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2023年5月 上州湯治紀行③【霧積温泉 金湯館 後編】

前回

5/22 群馬県安中市~帰還

朝5時。夜中起きて入浴しようと思っていたのだが、一度も目覚めることなく朝を迎えた

障子を開けると新緑の色彩。景色としては些かワイルドだが、葉擦れと清流の音が心地よい

起き抜けに朝風呂へ。玄関まわりが好き過ぎて何度も撮っちゃった。再三にわたって同じアングルの写真を掲載していますが、時間帯によって違う表情が見えるということで、何卒御容赦下さい。

何度往来したかわからない浴室への廊下。この時間は程良い光量と環境音も相俟って、特に良い雰囲気を放っていた

最上級の幸福であるとされた。秘湯旅館に投宿し心身をおやすみさせる事は人生の豊かさに直結する。

言うまでもなく独泉でしたので、かけ流しの水面をむやみに波立てて写真を撮ってしまいました。申し訳ありません。

廊下から外に出ると、隣の建屋入口に「岩清水→」の案内がある。昨晩は暗くてよく見えなかったが、奥には大部屋があるようだった

ステンレス製の流し台に、清冽な湧水がかけ流し(当然)で勢いよく落とされている

常に鮮度抜群、よく冷えたキレッキレの岩清水を湯上がりに頂いた。食道を通って身体にサァーッと染み渡っていくような爽快感を得た

備え付けのコップはぐんまちゃんヴァージョンでした。

霧積の空気をすうっと吸い込んで肺を満たし、部屋に戻った

蒲団に横たわり、朝餉の時間まで四肢を伸ばして無になっていた。ひんやりとしたシーツの肌触りがあまりにも気持ち良すぎる

朝餉。米は夕餉と同じ量だったのだが、あまりに米が進むおかずばかりであっという間に米櫃が空いた。やはり旅館の朝は精神的な余裕に満ちているので無限に喰える

チェックアウト前に今旅最後の入浴。中段左の同じ脱衣籠をずっと使い続けたこの脱衣所も、一晩で随分と見慣れた景色になった

部屋を整えて暫しこの景色を目に焼き付けた。名残惜しさのあまり、頬を伝う涙を直ちに拭わざるを得ない

最後に女将さんに挨拶すると
「今回はお客さまが2人だけでしたので、ほぼ貸切で幸運でしたね」と言われた。聞くとこの日(月曜日)の夜は数十人単位の団体予約が入っていたそう。誇張でなく本当に幸運でした

流石に乗り味が良い

帰りの送迎は主人の運転するランドクルーザーだった。快適な車内で色々話を伺うことができた。

明治中期の霧積温泉は別荘地として栄えたものの、山津波で殆どの建屋が押し流され、奇跡的に場所が良かった金湯館だけが残り、現在も霧積の一軒宿として営業を続ける。
ホイホイ坂も整備されて約40年と意外と新しく、それ以前は長期湯治客が食糧を背に担ぎ、ガチの山登りで訪問していたそう。優雅に送迎されてる身分で「湯治」とかほざいてる自分が情けない…

郵便の配達も当然来ず、最寄りの担当局へ取りに行く。その際は買い出しなど諸々の用事を一度にまとめ、街へ降りるのだという。この立地で営業を続ける苦労は察するに余りある。
「この季節は山菜だけはその辺にいっぱいあるから困らないですね」と主人。

若い世代の減少も看過できない状況のようで、繁忙期に呼ぶアルバイトは大体が60歳近くとのこと。

木蓮に心奪われているあたりが最高に安住氏らしい

プライベートで訪問したという安住紳一郎氏についても幾つか聞いてみた。
当日に楽天トラベルから予約が入り、思わず名前を二度見したらしい。「偽名かイタズラかな…と思った」と主人は笑った。
ホイホイ坂を徒歩で登って現れた安住氏はマスクこそしていたが、口を開くとメディアで聴き慣れたいつもの語り口だったとのこと。帳場には御礼の葉書も飾られていた

濃い話を聞いていたらあっという間に駐車場に着いた。去りゆく送迎のランクルを見送り、下界へと降りることにした

往路では通り過ぎた霧積ダムに立ち寄る。

ここからやがて碓氷川へ合流し、R18を添うように安中市を横断していく。上流のせせらぎを見てから立ち寄ったこともあってか、何とも感慨深いものがあった

「峠の釜めし本舗 おぎのや横川店」へ立ち寄り。有名な峠の釜めしを購入して帰ろうかとも思ったが、下道をまったりドライブして帰る予定だったので、品質保持の観点からやめた

道路を挟んだ駐車場に日産 シルエイティが鎮座していた。申し訳ないが頭文字Dは全く触れてこなかったので、詳しいことは存じ上げません

なお、この時代の車に共通する計器類の雰囲気が好きなので、フロントガラスに擦り寄ってシャッターを切る不審者になりました。

R18→R17→R50と群馬の主要道路を横断し、「山田うどん 太田50号バイパス店」にて休憩兼昼餉

冷やしたぬきうどんとミニパンチ丼を喰らった。何気に山田うどんははじめての訪問でした

佐野からR293に入り、鹿沼へと出た。栃木市「道の駅 にしかた」にて小休憩を挟んだ

夕刻が迫り渋滞も発生し始めたので、上河内スマートICから高速課金とした

白河ICで降り、恙無く帰還。普段は欲張って連湯しがちな自分にしては、珍しく真っ当なリフレッシュ旅行でした。また次回

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