40代男が800個のお弁当を作ってみてわかったこと

私は東京都内に住む40代の勤め人で、普段は企業のWebマーケティングを支援する仕事をしています。妻と私の二人+愛猫一匹の暮らし。

平日の朝、お弁当を作っています。
2個のことがほとんどで、妻と自分のため。2個編成と呼んでいます。
たまに3個、4個編成のことがあって、これは家に打ち合わせに来る妻の仕事仲間や、近くに住む妻の両親にも作ることがあるからです。

結婚する前に一人暮らしもしていたので料理をしたことがないわけではありませんが、2年半前まで、お弁当を作る経験はゼロ。
そんな私がお弁当を作るようになり、気づいたら800個以上ものお弁当を作っていたのでした。

繰り返しお弁当を作るなかで自分なりに学んでいることがあり、まとめてみたいと思います。

この文章は、以下のような状況にいる方に読んでほしくて書いています。

・恋人やパートナーと仲良しでいたい
・仕事もプライベートも自然体で充実させたい
・アイデアを出すことが重要な仕事である

それではいきます。全部で7つあります。

目次:
1.毎日の暮らしが記憶に残るようになる
2.謙虚でいられるようになる
3.季節に敏感になる
4.頭の切り替えでアイデアが出る
5.外食が2倍楽しくなる
6.経済的である
7.広いキッチンがほしい

1.毎日の暮らしが記憶に残るようになる

日々は流れるように過ぎていきます。あっという間に1週間、1ヶ月、1年が経っていく。そのあっという間は、年を重ねるたび加速しているように感じられます。

流れる時間に抗っても仕方のないことだと思ってはいます。しかし、お弁当作りは思わぬところで「日々」と向き合わせてくれるものなのです。

過去に作ったお弁当の写真を見ながら、妻と話すことがあります。すると、あのときこんなものを作っていた、とすぐに思い出せる。

話すうち、不思議とお弁当以外の話にもなり、どこに行ったとか、あのお店は美味しかったからまた行きたいね、などという、これからの話にまで広がっていくのです。
毎日食べるお弁当の記録が残っていることで、日々を思い出すための扉が用意されている状態なのかもしれません。

私の場合、お弁当作りとInstagramへの投稿とはセットです。
朝、だし巻き卵を焼いて曲げわっぱにごはんやおかずを詰めたら、自然光が採れる窓際にお弁当を並べてiPhoneで写真を撮り、いつものハッシュタグと短いコメントを加えてInstagramに投稿する。

一連のプロセスがすべてお弁当作り。
言ってみれば、Instagramアカウントにお弁当の写真を上げて日々の記憶をストックさせているようなものです。

Instagramといえば「今」を共有し、24時間で消えるストーリーズという機能が人気ですが、一方で通常のフィードの投稿を通じて記憶をストックするように使っている人も大勢います。

過去と現在を行き来するような奥行きのあるストーリーを生み出せるのはむしろフィードの投稿のほうじゃないかな、と私は思っています。

2.謙虚でいられるようになる

冒頭に申し上げたように、私は40代です。
40代になると、仕事ではそれなりになってくるものです。いや、実際にはそれなりを求められるようになる、と言うほうがいいかもしれません。

役職につく、つかないに関わらず、現場を離れ、後進をサポートする立場に回る仕事の割合が増えてきます。
そのこと自体はわるいことではないし、後進の活躍の場をつくるためにもそうあるべきだとは思うのです。

ただ、上に立つ役割を少しでも生きはじめると、まるで自分がえらい人間になったような錯覚に陥ってしまうことがあります。その罠には注意深くあらねば、と思っています。

お弁当を作りはじめて気づいたことは、妻はもちろんのこと、たくさんの女性たちが毎日料理を作っていて、自分はそのいちばん後ろにいるんだ、ということでした。

クックパッドやInstagramに投稿している人はみな先輩で、気前よくレシピを教えてくれたり、作りたいと思わせるおかずのアイデアをくれたりします。
もちろん料理の先輩は投稿する人だけではありません。投稿しない人のほうがずっと多い。

クックパッドもInstagramもない時代から毎日料理をしてきたのは、たくさんの女性たちです。これはすごいことです。
その歴史と営みを感じながらキッチンに立つと、とてもじゃないですが傲慢ではいられなくなります。

自分がひとかどの人間である、という頭でいるせいで判断がゆがんでおかしな主張をしてしまう。そんな経験はないでしょうか?

お弁当作りを通して学んだ「ゼロから経験しなければわからないことがある」という認識は、仕事でもプライベートでも、わかったような気になってしまうことを一歩手前で踏み留まらせてくれているのです。

3.季節に敏感になる

春は筍、夏とうもろこし。秋は栗、冬の鯛。

毎週末、次の週の献立を固めると、私たちは近所のスーパーへ買い出しに行きます。繰り返しスーパーへ行っていれば気づくことですが、季節によって違うものが入ってきますし、同じ野菜、同じ魚であっても天候などの影響で収穫量が変わり、価格が変わっています。

なかでも面白いのが「旬のもの」です。旬のものは価格が安く、美味しい。その上、見た目にも美しい。
旬のものがスーパーに並んでいるのを目にするだけでも美味しさが伝わってくる。この季節はこれが美味しいよね、という感覚を料理好きな人と共有したくて、お弁当に取り入れてInstagramに投稿しています。

最近作るものがマンネリになっている、と思うことがありますが、そんなときには旬のものに目を向けます。そうすることで、食べたいものや次に作りたいものが見えてくるのです。
季節のものを感じ、楽しむ心は古くから日本人の美的感覚として備わっているといいます。これからもその感覚を失わずに持っていたいです。

4.頭の切り替えでアイデアが出る

私はよくもわるくも仕事人間です。
自分でいうのもなんですが、まじめに、一生懸命に向き合うタイプです。
とことん仕事にのめりこんで良い結果を出した成功体験もあり、そうするのが癖になっているのでしょう。休みの日にもずっと仕事のことを考えてしまいがちです。

しかし、仕事からの切り替えがうまくできないと、体力的にも精神的にもマイナスになります。
特に40代になってからは、身体に無理が効かなくなってきましたし、物事がうまくいかないとき、出口が見えずに暗い気持ちのまま凝り固まってしまうこともありました。

ときどき仕事アタマを無理にでも引っぺがさないことには、妻や自分を辛くさせることになってしまう…。
そう考えるなかで見つけたのが料理であり、お弁当作りでした。

料理やお弁当作りはやってみると楽しいです。
簡単なように見えて、奥が深いのです。段取りを考え、マルチタスクで複数のおかずを作っていくことが求められますし、さまざまなレシピがあり、一つの食材をいかようにも調理できる。

腰を据えて取り組まなければ続きませんし、集中が必要で、料理やお弁当作りをしている間は、だんだんと仕事アタマをはがすことができるようになりました。

頭が切り替えられるようになると、仕事について別の視点から冷静に見つめる余裕ができたり、新しいアイデアも生まれやすくなるようです。

アメリカの広告マン、ジェームス・W・ヤングは不朽の名著『アイデアのつくり方』のなかで「新しいアイデアは既存の要素が組み合わさってできている」と書いています。

仕事とは別の分野で楽しむことで、オンとオフを行き来することが可能になり、新しいアイデアが生まれる
のかもしれません。

5.外食が2倍楽しくなる

お弁当を継続的に作るようになって、平日の昼はもちろん、平日の夜や週末も家で食べることが多くなり、外食の数がグッと減りました。
暮らしのリズムが家で食べることを中心に構成されるようになったからだと思います。

その分、外食の位置付けが大きく変わりました。端的にいうと「リサーチ」の意味合いが加わるようになってきたのです。

ふたりで美味しいものを食べます。
美味しかったね、という感想を言い合います。
そこまでは同じ。
そこから「これ、調味料は何を使ってるんだろう?」「ウチでも作れないかな?」と続くようになりました。

つまり、美味しいと思ったものの味を、自宅で再現する視点を持つようになったのです。

これも楽しいです。美味しいと思うものはお弁当にかぎらず、夜ごはんのメニューにも取り入れられます。外食が楽しみの場であると同時に、インプットの場にもなっているというわけです。

この視点を持ってから、何となくではなく意図を持って外食する店やメニューを選ぶようになりました。
美味しかったものに対する最大級の賛辞に「これはどうやったってウチでは作れないよね!」という言葉が出るようになったのも、この視点を持ってからでした。

外食の数こそ減りましたが、外食したときには、そこで出てきたひと皿ひと皿を濃密に楽しんでいるように思います。

6.経済的である

5と関連するのですが、外食と自炊では出費にも大きな違いがあります。
共働きの私たちは2年半前にお弁当作りをする前、多忙になると外食が多くなってしまうことがありました。

そのときと比較すると、毎月の食費は約50%以下におさえられています。

前述したように、お弁当の材料は週末にある程度まとめて買い出しに行きます。行く前に話し合って、その週のお弁当と夜のメニューもだいたい決めてしまうため、外食の機会も自ずと減る、というわけです。

お店で食べた場合の値段と、スーパーで買って自分で調理して食べる場合の値段はまったく違います。
調理するには自分の時間を使うわけですが、これまで述べてきたプラスの側面を加味するとずっと経済的である、というのが私の実感です。

美味しいものを自分で調理し、たまの外食はリサーチも兼ねて。このスタイルが、実利面も含めて自分たちに合っています。

7.広いキッチンがほしい

最後は将来のことについて触れてみます。
最近、私がこの世でいちばん好きな場所はキッチンかもしれない、と思うようになりました。

朝、キッチンに立って冷蔵庫から卵を出して割り、卵焼きを作ることは、ごくありふれた日常の風景でしょう。
それでも、キッチンに立って卵を焼くことから始まる朝の時間は、私の暮らしには欠かせない大切なものです。

食べることは誰でも日々のなかで繰り返し行なっていることで、生きているかぎりずっと続いていくもの。
だからこそ、広いキッチンで美味しいものを作りたい。

もう少し広くて、もっと自由に料理ができるようになるとよいなという気持ちが、この2年半のあいだでとても強くなってきました。

広くて明るいキッチンにどんな調理器具を置き、何を作りましょうか。大きな冷蔵庫に入れるものは? 窓があると嬉しいですね。季節の移り変わりを感じながら、春はジャムを煮たり、冬はコトコトと煮込み料理をしたり。

想像はいろいろと膨らんできて、これからが楽しくなってきます。
将来、広いキッチンのある家に住みたい!という宣言をして、この文章を締めたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。またどこかでお話できるのを楽しみにしています。 


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寳 洋平

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