見出し画像

”想いを届ける”越山酒販 代表、越山裕之さん

◆越山裕之さんのプロフィール◆
出身:兵庫県
活動地域:兵庫県、大阪府
経歴:大学卒業後ビールメーカーに就職、その後家業の酒販店に就職すると配送から営業、仕入とすべての業務を行い、そのなかで酒類流通業界の現状に落胆したが、お客様や同業者のおかげで業界の改革が必要と思い、社員、お取引企業、地域の人々の笑顔を増やすことをビジョンに日々頑張っています。

記者:この仕事を始めたころはどうでしたか?
越山裕之さん(以下:越山):私が仕事を始めた頃は、配送のスタッフが全然いなくて、まずは配送の仕事からやりました。正直、しんどかったですね。あの時はバブルは終わってたんですけど、結構忙しかったです。

記者:どのくらいの期間、配送をされてたんですか?
越山:だいたい10年くらいやっていました。20代の時はずっとやっていて、本当にしんどかったですね。僕がずっと配送していたんですけど、営業もしたかったのもあって、新しい人を雇っていたんですが・・・、入社した人が全員辞めていくんですね。今から思えば、配送の仕事がしんどかったんだと思います。私自身も「何とかしないとあかん」っていうのがずっとありました。

記者:それから会社が変化するきっかけがあったそうですが、どんなきっかけがあったんですか?
越山:全国の酒屋グループっていうのがありまして、そこである酒屋さんの会社見学に行ったんです。そしたら、すごくシステム的に業務をされていました。それで社員は定時に普通に帰ってるんですよ。僕らの会社のメンバーは、休みがあったら余計しんどいので休みいらないって言ってたんです。全く逆ですよね(笑)。こんなふうに忙しいのは当たり前だと思っていました。でも、そうじゃない会社を見てしまうと、自分らのやっていることは間違ってるのかと思いまして、それから色々システムのことを取り組みました。その時に会社の決算書とか財務表が読めないとあかんと言われました。それで決算書の読み方を一から全部教えていただいてから、ちょっとずつ私自身の考え方が変わってきました。

記者:どんな風に考え方が変わっていきましたか?
越山:まず第一に、社員1人1人の幸せを考えないといけないと思うようになりました。会社自体も柔軟に変化していく必要があって、世の中も早いスピードで変化しているので、生き残っていくことができないと思いました。
そこから、自社の歴史とかも調べるようになりました。何でずっと会社が続いてるのかって見てみたら、やっぱりいろんなチャレンジがあって残ってるんですよね。失敗したこともありますし、成功したことも。それはそれで認めつつ、でもやっぱり変わっていかないとと思いました。

記者:それを通して、大きく変わったことはありますか?
越山:まずは、社内の労働時間が長かったんですよ。それがシステムを導入することによって生産性が上がって労働時間が短縮されました。例えば、僕らは倉庫のどこに何が置いてあるかっていうのを覚えなきゃいけないんですね。このウイスキーはここにあったっていう風に。でも新しく入ったばかりの人はどこに何があるか分からないんです。僕らは経験上、ここにあるっていうのが分かるんですけど。そこで一つ一つの商品にアドレスをつけて、初めての人でもどこに何があるっていうのが分かるようにしたんです。そういうところから少しずつ変わっていきました。

社屋

記者:すばらしいですね!見える化していったんですね。これからどんな会社にしていきたいですか?
越山:そうですね。絶えず革新していきたいと思います。そうしないと生き残っていけないので。
あとは、お酒ってすごく歴史がある商品でもありますので、それを大事にしていきたいです。お酒って、工場生産ではなくて作り手の人が存在しています。例えば、日本酒だったら原料の米を作ってる農家さんもいますし、芋焼酎にしても原料の芋を作っている人がいます。蔵元さんのところに行くと、農家さんたちの話を聞くんです。そしたらやっぱり想いを持って作られてるんですね。自分たちが作ったお米や芋が日本酒や芋焼酎になって、どんな人に飲まれているのか、すごく興味があるんですよ。

お酒はそんな作り手の想いがあって、長い歴史文化がある商品だと思います。それを皆さん、家族や友達と楽しんだり、仕事終わって仕事の疲れを癒すために飲んだり、お酒って人と人をくっつけるコミュニケーションツールとも思えます。お酒はなくてもいいんですけど、やっぱり人生をより豊かにする一つの不思議な飲み物かなって、僕はずっと思ってるんです。それを僕らはちゃんと必要な所に届けるという一つの流通を担ってるんです。宅急便みたいに、何も知らない商品を知らない人に届けるというのではなく、想いがこもった商品を大事なお客様に届けて、さらにその先にいるお客様に楽しんで頂いてるんです。

あとは、社員1人1人にこの会社で働いていて良かったと思ってもらえるような会社にしたいと思っています。会社を辞めていく人がいたら、一番悲しいんですけどね。長く働いて頂けるような会社にしていきたいと思っています。昔から酒屋っていうのは結構しんどい仕事ってなってしまってるんですが、もっとかっこいいプライドが持てる職業にしたいなと思っています。

記者:どんな戦略を考えてますか?
越山:祖父の時代は、○○商店っていうのが当たり前で、定価でビールなどのお酒が売れていたんですが、途中からディスカウントショップができて、すごく安い値段でお酒が買えるようになりました。今は、ドラッグストアでもお酒を買うことができますよね。ディスカウントストアに置いてある値段っていうのは、僕ら酒屋が問屋さんから仕入れる値段と同じくらいの金額になるんですよ。そういう意味では、価格競争になっている商品なので、付加価値をつけていきたいと思っています。長く続けて買ってもらえるように、年中無休で営業したり、品質管理のために、荷台が平たいトラックから日光や埃から守れるようBOX型のトラックを使用するようになりました。
また、飲食店のメニュー表の作成もしています。インターンシップでデザインができる人を受け入れたいと考えています。価格競争ではない付加価値をお客様に提供するという戦略を考えています。 

画像1

記者:これからどんな美しい時代を創っていきたいと思いますか?
越山:美しい時代を創るのは『人』だと思います。やっぱり人の気持ちが豊かにならないと美しい時代はできないかなと思います。そのために、僕らは物心両面ともに幸福になっていかないといけないと思います。それをお酒で豊かにできるのかなと僕は思ってます。
まず、もっと強い会社になって、社員1人1人がより幸せになっていくことが、美しい時代につながっていくんだと思います。

記者:社員1人1人、蔵元さんへのあふれる思いが伝わってきました。本日は貴重なお話ありがとうございました。

-----------------------------------------------------------------

◆越山裕之さんの活動の詳細はこちら↓↓
越山酒販のホームページ
http://www.koshiyama.co.jp/

-----------------------------------------------------------------

【編集後記】
今回、インタビューを担当した泊です。越山さんのお客様を想う気持ち、社員さんを想う気持ちが温かく、とても感動しました。これからの益々のご活躍を祈念しております。

この記事は、リライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。