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アフリカのサミット「キリマンジャロ」で人力タクシーに乗る#3

翌朝起きると雨は止み、心地よいスタートを迎えることができた。
本日のルートは2,720mから約1,000m高度を上げ、ホロンボハットまで歩みを進める。12kmの山行で、エリアは森林地帯から湿原へと移り変わる。
この日から雲の上から景色を楽しめることもあり、テンションは高めだ。早くアフリカの景色を見たい。すぐに荷物をまとめ、他のどの団体よりも早く山行をスタートした。

「ポレポレ」スタートするとすぐに、ガイドのHunterが声をかけてきた。彼の歩みは極めてゆっくりだった。
体調が悪いのか?私は彼を心配した。しかし心配されていたのは自分の方だった。
「Pole Pole」は英語で「Slowly Slowly」という表現になる。すなわち日本語では「ゆっくり行こうぜ」という意味である。
実はこの「Pole Pole」こそがキリマンジャロ登山には重要なのである。

キリマンジャロの山頂は5,800m。2つ目のハット(宿泊ポイント)でも標高は富士山と同レベルの3,700mにもなる。この場所での酸素は地上の2/3。かなり少なくなっている。従って酸素を取り込める量は少なくなり、高山病のリスクが高まる。だから、ゆっくり登ることでそのリスクを減らすわけである。

私はできるだけゆっくり歩き、呼吸に集中した。腹式呼吸が重要であることは認識していた。
時間的な余裕があったため、我々は寄り道をしてミニクレーターを訪れた。

クレータの窪み部分(2色の面白い草が生えていた)

色は違うが、アフリカ人の髪質に似た草がたくさん生えていた。(いやこんな直毛タイプは滅多にいないか…)
冗談を考える余裕も持ちながら、歩みを進めていると、森林地帯が徐々にひらけ、周りの景色が楽しめるようになってきた。

湿原地帯からの眺め

すでに標高は3,000m超え。雲の上に出ていた。Moshi〜Arushaの美しい景色が見えた。単純に綺麗だった。

少し歩みを進めると、ベンチと机があるプチ休憩ポイントを見つけた。2日目の山行は半分ほどだったため、少し休憩をすることにした。
今日の行動食はカシューナッツとリンゴ。塩分と糖分、脂肪分がバランスしたエネルギー補給だと思っていると、カシューナッツの袋が一瞬にして視界から消えた。
「ファ?」私は一瞬何が起こったか分からなかった。しかし、すぐに奴の存在を認識した。アフリカにもいたか。。
そう、カラスである。

キロマンジャロのカラス(大きいけど少し可愛い)

山の鳥は好きだ。なんか愛らしい。小さいからだろうか。
いや、曇りの日に出会える雷鳥も、ハイマツに生息しているホシカラスも好きだ。だけど、このカラスはちとデカくて図々しい。
カシューナッツの袋を奪うと、彼は颯爽とどこかへ飛んでいった。なんとも切ない感情だけが残された。。

気を取り直して身支度をし、残りの山行を進めることにした。
湿地帯には川が流れている場所があり、橋がかかっていた。アフリカらしからぬ、安定した橋だった 笑

橋!

とても綺麗な澄んだ綺麗な水が流れていたので、水をすくって飲んだみた。雑味のない良い水だった。きっとキリマンジャロ天然水はこんなところから流れてきているのだろう。そんなことを考えた。

この日の山行では、Hunterと音楽の話をして盛り上がった。アフリカではHip Hop、Reggaeなどが人気で、白人の有名なアーティストはEminemくらいだと教えてくれた。タンザニアでは2PacやHarmonizeなどがよく流れるそうだ。個人的には、HarmonizeのHappy Birthdayがお気に入りだ。

そうこうしているうちにホロンボハットまで辿り着いた。
標高は3,720m。ほぼ富士山と同様だ。
ハットからの景色は完璧だった!

ホロンボハットの眺め

午後6時には夕日が見れるということで、少し高い場所に移動した。すると、、奴が姿を現したのである…

キボと登山客

その存在感には圧倒された。キボの山頂付近と氷河が完璧に見えた。
あの山に挑戦するんだ。そう思うと心が震えた。しかし、富士山に登ってまた富士山のような山が現れるのだから随分驚きだ。

ホロンボハットからの夕焼け

さて随分と感動が薄まってしまったが、夕焼けも感動ものであった。ただただ時間の流れと共に移り変わる輝きを楽しんでいた。

夕食はスープ、サラダ、チキン、ポテトなどを食した。特に体調に変化はなく、食欲も旺盛だった。明日登ってからだな。そう思って明日の支度をし、眠りについた。
#4に続く

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