくて、他人のため。そんなところが抜群にかっこよかった。 このなんとなく描いた僕の理想像へは未だ、道半ばである。 許せるオトコになりたい。 僕には1つだけ、どうしても許せないこ

          許せるオトコ

          空虚な街、東京

          「どこへ行っても人でごった返している。」「眠らない街、東京」とはよく言うが、全くそんなことはないと僕は思う。あるいはこの街には誰もいないのかも知れない—。 とはいえ東京には、そこを礎にして長年自分たちの暮らしを送っている人たちが一定数存在する。僕もその部類に属していたのであるが、四半世紀以上その暮らしを続けていて感じることは、その人たちの"あきらめ"である。 東京は日本の首都であり、経済や文化の中心といえる。しかし、その渦を起こしているのは街そのものではなく、紛れもな

          空虚な街、東京

          第1回〜あの頃見た夢は〜

          「一生懸命やったし、どうやら評判のいい大学みたいだから、ここに決めようと思ってるんだ。それで入学金が…」 2月までの戦いを終えて、表情から安堵感が滲み出ている息子は、大学進学に向けての手続きの為に私の元へ訪れてきた。 「悠司は金のことになると丁寧だな、まったく。」 「だってお金ばっかりは今の自分じゃどうにも出来ないからね。それにほら。締切日が今週末なんだよ。」 差し出された振込用紙には確かに4日後が締め切りと謳われていた。 「お前な、4日後に30万円も用意してくれって

          第1回〜あの頃見た夢は〜

          桜が緑に変わるまで

          僕にとって春の訪れは、その他の季節の移ろいと違って上手にシフト出来ないことが多い。僕は春が嫌いだった。 僕は卒業や入学で変化する生活に対応しきれなかったために、世間が桜の存在を忘れるまでの間は1人で過ごすことが多かった。新たな環境に対する不安と過去の別れがない交ぜになって、今目の前にある現実を見据えることが出来なかった。 とりわけ僕をナーバスにさせたのは、言えない別れの言葉だった。さようなら、今までありがとう、と言えた別れは幸せだと思う。さようならの言えない別れは存外

          桜が緑に変わるまで

          好きって言いたい

          2人の人間がいれば、考え方は異なるし互いへの感情も違ってくる。 ここに出会いたての男女がいます。1回目の食事を経て、女性は俄かに男性へ好意を抱きました。一方男性も、女性をさらに知りたいと思っているようです。 ここで女性は、もっと相手を知りたい、近づきたいと思い、男性に交際を申し込みます。しかし彼はひどく困惑してしまう。なぜなら、互いの本域を殆ど知らないために、好きかどうか分からない段階だったから。 …さて。2人の行く末はいかに。 話の結末はさておき、僕は「好きのハ

          好きって言いたい

          その2 僕らが見上げた夜空はいつだってひとつじゃない

          アヤは化粧気のないキレイな女性だった。口角の上がった口元からは快活さが伺える。 「待たせちゃってごめんなさい、寒いですよね。これ、カイロ。温めてきたので使って下さい。」彼女は寒そうに肩をすぼめながらそれを手渡し、俯きながらも僕の目を見て笑った。 「博多市内は歩いて回れるんです。この今泉のエリアから少し歩けば中洲の屋台が並ぶところも観に行けますよ。」—博多は本当に良い街だから、せっかく来た人には楽しんでもらいたいんです。そう呟いたアヤの背中を僕は追いかけた。 かくして僕ら

          その2 僕らが見上げた夜空はいつだってひとつじゃない

          リラクシング

          僕は年始に1年の目標を掲げることにしている。ただ、この目標を1年間通して意識して生活するのはなかなか難儀である。そこで僕はその年の目標を書に認めることにしている。いわゆる書初めである。 今年の目標は「楽に生きる」。 仲間からは、読んで字の如く楽して生きるというような内容として捉えられているらしいが、本義は異なる。 ここ数年の僕は、出会う人に対して誠意を持って向き合いたいと思っていて、いつでも真面目に対峙してきた。それは時に優しく、時に不器用に歪んで厳しくなってしまうこ

          リラクシング

          その1 此のよは幾重にも重なって

          深夜0時が迫る頃、僕は駅前でアヤと待ち合わせていた。東京とさして変わりのない、しかし何処かどんよりした福岡の見慣れない街を見上げながら歩き、降りる人も疎らな駅の出口でアヤを待った。 福岡で過ごしたこの1日は惨憺たるものだった。20年ぶりに再会した親戚の結婚式は感情を移入する隙間さえなく、まるで地球の裏側で貧困に苦しんでいる子供たちを、自宅のテレビでぼんやりと眺めている様であった。 ホテルに戻ると、何に対してなのかも分からない喪失感が僕を襲ってきた。たまらずシャワーを浴

          その1 此のよは幾重にも重なって

          夢を捨てた

          僕は今空港に来ている。1ヶ月くらい前に突然父親からの電話が鳴り、嫌な予感を抱きながらその電話を取った。「来月末、福岡で親戚の結婚式に参加するからそのつもりで。」僕の予感は外れた。僕は飛行機が好きなのだ。 子供の頃聞かれた。キミの将来の夢はなんですか。ことあるごとに聞かれた。あるとき、この頃の記憶は妙な焦りを生んだ。僕には将来の夢がなかった。 大学生の時分、僕は航空宇宙分野を専攻していた。その4年間、僕はある種の催眠状態にあった。航空業界で働くことが夢だ、そのために大学

          言葉にできない想いをつらつらと

          僕は数年前、自由を勝ち取りたい一心で実家を出た。幼少期から大人になるまでプライバシーのない狭いマンションで暮らしていた僕は、漠然と一人暮らしを始めることが自由への繋がりだと思っていた。 満を辞して得た新生活で安らぎを感じたのも束の間、僕はお金や時間の制約に囚われてしまった。慣れない家事と向き合いながら浪費する時間、生きていく為だけに必要なお金。 実家で暮らしていた頃には感じなかった自由が過去にはあったことを知る。そして自由を求めていたはずなのに、知らず知らずのうちに不自由

          言葉にできない想いをつらつらと