神奈川フィルハーモニー管弦楽団主催公演 フューチャー・コンサート川崎公演
はじめに
この日は、今をときめくスター達が川崎の地にて、一堂に会する日。
リバーサルオーケストラで演奏を担当された神奈川フィルハーモニー管弦楽団の皆さん。
同ドラマで指揮の指導をされた田中マエストロ。
ソリストはあの石田組長と角野さん。
Wソリストの公演とか、それだけで興奮するんですけど!
このメンバーだけでもワクワクが止まらない。
何かすごいことが起きそう。
そして……本当にすごいものを目撃したのでした!
だったん人の踊り
ミューザ川崎のホールは今回が初めて。
音の鮮明度が高い。だけど、耳に刺さる感じはなくて、心地良く音色が耳まで届いて来ます。
冒頭部分の優しい音色は、ホールに音の粒で花を咲かせるような美しさでした。
そこから田中マエストロの指揮は、次第にキレッキレに。
神奈フィルの皆さんと生み出す音色は、とても色鮮やかで眩いばかり。
華やかで格好良かったです……!
一曲引き終えた頃には、ホール内があたたかな空気で満たされていました。
火の鳥
コントラバスの低音から始まるのが印象的な、この曲。
そこから、徐々に他の弦楽器の音色が重なって行くのですが、重ね方がとても繊細であったためか、一瞬、歌い手は誰もいないのに、人の声そのものに聴こえたので、鳥肌が立ちました。
数日前に別のコンサートでこの曲を聴いていたのですが、繊細な音作りから、ドラマティックな演出まで、カラーが全然違っていてびっくり。(どちらも1919年版)
指揮者とオケ、ホールが違えば、雰囲気も変わりますね。
この日は細かなニュアンスまでが解像度高めに聴こえる演奏が印象的でした。
アンダンテ・カンタービレ
ここから小編成に。
たぶんだけど、右側にコントラバス二人、チェロ三人、ビオラ四人、左側にヴァイオリン十一人……くらいだったと思います。(間違っていたらすみません)
素人なので、編成とか全然わからないんだけど、今まで見たことがない形だったので新鮮でした。
人数がぐっと減ったとはいえ、弦楽器のみでも響きは素晴らしく、静寂な空間に儚げに流れる音色が美しいこと。
心洗われる演奏でした。
何て良い曲……!
ヴァイオリンとピアノと弦楽のための協奏曲Op.105
演奏前にピアノを舞台中央にセッティング。(それまでは左奥にセッティングされていました)
その際、場所を開けるために一時ビオラの四人が退席。
人数に変化はあるのかと見守っていましたが、席の位置をやや右側にずらしたのみで、再び四人にて再登場。
そうして、メンバーが舞台上に揃うと、田中マエストロが振り返り、石田組長、角野さんの三人が目を合わせたと思ったら、いきなり演奏開始。
ちょっと待って! 集中しなきゃと心から雑念を消そうと努めながら耳を傾けました。
冒頭から、石田組長の艶やかな音色、角野さんの軽やかなピアノが耳に心地良い。
オケと掛け合いますが、まだ小手調べと言った模様。
まだこの時はクラシックの室内楽っぽい雰囲気に見えました。
でも、ここからの雰囲気の変化が凄かったのです……!
第二楽章は、抒情的な厚みのあるストリングスの音色からスタート。
その響きが、ホールの中に夜を運んで来ました。
いつの間にか、この場所がジャズバーに変わった錯覚に陥ります。
天井に天窓があって、そこから月明かりが差し込み、私はみんなとお酒を片手に演奏を聴いている、そんな気分でした。
途中、石田組長が弓でヴァイオリンをリズミカルにコツコツと鳴らす場面が二度見られたのが印象的でした。
演奏のちょっとした仕草も、徐々にクラシックからジャズよりなものに変わって行ってる感が。
第三楽章は、またガラッと雰囲気が変化。
アメリカの西部開拓時代の酒場とか、そんな雰囲気です。
その辺に酒樽とか転がってそう。
みんなでワイワイ楽しく盛り上がってる場面に、ポーンと投げ込まれた感じです。
テンション高い!
解き放たれたようにノリノリで演奏する角野さんの足踏みの音が、パーカッションみたいに音楽の一部に聴こえます。
そこに、石田組長のヴァイオリンの艶っぽい音色が絡み合うのが、もう堪りません。最高。
田中マエストロが振るオケの演奏の上で、石田組長、角野さんが、まるで自由に即興で合わせているように見えました。
楽譜通りの筈なのに!
今まさに生み出されている新しい音楽のような昂揚感が、クラシックコンサートでこんなに感じられるなんて!
クラシックコンサートの経験がない人にこそ、今日の公演は聴いて欲しかったかもしれません。
そんなパフォーマンスにみんな熱狂。
終わった直後の割れんばかりの拍手が、それを物語っていました。
田中マエストロ、石田組長、角野さん、お互いに貴方の方がと称え合って、なかなか舞台袖に引っ込めない姿が面白かったです(笑)。
そして、何回かのカーテンコール後、田中マエストロの合図でオケの皆さんだけ先に退席。
舞台上には、石田組長と角野さんの二人のみに。
近くにあったマイクを手に取って、トークタイムが始まりました。
石田組長✖︎角野隼斗
※記憶違いが多々あるかと思いますが、ご了承下さい。
すみのちゃん
石田組長「えっと……すみのちゃん」
角野さん「すみのちゃん……!(ちゃん呼びにびっくりしつつ)ええっと、はい、すみのちゃんです(笑)」
石田組長「それで……周りから言わせると、夢の共演」
角野さん「夢の共演! 本当、そうです」
石田組長「こちらこそ」
角野さん「いえいえ、こちらこそ……!」
お互いに相手を讃えながら、もじもじ(笑)。
頭を下げ合う二人。
何故か二人共、腰から直角にお辞儀(笑)。
二人共、朴訥とした口調が人柄の良さを感じさせます。
優しい石田組長
角野さん「怖い方だったらどうしようと思っていたんですが、著書を読ませて頂いて、優しい人だとわかったので、ホッとしました。
お会いしたのは、昨日が初めてだったんですが(会場どよめき)、リハーサルの場所を間違えて……三十分遅刻してしまったんです。しばかれるかと思いました(苦笑)。
昨日はすみませんでした!」
石田組長「いやいや」
ガーシュウィン(ハイフェッツ編)/
3つの前奏曲より第1曲
一曲目のアンコール演奏。
先程まで演奏していた曲の雰囲気をそのまま引き継ぐようなガーシュウィンの曲で、お茶目なメロディが楽しい。
酒場で騒いだ後の余韻に浸っていたら、先程注目を浴びまくっていたヴァイオリニストとピアニストが今度は二人だけで出て来て、また演奏を始めてくれた、みたいな感じ。
それがまた極上で。
この二人最高。
一曲目のアンコール後
石田組長「……ふと、思ったんだけど、すみのちゃんってヴァイオリンの伴奏とかってすることある?」
角野さん「うーん……あんまり多くはないですかね」
石田組長「九割八分五厘がすみのちゃんのファンの方なのに、伴奏ですみません。またぜひ共演したい」
いやいや、彼の伴奏も大好物ですよとファンの私は心の中で返事をしていました。
THE FIRST TAKEでの演奏等がぱっとが思い出されますが、ピアノで曲の世界の幅を広げて、色鮮やかに彩るような彼の伴奏は本当に素敵なのです。
それにしても、九割で切らずに、八分五厘って付けて表現する石田組長のワードセンス、何か良いですね(笑)。
角野さん「こちらこそですよ」
石田組長「だけど、今度はいつ会えるか分からない……ね、次はいつ会えるかわからない(強調)。
なので――もう一曲弾きますか!」
その声に拍手で盛り上がる観客。
わっと歓声も上がりました。
会場は大盛り上がりです。
ロシア民謡(山下康介編)/黒い瞳
二曲目のアンコールは、石田組長のヴァイオリンの色気がさらに増しまし。
角野さんのピアノがそれを盛り上げます。
映画やオペラみたいに、ホール内の雰囲気を非日常なものへと一変。
二人の音色がやばかったです。本当に。
カプースチン
8つの演奏会用練習曲op.40 第3番トッカティーナ
鳴り止まない拍手に、再び舞台袖から現れる二人。
そして、石田組長、突然譜面台を床に(そっと)倒して、楽譜を周囲にばらまくと、舞台から飛び降り(!)、なんとそのまま客席の一番前に座ってしまったじゃあないですか。
驚いた様子の角野さん。
角野さんにソロでアンコールを弾くようにすすめる石田組長。
何て粋な計らいでしょう。
角野さん「(少し考えて)……カプースチンのトッカティーナを弾きます」と告げると、間髪入れずに演奏をスタートします。
「ギューン!」って擬音が聴こえて来そうな、すごいノリノリの演奏。
途中、指パッチンもあり!
演奏が終わるや否や、石田組長、まっさきにスタンディングオベーション。
客席のあちこちでもスタンディングオベーション。
盛り上がりは最高潮!
その後のカーテンコールでは、二人は何やらお喋りされていた様子でした。
客席に向けて一緒に手を振ったりする場面も。
終わりの方のカーテンコール時に、角野さんは譜面台をそっと元に戻しました。
その隣で石田組長が楽譜を回収。
やっぱりそこはかとなく、立ち居振る舞いに人の良さが漂っているお二人だなと思いました(笑)。
おわりに
いやあ、楽しいコンサートでした!
これ、一回きりで終わるの、もったいなくないですか?
全国回って欲しい。
各地で大盛況間違いないですよ。
クラシックに馴染みがない友人知人を誘ったら、これをきっかけにファンになる人がいっぱいいそうです。本当に。
ぜひ、ご検討下さい!
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