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エンタメ作品のクィアファンはもっとマシな扱いを受けるべきだという話

こんにちは!海外のクィア系情報発信をしますイチカワユウです!

今日は、エンターテイメント作品におけるLGBTQ+の表象を調べてスコアとして好評しているノンプロフィット団体LGBT Fans Deserve Better(LGBTのファンはよりよい扱いに値する)を紹介します。

この団体は、先日ラスベガスで開催された、クィア女性のためのエンターテイメントイベント「クレクサコン」でパネルを開催していました。ディレクターのシェルビーさんとお話しました。

LGBT Fans Deserve Betterの沿革

LGBT Fans Deserve Betterは、メディアにおけるLGBTQ+の表象をチェックするという点ではGLAADと似ていますがよりクィア女性の表象にフォーカスした小規模な団体です。エンターテイメント業界で長く働いているスタッフが中心となって立ち上げられました。

きっかけは、「レクサ」という一人のレズビアンキャラクターがドラマ『The 100』の中で殺されてしまったことでした。


彼女の死は、当時他のドラマ内でも頻発していたバイセクシュアルやレズビアンキャラクターの死と重なり「Bury your Gays 」という現象として批判され、激しいバックラッシュ運動が起こりました。その一環として、LGBT Fans Deserve Betterは生まれ、また「クレクサコン」も生まれたのです。

LGBT Fans Deserve Betterがエンターテイメントにおいて注目しているのは、以下のような要素です。

クィアな女性が何人出てきたか?
彼らのセクシュアリティは何か?
彼らは主役か?脇役か?レギュラーか?ゲストか?
彼らの人種は?
彼らがそのセクシュアリティを実際に口に出していうか?(女性同士の恋愛を描きながらも、レズビアンとかバイセクシュアルとかはっきりと口に出さない作品は多いです)
作品が放映されているネットワークは?
そのキャラクターが好きになるキャラの性別は?
両思いになるか?片思いのままか?
どちらの性別と一緒になるのか?
そのキャラクターは死ぬか?

などなど。

彼らがまとめた資料の一部を紹介すると、1976年から2016年までのクィア女性の表象吸うは、90年代以降急激に増えてますね。

ネットワーク別に見ると、ネットフリックスが圧倒的に多様なセクシュアリティのキャラクターを出しています。続いてABCやCWも頑張ってますね!


ただ、ただ人数出てればいいというものではなく、それを細かく見てくと、そもそも白人が大多数であったり、主人公ではなかったり、下手するとひどいやりかたで苦しめられたり、殺されたり…というのがあるわけです。

彼らはこのメソッドで各番組にスコア付をしています。

『ワイノナ・アープ』や『ワンデイ 家族のうた』などのショーをクィア女性の観点から見た場合のよいところと悪いところをまとめています。

例えば、「しっかりカムアウトしている」などはポジティブ要素で「数エピソードだけ出てきていなくなってしまう」などはネガティブ要素となっています。

ちなみに満点はなく、どんどん加算していく方式だそうです。日本の『おっさんずラブ』とか『弟の夫』などもこういう指標を当てはめたらどうなるのでしょう?野島伸司脚本で、事前に関係者のコメントが炎上しまくってる『百合だのかんだの』とかも気になります!

全然同性愛っぽいのが出てこない段階では「単に百合っぽいキャラ出てきた!」というだけで大喜びしちゃうのもわかりますが、本当は、クィアファンは、もっとまともな扱いを受けるべき(deserve better)なわけで。しっかり建設的な批判をすることで、クリエーターに対してメッセージを届け、「その次の段階」に進むことができれば素晴らしいですよね!

エンタメにおけるマイノリティの描き方の評価は、作品自体の出来や、個人の好き嫌いもあるため、なかなか難しいですが、このように客観的な指標を用いてスコア化するというのはよいアイデアだと思いました。

似たような試みとしては、全米最大のLGBT権利団体であるHuman Rights Campaign(HRC)が発表しているCorporate Equality Indexというスコアがあります。これは「LGBT従業員の働きやすさ」を図る指標です。これについてはまた改めて紹介しようと思います!

※今回使ったインフォグラフィックスや画像は全てLGBT Fans Deserve Betterのものです。

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