Vol.428 6月16日 比較(長文)

Z fc + NOKTON35mmF1.2 

先週、自分の中でビッグイベントが終わりまして。その余波で、少しボケっとしていました。
ということで1週間ぶりですね。

今回はみんな大好きの比較です。
比較対象はNOKTON35mmF1.2とZ NIKKOR 35mmF1.8S。
ボディはZ fcです。画作り設定はスタンダードです。

1枚目はf/1.2でノクトンしかないので取り敢えず参考程度に。
f/1.2ってこんな感じに写るんだーってノリで見て下さい。

撮影距離はピント位置まで大体3-4mくらいです。
なぜにこの距離?ってのはあるかも知れませんが、自分の中でのいろんな比較撮影して、比較する意味があるかな?と感じた平均値がこの辺だったから、という理由です。
実際問題として無限遠で撮るような遠景ってそれほど撮らないし、50mも離れると大気の状態によって写りが全然変わるからね。だから、遠景比較ってそもそも比較テストとしては適していないと考えています。
時々遠景でビル撮ったりして比較してる人が居ますが、あれってどこチェックしてるのかな?と。無駄では無いけど意義は薄いと思います。季節でも全然写り違うし風とか湿度でも変わっちゃうくらいに遠景比較はシビアというか大気が与える影響がものすごく大きいです。

そういった諸々の影響が小さくて、かつ撮る頻度が高そうな撮影距離で、ボケが汚く見えそうな撮影距離ってのが個人的には3-4mでした。

それでは比較です。

NOKTON35mmF1.2のf/1.8
Z NIKKOR 35mmF1.8Sのf/1.8(開放)
100%で右側のオブジェ

個人的にはNOKTON35mmF1.2はボケが汚ねぇと思いました。
Z 35mmF1.8Sはクッキリ写ってるけどボケが少しうるせぇと思いました。

100%で左下

個人的にはNOKTON35mmF1.2は色収差がワッショイだな、と思いました。
Z 35mmF1.8Sはまぁまぁキレイだな、と思いました。
だけどNOKTONのがちょっと柔らかくて良い感じだとも思いました。
良い悪いじゃなくて好みの話です。

こんどはf/4.0だぉ
同上。左がNOKTON、右がZ35mmね

絞ると全然変わんねーな。さっぱり分からんです。背景のボケ感も前ボケの色ズレも。強いて言えばZ35mmのがキレイな気もしますが、誤差です。他の部分で言えばNOKTONのが画角が気持ち狭い。基準を変えるとZ35mmの画角が気持ち広い。

設計を味わいに振った、と言われているNOKTON35mmF1.2と、光学性能に情熱を注いだZ35mmF1.8Sの違いってのは大きいようで実際にはそれほどでもなくて、違いが出るのは絞り開放からf/3.5くらいまで。それより絞っちゃうと「ほぼ同じ」もしくは「誤差」です。レンズの描写比較ってのは主に開放絞りから2段弱程度の、とても微妙な領域のお話をしています。

一般的にはチャートを撮るって方法が定量比較の手法としてありますが、現実世界で平面ばかり撮る人にしかあのチャートの結果は役に立ちません。
ってのが、世界は立体だからね。
自分は二次元世界に生きているって人はチャートは聖書となりますが、私のように三次元世界を生きる人にとっては怪しいセミナーのチラシ程度のものにしかなりません。
世の中には「立体チャート」なるものもありますが、所詮はチャートなので、実写結果とチャートの成績からくる印象が一致するか?と言われれば、まぁ多くの場合で否で、限られた条件でそのレンズの性格を表すのには適していますが、そのレンズのすべての表情を見ているワケではありません。
今回の、というか私がWebカメラマンなどで撮ってる比較シーンについても「この条件であれば」という注釈が付きます。

上述の通り、絞り開放から2段弱の間にそのレンズの性格が出ると思っていて、F1.4のレンズならF2.8くらいまでかな?それより絞っちゃうと最近のレンズでは特に、になりますが余程のことがない限りは描写はほぼ一緒です。
中には絞ってもクソみたいなレンズもあるけどね。でもそういうレンズは性能じゃなくて楽しさとか特殊な描写を楽しむ目的で設計されていたり、そもそも設計が古かったりするので、横並びで比較することに疑問を感じます。異種格闘技戦だよ。やる意味としては剣道vs水泳とほぼ一緒で、エンターテイメントであって科学ではないです。
もし比較してレンズ選びしたいなら、最大撮影倍率とか最短撮影距離を比べたり、サイズと重さで比べたりするのが良いと思いますが、リアルなことを言えばお店で両方触ってみて気に入った方を選ぶのが最善です。それでも実戦で「なんか違う・・・」ということは往々にして在ります。

同じメーカーであれば、高い方がAFが良いことが多いです。距離計とモーターが良いんだね、高いヤツは。距離計が精密だとピント精度が安定して高くなるし、モーターが良ければ速くて高レスポンス。つまり、撮影中は基本的に快適です。移動中はデカくて重いから苦痛であることが多いけどね。

フィルム時代と違って、電子機器は日進月歩でパーツが新しくなり、古いものは値段が上がったり入手性が困難になるので、その製品の実質的な寿命はパーツの入手が困難になったタイミングです。
リアルな話をすると寿命は5〜10年くらいかな、現行品は。電子部品以外にも環境対応でガラス材の入手が困難になる場合もあって、唐突に修理不可になる場合もあります。
ほら、元祖カミソリマクロのシグマの70mmはガラスの都合で新型になったよね。

結局、気になった時に無理なく手の届くものが良いレンズだと思っています。時には、背伸びしてでも手に入れたいと思う場合もありますが、その時は心のままに勢いで買うのがオススメです。
ってのが、買ってみないことには話が始まらないから。所有してみて初めて分かることは非常に多いです。

話を比較に戻して、こうやって比較してみても画像から分かることというのは極々一部です。実際にはAFだったり撮影中の楽しさとか、フットワークの軽さとか、そういった諸々の複合技で印象が左右されます。
Z35mmは写りは良いんだけど、動画対応でブリージングが少なくてAFしてる時にピントが動いている感覚が薄い&そもそものZのAFがアホってのもあって、メチャクチャ印象が悪い時がありますが、それは私がEVFを睨みつけて撮るから、というスタイルがある程度関係していると思います。
NOKTON35mmにしても、MFが楽しいし写りも好きだけど、ずっとコレが楽しいか?というとそうじゃない気分の時もあるので、勧めるのはワリと難しいぞ、とも思っています。

収差は悪だ、みたいな風潮がありますが、モノクロだと別に気にならなかったりします。

1枚目のモノクロ版
並べるとこんな感じ

極端だけど、モノクロだと別に色ズレしてても気にならないでしょ。いろんな収差があるから、これに限った話ではないけれど、画作りや表現によっては収差は別にどうってこと無いって話です。

 ↑ じゃ書ききれなかったことを綴りました。
ではでは

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