【香水の話】オタクの沼は突然に(Ninaricci/ニナ)

【今日の香水語りセレクト予習】

☆ニナ(ニナ・リッチ)

・りんご飴のイメージの香水。
・ニナリッチのテーマは儚げで繊細、自由で無邪気な少女という感じ。現代の妖精譚…(既にようすがおかしい)
・トップノート:カイピリーナ ライム、カラブリアン レモン
 ミドルノート:アップルトフィー、ピオニーペタル、ムーンフラワー、プラリネ、バニラインフュージョン
 ラストノート:アップルウッド、ホワイトシダー、コットンムスク

【予習ここまで】


twitterで普段わめいているのでフォローしてくれている方はご存知と思うけれど、ここ1ヶ月ぐらいで突然香水にはまった。
きっかけは「こもも(FF14の私のキャラクター)のイメージ香水が作りたい!」だったのだけれど、これがまた話すと長くなるというか、まとまった話にしたいので次回以降に回すとして、今回は、これまでなんとなく試しては深入りしてこなかった香水の世界になんでまたはまったかの話をしたい。


「どうして好きなのか」ということを考え始めたとき、それはもう沼の入り口なんだと私は思う。


そもそも知的好奇心で生きているタイプではあるけれど、香水はそのことを改めて私に教えてくれたアイテムだった。
あとオタクとめっちゃ相性いいと思う。お出かけでつける以外にも用途はあるからね。


***


そもそものきっかけは上にあるとおりこもも香水を作りたい、だったんだけれど、そのオーダーシートを書く際に「好きな香水、普段使っている香水はありますか?」という項目があって、そこで「困ったな…」となったことだった。
幸いコモモワセは普段あんまり香水とか使わなさそうなタイプなので、普段はあまり使わない、主張が強いにおいが得意じゃない、どちらかといえば石鹸や洗い立てタオルみたいな匂いが好きというところを書いてみたのでよかったけれど、ふと思った。

じゃあ、自分の好きな匂いってどんなのだろう…。

漠然と好きっていうのはあるけれど、これ!っていうのは私にはなかった。
小さいころ母の買い物待ちにスーパーの洗剤や柔軟剤や芳香剤のテスターを嗅ぎ回って鼻をバカにした奇行児の発言とは思えないけれど、香水に関しては本当にそうだった。
これまでにも何度かプレゼントされたりしたり、あとたまに気が向いたりしてフレグランスに手を出してきたし、それも好きといえば好きだったんだけれど、言われてみれば本気で好みを把握しようと思ったことはなかったかもしれない。

そこから買い物ついでにロクシタンに行ってピンとくる香水をちょっと衝動買いしたりもしたけれど(これもまた別に頁を割いて語ります)、「香水っておもしろい」と思ったものはほかの香水で、今回はそれについて語りたい。



その香水の名を「ニナ」という。

フランスのブランド、ニナ・リッチの香水で、ドンキホーテのショーケースの中に入れられた、真っ赤なりんごの形をしたボトルが目を引いた。一目で「かわいい!」と思えるような、少女的なロマンを詰め込んだボトルデザインは、ジルスチュアートやマジョリカマジョルカやらの世話になってきた私には刺さるものだった。※ここで鏡は見ないものとする
今日はねほんとはねクロエとかチャンスとかの大御所試しに来たんですよ…なんてことを思いながら、ドンキホーテのあんまり愛想のないお姉ちゃん店員にショーケースの鍵をあけてもらって、どれにしますか?と問われた段で、やっぱり興味を捨て切れずに、クロエとあわせてニナの試香をお願いした。

香水を検討するのには本来半日はほしい。
今となっては本当にそう思うんだけど当時の私は「とにかくこれがどんなにおいなのか嗅いでみたい」と思う気持ちが逸ったし、普通にそういうことは考えていなかった。

ただ人間の鼻はけっこうすぐバカになる、ということだけは聞いていたので、ちょっと時間をみて香りを検討してみますと言いながらにおいのつけられた紙にそれぞれ目印をつけて、いったん香水コーナーを離れた。
ドンキのウィンドウショッピングをするのはかなり好きだ。実用品から本当に本当にしょうもない便利グッズまで並んでいるので、以前ガッチリでドンキ従業員の方が言っていたような「宝探し感」がある。
あれこれを見ながら、でもやっぱり香水が気になってしまうので、クロエとニナのテスターを交互に嗅いでみる。

私はロクシタンのピオニーとかテールドルミエールが大好きなので、ピオニーの香りが入っているクロエも好きなんじゃないか、と思ったし、実際クロエは私は好きなほうの香りだった。

でも、強烈に惹かれたのはニナリッチのニナ。
ふわっと鼻に来るのはボトルのイメージどおりりんごの香りなんだけれど、これが、果物のりんごをイメージするとぜんぜん違う。りんご味のグミとか、それこそニナリッチ自体も押し出しているりんご飴みたいな、「俺の思うりんご、これな。解釈違いだったら別のにして」が伝わってくる匂い。傲慢なまでに甘くてちょっと酸っぱい「りんごのお菓子」。果物のりんごそのものに感じるようなフレッシュさや青さはない。

気になって、その場でスマートフォンをいじって検索してみる。
サイトの説明もかわいくてポエミーなので見てほしい:NinaRicciーNina

そんでもってやっぱりピオニーが入ってることになんとなく運命を感じながら、ああやっぱりイメージとしてはりんご飴(アップルトフィー)なんだなと納得もした。


この時点では個人的にはまだキャライメージの匂い、でも自分も使いやすいもの、という観点が強かった。
果物で、お菓子っぽくて、傲慢に甘酸っぱいその香りは私のイメージするコモモワセにもぴったり合う。突然軽くキャラクター語りをするのだけれど、こももの持っている面のひとつには「処世術としての"作った"かわいさ」がある。その一方で、子どものような甘えたな面を持っていることも本当で、それは外側から見たら見分けはつかないだろうと思う。その違いは敏感な人やそばにいる人がわかってくれたらいい。
そういう、ぱっとわかりやすく、でも深さのある甘さがこももにはよく似合う。概念万年筆インクなんかを通り抜けてきたオタクなので、このへんでもう「これは概念こもも香水」に思考が行っている。買います。買いです。安かったし…


で、ここからがこのニナリッチニナのめっちゃ面白いところ。

私の仕事はわりと堅めなので、職場に強い香りをつけていくのは憚られる。そういう状況なので、香水は休日や風呂上りの自宅での使用がメイン。特にお風呂上りにかけておくと寝る前ぐらいにはマイルドになっているし、起きたらほとんど飛んでいるので仕事に響くこともない。
この日も、まだ香水初心者だったけれど既にこのスタンスにしようと思っていたからそそくさと風呂に入ってから香水をひと吹きしておいた。その瞬間に「えっ!!」と驚いたことを今でも覚えている。


この香水、肌にかけると全然違うにおいになる!不思議!
特に私の場合は、この香水のトフィーやプラリネの、砂糖を焦がしたようなにおいがフワッ!と最初にくるのでつけ始めはりんごの爽やかさはない。正直、「くっさ!焦げてる?!」って思ったぐらいの、キャラメル的な甘ったるさ。
でも、馴染んでくるとバニラやりんご、ムスクの優しい甘いにおいがちゃんと出てきて、落ち着く甘さになる。おもしろい。あと私はシトラス系は爆速で飛ぶっぽい。全然わからん


これはあとで調べてわかったんだけれど、香水のにおいは体温で温められて立ち上るものなので、紙のテスターにつけたときとはそもそも香り立ちが違う。
そして、本来その人がもっている肌のにおいもまた違うし、どのような香りが立つかも違うし(スイートだったりムスキーだったりするらしい。実はまだよくわからない概念)、体温の高さだって違うから、同じ香水をつけて同じように香ることはほとんどないと言ってもいい。だから、香水の口コミとかほんと当てにならないから自分で嗅ぎにいくしかない…というのもわかる。

このあたりが、私が「香水はオタクと相性がいい」と思うゆえんだ。
特に二次創作をやる人間にはわかりやすい考え方だと思う。
だってそうでしょう、私たちは同じアニメやゲームや漫画を見ていて、同じ文章や絵で表現されたキャラクターを見ているのに、そのキャラクターが「どういう人間なのか」は見る人によって全然違ってくる。解釈違いなんて言葉が生まれてくるのはそのためだ。
そして、場合によってはそのキャラクターがどのように生きていくかという物語を作り上げていく。二次創作はオリジナルから受け取ったイメージを自分の中で分解し、自分が持っている材料で再構築する遊びだと私は認識している。

実は香水の作り方もこれと一緒だったりする。

果物や香気の強い花は天然の香料が取れるのだけれど、そうでない花や本来香りのないもの(ウォータリーとかオゾンとかシュガーとか)、原料を無秩序に取れば絶滅の危険のあるムスクやアンバーなんかは、数種類の香料を合成して作られることが多い。
だから、そもそも「○○の香り」は「それそのものの香りではなく、○○をイメージして作り出した香り」であると言ってもいい。
だから調香師によって、イメージしたものは同じでも出来上がったものには微妙に違いが現れてくる。

そしてこの原料だけに留まらず、商品となる香水もまた「イメージやストーリーを先に描き、それに沿うように香りを組み立てる」ようにして作るのだという。
香水の説明文はキャライメージ香水に強いプリマニアックスのポエムが有名だけれど調べるとどこもそういう感じで、どうしてこんな気恥ずかしいポエムを堂々と出せるんだろう、って思っていたけれど、「物語を組み立てるように作る」なら当然だ。

対象そのものや、思い描くイメージを咀嚼し、飲み込み、解釈し、ひとに伝わるものとして作り上げる。

そんな香水のメイキングはきわめて創作とか芸術に近い。
香水ポエムやノートに書かれる香調だけを見てもイメージはつかないけれど、香りを実際に嗅ぐことで、調香師の描くイメージや物語が伝わってくるだろう。本能的に受け付けないとか、思っていたのと違うとか、そういう香水ももちろんある。万人受けすると言われる香りだってそうなる可能性があるけれど、それこそ「ただの解釈違い」だということだから気に病む必要もない。


また話が飛んでしまったけれど今回言いたかったのは↑なので、もういいかな…。

ニナ・リッチのニナは私にそういうことを考えさせてくれたきっかけになった大事な香水だ。つけ始めが本当にくせぇ…けど大好き。
でもこの、ぱっと見てわざとらしくあざとく、傲慢なまでにかわいらしい甘さも、本当に子どもみたいな弾ける笑顔とか、疲れた心に手を差し伸べてくれるやさしさって意味での甘さをきちんと持ち合わせているところも、すごくこももっぽさを感じているのでこの香水は実質こももです。

どこかで出会ったらぜひその一癖もふた癖もある甘さを嗅いで見てほしいと思う。
ほんと初対面と軽く関わってるときと理解したときで見せる顔が違うから…こももだから…様子がおかしくなってきたのでこのへんで今回は切り上げようかと思います。



香水は楽しいよ!ほんとだよ!!

もうすこし頑張ったら百貨店のブランドカウンターにも恐れずにいけるからね!!たぶんね…。


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yatori

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