見出し画像

ハンブルク交響楽団 日本ツアー2023

■2023年7月14日(金) 開演 19:00 / 開場 18:00
静岡:アクトシティ浜松 大ホール

Artist
指揮:シルヴァン・カンブルラン
ピアノ:角野 隼斗
管弦楽:ハンブルク交響楽団

Program
ベートーヴェン:「エグモント」序曲 op.84
バルトーク:ピアノ協奏曲 第3番 Sz.119
チャイコフスキー:交響曲 第4番 ヘ短調 op.36

アンコール
ショパン:ポロネーズ第6番変イ長調「英雄」
ドヴォルザーク:スラヴ舞曲 op.72-2

はじめに

聴きに行って来ました!
ハンブルク交響楽団 日本ツアー2023 浜松公演。
浜松に行くのはこの日が初めてだったのもあって、観光気分でウキウキしながら向かったコンサートになりました。

うなぎと餃子が美味しかった!
ずっと気になっていたショパンの像も間近に見れて嬉しかったなぁ……!
今回立ち寄れなかった場所もたくさんあるので、そこは次の機会の楽しみに取っておきます。

コンサート自体はと言えば、「めちゃくちゃ楽しかった!」と叫びたくなる演奏で。
終演後にTwitterでぽちぽち書いていた呟きを、こちらにまとめて行こうかなと思います。

ベートーヴェン:「エグモント」序曲

開演前にプログラムをチラ見してビックリ。
一曲目、たぶん事前告知になかった曲なのでは。
サプライズでプログラム増やしたなら嬉しい。

オケの皆さんとマエストロが入場する前、舞台袖の扉の方に目を向けると……な、何と壁と扉の間に、縦に大きな隙間が!

何で気付いたのかと言うと、スタッフさんが扉を使わずに、隙間から舞台袖に消える、その瞬間を目撃してしまったからです。(笑)
その後も時折、隙間から客席の様子を覗き見するスタッフさんがチラチラ見えました。

ステージの造りが面白すぎる。何でこんな設計にしたのか、すごく気になります。

その後、オケの皆さんが入場し、音出し後にマエストロが現れて、指揮台に上がるや否や、演奏が始まりました。

マエストロは指揮棒は使わないスタイル。手で細かく表情をつけながら指揮をされていました。
指揮台に立っている時は背が高く見えましたが、降りて来ると、角野さんより少し低い位。

指揮をされている時のエネルギーがすごいので、大きく見えたのかも。

この曲を聴くのは、この日が初めてだったのですが、
曲が進むにつれて、どんどん盛り上がって行き、クライマックス、まだ続いちゃう? まだまだ?
と突っ込みたくなる感じはベートーヴェンっぽい。
(と個人的には感じました)

観客を楽しませようと言う、ベートーヴェンのユーモア精神を感じつつ、色彩豊かでエネルギッシュな演奏に聴き入りました。

明るく締めて、ホール内の空気が温まった所で、次へ。

ここで、オケの皆さんは一度退場。
この後はピアノ協奏曲で、ピアノを設置しないといけないからです。

バルトーク:ピアノ協奏曲 第3番

ヴァイオリンの席が奥の方に寄せられて、ステージの左端に設置されていたピアノが真ん中に移動されました。

移動時、あまりにもステージの端っこギリギリを攻めるような感じだったので、見ていてハラハラしたのですが、無事に設置は完了。

そうそう、この時に気付いたのですが、椅子が場所によっては二段重ね、三段重ねになっているものもあって面白かったです。

高さの調整なのか……今まで聴きに行ったコンサートであまり意識して見たことはなかったので、そんなに珍しい話ではないのかもですが、そうしてる理由を聞いてみたいなと思いました。

そうして、再びオケの皆さんが再登場。
マエストロと本日のソリスト、角野さんが一緒に登場。

角野さんはコンマスの人とグータッチ(肘タッチだったかも)を交わした後、深々と九十度にお辞儀。
謙虚なお人柄が表れたような、美しい所作だなと、見る度に感じます。

椅子に座り、マエストロとアイコンタクトを交わした後、演奏がスタート。

第一楽章

予習していた時と印象が全然違ったので、びっくり。
今までは、大自然の中で動物の鳴き声を聴きながら、彼等を愛でつつ、辺りを散策して回っているような気分になる曲だなと思っていましたが、生で聴いてみたら、動物が出て来たように感じたのは曲の一部だけ。

大自然の息吹を感じながら、ピアノとオケが生命の讃歌を歌っているのを聴いていたような……上手い言葉が出て来なくて、何のこっちゃな表現ですが、何倍もスケールアップした、どこか崇高なものを見た、と言う感覚になりました。

予習時のCD音源では、オケの音が大きい時にピアノの音が隠れてしまっていた部分もあったんだと実感。
ピアノがベースみたいに音を刻んだり、後ろでキラキラ音出したりするのを確認。

生き生きしたオケの上で、リズミカルに遊び心も感じるような角野さんの踊るような演奏が、何とも小気味好かったです。

第二楽章

第二楽章の美しさと言ったら、筆舌に尽くし難い素晴らしさでしたが、頑張って言葉を探してみます……!

冒頭の優しいオケの音色を聴いていると、眼前には木々が広がる美しい自然の風景が。
時事刻々と色合いを変える雄大な景色。

そこにピアノが入ると、それが引き金になって、大自然の中に自分が入ったような感覚に。
旅に出て、絶景を見た時に感じた、あの感覚を呼び起こすような、そんなピアノの演奏に、感嘆のため息をつきながら、聴き入りました。

バルトークって、こんなに素晴らしい曲だったっけ……?

広がりのあるオケの音と対照的に、ピアノは内省的に、自分の心の中を代弁しているような音色に聴こえて、自然の中で静かに瞑想しているような、そんな感覚になりました。

夜の闇の中で、月明かりや小川のせせらぎを五感で感じながら瞑想をしてると、いつの間にか思ったよりも時間が経っていたのか、空が白んで来ました。
遠くの方から聴こえる小鳥の鳴き声が、朝の到来を告げるようです。

次第に活動を始める動物の姿が増えて行きます。

第三楽章

そして、ここから雰囲気が一変。
皆さんご存知の通り、スーパーノリノリタイム!

動物たちが元気に、辺りを駆け回る。
途中、たまたま凶暴な野生動物に出会して、ダッシュで逃げる私。(笑)
たまに方向音痴になったりしながらも、頑張って走り続けます。

高ぶるオケとリズムに乗る角野さんのセッション感が最高!
生で聴いてると、思わず身体を揺らしたくなる感じで、めちゃくちゃ楽しい。
音の波に乗っかって、アトラクション体験してるみたいな気分。

そうして、終わりに向けて、メロディはどんどん勇壮な響きに。
クライマックスな場面での、角野さんのグリッサンドが格好良い!

最後はエネルギーがグーっと高まって行って、ズドーンとぶちかます!
無事にヤバい動物から逃げ切った所で、演奏終了。

気持ち良い! 最高!
興奮のまま、立ち上がって拍手。

終わってすぐ、ブラボーの掛け声が多数!
スタオベいっぱいでした。

ショパン:英雄ポロネーズ

カーテンコールを三回位した後、ピアノの椅子に座る角野さん。
今日は何を弾くのかなとワクワクしてたら、まさかの英ポロが来た!
嬉しすぎる!

と言うのも、私がクラッシックコンサートに足を運ぼうと決意したきっかけなのが、角野さんの英雄ポロネーズで、個人的に思い入れが深いのです。

まだ彼の演奏が収録されたアルバムがなかった頃に、YouTubeで一節だけ弾いていた彼の英ポロを見つけて、あまりの音の煌めきと、心地良いテンポ感に一聴きぼれ。

フルの演奏を探してみるものの、どこにもなくて、聴ける機会がコンサートしかなく、クラシックのチケットの買い方も何も分からなかったものの、好きが高じて、えいやと重い腰を上げました。

――そこから、今は気軽に行けるようになり、こうやってnoteまで書くようになりました。

彼の演奏が持つパワーは、私にとって、それくらい大きいものだったのです。

この日は過去の演奏と比べると、音の輪郭がふわっとしていて、そこにキラキラした金粉が少し舞っているような、そんな音色に聴こえました。

ピアノの蓋の裏がどこでもドアになって、そこから繋がっているお部屋から、お花の良い香りが微かに漂って来るのを感じるような、そんな演奏でした。

夢見心地とは、まさにこの時がそうで。
本当に幸せなひと時でした。

この日は彼の誕生日だったのですが、逆にプレゼントをもらった気分に。
演奏後、素晴らしい音色と彼の誕生日へのお祝いの気持ちも込めて、立ち上がって、心からの拍手を送りました。

十五分休憩時、まさかの放送で、さっきのアンコール演奏は英雄ポロネーズで、本日のサイン会はありません、のアナウンスが。
曲名を入り口に張り出してSNSでお知らせするパターンはお馴染みですが、そんな伝え方もあるとは、と新鮮に感じました。

チャイコフスキー:交響曲 第4番

第一楽章

冒頭の金管楽器が印象的。
そんなにチャイコフスキーを聴かないのに、耳馴染みのある感じがするのは何故だろうと考えて、あっ、と思い付きました。
ドラクエのオープニング曲に似てる!
(たぶんドラクエ8のversionが特に似てる)

今から音楽に乗って旅に出るぞ、なワクワク感と共にスタート。
街の中を散策したり、お城を出入りしたりしているような観光気分になる第一楽章。

お城の中っぽい、優雅な雰囲気の所では、中でダンスパーティが行われている感じ。
マエストロの指揮が軽やかにダンスしてるみたいで、自分も一緒に踊ってるような、楽しい気分に。

後半に行くにつれて、どんどん盛り上がって行き、演奏にのせられて、観客のボルテージもぐんぐん上昇。
第一楽章の最後の一音が消えた後、思わずと言った具合に客席から拍手が上がりました。

第二楽章

冒頭は、ドラクエに喩えたら、3のほこらっぽいBGMからスタート。
主人公が黄昏ながら自分を振り返ってる場面から始まった、みたいな感じ。
ここで、マエストロが情感溢れる指揮をされていて、気持ちを込めながら、パッションを大切に指揮をする方なのだなと感じました。

しっとりと味わい深く、聴くタイミングによって色んな楽しみ方が出来そうです。

この日はと言えば、初めて浜松に来ていたこともあり、旅情を感じながら聴いていました。

第三楽章

弦楽器が全員、指で弦を弾いて鳴らす、ピチカートの応酬から始まるのが印象的。

可愛らしい響きが楽しい。
RPGで街の中を散策してる時に流れるBGMを思い出すようなメロディ。

途中、市場に立ち寄って買い物を楽しんだりする場面が目に浮かんだりして、観光気分に。
ちょこちょこした弦の音色が、たくさんの人が行き交うイメージに繋がっているのかも。

第四楽章

初っ端からフルスロットル!
疾走感溢れる演奏にゾクゾクしちゃう!

サビ部分、何かの作品で引用されていたのを聴いた覚えがあるのですが、思い出せません。

ノリノリでエネルギーに溢れてて、ずーっと楽しい。
チャイコフスキー、かっこいい曲も書けるんだぜ、と改めて思わされました。

オケメンバーでも、特にノリの良いメンバーには自然と目が行きます。

右から2番目のチェロの男性、ノって来たら、身体がリズム取りながら左右に揺れてて、とっても楽しそう。

ヴァイオリンの客席側の前から三人。
身体でリズム取りながら弾く姿が格好良い!
時には後ろに仰け反りながら(!)弾いていたりする場面も。

最後、音粒の中に大粒のラメがキラキラ光って見える幻覚が。

演奏を終えるや否や、ブラボーの声と共にヒューヒューする声まで!
スタオベの嵐に、マエストロもオケの皆さんもめっちゃ良い笑顔でした。

いやあ、楽しかった!
めちゃくちゃ楽しすぎて最高でした!
ノリノリで盛り上がれるチャイコフスキー、思い出に残りそうです。

ドヴォルザーク:スラヴ舞曲

カーテンコールをニ回した後、ドヴォルザークのスラヴ舞曲を演奏。
冒頭から漂う東欧的な哀愁のあるメロディが味わい深くて、素敵でした。

聴くのは今日が初めてだったので、曲名は後で知ったのですが、「スラヴ」とはまさに感じた印象そのままで、素人の何となくの感覚でも当たることがあるのだなと、ちょっと驚きました。

しっとりとした終わりでしたが、盛り上がりは続いていて、またまたスタオベの嵐。
マエストロとオケの皆さん、すごく嬉しそうで、ずーっとニコニコとされてました。

続くカーテンコールでもう立たなくても良くない? と目配せするオケの面々に、マエストロが指揮台に登って、手のひらを上に向けて、また立ち上がるように促しながら、ぴょんぴょんジャンプする仕草に、みんなくすり。

その後、各パートに拍手を送って、オケメン退場。

あるオケメンバーが観客にバイバイしたら、観客も振り返してニコニコ。
それを見た他のメンバーも次々と笑顔で手を振りながら退場し、観客も笑顔で見送ると言う、最後まで素敵な雰囲気でした。

全員行ったかなと思ったら、最後の最後にマエストロがひょっこり戻って来ました!
沢山のブラボーの声が上がり、それに会釈し、投げキッスもして応えた後、マエストロ退場。
温かい空気の会場にほっこりしながらの終演となりました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?