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あなたの知らない経絡の世界~肺経の巻~

こんにちは。ゆーのすけです。
ここ3回は経絡とは何なのか?初心者の押さえておくべき経絡についての総論的知識について書いてきました(それぞれいいねくれると喜びます)。

今回からは、各経絡の流れ(流注るちゅうといいます)について教科書レベルの復習と、プラスアルファ知ってくと役立ちそうなことまとめていきます。

初回である今回は『肺経』について書いていきます。

そもそもなぜ経絡の流れを知ることが重要か?

色々な鍼灸書に書かれている各経穴や経絡の「主治(主な効果)」は、所属する経絡の循行部位における病症となっている場合が多いです。

逆に言えば、各経絡の流れさえ押さえておけば、病症の位置から異常経絡を選び、アプローチすべき適切な経穴の選択もしやすくなります。

患者さんがココが痛いという→ココの場所を通る経絡を判断→その経絡上のツボにアプローチ

ということが出来るのも経絡を知っているからこそできることですよね。

これは、古典的な治療でなくても、トリガーポイント治療をおこなうときに関連痛マップを参考にしたり、体表の痛みの原因を考える上で内臓体壁反射の各臓器の関連痛マップを参考にするときの考え方とも似ているかもしれません。

ただし、経絡の場合は身体全面を何かしらの経絡が担っていると考えます。身体マップに空白や隙間がなく、東洋医学らしく全体性をもっているところが大きく違うところだと思います。

また経絡経穴の教科書では、点と点をつなぐ線としての経脈という感じが強く、いわゆる体内の流注は軽視され、そして経脈以外の経別や絡脈などの流注は省略されています。

ほんとはもっと複雑なものなのに、簡略化して教科書にしていると思われます。
今回は、その簡略化されていてでも知っておいた方がよさそうな部分をピックアップします。

肺経

「肺経」、正確には「手の太陰肺経」と呼ばれます。

12経脈の始まりであるし、経絡治療においても使用頻度はかなり高いです。

肺経の流注

まず復習ということで、自分が使っていた経絡経穴の教科書には以下のように肺経の流注が書いてありました。

そのままではわかりにくいので【】で『類経』を参考に、ゆーのすけが経穴名を挿入し補ってあります。

 手の太陰肺経は、中焦【中脘】に起こり、下って大腸【水分】を絡い、かえりて噴門部【上脘】をめぐり、横隔膜【鳩尾~十一椎の高さ】を貫いて肺に属する。肺から気管、喉頭をめぐって腋下【中府・雲門】に出て、上腕前外側【天府・侠白】、肘窩[尺沢]、前腕前外側【孔最・列欠・経渠】、手関節前面横紋外端の橈骨動脈拍動部[太淵]、母指球外側【魚際】を経て、母指外側端【少商】に終わる。

 前腕下部[列欠]より分かれた支脈が、示指外側端【商陽】に至り、手の陽明大腸経につながる。

『新版 経絡経穴概論』
(一部経穴名挿入)ちなみにこの原文は『霊枢』経脈第十
十四経発揮 経絡図 肺経



参考文献もとにゆーのすけ作成

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