見る庭→使う庭→過ごす庭
「この和風のお庭を南国風というか、白い壁とか明るい雰囲気にしてここでバーベキューをしたいんです。このままでもできなくはないんですが、フェンスが空いてるので、ちょっと道路からの視線が気になるので、それも変わるといいですね」
昨日の打ち合わせで名刺交換をして最初に奥様がおっしゃった言葉です。
多少言い回しは違うかもしれませんが、庭を変えたいという方の半分近くが同じようなことをご要望されます。
庭を使いたいと思ってくださっていて、諦めちゃってる方よりは随分前向きで素晴らしいと思います。
確かにお子さんがいらしたらバーベキューもとっても楽しいですね。
でもそういう時にもう一歩踏み込んでお話しできる時には必ずこうお伝えするようにしています。
「庭では何もしないで過ごす時間が一番贅沢なんですよ」
例えば、今の季節ならショールを羽織り、お気に入りのマグカップに温かい飲み物を入れて、アラジンのブルーフレームストーブを庭に持ち出して、ひざ掛けも用意してお庭の椅子に腰掛けます。
夏には木陰を作ってくれたシンボルツリーもすっかり葉を落としています。
葉を落とした落葉樹を見上げると空に梢が網目模様のように広がって夏場とは違う景色を見せてくれます。運よく小鳥が止まったりすれば、逆光でそのシルエットもとても綺麗。
寒い冬の空は都心でも青く綺麗です。ストーブで温まりながら、梢の間を流れる雲をしばらく眺めてみてください。
リビングでは味わえない贅沢な時間が過ごせます。
どんなにささやかな「猫の額」であったとしても一本の樹と小さな椅子とストーブくらいは置けるはずです。
春になり梢から黄緑色の葉が芽吹いてきたら……
梅雨には部屋の中から雨に濡れる石のテラスを眺めてみたら……
夏に庭を楽しむにはもう一工夫必要です。そんなにお金をかけなくてもできる涼しく庭で過ごすには……蚊の対策は? それは時期がきたらご紹介しましょう。(安心してください。それもちゃんと対処法があります)
秋は庭が一番美しい季節です。緑の木漏れ日が赤に変わります。
赤く色づいた木の葉がひらりひらり……。
慌ただしく一年を走り抜けてきてしまいました。
ちょっとした広さの石のテラスと一本の樹。そしてストーブと椅子だけでも庭で過ごす時間の豊かさを少し感じていただけたでしょうか?
あとは庭の広さやご予算、家族構成によってそのほかのしつらえは足していけば良いのです。
最初にお話ししたお宅はまさに昭和時代の「見る庭」。多くのお庭がそうでした。もちろん素晴らしいものです。毎年植木を剪定して、お手入れが結構大変なのと、現代の家の雰囲気と合わないのでだんだん減ってきましたね。
次に20年くらい前から流行ったイングリッシュガーデン。これは和風の庭よりももっと手入れが大変でガーデニングが趣味の方でないとなかなか綺麗な状態が保てなくて多くの方が「庭って大変」って思ってしまった原因です。
その頃から同時にもっとアウトドア派にはデッキでバーベキューをする方が増えてきました。アウトドアキッチンなども本格的なものもよく作りました。「使う庭」の時代です。もちろん今でも人気です。
でも誰でも楽しめて、庭ならでは! の醍醐味が味わえるのが「過ごす庭」
もちろん椅子があれば良いのですが、椅子ならその座り心地は? アラジンのストーブ以外に暖をとる方法は? その背景は? 香りは? 音は?
そんなことをずっとつきつめて新しい商材を探したり、プランを考えたりしています。
今年になってこのノートを始めたのもなるべくわかりやすく「過ごす庭」のことを丁寧にお伝えする場所としたかったからなのです。
過ごす庭の究極のお手本はリゾートホテルの庭だと思っています。リゾートホテルのお庭の要素をその方のライフスタイルや家のデザイン、ご予算と合わせて計画していくのが、私の仕事のスタイルです。
あなたのお庭をもっとも近いリソート地にしませんか?
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