ライブでペンライトを振る狂気の沙汰
ライブが苦手だ。
たとえば、みんながペンライトを振っているとき、自分も振っていいのかどうか迷う。
「あいつ、調子乗っているんじゃないか?」
「振るタイミング間違っているぞ」
なんて思われてそうで、ビクビクする。
でも、ライブには参加したいし、「あいつここに来て、ペンライト振らないぞ。まじか」と思われるのもイヤなので、なんとかしようと思う。
そして、おそるおそるペンライトを振るのだ。
周りの人を見ながら。
ゆずのライブが大変だった。
始まる前にラジオ体操をする。
若い女の子もおじさんもおばさんもみーんな。
常連ぽい人は、特技はラジオ体操ですって履歴書に書いてるんじゃないかって思うくらい、意気揚々と張り切って腕を振り、手を伸ばして、ラジオ体操をしていた。
僕は、またビクビクしていた。
「あいつ、ラジオ体操しているぞ」と思われるんじゃないか? って思ってた。
きっと誰も自分のことなんて見てないし、気にもとめてないんだろう。
頭では分かっている。
自意識過剰なんだろう。
でも、どうしても気になってしまう。
だから、ライブにはあまり行けない。
しんどくなってしまう。
ただ、最近、あまり人の目を気にしなくなった。
どうでもよくなった。
これまでは、ずーっと人の目を気にしていたのに、どうしたんだろう?
きっと、自分との付き合いかたが分かってきたからだ。
相も変わらず、ライブでペンライトを振ったりすることはできない。
これまでは「せっかくだから参加しなきゃ」みたいに思った。
けれど、ごちゃごちゃ考えるのも自分だなと思って、すべてを諦めた。
無理してペンライトを振る必要なんてない。
ラジオ体操もしなくていい。
ただの傍観者として、ライブにいればいい。
お金を払ってチケットを取ったんだから、迷惑さえかけないのであれば、なにをしてもいいんだ。
そう、割り切るようになった。
めんどくさい自分との付き合いかたがだんだん分かってきた。
ペンライトをおいたことで、僕は自由を手に入れた。
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