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【活気がある「アクティブラーニング」を行う方法】 〜主体的にさせる工夫〜

 新しい教育の波はすでに全国各地に及んでいる。全国の各学校では、アクティブラーニング がすでに「活気的に」行われているはず・・・。
教育関係の仕事に携わっていない方々にはいまいちピンとこない「アクティブラーニング」を筆者(田中GT善将)が独自の視点で考える。

皆さんは、今教育業界で話題の、アクティブラーニング がどんな授業であるかご存知ですか?

アクティブラーニングとは、主体的かつ対話的に深い学習を行うことであるとされています。生徒が自分から、自身の課題に応じて問題解決をしていく姿勢や手法を身に着けるための総合的な機会を提供する手段として注目を集めています。

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教員や塾講師の先生ならお分かりかと思いますが、教科書をなぞるだけの学習を講義形式でいくらやっても、このアクティブラーニングにすることはできません。また、ただ単にグループワークにするだけでも、アクティブラーニング にはなりません。

一方で、「これがアクティブラーニングの正しいやり方だ」という決まったスタイルもなく、先生方の個性や、学校教育理念によっても変わってくる手法だと考えています。

私の勤めている学校では多くの先生がこのアクティブラーニングに該当する手法で授業や、教育活動を行なっていますが、はっきり言って、やり方の感覚を見つけるまで、なかなかうまく行くコツがわからない手法だとも思いますので、まとめておこうと思います。

1. 主体的な活動にするために

アクティブラーニング は主体的・対話的な深い学習。

主体的に活動するにはどうしたら良いか。

多くのノウハウがあると思いますが、私がお伝えするコツはたった一つです。

それは、

「当事者意識を持たせるオープンな問いかけをすること」

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例えば、今回はオーソドックスな、問題発問型の授業を例に考えます。(探求学習等は違う回で触れたいと思います。)

小学生の算数で、「A国の為替レートでは1ドル120円で、B国の為替レートでは1ドル150円で取引されている。日本人のあなたは、ドルで買い物をする場合、どちらの国で買い物をする方が得か。」という問題があったとします。

このような問題は「クローズドクエスチョン」と呼ばれ、答えが明確に一つに決まるような問いです。

答えはもちろん、「A国で買い物をするほうが得」です。

古い教育ではせめて、担当の先生が「なぜそう考えましたか?」という「オープンクエスチョン」で理由を述べさせる、ということまでは当たり前にさせられてたと思います。せめてもの論理的思考力を養う工夫です。

ですが、これだけだと生徒は楽しく勉強しないのです。

算数好きの生徒も、簡単すぎると退屈になってしまい、算数嫌いの生徒はちんぷんかんぷんになってしまい、何れにせよ工夫がなければ、大した魅力のない活動になってしまうでしょう。

これをアクティブラーニングで行う場合は私などは、このような問いかけをします。

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お分かりでしょうか?

一気に自由度が増しましたね。この問いを一人で1分考えさせ、3分くらいグループでシェアさせます。自由なだけあって、算数が得意な子はどんどん奇抜なアイディアを発送し、苦手な子も「あれ、テイストが違うぞ」と少しワクワクします。

ここからは、先生の雰囲気作りが物を言いますが、今回は問いにフォーカスを当てます。

その中で、大抵の生徒が、「A国で物を買って、B国で売ればお金が増えますね」と気づきます。アービトラージの基本的なスキームですね。

またある子は「A国で1ドル120円でゲットして、B国で1ドル150円で売れば、30円儲かるね。」と答えます。

「本当だね、同じ利益をお金だけでうむことができたね!実際にこのようなことがあるのか調べてみよう!」

と次は調査の時間をとり、生徒に各国の調査をさせます。

その流れのまま、「あなたなら、物で得をする?お金だけで得をする?またそれはなんで?」とまた1分個人で考えさせ、2分間でグループでシェアします。

さて、みなさまならここからどのような広げ方をしますか?

実はこの問いの意図は、物で売買をすると、具体的な価値を物で媒介している分、誰かのお役に立っているのですが、お金だけで得をすると、物を介していない分、誰かの物欲を満たしていません。実際には手数料など発生しますから、換金所の役に立っているかもしれませんが、趣旨はそこではなく、実際にサービスとして、価値をお金に変えことが重要であることを考えさせる授業へと転換することができます。

これは一つの例ですが、その生徒が「自分ならどうしたいか」という問いに対して、オリジナルの答えを言える場を与えられていますね。

物の価値が違うことを利用したお金を増やす方法があることを発見するだけでなく、そのさきの、なぜ物の価値が違うのか、を考えさせることもできます。国の地勢に話を及ばせることも、経済状況、インフラのお話に持っていくこともできます。

クローズドでない分、「みんなはどう考えたのかな」「私の意見に対して、みんなはどう思うのかな」とドキドキします。

さて、さらに質問次第ではもっと難解な物に深化させることもできます。

例えば、このようなシステムを作った会社があるそうです。

https://www.youtube.com/watch?v=04MusJL3xKs&feature=player_embedded&fbclid=IwAR2daFVrOpQgn6-2qhztRcdMO_lI5gZdtZPO07OnEVE-g2s6awHQzvRDjek

あなたはこのサービスが世の中に広まることに対して、賛成ですか、反対ですか?またなぜそう考えましたか?

あなたがあなたの国の法務省大臣だったとして、このシステムに関する法整備をどのように進めていきますか?またそれはなぜですか?

などなど、年齢によって問いや、学び取らせたい事項の質を変えられます。


さて、今回は活気のあるアクティブラーニングを行う方法について、「主体的」にフォーカスをして考えてみました。

次回は「対話的」の観点で考えてみたいと思います。

保護者の方には、ぜひ学校公開などで学校に足を運ばれた時、先生の発問やファシリテートが次の影響を子どもたちに与えているか、チェックしていただきたいと思います。

アクティブラーニング の質を決める、一つの指標になるかもしれませんね。

いつも応援してくださる皆様に田中GT善将は支えられ、幸せ者です。ありがとうございます!