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なぜ頭の胆経の流注はジグザグなのか?

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記事開いていただきありがとうございます。ゆーのすけです。

前回、胆経の流注について解説しました。

今回は,経絡の流注解説を一休みしてコラム的に書いてみます。

前回の記事でも解説したように、胆経は頭部の流注が実に複雑なことがわかります。

十四経発揮における胆経の流注・頭部

目の外眼角の外方から後頭部の方に行き、そこからまた前方の額へ行き、そこからまた後頭部へいきます。

このように胆経の頭部の流注は後ろへ、前へ、後ろへとジグザグになっています。

でも実は、現在の経脈の原典とされる『霊枢』経脈編の記述読んでみると、このようなジグザグになっていません。

下の右の図が『霊枢』経脈編に基づく流注です

胆経の流注・頭部 『十四経発揮』と『霊枢』経脈編の比較

また、現在学校で使われている教科書『新版 経絡経穴概論』では、『霊枢』経脈編に習って記載されているので、流注の説明はジグザグせずシンプルに書かれていますが、教科書の図は、胆経の経穴を単純に連結した図になっていてジグザグしてます。

原典である『霊枢』経脈編の記述と、後世に作られた経絡図では、なぜこのような差があるのでしょうか?

最近手に入れた横田観風先生の『経絡流注講義』を読んだところ以下のようなことが書かれていました。

すでに何度も述べている様に、流注図は『発揮』に基づき、『発揮』は、経脈と経穴との関係を明確にするのが目的であった。そのため古人は、まず経穴が、いずれの経脈に属するかを決定し、その経穴を順番に連結してゆく作業をせねばならなかった。これは極めて難しい作業であったと想像される。その具体的方法は、今となっては知る由もないが、読者諸賢の考察にまかせることとしよう。

『経絡流注講義』p352 胆経の解説のところ

※『発揮』とは『十四経発揮』のことで、現在の経絡経穴の教科書の底本と言われる

横田先生が言うには、

古人が経絡説を『十四経発揮』として整理しまとめる課程で、経穴をいずれの経脈に属するかを決定し、その経穴を順番に連結してゆく作業をした

ということがかかれていてとても納得できる考え方だと思いました。

この考えをまとめると

『十四経発揮』を書いた滑寿さんは、古今の書物を読み比べ、誤りや矛盾点などを整理しながら、経絡と経穴を整理し教科書として編纂した。

その過程で、すべての経穴をどこかの経絡に当てはめるため、側頭部にある多くの経穴を胆経に当てはめた。

経穴を繋げて一本の流れにするため、頭部の前方と後方を行き来する流れになった。

のだと思われます。

1本に繋ぐパターンはもっと他にもありそうですが、解剖学的な神経の走行を考えるとある程度理に適っているような気がします。(急に西洋医学ですいません)

大後頭神経、小後頭神経、耳介神経側頭部神経などと走行が一致してるかもなと思います。

このあたりはHAMTライターのhanaさん(玻名城さん)がきっといつか書いてくれることでしょう←

さてこれ以降は、以上のことをさらに詳しく書いていきます。


経絡図の成立課程

まず経絡、特に経絡図の成立課程を知ることがまず大事になります。

古典を紐解くと、経絡の説明に時代の変遷があることがわかります。

経絡図成立の変遷についてまとめ

経絡現象という事実体験の積み重ね

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