Tinder 6 人目 人生を狂わす男 司

司 24歳

この男は
最初から最後まで
つかめそうでつかめない
雲のような人だった

彼とすごした半年間は
私にとって特別なもの
それは儚く素敵な時間だった

ひとまわり以上も離れている彼と
意気投合し深い関係になるとは
このとき誰が想像したことか

年齢を感じさせない
それも彼の魅力だった

誕生日が近かったこともあり
ツインレイ 
では?とおもったときもあった

もしかしたらそうだったのかもしれない
そのこたえは今もわからない
正直、彼との時間は楽しいだけではないので
ツインレイではないといいなというのが
本音である


彼からさまざまなことを学び
一緒の時間を楽しみ
本当に本当に大好きな存在だった

Tinder での彼のプロフは
それはまぁ適当で
なんだったら写真も別人だった

きっと身バレを恐れていたんだろう
彼は陽キャで友だちも多いタイプ

いわゆる Z 世代
ネットからスマホから
ネイティブなのである

完璧主義で
失敗や努力をみせたくないタイプ
考えすぎて不器用になることもよくあった

プロフが適当でも写真が別人でも
2人の関係が築ければ
きっかけは
なんでもよかった

今おもうと
私は若い司とマッチングができて
浮き足立ってたのだとおもう

それくらい
彼はかわいく刺激的な男だった

彼とは会う前に通話をした
声に自信のなかった私だが
Tinder で何人もの男たちと
通話をかさね
みな褒めてくれた

この頃にはもう
会う前に通話がデフォルトだった

私は声フェチなので
事前に声を聞き
その人となりを想像するのも
楽しい時間なのだ


「 通話したい! 」
突然彼がいい出したのが
きっかけだった

通話の予定がなかなか立たなかったことを
覚えている

そのときは数人をやり取りをし
予定も埋まっていたので
気にならなかった

のちに
彼はマルチビジネスをしていることが判明する

そのビジネスのため
セミナーやら打ち合わせやらで忙しいのだ

そしてシングルタスクな彼は
さまざまな予定をしっかり
整理することが難しい

夜早く寝てしまうわたしと
マルチが忙しい司

なかなか通話ができない

やっとできたとおもった通話でも
彼はほとんど話すことはなかった

通話したいんじゃなかったの?
そうおもっていた

やっとのことで少しずつ彼の話を引き出した

彼の声はとにかく小さい


反応も悪い

このとき話した内容は
仕事の話
会社の話
職場の人の話
どんな人が好きか
どんな人が苦手か

だったとおもう
正直よく覚えていない

少しずつだけど盛り上がっていったことは
覚えている

彼は肯定的な言葉を話す人が好きだとも
いっていた
この点に関してはとても共感が持てる
否定的なことばを使う人は苦手なのだ
そして彼は自分のペースでしっかりと生きていた

わりと長時間話していた

合間合間で
静かなときが流れる

この空気をよみたかった
彼の心をよみたかった

これは私に興味がないのだろう
もう会うことはないな

そうおもっていた

しかし
彼は通話後のメッセージで
会いたいといってきたのだ

あの通話でどこを気に入ってもらえたのか
今でもわからない

調和性が高く
そもそも人が大好きなわたし
会いたいといわれれば
気になるというのが正直な話だ

今まで出会ったことのない
つかみどころのない男

ワクワクするでもなく
ドキドキするでもなく
不思議な感覚だった

司とは通話後すぐに会うことになる

このときは諸々反省した後だったから
司とは絶対に初回で致さないと決めていた

それはしっかりと守ることができた

結果、そんなことどうでもいいくらい
私は彼に堕ちていくのだった

彼との出来事もマガジンにまとめていこうとおもう

彼への気持ちを整理したい
そして早く忘れたい

司との顔合わせ編へと
つづく

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