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「門と庭 設計士」てす。私の仕事についてわかりやすく書いた記事がhttp://tenr…

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「門と庭 設計士」てす。私の仕事についてわかりやすく書いた記事がhttp://tenro-in.com/mediagp/65628 で掲載されています。 ホームページリニュアルしました https://yu-an.biz

最近の記事

家族の歴史を1日で作る人

「國正さんちょっといいですか?」 現場でぼんやりと立っていた私にIさんは少し遠慮がちに声をかけてきた。家具の仕上げで入ってくれている塗装屋さんだ。 「今ちょこちょこっと10分で作っちゃったんで、荒削りなんですけど」現場に落ちていた角材がペンキで汚れている(ようにしか見えなかった)。 白いペンキで塗ってあったアイアン(鉄)が錆びた様子をものの10分で表現してくれていた。まさかそんなにすぐにサンプルができると思っていなかったので、最初はそれがなんだかわからなかったのだけど、

    • y=ax+b

      昔の写真を見ていておもった。 まるでグラフの線のようだと。 この花は夏の終わりの頃に咲く。 aがマイナスの数字のグラフに似ている。 夏の暑さがもうすぐ静まることをあらわしているのか。 一夏の恋のボルテージを示しているのか。

      • 素人がちょっとコツを掴む写真の撮り方

        • 4人目のレンガ職人の話

          久しぶりのnoteです。 これは以前勤めていた会社で上司から言われたことです。 道を歩いているとレンガを積んでいる職人に出会いました。 「何をしているのですか?」と尋ねると 「見ればわかるでしょ。レンガを積んでいるのです」と答えました。 少し歩くと別の職人がまたレンガを積んでいました 「何をしているのですか?」と尋ねると 「壁を作っているのです」と答えました。 もう少し歩くとさらにもう一人レンガを積んでいる職人がいました。 「何をしているのですか?」と尋ねると

        家族の歴史を1日で作る人

          庭をどんどんリビングまたはダイニング化しよう

          「こういうロールスクリーンをお隣の境界に立てられないでしょうか」 とお客様から電話が入りました。今度庭をテラスとしてリビング的に活用するような計画を立てているのですが、庭の方を色々整備すればするほど、どうしてもお隣との間のフェンスで90cmくらい空いているスペースが気になって仕方がなくなったのです。当初はそこに高いフェンスを建てる予定でしたが、どうも唐突だし美しくない。コンクリートブロックを立てて白い塗り壁にしようとしたところ、境界に近いところに大きな枡(マンホール)があっ

          庭をどんどんリビングまたはダイニング化しよう

          40年を1日で壊す責任

          「ウィーン、ガタガタ! ガタガタ!」 電動ノコギリの刃がコンクリートブロックに食い込んではどんどん壁を破壊していく。わかっていることだけれど、ガーデンリフォームの初日のこの瞬間が私は苦手だ。強烈な金属音がコンクリートの悲鳴に聞こえる。 40年前にお父様の代に建てられたこのお宅は8年前の震災の少し前に私の友人の建築士がリフォームして中はすっかりモダンに。外観も綺麗になっている。 それに比べて門構えは確かに昭和なイメージのまま。当時は新しかったと思われる大谷石風の化粧ブロックは

          40年を1日で壊す責任

          「れい」を考える

          「美しい響きだな」 令和という言葉を官房長官の口から聞いた時、最初にそう思いました。掲げた毛筆の文字が美しいのもあり、とても柔らかい印象を受けました。 口の中で飴玉を転がすようになんども「レイワ」「レイワ」と唱えているとだんだん馴染んできます。 「平成」の時はどうしても「平静」という言葉が浮かんでしまい、同音異義語がある元号ってどうも気になって仕方がなかったのですが今回は単純に感動しました。 これは幼い頃からの私の印象なのですが、ラ行から始まる言葉ってちょっと英語っぽ

          「れい」を考える

          Rの壁は柔らかい印象だけど…

          もうすぐ完成予定の外構の現場のお話です。こちらのお宅では1階の庭に面した部屋がお母様の部屋のリビングに当たる部屋となっています。高齢者というにはまだまだお若い、でもそろそろ足のことも気になり始めるお年頃、のお母様のために玄関ポーチまでの通路は将来のことを考えてスロープにしました。最初は勾配が気になるかと思ったのですが、出来上がってみるとそんなに気にならない、緩やかなスロープとなりホッとしました。 さて最初のご提案の時に気に入っていただいたのが、現在モルタルが塗ってある右側の

          Rの壁は柔らかい印象だけど…

          Happy 92nd Birthday!

          それは幼稚園の卒園式を終えたばかり、3月の終わりごろだったと思う。 夜中の2時ごろ、救急車の音で目が覚めた私に、ちょうど前の晩から泊まりに来ていた親戚のお姉さんが声をかけた。 「ママはちょっと具合が悪くなってこれから、病院に行くのでお姉ちゃんとお留守番してようね」 その晩母は帰ってこなかった。翌日はお姉ちゃんと入れ替わりにお手伝いのおばちゃんが来て、いつもより優しく話しかけてくれた。 どうやら母は「にゅういん」したらしかった。 昼間はおばちゃんがいてくれて、夜は悦子の

          Happy 92nd Birthday!

          だって魔法なんだから!

          以前noteにも書いた「メモの魔法」前田裕二著を読んで打ち合わせがガラッと変わったことを書いたら、天狼院のサイトに載せていただけました。 そのテーマも「ビジネス書FANATIC」本の紹介に止まらず、実体験の変化まで書いたので面白かったみたいです。以前の文章とほとんど同じですが、よりドラマチックに最後を盛り上げています。題名も変えました。 本当に即効性のあるいい本です!

          だって魔法なんだから!

          住まい支度

          身支度という言葉があるが、この人は「住まい支度」の達人だと思う。それはこんまりさんの本に書いてあるように家がピカピカに片付いているとかそういうことではない。もちろん汚れたり片付いていない訳ではないけれど。 上の写真のおたくの奥様は2年近く前にうちのホームページに「ガーデンルーム」を増設したいといって来られた方だ。 建築士が設計してハウスメーカーではなくこだわりのディテールでフランス漆喰で仕上げたお宅はとても味わい深い雰囲気で、少し気はずかそうに「パリの郊外にある家のような

          住まい支度

          プロということ

          「私が撮らせます」っていうんだよ。 今日はシステムエンジニアの仕事をしながら、カメラマンとして独立しようとしている元同僚と13年ぶりくらいに会った。その人と一晩飲んだ会話の中で一番記憶に残ったのがその言葉だった。 彼はポートレート写真の練習でプロのモデルさんを撮る会に出かけたのだそう。謙遜を込めて 「あまり慣れていないので、手際が悪いかもしれませんがよろしくお願いします」と言ったところ 「大丈夫ですよ。私が撮らせますから」 と答えたのだそう。その後のモデルさんの動き

          プロということ

          機能を満たすデザインは美しい

          建物でバリアフリーというとついつい車椅子や目が見えない人などにとって使いやすい、もしくは「バリアフリー=段差がないこと」だと思っている人が多いようですが、本来はバリアフリーというのは0歳から110歳まで、足が悪い人も、目が悪い人も、性格が悪い人も、日本語を話す人もフランス語を話す人もなるべく多くの人にとって、使いやすいことを意味しています。(性格が悪い人というのは冗談ですが) 単純にスロープをつければいいという話ではないのです。 実は3月に入って急にある小さなハウスメーカ

          機能を満たすデザインは美しい

          門と庭 設計士です

          今一戸建てに住んでいる方、あなたの家はどんな顔をしていますか? 今一戸建てを建てている方、どんな顔になる予定ですか? そもそも家の顔って何? て感じですよね。 どんなにインテリアを凝ったデザインにしても、壁を素敵にしても家の第一印象は門構えで大きく変わってしまいます。 改めて門構えのことだけを取り出して考えることなど普通の方はないかもしれません。例えば下の写真をみてください。 こちらのお宅は中古で家を買われて、その外壁を綺麗に塗り直して、屋根は吹替、内装もフルリフォ

          門と庭 設計士です

          真の妥協しないを知った時

          完璧主義で行きづらかった子供の頃、ある日完璧をやめてから妥協だらけだった私の人生。つい最近に小さなことでしたが、とても大事なことについて「一切の妥協抜き」にした仕事の話が天狼院書店さんのサイトに採用されました。妥協しないことの苦しさと快さが伝わればと思います。

          真の妥協しないを知った時

          目に見えない敵

          唐突ですが、マンホールってなんのためにあるかわかりますか?  マンホールの下はどうなっているかわかりますか? マンホールは「人の穴」あの金属やコンクリートでできた蓋は人が入るための穴なのです。なんのために?マンホールの下には下水道があります。マンホールとマンホールを繋ぐ形で下水道が通っています。 マンホールの小型のような蓋が住宅の敷地内にもあることはご存知でしょうか? 直径が30cmくらいのものと、10cmくらいのものがあります。両方とも「枡(ます)」と呼ばれ、用途はマ

          目に見えない敵