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親の会や市民活動の広報マニュアル



はじめに

「人がなかなか集まらない」
「どうすれば、もっとたくさん参加してくれるのだろう?」

たとえば、僕はよくPTAの講演に呼ばれることがあります。

そのとき、普段なら招集をかけないとほとんど参加者が集まらないのに、僕がやると満員御礼になります。

いろんな会場で「こんなに人が来たことありません」と言っていただけます。

こんなことを聞くと、「あなたは有名だからでしょ」と思われるかもしれません。
「あなただからできるのでしょ」と。

しかし、参加者に「僕のこと知っていますか?」と聞くと、手を挙げる人は1割くらいなのです。

では、なぜ参加するのか?

それは、タイトルです。

講演の演題を見て、「うわー、知りたい」と思って参加するのです。

つまり、見せ方を工夫すれば、たとえ認知度が低かったり、有名ではなかったとしても人を集めることができるのです。

イベントを行う上で、何に気をつけ、どのようにすれば人が集まってくれるのか。そのことについて書いていきましょう。

ガンバってやっているのに誰も来てくれない……
どうすれば、人が参加してくれるのか分からない……
なにが課題なのかが分からない……

などなど、普段、思いを持って活動をしているけれど、なかなかイベント集客ができなくて困っているあなたに向けてまとめた記事です。

この記事を読めば、なにが課題かが分かり、具体的に取り組むことができます。

努力は、ただガムシャラにすればいいわけではありません。

適切な努力があります。

ぜひ、適切な努力を知って、今と同じくらいのコスト(お金や時間)で最高の成果を出していきましょう。

広報の3つのステップ


「広報」ときくと、ビラ作りやイベントページなどが思い浮かびますよね。

どんなビラを作ろう?
どこにビラをまこう?

などと考えがちです。

でも、ちょっと待ってください。

そのイベントは、ほんとうに「参加したい」と思える内容でしょうか?
お金を払ってでも「参加したい」と思えるでしょうか?

広報を考えるときには、順番があります。

1. 企画づくり
2. 広報計画
3. イベントを伝える


ざっくりと内容を決めて、スグに「広報」に移行していませんか?

まず、なによりも重要なのは、「企画」です。


いや、うちは少人数のイベントだから。
お話会でみんなで話すだけだから。
無料のイベントだから。

そんなふうに思って、企画づくりをなおざりにしていないでしょうか?


しかし、イベントて重要なのは「企画」です。

販売と考えると、イベント企画は、商品です。

どれだけたくさん広告をうったとしても、商品の魅力がなければ誰も買おうと思いません。

まずは、参加者が「参加したい」と思える企画を作っていきましょう。

1. どんな内容にする? 企画作り

企画書をつくろう

イベントを企画するときにオススメなのは、簡単な企画書を作ることです。

「助成金をとるため」「誰かに見せるため」ではなく、自分たちのために作ってください。

自分たちが「このイベントはこういう企画だ」と認識するためのものです。

企画書を作る作業を通して、企画内容を作っていくことができます。


企画書は、A4サイズに1枚でいいです。

あくまで企画を作るためなので、企画書を作るために事務作業を増やしても本末転倒です。

僕は、一人で新規の企画を練るときには、だいたい15分から30分くらいでざっと企画書を作ってしまいます。

慣れていなくても、話し合いながら2時間くらいもあれば充分作れるでしょう。


では、具体的に企画書に書く内容についてみていきましょう。

そのイベントは、なんのため?

企画をつくるとき、まずは「目的」を明確にしましょう。

なんのためにおこなうのか?


ここがイベントの骨格です。

この「目的」が明確になっていないと、企画作りは始まりません。


不登校 親の会 だと、「保護者の気持ちをラクにしたい」や「不登校の保護者同士の繋がりをつくる」などでしょうか。

この「目的」をまずは、明確にしてください。

運営しているメンバーで話し合い、言語化しましょう。

「なんとなく分かっている」では、ダメです。

キチンと言語化することが重要です。


目的なんて、そんなに重要? と思いますよね。

しかし、目的がないと企画が考えられないのです。


たとえば、「保護者の気持ちをラクにしたい」のあれば、体験談をゲストに話してもらうといいかもしません。

でも、「ラクにしたい」と思っているのに、「こうするべき」と関わり方を押しつけられるような会ではどうでしょう?

目的に沿わないですよね?

つまり、「目的」が企画のリトマス試験紙になるのです。


「こんな感じでやろう」と企画を作っても、「いや、それをすると目的にはそぐわないよね」と言えるのです。

コンセプトを作ろう!

「目的」が決まれば、次はコンセプトです。

コンセプトとは、「誰に、なにを伝えるか?」です。


まずは、「誰に」の部分を考えましょう。

これは、ターゲットとよばれます。

「人が集まりません」とご相談をいただくとき、たいていはターゲットが曖昧です。


「来たいと思っている人に来て欲しいです」
「不登校の保護者なら誰でも」

など、ターゲットが決まっていないことが多いのです。


たとえば、日本人を集めるのであれば日本語の広告が必要です。外国人を集めたいのであれば英語や中国語など他の言語が必要ですよね。

ターゲットを設定しないことには、そもそも集客方法が具体的に決められないのです。

例えば、SNSをほとんどしていない人たちに、いくらFacebook広告をうったとしても集客につながりません。

東京在住の人に来て欲しいのに、大阪でビラを配っても効果はありませんよね?


ターゲットを明確にすることで、広報の仕方や内容を決めることができるのです。

そして、ターゲットを明確にすると、企画内容も具体的になります。


たとえ、「不登校の保護者」と言っても、子どもの年齢によっても悩みは違います。子どもの不登校歴によっても、知りたいことは変わってきます。

「いろんな人に参加して欲しい」という気持ちは分かります。

しかし、企画を作るうえで、ターゲットを明確にしないと、内容がどうしてもボヤけてしまいます。


そして、ターゲットを明確にしたとしても、ターゲット以外の人たちも参加してくれます。

なので、安心してターゲットを絞り込んでください。

次に、「なにを伝えるのか?」です。

さて、あなたはどんなイベントをおこないますか?
そのイベントで参加者になにを伝えたいですか?
どんなことを経験して欲しいですか?


たとえば、みんなで話し合う会をするとしましょう。

そこでは、なにを話すのでしょう?

話すことでなにを得られるのでしょう?


「不登校でもそこまで心配する必要ないよ」
「同じように悩んでいる人がいるよ」

など、イベントで「こんなことを伝えたい」という思いを言語化してみてください。

背景について考える

イベントを企画するときに、実は重要になってくるのは「背景」です。

背景を考えることで、参加者が集まりやすい企画を考えることができます。

背景とは、参加者の状況や社会情勢です。

もう少し言うと、「参加者を取り巻く現状」です。

と、言ってもよく分からないので、具体例を出しましょう。

参加者の間でどんなことが流行っているか?
参加者やイベントに関わることで、最近ニュースになったことは?
参加者やイベントにまつわる地域としての課題は?
参加者や業界で、今ホットなワードは?


たとえば、不登校で言うと、「隠れ不登校」という言葉をNHKが紹介して、大きな話題を呼びました。また、10歳Youtuberのゆたぼんなども問題になりました。

このような、最近ニュースになったことや参加者の人たちにとって関心が高いテーマを考えることで、「参加したい」と思える企画を作っていくことができます。

いよいよ企画づくり

ここまで、「目的」「コンセプト」「ターゲット」「背景」を考えてきました。

やっと、ここから企画作りです。

と言っても、ここまでしっかり考えることが出来ていれば、そこまで企画を作ることに苦労することはありません。

これまで書いた企画書をもとにして、内容を考えてみましょう。

まずは、ターゲットを思い浮かべます。

「この人に届けたい」という人を具体的に1人、想像してみてください。

これまで参加してくれた人や知り合いの人を思い浮かべてください。

出来れば、運営メンバーで共有できる人が良いですね。

ここでは、仮に貴子さんとしましょう。


貴子さんは、なにに困っているでしょうか?
貴子さんは、どんな情報が欲しいでしょうか?
貴子さんは、どんな場であれば参加しやすいでしょうか?
貴子さんは、なにをしたいでしょうか? 専門家の話を聞く? それとも、悩みを吐き出したい?


このように、具体的な人を想像することで、困ってることや悩みが立体的に見ることができます。

そして、「こんな企画が必要」というものが見えてきます。

ここまで書いた企画書を見返しながら、具体的な人を想像しながら、なにが必要か? どんな企画だったらいいかを考えてみてください。

簡単に企画を作れる裏技

私たちはボランティアでやってるので、なかなか企画なんて考えられない。
みんなで話すだけだから、企画なんてちょっと……。

そのように、企画作りになると少し億劫になってしまうかたもいるでしょう。

そこで、簡単に企画をつくれる裏技を教えましょう。

キーワードは、TTPです。

TTPとは、「徹底的にパクる」です。


自分たちでゼロから企画を考える必要はありません。

うまくいっているところ、うまくいっている方法など、良いところは徹底的にパクれば良いのです。


「いや、そんなのはダメです……」
「怒られるのでは?」

などと思うかもしれません。

たしかに、イベントタイトルをそのまま使ったり、まったく同じ内容をおこなうと問題でしょう。

しかし、真似をする、参考にさせてもらうのは、とても重要なことです。


『車輪の再発明するな』という言葉があります。

車輪ってもう世の中にありますよね。それをもう一度、ゼロから作ったところで意味がありません。

作ったものがあるならば、それを利用しない手はないのです。

では、具体的にどのように企画をつくっていくか?


まずは、参考にできそうなイベントを探しましょう。

ターゲットが似ている。
テーマが同じ。
目的が同じ。

などなど。

「不登校 親の会」であれば、他の「親の会」がどんなことをしているか見てみましょう。

違う分野でも似ているものは参考になります。

ビジネスマン向けの”お話会”はないでしょうか?

たとえば、読書会などは、かなりお話会に内容が似ているかもしれません。


まずは、参考にできるイベントや企画を収集しましょう。

そして、下記の問いに答えていってください。


・この企画で工夫されているところはどこか?
・この企画から学べるところは、どこか?
・私たちの課題(うまくいっていないこと)を解決するアイデアはないか?

特に収集する上で大事なことは、うまくいっている企画です。

満員御礼の企画や大盛況だったイベントを参考にしましょう。

活動レポートや募集ページを見れば、参加人数や盛況ぶりは確認できます。

結果が出ているところを参考にして、TTPしていってください。

そして、「なぜ、この企画は参加者に好評なのか?」を分析していきましょう。

参加者の声なども、とても参考になります。

企画を詰めていこう

企画書を見返しながら、企画の内容を考えてきました。

ここからは、具体的に企画内容を詰めていきましょう。

アイデアを企画に落とし込む段階です。


ここの段階で最終的に決めることは、「タイムスケジュール」です。

「いつ、なにをするか」です。

分単位で厳密に決める必要はありません。

だいたいの流れが決まっていればそれで良いです。


たとえば、「不登校の保護者たちが集まってお話会をする」だとしましょう。

10:00- 自己紹介
10:30 - お話会
12:00 終了

これくらいざっくりしたものでも良いです。

ただし、ここから具体的な内容を詰めていってくださいね。

自己紹介は、具体的にどのようにするのか?
お話会では、どのような座席配置にして、どのようなテーマについて話すのか?

このあたりは、”場作り”の話題になるので、こちらの記事を参考にしてください。

企画書をつくるための質問集


【目的】
この企画は、なんのためにおこなう? 
目的はなに?

【コンセプト】
だれに、なにを伝える?

【背景】
参加者の間でどんなことが流行っている?
参加者やイベントに関わることで、最近ニュースになったことは?
参加者やイベントにまつわる地域としての課題は?
参加者や業界で、今ホットなワードは?


【ターゲット】
この企画は、誰を対象にした企画?
ターゲットは、どんな人? 実在している人だと誰?
ターゲットは、どこに住んでいる?


【企画をつくるときの質問】
ターゲットは、なにで困っている?
ターゲットが望んでいることは?
ターゲットが「なんとかしたい」と思っている課題は?
ターゲットが今、知りたいことは?

企画書 具体例

僕たちがおこなっている「不登校 保護者向けの企画」をもとにして企画書の具体例を見ていきましょう。

【目的】
この企画は、なんのためにおこなう? 
目的はなに?


子どもが不登校になってどうしたらいいか分からない。
カウンセラーに「見守りましょう」と言われたけれど、具体的にどのようにしていいか分からず困っている。

そんな人たちが、ここへ参加することで、「このままでもいいんだ」「こうすればいいのか」というヒントを得て、前向きになって帰ってもらう。


【コンセプト】
だれに、なにを伝える?

・不登校の保護者(特に不登校になってスグ~半年以内)
・「不登校でも大丈夫だよ」「自分を責める必要はないよ」ってことを伝えたい。


【背景】
参加者の間でどんなことが流行っている?
参加者やイベントに関わることで、最近ニュースになったことは?
参加者やイベントにまつわる地域としての課題は?
参加者や業界で、今ホットなワードは?


・カウンセラーや病院で「見守りましょう」と言われる
・先生に出席しないと、進路が危ないと言われた
・学校に不登校の子は多いけれど、保護者同士の繋がりがない。誰が不登校か教えてもらえない。
・引きこもりの問題(8050問題)
・不登校の子がおこした事件


【ターゲット】
この企画は、誰を対象にした企画?
ターゲットは、どんな人? 実在している人だと誰?
ターゲットは、どこに住んでいる?


滋賀県や京都などのJR沿線に住んでいる人
不登校の子を持つ母親
積極的に発言できる人ではなく、内気で人前で話すのが苦手。
なんとかしたいと思っているけれど、具体的にどうしたらいいのかが分からない。
本を読んだり、講座に参加するなど学ぶ意欲が旺盛。
情報を入れ過ぎて、なにが正解なのか混乱している


【企画をつくるときの質問】
ターゲットは、なにで困っている?

→ 不登校のまま見守っていていいの?

ターゲットが望んでいることは?
→ まずは子どもが笑顔になって欲しい。外へ出るようになって欲しい。

ターゲットが「なんとかしたい」と思っている課題は?
→ 見守る以外の関わり方を知りたい。苦しんでいる子どもになにかしてあげたい。

ターゲットが今、知りたいことは?
→ 自分が出来ることを知りたい。なにをすればいいか具体的な方法を知りたい。

企画チェックリスト

◇ 参加者が今の倍、+1,000円出しても来たくなる内容か?

◇ ターゲットになる人へイベントを伝えたら「行きたい」と思える内容か?

◇ ターゲットは、どんな人なのか明確になっているか?

◇ ターゲットの困りごとや悩みが理解できているか?

◇ ターゲットが知りたいこと、解決したいことを提供できる企画か?

◇ 企画内容は、目的に沿っているか?

◇ 背景を踏まえて企画を作っているか?

◇ 企画をつくるとき、他の団体やイベントを参考にしているか?


2. 広報計画


何人に来て欲しい?

企画内容が決まると、次は広報計画です。

具体的にどのように集客していくかを考えます。

でも、ちょっと待ってください。

どうやって広報をするかを考える前に決めることがあります。

それは、「何人に来てほしいか?」です。

たくさんの人に来て欲しい気持ちは分かりますが、人数によって取り組む広報活動は変わります。

広報には必ず制約があります。

かけられるお金、かけられる時間、かけられる手間、取り組める人数。

無料やワンコインくらいの参加費で活動をされているところでは、ほとんど予算はかけられませんよね。

制約がある中で最大の成果を出すためにも、ゴールは明確にしましょう。

3人を集めるのであれば、広報ツールがなく、LINEやメールだけで済むかもしれません。

しかし、100人集めるのであれば、それなりに広報が必要になりますよね。

まずは、このイベントに何人集めるのか。

この数字を決めてください。

なかなか人数が集まらなくて困ってるというかたならば、これまでの参加者の1.3倍から1.5倍くらいを目安にするといいでしょう。

目標を高く掲げすぎると、しんどくなるし、来なかったときの落胆も大きいです。

実現出来そうな目標を作り、「やった! 集まった」という自信を深めていってください。

そうしていくと、集客が楽しくなります。

人が来てくれる自信がつくと、企画作りにも精が出ます。

「もっとこんなことしたいな」と思うことができます。

集客人数を決めるときにオススメなのは、ABC目標を立てることです。

A目標は、理想です。これくらい集まったら最高という数字。
B目標は、なんとかこの数字を達成したいという目標。
C目標は、この数字は、確実に達成できるという最低ラインです。

この3つを作ることで、広報活動をしながら適宜、修正をかけることが可能になります。

広報は、数字がすべて

目標人数が決まれば、いよいよ広報が始まります。

広報で重要なのは、数字です。

「数字は苦手で……」というかたも安心してください。

そんなに難しくありません。

まずは、数字を出来るだけ把握するところから始めてみましょう。

これまでのイベント参加者数、ビラ配布先や配布枚数、ホームページやブログのアクセス数、Facebookのいいね数。

広報に関わるすべての数字を確認してください。

過去にイベントをおこなっている場合は、イベント開催の前月と当月だけで良いです。

これからイベントをおこなう場合は、まずは今の数字、ここ1ヶ月を確認しましょう。

ホームページやブログであれば、可能ならばアクセス経路も確認してください。

アクセス経路とは、どこからホームページを訪れたかということです。

Googleで団体名を検索した。

Googleで、「滋賀 不登校 親の会」で検索をした。

Facebookを見てきた。

誰かのブログからきた。

などなど、Google Analyticsを見れば、確認することができます。


「いや、よく分からない……」と、思うかたもいるでしょう。

「パソコン関係は苦手なので……」と、怖じ気づいてしまうかたもいると思います。

でも、大丈夫です。

イベント集客は、いかに人を巻き込んでいくかが勝負。

ぜひ、知っていそうな人に聞いてみてください。

「ブログのアクセスを調べたいから、Google Analyticsの使い方を教えて」と。

お子さんやお孫さん、探せばきっと教えてくれる人が見つかります。

集客は、CVと認知度

まずは、数字を確認していただきましたが、なにに使うのか?

それは、これからお話をしていきましょう。

集客するとき、重要なのはざっくり言うと2つです。

① 認知度
② コンバージョンレート(反響率)


ここで言う「認知度」とは、イベントを知ってくれている人の数です。

コンバージョンとは、直訳すると「変換」とか「転換」という意味になります。

マーケティングでは、最終的な成果のことを指します。

イベントでは、参加申し込みがコンバージョンになりますね。


コンバージョンレート(反響率)とは、[イベントを知っている人のうち何人が申し込んだか?]という数字です。


100人がイベントを知り、10人が申し込めば、10%(10÷100)になります。


極端に言うと広報戦略は、「たくさんの人にイベントを知ってもらう」か「知っている人にちゃんと来てもらう」かの2つしかありません。

もちろん、両方とも高めていくことが必要ですが、たくさんの制約がある中では、出来るだけ絞ったほうが良いです。

そして、少人数でおこなうイベントであれば、圧倒的に後者(②反響率を高める)がオススメです。

しんどい集客をやめよう


たとえば……

A : ビラを1,000枚 配布。そのうちの5人が参加してくれた。
B : ビラを10枚 配布。そのうちの5人が参加してくれた。

どちらのほうがよいでしょうか?

配布のコストを考えてもBのほうが良いですよね。

1000枚で5人ということは、確率は0.5%です。(5÷1000)
10枚で5人ということは、確率は50%です。(5÷10)

たくさんビラを配布したところで、誰も来てくれないのであれば意味がありません。

ちなみに、ビラの反響率は、一般的に0.01% ~ 0.3%と言われています。
(10,000枚を配布して30人来てくれたら大成功。1人来てまぁまぁって感じです)

それほど、ビラを使っての集客は難しいのです。


広報を考えたとき、たいていの人は「たくさんの人たちに知ってもらおう」とします。

そのために、ビラを配布して、ブログを書いて、SNSをやって……。

と、たくさんのことをします。

けれど、正直しんどいですよね?

ブログを書いてもアクセス数が増えない。

SNSをやっても、なかなか”いいね”がつかない。

心が折れそうになることもあります。


だからこそ、「たくさんの人に知ってもらう」という認知度を高めるよりも、確率を高めることに注力したほうが良いと思うのです。

強みを活かそう

イベントを知ってくれた人にちゃんと来てもらう。

そのためには、選択と集中が不可欠です。

無駄なことを省き、うまくいくこと、可能性が高いことをやっていきましょう。


始めに数字を確認していただきましたが、中でも秀でている数字はないでしょうか?

また、イベントに来る人たちは、なにがキッカケで参加してくれたでしょうか?


数字や事実から、「成功」や「強み」を見つけていってください。


これまでの参加者は、口コミが多い。
市民センターに置いたビラを見てきてくれる人が多い。
ブログを見て、来てくれる人がいる。

などです。

うまくいかないことをなんとかするよりも、うまくいっている方法を伸ばしたほうが結果は出ます。

私たちは、ココが強いぞ。
この方法がうまくいく方法だ。

そういう「勝ちパターン」をぜひ見つけ出してください。


可能であれば、反響率も調べてみましょう。

ビラを何枚配布して、何人が来たのか?
ブログのイベントページには、何人が見て、何人が来たのか?

分かる範囲で構いませんが、この数字が見えてくると、そこから反響率が高いものを見つけることができます。

手抜き広報のススメ

出来るだけ広報は、ラクをしましょう。
ガンバる広報からは脱却してください。

イベントで大事なのは、なによりも「企画」です。

ラーメン屋ではラーメンが商品なように、イベントでは企画が勝負です。

たとえたくさんの人が来ても、企画がイマイチだったら、誰もリピートしてくれません。

広報に手をとられて、企画内容がおそまつだと本末転倒です。


「いやいや、人が集まらないんだから、広報をガンバらないと……」という声が聞こえてきそうですが、考え方を変えてください。

いかにガンバらなくて広報出来るかを考えるのです。

勝ちパターンを分析し、うまくいっている方法を活用していくことで、ガンバらなくても人が集まるようになっていきます。

「たくさんの人に知ってもらう」ことをガンバるのではなく、イベントを知った人がちゃんと来てくれるように広報戦略をつくっていくのです。

顧客は、どこにいる? 親和性を考える

広報に手を抜くといっても、よく分かりませんよね。

そこで、具体的な考え方をお伝えしましょう。

手を抜くとは、ラクをするという意味です。

ラクをするとは、簡単に人が来てくれるようにすることです。


なんだか、禅問答のようになってきました。

簡単に人が来るようになるには、どうすればいいか?


来てくれる人に広報をすれば良いのです。


水が売りたければ、砂漠に行けばよいように、買ってくれる人、サービスを求めている人にイベントを告知すればいいのです。

あなたのイベントに「ぜひとも参加したい」と思う人は、どんな人でしょうか?
どこにいているでしょうか?

ここでターゲットを決めた価値が出てきます。

具体的にターゲットを設定したことによって、イメージがつきますよね。


たとえば、不登校の保護者だと、適応指導教室やフリースクール。
他の団体がやっている親の会などです。

特定の人たちに狙い撃ちで、イベントを告知して来てもらうのです。


「どこへ行けば、私たちのイベントに参加したい人に会えるだろうか?」
「どんな方法を使えば、来たいと思っている人にイベントを知ってもらえるだろうか?」

そのように考えて、足を使う野ではなく、頭を使い、少ない労力で最大の成果を出せるようにしましょう。

広報は試行錯誤

「努力しないように」と言いましたが、正直な話、広報はとても難しいです。

きっと実感として分かっていると思いますが、広報活動に正解はありません。

「こうすればうまく」という確実な正解はないのです。

でも、だからといって諦めないでください。

成功は、約束されていません。

しかし、成功の確率を高めることはできます。

数字を読み、自分たちの強みを知って、勝ちパターンを見つける。

参加してくれそうな人たちがいる場所へ行き、告知をする。


「これをすればうまくいきそう」と思う仮説を立てて、取り組んでみる。

失敗することもあるでしょう。
うまくいかないことのほうが多いかもしれません。

でも、そうやって試行錯誤していきながら、学んでいくのです。

「この方法は、違うな」
「こうすればうまくいくぞ」と。


僕たちの団体では、基本的に広報に時間を使うことはほとんどありません。

LINEやブログ、メルマガでイベントを告知する。
そして、Facebookで広告を出せば、おのずと人は集まります。

けれど、それは試行錯誤の結果に過ぎません。

たくさんの失敗を繰り返していきながら、確率の高いものだけを残したのです。

ビラをたくさん配布していた時期もありました。

ただ、ビラ作成、ビラ配布、印刷費を考えると、コストの割に成果はイマイチでした。
そのお金をFacebook広告に充てたほうが効果的だったのです。

やってみて、数字を見て、参加者の声を聞いて、試行錯誤して、やっと「こうしたらうまくいく」という方法を確立しました。

広報は、いかに試行錯誤するか、です。

頭で考え、常に「どうしたらうまくいくだろう?」と考えること。

もがいて、もがいて、泥臭く。

それが、広報なのです。

広報で出来ることまとめ

◇ イベントに参加して欲しい人数を決め、ABC目標をつくる

◇ ブログやホームページ、SNSなどのアクセス数やいいね数を記録する

◇ これまでのイベントでうまくいった集客方法を書き出す

◇ これまでのイベントでうまくいかなかった集客方法を書き出す

◇ 今までやっていて、手間や費用がかかる割に結果に繋がらない集客方法を見つける

◇ ブログやホームページで特にアクセスが良いページや記事を見つける

◇ ブログやホームページの流入経路を調べる

◇ 過去のイベント参加者がなにがキッカケ(ビラ? HP? SNS?)でイベントへ来たかを調べる

◇ どこに参加者になり得る人がいるのかを考える

◇ どこで広報をするのが一番効果的かを考える

◇ このイベントを知ったとき、「絶対に来たい」と思う人は、どこにいるかを考える


3. イベントに来たくなる伝え方

ここまで、企画や広報について考えてきました。

しかし、最後に大事なことは、「なにを伝えるか?」です。


どれだけ丁寧に装飾をほどこしてもなにも書かれていないとラブレターにはなりません。

イベントがあることを伝えたうえで、「行きたい!」と思ってくれることが必要です。

「こんなイベントあるんだ」で終わってしまうと、ビラや告知の意味がありません。

イベントを知ってくれた人が参加するように伝えていきましょう。


なにを伝えるのか?

では、なにを伝えると良いのでしょうか?

まずは、5W1Hです。

誰? ・・ どんな人たちが主催(企画)をしているの?
どこで?・・・どこで開催されるの?
いつ? ・・・いつイベントはおこなわれるの?
なに? ・・・なにをするの?
なんのために? ・・・ どんな目的? どんなコンセプト?
どのように?  ・・・ 具体にどんな企画内容? どんなふうにするの?


大前提として、この項目が分からないと、参加者はピンときません。

企画書にこのあたりの項目は事前に作っているので、それをまとめるだけで大丈夫です。

魅力の伝え方

基本的な概要を伝えても、なかなか人は「参加しよう」とは思いません。

みんな日常があります。家事もあるし、子どもの送り迎えもあるでしょう。

友達とご飯に行きたいし、買い物もしたい。

そのような楽しみよりも、「この企画に参加したい」と思える魅力がないと、人は「参加しよう」とは思いません。

たとえ、無料だとしても、です。

では、魅力をどのように伝えるか?

魅力と言われても難しいですよね。

「いやぁ……、みんなでお話するだけなんだけど……」と思うかもしれません。

でも、大丈夫です。

これまで企画を作っていく中で、あなたはターゲットの人たちがどんなことで悩み、どんなことで苦しんでいるかを分かっています。

分かっていれば、きっと難しいことはありません。

「イベントに参加することで、どうなるか」

これを伝えてあげてください。


[このイベントに参加することによって、子どもが不登校で焦っていた気持ちが落ち着きます]

[参加すれば、なぜ子どもが学校へ行かないのか理由が分かります]

みたいな感じです。


たとえば、水を売るとき、「この水、すごく透明で、南アルプスの水なんです。とても美味しいですよ」と言われても、そこまで魅力を感じません。

しかし、「この水は、ミネラルが豊富なので、飲むと肌がピチピチになりますよ」と言われると、「おっ! 買おうかな」と思います。

なにをするか? どんなイベントなのかを伝えるのは最低限です。

参加してもらうためには、もう一歩。

「参加することが自分にとって得になる!」と思ってもらわないといけません。

どのようにして伝えるか?

どうやって伝えるか?
伝え方の方法を見ていきましょう!

直接、1人1人に伝える方法)

やはり、一番良いのは直接伝えることです。
たとえば、SNSやブログで告知をするだけではなく、直接来て欲しい人に連絡して「こんなイベントするんだけれど、どうかな?」と連絡する。
迷惑かもと思うかもしれませんが、困っている人にとっては情報提供は嬉しいはずです。もちろん、毎回イベントごとに誘うのは迷惑になるかもしれませんので、節度を持ちつつも、思い切って連絡をしましょう。


会う
電話
メール/Line

間接的に伝える方法)

口コミは、頼まないとやってくれません。イベントに来てくれた人。よく来てくれる人には、「このイベントをもっとたくさんの人に知って欲しいから、お友達に伝えて」と言いましょう。
ビラを渡して、広報を手伝ってもらってもいいですね。
自分が好きなものは、人気が出て欲しいもの。遠慮せずに頼みましょう。

口コミ
SNSのシェア


なにかを使って伝える方法)

Webでの告知は、基本ですね。今の時代、たとえビラを見たとしても、ネットで検索して、どんなイベントなのかを確認します。ビラだけを見て、スグに申し込むことは、そこまで多くないでしょう。だからこそ、興味を持ってくれた人にちゃんと届けるためにも、ホームページやブログなど、Webでの情報発信は重要です。


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告知ビラ

4. あとがき

あなたのイベントを心待ちにしている人がいます。
「こんな企画が欲しかった」「こんな場所が欲しかった」と思う人、まだ見ぬ参加者がいます。

その人たちに、あなたのイベントを伝えるのは、とても大事な仕事です。

使命といってもいいかもしれません。

集客は、大変です。

なかなか結果も出ないし、地味な作業も多い。

でも、あなたがそうやって懸命に伝えることによって、「欲しい」と思っていた人がイベントを知ることができるのです。

改善をして、試行錯誤をしていけばきっとうまくいきます。

うまくいかないときは、「企画がほんとうにおもしろいのか?」「効果的な広報手段を使っているか?」「魅力がキチンと伝わっているか?」を確認してください。

つい、人のせいにしたくなることもあるかもしません。

僕も、ずっと集客をしていて反応がないときは、「誰も良さが分かってくれない……」「予算がないとダメなんだ……」と嘆いたこともたくさんあります。

でも、愚直に取り組んでいけば結果はきっと出ます。

「ガンバればいいんだ」と思い、無計画に、ガムシャラに取り組むことをやめれば、もっとラクになります。

数値を確認して、なにがうまくいっているのか、なにがうまくいっていないのか、どうしてうまくいっていないのか。1つ1つ検証していき、成功の確率を高めていく。

広報や集客は、科学です。

実験を繰り返していきながら、やっと「これだ!」が見つかるのです。

失敗する方法をどれだけガンバってもうまくいくはずがありません。

足を使うのではなく、頭を使う。

自分だけでガンバるのではなく、誰かに手伝ってもらう。


そうしていけば、きっとイベントに人が集まるようになってきます。

“失敗したわけではない。それを誤りだと言ってはいけない。勉強したのだと言いたまえ”            トーマス・エジソン


たくさんの方々に届くように、マニュアルや資料などをどんどん作っていきます。できるだけ無料で公開できたらいいなと思っているので、「役に立つ」「参考になった」と思ったら、投げ銭お願いいたします。