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激人探訪 スピンオフ 超獣ボーカリスト対談 BARA VS 窪田 道元

 どうも皆さん、YU-TOです。

もう終了に向かってのカウントダウンが始まった2020年。

この時期になると、どうにもまだやる事が残っている気がしてきたり、もう今年の事は全て手放して、何もしたく無い気持ちにかられたりもする。

5月くらいに激人探訪を発足させ、お陰様で確実に回数を重ねる事が出来ている今日この頃。

そろそろ来年に向けての取材の準備などもしなくてはと思いつつも、「ちょっとここら辺で毛色の違う記事を書いてみたいな」という思いが出てきた。

個性豊かなゲスト陣達のお陰で、毎回違う感触のある記事が出来ているという自負はあるが、何だかんだで基本となる構成は同じ。

だから文章を書く練習も兼ねて、普段とは少し違うタイプの企画を立て、より面白い内容の記事を皆さんに発信出来れば良いなと思い、今回の"スピンオフシリーズ"を発足させてみた。

あくまでも"スピンオフ"という事で、いつもの激人探訪より少しくだけた内容になっているので、読む皆さんにも是非、気軽な気持ちで読んでみてもらいたい。

そんな記念すべき第1回目の激人探訪スピンオフシリーズは、同じパートのミュージシャン同志がぶつかり合い、議論し合うという対談企画をお届けしようと思う。

今回バチバチな(笑?)ミュージシャンバトルを繰り広げてくれる2人は、THOUSAND EYESUNDEAD CORPORATIONAFTER ZEROのボーカリスト窪田 道元氏と、HONE YOUR SENSEでボーカリストを務めるBARA氏だ。

スポンオフ2

この2人の対談は「いつかやってみたいな」と常々思っていた事で、実際に今回やってみたら、もう予想通りというか、非常に面白い話が盛り沢山な取材になったと思う。

道元氏とBARA氏のスクリームは"似ているようで似てない"というか、"同じでは無いけどお互い近いところにはいる"といった印象がある。

自分もドラムで参加したUNDEAD CORPORATION &HONE YOUR SENSEのコラボ曲、『Face the Fate』を聴けばそれは明らかで、「この2人って似てるようで似てないな」という不思議な感覚をこの曲が完成した際に感じた。

兼ねてより道元氏はBARA氏の事を「リスペクトしている」と公言しており、その辺りの話を具体的に聞いて記事にもしてみたかったし、年齢もバンド歴も先輩にあたるBARA氏が道元氏のボーカルについてどう思っているのかも気になっていた事だ。

バンド同士での対談は他メディアでも行われていたが、個人間での対談は今回が初めて。

酒が入った上での対談であるので、ふざけた内容の話も入ってはいるが(笑)ボーカリストとして、バンドマン&ミュージシャンとして、そしてメタルヘッズとして、大切な姿勢のようなものも垣間見れた非常に得るものがある取材になったと思う。

シーンを代表する超獣ボーカリスト2人のぶつかり合いは、どんなケミストリーを生み出したのだろうか?

書けないような話も多々あったが(笑)なるべく詳細に、そしてリアルに2人の対談をお届けしたいと思っている。

最強メタルボーカリスト同士が繰り広げる熱い対話を、とくとご覧あれ!

※本記事中の敬称は省略させて頂いています。

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超獣同士の出会い~談義無しで通じ合うもの~

ー兼ねてより親交のあるお2人だと思うのですが、出会いってどんな感じだったんですか?

道元:そんな別に仲は良くないけどね。

BARA:大体バカにし合ってるから(笑)。

ー元も子もねえ(笑)

道元:ふふふ(笑)。まあ出会いは、元々BARAさんがBANDER SNATCHってバンドをやってて、俺にとってBARAさんは伝説上の人物だったの。俺がAFTER ZEROで新宿ANTIKNOCKに出始めた頃には、もうBANDER SNATCHは解散?、、活休?してて。

BARA:マジで?

道元:いや、本人でしょ!?(笑)。

BARA:いやいや、AFTER ZEROがANTIKNOCKに出始めた時にうちが解散してたかなんて逆に分からなくない?(笑)。

道元:確かに分からないっすね(笑)。その時はまだBARAさんと出会ってなかったんだけど、当時俺はBLACK PEARLに半年位いたりして、メンバーから「元BANDER SNATCHのBARAさんのボーカルはヤベェ」って話をずっと聞かされてて。最初は何かそういう"伝説"みたいな感じだった。

ーなるほど

道元:それで、どうやらそのヤバいボーカリストがHONE YOUR SENSEに入ったらしいと。もうその時から、「悪い」とか「喧嘩っ早い」とか言う、尾ひれはひれが付く話を、、、

BARA:そう言う話ばっかすんなよ(笑)。

道元:ははは!。でも当時のANTIKNOCKのノリってそうじゃないですか?。だから一番最初に俺がBARAさんを観たのは、METAL BATTLE JAPANの初年度じゃないかな?。

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BARA:その時が初対面って訳じゃなかったけどね。でも多分ちゃんと認識したのは、そのライブの時にSENATIVEで道元がサポートで歌ってるのを観た時だったかな。

ーその時のお互いの印象ってどうでした?

BARA:いや、めちゃくちゃカッコ良くて、俺ビックリしたんだよね。

道元:あれはSENATIVEがカッコ良かったんですよ。と言うか、BARAさんのHONE YOUR SENSEでのデビューライブっていつっすか?。

BARA:このライブの1個前で、新松戸のFIRE BIRD。そこで練習ライブみたいなのをやった。

道元:ああじゃあ、絶対初めて観たのMETAL BATTLE JAPANでだ。

BARA:いや、だって2回目だもん(笑)。

ー道元さんは初めてBARAさんを観てどうでした?

道元:とりあえず「恐えー」って言うか"厳つい"って言うか、、。"あの頃のANTIKNOCK感"というか。まあ、"あの頃のANTIKNOCK感"とか文字にしても伝わりずらいと思うんだけど(笑)。

ー確かに(笑)

道元:悪い奴らでつるんで酒を飲んで、仲間意識はあるんだけど全員不良みたいな。

BARA:何かよく、道元が「あの頃のANTIKNOCK嫌い!」とかって言うけど、あの頃のANTIKNOCKを部外者で好きな奴は誰もいないと思う(笑)。

ーはははは!!!

道元:まあ話を戻すと、元々BARAさんが入る前のHONE YOUR SENSEが好きじゃなかったんだよ。でも、そのMETAL BATTLE JAPANで観た時は「ヤッベェー!」みたいな。結構あれは衝撃的だった。それで「この人は俺と似たものを聴いて育ったな」みたいな事も感じたかな。

BARA:もう絶対ね、そこはあるんだよね。道元とはね、ほぼボーカル談義とかした事ないの。でも、絶対に好きなの一緒なんだよ(笑)。

道元:そうっす!(笑)ただそれを「BARAさん、ボーカルってぇ〜」とか語り合うのは気持ち悪くないですか?(笑)。

BARA:気持ち悪い!!(笑)。特にねー、ボーカル同士は気持ち悪いんだよね。

ーでもこういう場があれば、ちゃんと話してくれますよね?(笑)

道元:こういうのだったらちゃんとする。でも恥ずかしい。

BARA:そう、恥ずかしいんだよね。基本的に道元とは聴いてきたものも一緒だし、感動してきたものも一緒で、ちょっとスタイルは違うけどお互いに似てるタイプだとも思ってる。

道元:そうですね。

BARA:道元は「TRUEだ!TRUEだ!」とか言ってるけど、それも"言いたいだけ"なのも分かってる(笑)。

道元:ははは!!正解!!。俺、LIMP BIZKIT大好きですからね!!。

ー初めて歌をコピーしたバンドですからね(笑)

道元:そう(笑)。まあ話を戻すと、BARAさんの入ったHONE YOUR SENSEを観て「優勝はHONE YOUR SENSEだな」って思ったくらい凄かったんだよ、その時。

BARA:俺が入ったら"メタル"になったよね。

道元:そうそう!そうなんですよ!。オリジナリティも出てきて、BARAさんの声とかアピアランスとかが、当時のメタルコアにありがちなスキニー履いて、"こういうしょうもない髪型して"みたいな感じじゃなくて。

BARA:"こういうしょうもない髪型"って文字で表しづらいじゃん(笑)。

道元:まあ、簡単に言えば俺はポーザーが嫌いなんですよ。

BARA:でも俺ポーザーだよ?、めちゃくちゃ。

道元:いや!BARAさんは違うんですよ。違うポーザーというか、1本筋が通ってるんですよ。"ヘヴィメタルマニアックス"かと言われたらそうじゃないかもしれないけど、ポーザーでは無いんですよ、絶対に。

BARA:いや、俺は思うんだけど「ヘヴィメタルヒーローになる奴はヘヴィメタルマニアなのか?」って話。別にマニアじゃなくても良くない?。

道元:全然良いっす。

BARA:例えばJames Hetfieldとかが「自分たち以外のメタルあんまり聴いた事無いわ」って言ったって別に全然良いじゃん?。そういう事でしょ?。だから道元も別にメタル知らなくたって良いじゃん?(笑)。

道元:いや、俺は根がオタク気質なんですよ!(笑)。

BARA:じゃあ「知らない奴はクソだ!」みたいに言わないで、許してくれよ(笑)。

道元:いや、知らない奴は全然良いんですよ!。"知ったかぶってる奴"が嫌いなんですよ。だから、ちょっとXXXXXやったと思ったらXXXXXやってみたいな、、

ーこれ、書きますよ?(笑)

道元:ダメです!!(笑)

BARA:すぐコンプラが入るから(笑)

ーそれを覚悟で今日は来たんで大丈夫です(笑)

道元:真面目にやります!真面目に!。

道元スクリーム=EMG、BARAスクリーム=RECTIFIER

ー対バンとかする事とかは多かったと思うんですけど、こうやって2人で呑みに行くみたいな事は今までなかった訳ですよね?

道元:まず無い。

BARA:本当はね、遊びたいと思ってるの、俺は。

道元:俺も、いつだって遊びたいと思ってますよ。

BARA:"いつだって"ね(笑)。

ーそれは何か、お互いで制御してるみたいなところとかもあるんですか?

道元:まあ、意外と2人で会ったら照れるというか気持ち悪いというか、、(笑)。

BARA:気持ち悪いよな(笑)。渋谷とかでさ、こいつと2人で歩いてたりしてさ、もしメタルファンが見たら気持ち悪いよね(笑)。

道元:わかります。何か嫌なんですよねー。シンプルに住んでる場所が遠いっていうのもあるし。

ーさっきもボーカル論的な事を話した事が無いって言ってましたけど、本当にお互いのボーカルの事とか今まで何も話して来なかったんですか?

道元:何か、お互いの羨ましいところとかはちょっと話した事はある。俺で言ったら、BARAさんは俺より声質がドンシャリなの。低いところはディープな叫びが出て、高いところは俺よりキンキンした声が出る。

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ーああ、わかります。

道元:そのエクストリームに両脇に振ってる感じが俺は羨ましいなって思いますって話を薄めにした事はあるけど、超恥ずかしいですよね、今?。

BARA:うん、超恥ずかしい。

ー(笑)

BARA:まあ、すげー恥ずかしいけど、道元のボーカルは俺が一番出し難いハイミッドの一番良いところを綺麗に粒が細かく出せるっていうのが、もう芸術的なレベルで凄くて。国内でここをこんなに綺麗に出せる奴っていないんだ。

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確かに。

BARA:俺、もう嫉妬に駆られて道元とコラボをやればやるほど、"道元シャウト"を練習してるの(笑)。

道元:ははは!。でも俺はマジで個人練習で"THE LAST MAN STANDING"3回くらいやりますからね。

BARA:マジで?(笑)。

道元:マジっす。絶対やるんすよ。だから俺は俺で憧れてるの。

ーどういう理由で"THE LAST MAN STANDING"をやるんですか?

道元:アップにもなるし、「これ歌えるようになったら上手くなるんじゃねーか?」みたいな、、、。

BARA:あとネタになるんでしょ?(笑)。

道元:そう、ネタになるから(笑)。

ー"ネタになる"、、(笑)

道元:俺、本当は出したいのってBARAさん側の声なんだよ。BARAさんの系譜って、先輩に真島さん(AWAKED,ex-SUNS OWL)がいて、Inaさん(IN FOR THE KILL,ex-METAL SAFARI)がいてみたいな系譜じゃん?。

BARA:でも、その先輩達も俺と同じところを目指してる感じがするんだよね。

道元:俺も本当はそっちに成りたかったけど、成れなかった。地声のせいなのか何なのかわからないけど。

ーその"そっち"っていうのは極端に声が分けられるっていう部分なんですかね?

道元:そうそう。コクがある下(低音)とヒステリックな上(高音)みたいな感じなのに憧れてたんだけど、何か出来なかった。それで「しょうがないからミッドでやるか」みたいな。

BARA:俺もミッドだけどね。

道元:まあ、昨今のアレと比べたらですよね。

BARA:そうそう。昨今の飛び道具的なアレに比べたらミッドだけど、昔の歌唱的な意味合いで言ったら確かにローだよね。

ー2人共同じタイプの声質かと思いきや、"Face the Fate"を聴くと「全然違うな」って思いますよね。

BARA:道元の声ってRECでもめちゃくちゃ映えるしね。最近、プロのPAの人達とやる機会があって、話を聞いてみて自分なりに噛み砕いてみた結果、道元の声はハイゲインで、粒が細かくて、周波数も高めなんだよ。

道元:うん、そうですね。

BARA:それで、俺はゲイン少なめでミッドがゴンゴンゴンみたいな(笑)。そういう声って、ギターの音と被り過ぎちゃうんだよ。

道元:へぇーー!!

BARA:PAの人にめちゃくちゃ言われるんだよね。7弦のLOW Bのチューニングと帯域が被り過ぎちゃうから、凄い周波数をいじらないと抜けて来ないから大変って言われて。

ーそういう事があるんですねー。

BARA:それを言われて、「変えていかないといけないのかな?」って思ってたんだけど、、。いや待てよ、、、俺、出来るかも?!。

道元:いや、何をですか?(笑)。

BARA:最近の話なんだけどね、「俺、出来るわ」と。もうちょいゲインを上げて、俺と道元の間ぐらいのところが出せるんじゃ無いかと思って。道元と同じ所らへんに声の位置を持って行っても、絶対に同じ声にはならないしね。

道元:まあ、ならないですね。

BARA:だからちょっと俺は、道元から学ぼうって思って。

道元:逆に俺はディープな方の声はBARAさんから学びたいですけどね。LOW Bっていうのがビックリしましたよ。低い方はめっちゃハイゲインで、" BLACK LOTUS"の一番最初の歌い出しとか粒が細かいじゃないですか?。

BARA:そうだね。だけど、俺は肺を使う量がそもそも使い過ぎてるっていうか、息の量が多すぎるっていう特徴があって、そうすると粒が荒くなるじゃん?。

道元:ああ、そうっすね。スクリームで言うとフォールスコードに近い感じになっちゃう。

BARA:そう。さすが。やっぱり、"アレ"をやっただけあるね(笑)。

道元:やめて下さいよ(笑)。

ーボーカルセミナーをね(笑)

道元:そういえば、BARAさん来なかったじゃないですかー!。

BARA:いや、俺その日ライブだったんだよ(笑)。「どうにかして行けねーかな?」って思ってたんだけど。

道元:あっ、確かに言ってましたね。まあ、俺はBARAさん来たら黙りますけどね。「ゲスト来ました〜。後はよろしくお願いします!」って(笑)。

ーははは!でも、ボーカルのそういう"粒が細かい"っていう感覚とかって、あんまり分からなかったりするんですよね。

道元:マジで?!分かるっしょ?。

ーいや、何となく分かるんですけど、そういうのって凄い感覚的じゃないですか?。音楽的な理論では無いと思うんですよ。

道元:まあまあ、確かに。

BARA:道元の声はマジでEMGなんだよ。超凄いと思う。

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道元:俺、めちゃくちゃEMG目指して練習してますからね(笑)。

BARA:ははは!!ウソ!?。

道元:ホントにホントに!(笑)。5150とEMGみたいなサウンドを出したい。

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BARA:俺はめっちゃレクチ(RECTIFIER)じゃない?(笑)。

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道元:レクチです!(笑)。すげー言われて分かります。

ーそういう風にギターサウンドを意識するものなんですね!

道元:俺、ギターが超好きだから。"趣味ギター"だからね。

ーBARAさんはギターとか弾いたりするんですか?

BARA:いや、俺は弾かないね。

ーでも、そうやってギターサウンドを意識してみるというか、自分の声をアンプとかピックアップとかに例えたりするもの何ですね。

BARA:いやなんか、「どういう声が良いんだろうな?」って行き詰まったり、喉を痛めたりすると、「もっと良い出し方があるんじゃないか?」って色々考えるんだけど、、。

道元:あーー!分かる。

BARA:多分、今やってる声の出し方って、今の自分が一番感情を乗せられる声の出し方なんだけど、「この出し方って理に適ってるのか?」っていう所にぶち当たるんだよ。

道元:そうそうそう。

BARA:ただただ本当に怒りとか感情に任せてやってたら、それって声が枯れるじゃない?。枯れるのがカッコ良い時もあるけど、大概の場合、枯れない方が良いんだよ。

道元:枯れて「カッコ良い!」って思わせられるのは結構な玄人というか、、、。

BARA:そういうレベルまで行ったんだったら良いけど、たかだか30分のステージで枯れちゃ、お話にならないからね。

道元:ファンもCD通りの声を聴きに来てますからね。

BARA:CDでの声って"まとまった綺麗な声"になってて、「それをライブで再現するにはどうしたら良いんだろう?」ってなると、なるべく"一定量の肺活量で負担が掛からない状態にして、息が切れないようにする"っていう事が大事で。

道元:すげー分かる。ただ自分の妥協出来ない歪みラインもあるじゃ無いですか?。

BARA:そう、ある!。だからそこをキープしながら、"どう時間を保たせて枯らさずに歌うか"って事を考えつつ、ショボい声には成りたく無いから、肺活量は落としつつもゲイン高めをキープして、"最後の言葉の投げ捨て感"で勢いを出すみたいな。

道元:はははは!!。分かるなぁーー!スゲェー分かるなー!!(笑)。

BARA:分かるっしょ!?(笑)。

道元:スゲェー分かりますね〜!。

BARA:だから、それをどう出していこうって考えていくと、楽器に例えたりだとかするんだよ。その方がRECしてくれる人に話が伝わりやすかったりもする。

道元:話が早いんですよね。

BARA:そう。「今俺、レクチじゃ無いですか?。EMGの音にしたいんですよ」って言うと、「ああ、粒が細かくて安定してて、"グワァー!"ってくる音ね!」って分かってくれる。

道元:分かり過ぎるなー。

BARA:こんな話、未だかつてした事無いし、他の人ともした事無いんだけど、今一発で話が伝わったから、やっぱり共通する感覚なんだろうね。

「負けてない」と思える部分

ー諸々共通する感覚のあるお二人ですが、お互いに「ここだけは負けてない!」って思えるポイントってありますか?

道元:何だろうなー。結局話が戻っちゃうけど"ミッド"なんだよね。あとはBARAさんに比べたら俺の方が"絡みやすい"というか、、。

BARA:ウっソ!?。絶対俺の方が絡みやすい!(笑)。

道元:イジりやすいというか(笑)。BARAさんに比べたら、俺はオタク達にもフレンドリーというか、、。

BARA:いや、絶対に俺の方がオタク達にフレンドリー!(笑)。

道元:いやいやいや(笑)。

ーその"絡みやすさ"っていうのは"フットワークが軽い"みたいな感じなんですか?

道元:それもあるし、根がそんな恐く無い人間だからそう言う部分が出ちゃうんだよ(笑)。

ー認めましたね(笑)

道元:BARAさんより"悪さ"をして無い人間だから(笑)。

BARA:ウソだね(笑)。絶対ウソだよ(笑)。

ー逆にBARAさんはどうですか?

BARA:何だろうなー。

道元:あっ、あとBARAさんには"スター性"で負けるわ。

BARA:仕方ないね、それは!

ー(笑)

BARA:まあそこは仕方ないよね〜(笑)。

道元:"ステージに来た時の威圧感"と"喧嘩売ったら殺されるんじゃないか感"は負ける。

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BARA:俺は喧嘩売りたくないけどね(笑)。

道元:でも、そういうのってエクストリームメタルでは大事な事ですからね。

BARA:そう、大事だよ。

道元:スキニー履いた弱そうな奴が「殺すぞー!」って言っても「殺してみろよ?」ってなっちゃうじゃん。

BARA:"メタルは"とかじゃないけどさ、バンドって不良のものだったじゃん?。今はさ、何かオタクとか目立てない人達の"人生リベンジ"みたいな(笑)。

道元:そうそう(笑)。それが何かダサいんですよね。

BARA:いや勿論、そういう場であっても良いとは思ってるんだよね。別に俺は何でも良いんだよ。俺は懐広めだから。

道元:BARAさんは心広いっすよ。

BARA:何でも良いし、何でも許すし、、と言うか"許す"とか"許さない"とかじゃないし。でも、メタルってめっちゃ特殊な事やってるし、やりたい事やってるじゃん?。俺はね、すごくね、、いや、いきなり話変わるんだけど、、。

道元:知ってますよ。「めちゃくちゃ話変わったな」って思いながら今ビール飲んでますからね(笑)。

ー脱線は大歓迎なので(笑)

BARA:大丈夫?(笑)。

道元:いや、でも凄いと思いますよ、BARAさんって。マインドが凄いんですよ。

ーその"マインド"ってどういうところなんですか?

道元:オープンマインドなんだよ。誰とでもライブやるし、誰とでも楽しくやれるし。俺は"メタルぶってる"奴を見ると五寸釘打ち付けたくなるから(笑)。

BARA:でもね、良いと思う。俺は別に。

道元:、、、、何がですか?(笑)。主語は?(笑)。

BARA:酔い始めてるから主語が無くなりがち(笑)。いや、俺は道元が言うところのメタルボーカルがオモチャにされてると言うか、「可愛いアイドルなのにデスボ出しちゃいます!」みたいなのもあるけどさ、また俺達がやってる事とは違う訳じゃん?。

道元:まあ、そうですね。

BARA:段々クオリティも上がってきてて、「もう許す!」みたいな気持ちにも実際なってきてるし(笑)。そういうアイドルが入口になって入ってきて、HONE YOUR SENSEの曲を聴くってところに辿り着く人達もいるかもしれないじゃん?。

道元:確かにそうですね。

BARA:だから俺、入口はどこでも良いと思うの。もしそういうアイドルとかがいなかったら、俺達の事を知れない人もいるかもしれないし。

道元:それこそ自分の好きなアイドルを観に行ったら、対バンしてたHONE YOUR SENSEに度肝抜かれたとか、そういう事もありますからね。

BARA:そうそう。そういうのもあって良い訳じゃん?。だから別に俺はアイドルがデスボイスを使ったりするのも全然良いと思うし、逆にそういうアイドルの子達もそう思ってると思う。

ーなるほど、確かに。

BARA:ガチなメタルバンドを観に来てるお客さんに「私達こういうのもやってるから、ライブ来るの恥ずかしくないでしょ!?」って感じで窓口を広げてさ。

道元:あー、確かに確かに。

BARA:そういう相乗効果もあったりして、持ちつ持たれつでやれば良いんじゃないかな。その中で"めちゃくちゃカッコ良い奴が勝つ"ってだけだから。

ーそうですね〜。

BARA:結局、歴代のスクリームボーカル達やスクリームという歌唱法に対するリスペクトが少し足りな過ぎるんじゃないか?ってところが道元は腑に落ちない訳でしょ?。

道元:そういう事です。「なに飛び道具でやってんだよ?」っていう。いやー、でもBARAさんさすがだなー。心が広い。

ーそういうオープンマインド、道元さんにはあまり無いかもしれないですね(笑)。

道元:僕はね、無いですね!!。本当に申し訳ないけど1mmも無い!(笑)。

ーアイドルとかヴィジュアル系と呼ばれる人達でも、もう普通にデスボイスを使ってますよね。

道元:もうね、「やるんだったらTRUEまで登って来い」と。俺はね、工夫の無いデスボイスが一番嫌いなの。

ーほうほう。

道元:"自分なりに闘った痕が無い"デスボイスが一番嫌いで。今、デスボイスのお手本なんて昔と違って腐る程いるわけよ。例えば「SLIPKNOTを一生懸命コピーしました」っていうところから、みんな一歩先に行かないの。何故なら、心の何処かでスクリームが好きじゃないから。

ー分かる気がします

道元:心のどこかでスクリームをちょっと下に見てるの、絶対に。「歌も出来るしスクリームも出来ます」とか、そういう詰まらない事を言うんだよ。BARAさんは歌には興味無いじゃないですか?

BARA:あるよ(笑)。

道元:それは忘年会のカラオケとかじゃないですか(笑)。前も激人探訪で言ったけど、大事なのは「スクリームをやらざるを得ない状況があるのか?」って事で。

BARA:俺だってB`zもSIAM SHADEも好きだから歌いたいよ(笑)。

道元:いや、B`zはめちゃくちゃシャウトしてるじゃないですか(笑)。何かね、デスボイスってものが市民権を得てから凄いつまらなくなったなーっていうのはある。

BARA:ああそうね。分かる。

道元:「はい、デスボ!」みたいな。

BARA:"デスボ"って呼び方はね、ちょっと"カチっ"とは来る。"カチン"じゃなくて"カチっ"ね(笑)。

道元:もともと"異形な音楽"だったのに、異形にリスペクトの無い奴が市民権を得たからといってやり出すのはポーザーでしょと。SLIPKNOTのCoreyから入ったのは良いとして、「そこから先に行く努力はしたのか?」っていうところで。

BARA:道元、でもね、今2020年なんですよ。もうCoreyって凄い古い人なんだよ。

道元:そうなんですよ、、。俺、それ聴いた時に「うっわぁー!」ってなって(笑)。

BARA:俺達は90年代のバンド達を神と崇めてるじゃん?。もう2000年生まれの奴らにとってSLIPKNOTはレジェンドだよ(笑)。

道元:時代が回るのは仕方ないけど、たまに頑固オヤジのラーメンとかも食いたくなるわけで、、。

BARA:そういう事だよね

道元:そういうのも残して行きたいかなって。だから俺は気を吐き続けようと思う。

スクリームの為のケアと感覚のキープ

ーいやー、やっぱり話が脱線するなー(笑)

道元:ホント申し訳ない(笑)。

ーボーカリストって一番フィジカルなパートじゃないですか?。何かそういう体のケア的な事とかってやってたりします?。BARAさんは筋トレをやってるって話ですが道元さんは、、、やってないですよね?

道元:僕は何にもしてないです。

ー(笑)

BARA:道元はいつも油を食べて喉を潤してるからね(笑)。

道元:レコーディングの前は"ファミチキ"が最強ですね。

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BARA:あっ!分かる!!。

道元:あれ、マジ最強っすよ。

BARA:だって俺、レコーディングの時だけファミチキ食うもん(笑)。

ーへぇ〜!!

道元:普段から俺は食ってますけどね(笑)。でも、本当にボーカルをストイックにやるんだったら酒なんてあり得ないからね。こんな喉が乾く飲み物。アルコール消毒とか手がマッハで乾くけど、喉でも同じことが起こってるってことだから。ただ、、、「飲むよね」って話で(笑)。

BARA:だってメタルだから。

道元:そうそう。「やっちゃいけない」って言われてる事に反抗したいんだよ(笑)。

BARA:まあそういう訳でもなくて、ただただ飲みたいんだよね(笑)。やりたい事を止めたくないんだよ。

道元:そうそう!!。

ー喉のケア的な事とかはしてないんですか?

BARA:湿気とかは基本的に、、、、、何か言おうと思ったけど、全然気使ってなかった(笑)。

ー(笑)

道元:俺とBARAさんは似たような感じで、「龍角散舐めとけば何とかなる」って思ってるんだよ(笑)。

BARA:一緒!!(笑)。今は龍角散ダイレクト!。

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道元さん:ダイレクトが美味いんですよね。紫のピーチ味。

BARA:因みに俺はミント味(笑)。

ーでも今ってライブも無いし、そんなに声出せないじゃないですか?。「鈍ってるな」みたいに感じる事ってありますか?

道元:俺はそれが恐過ぎて個人練習に行ってる。ビックリするくらい声出ないんですよ。「ヤッベ!!」ってなって。

BARA:分かる。俺も個人練習に行ってる。

道元:まあでも、「まっ、いいか」ってなっちゃうんですけどね。

BARA:「まっ、いいか」ってなっちゃって、次の日気になってちょっと歌うじゃん?。そしたら調子良いんだよ。

道元:分かりますよ(笑)。声出るんですよね!。何かエンジンみたいなのが1個あるんですよねー。

BARA:絶対そう。ライブ1日前でも良いから1回、俺は車の中で曲をかけて歌う。

道元:俺はスタジオに1時間個人練習に行って、いけるとこまで歌って調子悪かったら「止め!!」って言って帰る。けど、それでもエンジンは一応掛かるんだよね。そうすると次の日スゲー調子良い。

BARA:そう。すごい調子良い。

ーへぇーー!!

BARA:これをやらないと、ヤバい。ライブで「あれ?調子悪いのかな?」って力む。それで更に声が出なくなって悪くなる。

道元:そうそうそう。

ーそういうのも共通する感覚って面白いですね。

BARA:多分、声帯のコンディションなんだろうね。

道元:あとは喉の締めとか力みの感覚とか。

BARA:そうそう。

道元:声帯は声帯で危ないですからね。俺も1回やってるし。9ヶ月くらい掛かりましたよ、治るまで。

BARA:道元の話聞いてから、「恐いな」って思ったもん。

ー道元さん、喉壊した事あったんでしたっけ?

道元:1回、声帯結節をやってる。ポリープの良性みたいなやつ。レーザーで取り除くなら3日入院で済みますみたいな。ただ声は、特に歌声は変わっちゃうかもしれないって言われて「それは無理だ」と。だったら「ステロイドで豆を小さくしましょう」って。

BARA:それ、ちゃんと無くなったの?。

道元:ちょっと残ってますけど、「もう大丈夫でしょう」とは言われてるんで。

ーBARAさんは喉壊した事とかないんですか?

BARA:無いけど、"ライブが連チャンすると弱い"っていうのがあって。ツアーとかで3連チャンやったりするとヤバいから、とにかく寝る、酒を控える、余計に歌わない。

道元:"寝る"最強っすよ。結局それなんですよね。喉を使わなければ回復するっていう。

ー結局はそこですよね。あと、レコーディングする時、道元さんは手持ちマイクでしかやらないんですよね?

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道元:もう手持ちマイク以外だったら死ぬから。

ーBARAさんはどうですか?

BARA:俺も持病みたいなもんで、手持ちマイクじゃ無いと、、

道元:けどあれじゃないですかー、「ABSOLUTE SENSES」はコンデンサーじゃ無いですかー!。

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BARA:そうだよ。だってダメって言うんだもん。

道元:Hiro(STUDIO PRISONER)さんがね(笑)。

BARA:Hiroさんがさー、「何なら掴んでも良いですから!」って。

道元:いやー、俺はポップガードが掛かったところで「ウワァーー!」とかやってんのが「ダサい」と思っちゃうんですよ(笑)。「ZARDかっ!!」みたいな。

ーははは!!!

BARA:ZARDでしか見た事なかったの?(笑)。

道元:いや、ZARDのMVとかでよくあるじゃ無いですか!。

BARA:でもBjörn(SOILWORK) もやってるよ?。

道元:いや、やってるんですけど、Lamb of Godなんてコンデンサーを口の真ん前に持って床転がり回って歌ってるんですよ。「ああ、これがリアルだな!」って。

BARA:じゃあ、Björn はクソだと。

道元:いや、Björn は良かったっす(笑)。

ーやっぱりボーカリストとしては、ハンドマイクの方が"ノレる"みたいな事ってあるんですか?

BARA:もちろん!

道元:もちろんそう。何が一番自分が自信を持てるパフォーマンスかっていったらライブな訳で。だったらレコーディングもライブの環境に極限まで近づければ、あのパフォーマンスが録れるんじゃないかって思って俺はやってる。

BARA:何回か見てるよ、そうやって録ってるの(笑)。社長(Undead Corporation)の家でもEND ALLのレコーディングとかでも。

道元:「何でBARAさんコンデンサーでやってるんだろう?」って思ってましたよ。「スゲーなこの人」って。

BARA:「Björn もやってるからしょうがねぇのかな」って思ってさ(笑)。でも本当は俺だって嫌だよ?。

道元:まあ確かに。でも、それには俺の帯域の話もあって、俺やっぱりマイクに手を被せないと声が高いんだよ。

ーそうなんですかね?

BARA:関係ないでしょ絶対(笑)。気持ち良いんでしょう?手を被せて歌った方が(笑)。

道元:まあ、9割9分そうなんですけど(笑)。何かね、ちょっとある。コンデンサーだと俺の要らないキンキン帯域を拾い過ぎてしまうというところは。

ーあー、、わかるかもしれないです。

BARA:変な話なんだけど、絶対に人間って"自分で聞いてる音"で喋ってるの。絶対に聞きながら、自分の話してる声をチューニングして喋ってる。

道元:そうですね。

BARA:だからボーカルも自分の声を聞いて、「最高の声が出てるぜ!」って思ったら最高の声が出せるんだけど、「あれ?ドラムがデカくて自分の声が小さい?」って思うと、それだけで力んじゃうんだよ。

道元:分かるぅーー!!

BARA:たったそれだけでもそうなっちゃうから、環境がいきなり変わると、声の調子にかなり関わってきちゃうんだよね。

共通する目指すべき指標

ーお互いに共通した尊敬するボーカリストって、、

道元:Philip Anselmo(PANTERA)で話が終わってしまう。

ーですよね〜(笑

道元:"あの頃のPhilip Anselmo"で話が終わってしまう可能性が高い(笑)。

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BARA:そう!「あの頃のPhilip Anselmoが最高だよね!」って。後はFred Durst(LIMP BIZKIT)?。

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道元:はい(笑)。後はGODSMACKのSullyとか、、

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BARA:それとVision of DisorderのTim?。

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ーやっぱりBARAさんもTimは好きなんですね。

BARA:めちゃくちゃ聴いてたよ。

道元:BARAさんの方が直撃ですよね?。

BARA:世代的にはそうだね。

道元:3rd直撃世代じゃ無いですか?。

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BARA:そう。2ndと3rdは直撃だったね。

道元:俺は後追いだからなー。ってかBARAさんが好きなボーカリストって誰なんですか?。

BARA:まあ、Philip Anselmoが神で、昔はあんまり言いたくなかったんだけど、今は逆に言えるかなっていうのが、SLIPKNOTの2ndまでのCorey Taylor。こないだ映像観たら涙流しちゃった。

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道元:何すか?、ライブっすか?。1999年のライブとか?。

BARA:そうそう。もう2ndまでのCoreyがヤバい。

道元:分かりますよ。あれはもう"HATE感"ですよね。

BARA:HATE感がヤバ過ぎる。この世の全部を呪ってるんだよ(笑)。

ーははは!ヤバい(笑)。

BARA:なんか、"人間パワー"がヤバ過ぎて、スクリームとかシャウトとか、そういう次元を超えてるんだよね。もう技術とかそういうのじゃ無いんだよ。エネルギーの塊。

道元:そもそも"People=Shit"って歌詞を思い付いても、恥ずかしくて書けないじゃ無いですか?(笑)。

BARA:恥ずかしい(笑)。

道元:けど、平気であれを一曲目にしちゃうっていう(笑)。

BARA:それ、半分以上ディスってるじゃん(笑)。

道元:いや逆に「スゲェな!」って思うんですよ!。でもやっぱりCoreyは避けては通れないって思いますよ。

BARA:"If You're 555,then I'm 666"とかも言えないよね?(笑)。

道元:「お前は555なら俺は666だ」とか、「なんやねんそれ!」って話ですよ。

ーそういうボーカリストの「こいつは次元が違う」っていうのはやっぱり感覚的な部分ですよね?

道元:完全に感覚。「上手いなー」っていうのはそれだけで終わっちゃって、心が震えないというか。

BARA:そうそう。

道元:俺はCathedralのLee Dorrianとか超好きで、あの人はゲロほど音痴なんだけど(笑)、ただあのCathedralの醸し出す妖しさとB級感を体現してる声だから超好き。

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BARA:吉田美和(Dreams Come True)も超ヤバいよ。

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道元:俺は、高校の頃しょっちゅう喰らったんですけど、吉田美和を歌う女が嫌いなんですよ。

ー拗らせてるな〜(笑)

BARA:いや酔っ払ってくるとさ、音楽に感動したくなるじゃん?。これ、癖なんだけど、家で飲みながらライブのビデオとか観てると、凄い泣けてきちゃうんだよ(笑)。

道元:ヒャハハハ!!

BARA:もうそんな中で安定して日本人の中でヤバいのが吉田美和で。酔っ払ってる時にDreams Come Trueの「何度でも」を聴いてるんだけど震えるよ?、魂が。

道元:いやー、、俺はちょっとなー、、。っていうかBARAさんDreams Come Trueとかで感動出来るんだったら、やっぱり根っこは綺麗ですよ。

BARA:汚ねーよ(笑)。汚い奴ほど、Dreams Come Trueで泣いちゃうんだから(笑)。

道元:いやいやいや!!!心の底から腐ってると、愛とか恋とか言ってる時点で「GO HOME!!」ですから(笑)。

BARA:いや、愛とか恋じゃ無いから!「何度でも」は。

道元:「立ち上がり呼ぶよ」って「呼んどけ呼んどけ!!」って話じゃ無いですか(笑)。

BARA:何を呼んでるか、知ってる?。

道元:いや知らないっす。救急車?。

ー(笑)

BARA:"君の名前"だよ?。

道元:うわっぁはぁっ!!

BARA:ヤバいよ?。

道元:何ちょっと潤んでるんですか?(笑)。

BARA:いや、ヤバいでしょ!?。自分がマジで挫けてる時に聴くと「ああ、ごめんなさい!」ってなる(笑)。

道元:いやースゲー!。良いっすね、BARAさん!。でも、俺そういう時でもメタル聴いちゃうんですよねー。俺はIRON MAIDENとかで泣いちゃいますから。

BARA:まあでも、それこそが"TRUE"って事なんだと思うけどね。

お互いにどうあって欲しいか

ー例えば、お互いにどうあって欲しいみたいな事ってありますか?

道元:俺は一生尖り続けてて欲しい。一生不良であって欲しいし、レイドバックして訳分からない歌とかを歌わないで欲しい(笑)

BARA:どういう事?(笑)。

道元:「やっぱり俺は歌が歌いたいんだ!」とか言い出すのはやめて欲しい(笑)。

BARA:いや、歌いたいよ!。

道元:それは知ってるから良いんですけど、年取った時にそれを言うのはやめて欲しい(笑)。言い訳っぽく聞こえちゃうから。

BARA:いやいやいや(笑)。

道元:歌うんだったら、Philip AnselmoのDOWNみたいな感じでやって欲しいっすね。

BARA:DOWNよりもっと落ち着いてたいよ。安全地帯みたいなの歌うよ(笑)

道元:いやぁーーー!!。

BARA:それがダメなら、SIAM SHADEみたいなの歌う(笑)。

道元:それはギリギリあり。

ーギリギリあり(笑)。

道元:本当にBARAさんにはちゃんとスクリームを貫いて欲しいというか、この歳でスクリームやってるのなんて、覚悟は決まってるはずなんだよ。

BARA:でも、歌ってないのって今までやってきたバンドの中でHONE YOUR SENSEだけなんだよね。

道元:どういう感じで歌ってたんですか?。

BARA:俺は、"Time to see!Believe this in me♫"が大好きだから(笑)。

道元:デー!テレテレテレ♫

ーFrom this day(Machine head)だ(笑)

BARA:あれはOK?。

道元:ギリギリOKです。まあ、年齢補正もありますけどね。

ーBARAさんは道元さんに対してどうあって欲しいですか?

BARA:多分お互いそうだと思うんだけど、道元には今のままの道元であって欲しいって思うかな。くだらない事でも世の中に対するヘイトをぶちまけていって欲しいし、それが道元だと思ってるから。

ーそうですね。

BARA:俺は結構世間に馴染んで生きてるから。でも馴染んでる分、ヘイトが溜まりやすいんだよ。そういうのを出しても良い世の中であって欲しいとも思うね。

ーなるほど。

BARA:今って"あだ名が禁止"とかってあるじゃん?。そういうのって余計ヘイトが溜まると思うよ。そういう「ダメだダメだ」っていうのは、とんでもない事になると思う。

道元:酷いですよね。

BARA:それで済んだものが済まなくなる。何せ根本が解決してないから。"誰かを貶めて自分を優位にしたい"って欲求を制御できてないのに、そういう事をしてしまうと、とんでもないヘイトキングが生まれるかもしれない。

道元:まあ、それはそれで楽しみだし。

BARA:そうすると、もしかしたら凄いボーカリストが生まれるかもしれないね(笑)。

道元:出来ればそれは俺がやりたいですけどね。

BARA:うん。話が全然違う方向に行っちゃって、笑うしかないんだけど、、(笑)。

道元:はい。そもそも「道元にどうあって欲しいか?」って話からあだ名の話になるという。

ーはははは!!

道元:世相を斬るっていう(笑)。

BARA:すぐ世相斬るから(笑)。

道元:まあ、仕方ないっす。とりあえず世相は斬りたいっす。

BARA:よし、じゃあ言うよ。道元には丸くなって欲しい。どう?

道元:あっ、逆にね(笑)。

BARA:道元がもし、もっとピースになったらどうなるかっていうかさ。あっ、、でもダメか。だって道元の尖ってるところってファンには見えてないんだもん。

道元:まあそうっすよ。ちょっと兄貴キャラみたいな。

BARA:そうだよね?。ダメだこれは。

道元:ダメではない!(笑)。

ーまあまあ(笑)。やっぱり、お二人って似てるようでベクトルは少し違うところに向いてる気がしますね。

道元:やっぱり違うよ。だから面白い。俺はメタルを聴き過ぎたんだろうね。アーティストである前にメタルヘッズだから。まあ音楽的には結構新しい事をやってるつもりではあるんだけど。

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BARA:やってるでしょ。

道元:あと、スクリームでも、俺とかBARAさんみたいなスタイルって意外と誰もやってないんだよ。

BARA:やってないよね!。

道元:何故なら、みんな喉が疲れちゃうから。

ー(笑)

BARA:道元は"原理主義"みたいな事言ってるけど、一番新しい事やってる人だからね。

道元:俺はめちゃくちゃ原理主義ですよ。隙あらばDISMEMBERになりたいと思ってますよ。

BARA:とか言ってる割に、やってる事はめっちゃ挑戦してるから。THOUSAND EYESの1stの時と3rdの時ではやってる事が全然違うから。

道元:ああ!。恥ずかしいです!それは!。

BARA:これはね、言わないようにしてたんだよ(笑)。リアルに褒めると恥ずかし過ぎるから(笑)。

ー1stと3rdで違う事をやってると言うのは自覚してる事だったんですね?

道元:自覚はしてるし、「限界を広げたい」っていう気持ちはずっとある。何度も言うけど、努力のカケラもないテンプレのデスボイスが大嫌いで、そこに成りたくないって思いもあるから。

ー常々言ってる事ですね。

道元:「流石に君の声には憎しみを感じないわ」って言うのが多過ぎる。テクニック至上主義というか。ちなみに、俺勝手に思ってるんだけど、90年代のスクリームの最後の伝道者って多分、俺とBARAさんなんだよ。本当に俺らの下の世代にはいなくないですか?。

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BARA:うん、いない。

道元:みんな、ホールスコードスクリームになっちゃってるから。ボォーボォーボォーみたいな。

BARA:何にも気持ちが乗らないんだよね。

ーでもあれですよね。お2人とも若々しいですよね。

道元:雑誌か何かで読んだけど、人間好きな事をやってる時は年を取らないんですって。

BARA:俺なんて永遠に取ってねぇーもん。だから、色々な事を良いと思わなきゃ。だから道元もさ、もうちょっと気楽にしてさ。

道元:道元は、スッゲー考え込んでる(笑)。一番罪深いのは、俺は"考え込んでる自分"が好きなんですよ。

BARA:まあ、それだったら良いじゃん。考え込んでるのが好きなわけでしょ?。

道元:いや、もう何かクソしょうもないシャウトを出して「デスメタルが好き」とか嘘を付いてみたいな、、、やめましょう、この話は(笑)。

ー(笑)

道元:でも、俺達とかって今までのメタル業界で言ったらコミュ力は高い方なんじゃないですか?

BARAさん:まあそうだろうね。

道元:BARAさんコミュ力高いですよね?。

BARA:いや、全然喋らないよ。

道元:いや、めっちゃ喋るじゃないですか(笑)。

BARA:もう自分の子供でもおかしくない歳の奴らがさ、イベントに呼んでくれるんだもん。

ーそうなんですか!?

BARA:もうメンバーみんな20歳とかだよ。俺の友達とか17とか18とかで子供産んでる奴もかなりいるからさ。

道元:ああそうか。そしたらもう20歳超えますよね。

BARA:そうなんだよ。

ーそう考えると凄いですよね。

BARA:ヤバいよね。

道元:BARAさんはそういう子達をニコニコ見れるのが凄いですよ。俺は絶対無理っすもん。

BARA:逆にニコニコ見れちゃうんだよ。「存分にやれ!」って。

道元:「お前達の信じてる事を存分にやれ!」と。

BARA:そう。だってそれしか無いんだもん。その結果どこに行きつくかは知らないけどさ。

道元:その世代ごとの正義みたいなのもありますしね。

BARA:それはそれで、そいつらの道だから。でも、道元の言うように「俺達の好きなものをあんまり汚してくれるなよ」って言う気持ちも若干あるよ?。

道元:俺はBARAさんの3000倍くらいありますけどね(笑)。

BARA:でもね、メタルっていうのは過渡期だよ。始まったばっかり。まだ黎明期で混沌としてるんだよ。今、俺達が80年代のメタルとかを崇拝してしまったら未来が無いって思う。

道元:なるほど。

BARA:俺達が発展させていかないといけなくて。これから何百年、何千年ってメタルって分野が進んでいくかもしれないじゃん?。そうなった時に、「このバンド何にも仕事してねぇ!」とは成りたくない。「前の焼き回しじゃん!」みたいな。

道元:分かります。

BARA:それは歴史に残らないんだよ。俺は昔から思ってるんだけど、形容詞になるバンドになりたい。「HONE YOUR SENSEみたいなバンドだね!」って後々言われるようなバンドになりたいと思ってる。

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道元:それ大事ですね。

BARA:30年後、60年後にメタルヘッズ達が聴いた時に、「こいつらが新しいものを作ったから今の俺達がある!」って思うようなものをやらないと、その前の世代に並んだとは言えないんだよ。

道元:BARAさんは60年後のLed Zeppelinになりたいって事っすね?。めちゃくちゃ新しいですからね、Led Zeppelin。

BARA:そう!そういう事なんだよ!。今聴いても「凄い!」って思えるわけじゃん?。それが出来るって事が後の世代の感性に繋がるわけだから。

道元:そうなれたらホントカッコ良いですね〜。

対談を終えて

ーボーカリストとして対談するって事は初という事でしたが、どうでした今日は?

道元:まあ、めちゃくちゃ面白かったね。変な話、酒があれば5時間くらい話出来ると思う。

BARA:この後、またもう5時間でしょう?(笑)。

道元:でも、酒がないと無理。何故なら、お互い恥ずかしいから(笑)。

ーそういう"恥ずかしい"っていう気持ちってどこから来てるんですかね?

BARA:多分ね、俺は道元の事を尊敬してるんだけど、本当は言いたくないの。もうボーカリストって「俺が一番」って思っててナンボだし、他人を認めるって事によって、自分が自分じゃないみたいな感じになるの。

ーああ、なるほど

BARA:これはね、"認めたくないものを認める会"なの(笑)。

道元:ヒャハハハ!だから酒がないと無理なんですよね?(笑)。

BARA:そう、無理なの(笑)。だから道元は絶対に「ああ?BARAさん?。まあその他大勢より嫌いじゃないけど」みたいな、、

道元:いやいやいや!。BARAさんは最強ですよ!。

BARA:そう言ってくれるけど、これは自分の心を蝕みながら言ってるんだよ(笑)。

道元:いやいやいや、これでXXXXXX最高とかは言えないですよ。

ー書きますよ?(笑)

道元:ダメです!!(笑)。いや俺、本当にさっ!!、、あっやっぱいいや(笑)。

BARA:今一番、録れ高が高いから(笑)。

ー(笑)

道元:でも、BARAさん良いっすね。全然俺より真面目っすよ。進歩的というか。

BARA:全然不真面目だから(笑)。

道元:いや、いろいろ考えてらっしゃるというか。それこそBARAさんは筋トレとかやりますけど俺は否定派で。「劣化した俺を嘲笑えば良いじゃん」って思ってしまうというか(笑)。やっぱり心の闇はずーっと増え続けるから、それを感じてもらえば良いじゃんとか思っちゃうタイプだから。

BARA:そもそも暗いんだよ!性格が!(笑)。

道元:俺はめっちゃ暗いっす(笑)。

BARA:こんな見た目してさ、ガキ大将じゃん!?(笑)。

道元:表面上だけ明るいんですよ、"側"は(笑)。

BARA:絶対、「闇背負ってる位の方がカッコ良い」とか思ってるからだろ(笑)。厨二病こじらせ過ぎたガキ大将なんだよ!(笑)。

道元:よく言われます(笑)。「道元さんはオタクじゃない。少年の心を忘れな過ぎて終わってる」って。

BARA:正解!!(笑)。誰?、言ったの?(笑)。

道元:後輩っす。「窪田さんはあの頃が忘れられないだけですよね?」って。もうぐうの音も出ないっす(笑)。

BARA:もうね、しつこいの。未だに覚えてるの、"あの時の屈辱"を(笑)。

道元:ハハハ!!

BARA:でもね、それは必要。

道元:"復讐心"みたいなのは常にありますね。

BARA:俺はめっちゃあるよ。俺をクソボコにした先輩達とかをね、いつか街であったらボッコボコにしてやるとかね。

道元:そしてその気持ちを持ったままリハとかライブハウスに行くっていうね。

BARA:でも、そういう奴ばっかりよ、世の中。ムカつく奴に出会ったけど、何も出来ずに、脳内でボコボコにしてるような奴らがメタルファンなんだよ。

道元:そうっす。それが最高なんです。けど、それをファンに示すんだったら実績が必要じゃないですか?

BARA:そう!。でも俺達は実績があるもん。

道元:だからその話をまとめると、不良っていうのは絶対必要。"不良感"みたいな。普通に人をフルスイングでぶん殴る、ぶん殴られる位の覚悟があるかっていうのは必要なんだよ。勝ち負けは別として。

BARA:だって、Jonathan Davis(KORN)だって「イジメられた」とか言ってるけど不良じゃん?。

道元:腕っ節強そうですからね。もう不良感のあるボーカルって残り少ないですから。「守っていかなきゃ」とまでは思わないけど、シンプルに"悪い"っていう部分は貫いていきたいっすね。

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あとがき

新企画、"激人探訪スピンオフ"如何でしたでしょうか?

個人的にはいつもと趣向が違う記事を書くのは楽しかったですし、何よりも2人の話が面白過ぎて、書いていてニヤニヤが止まらなかった(笑)。

くだけた内容の記事ながらも、意外と本質的な事にも迫れた記事にも出来たかなと思えて、激人探訪の新たな可能性を感じた執筆にもなったかなとも感じてます。

このバンドマン同士の会話特有の空気感というか、真剣なのかふざけてるのか、お互い尊敬し合ってるのか、馬鹿にし合ってるのか分からないような(笑)感じが伝われば良いなって思いますね。

バンドをやる意味って、実は"音楽を演奏する"というだけではないような気もします。

同じバンドに所属していなくても何か通じ合うものを感じたり、同じパートでも全く違う事を考えている事が分かったり、そういう事を感じれるのって、やっぱり自分自身の成長にも繋がる。

そういう人との関わり合いの中で「自分がどう変わっていけるのか?」というところと、「どう変わらないでいくか?」というところ、そこを考えられるのって単純に良い事だなと。

今回の対談では道元さんとBARAさんの違いみたいな部分を存分に感じて欲しいし、それが各々の個性にどう直結しているのか?みたいな部分を考えて読んでみると面白いかもしれないです。

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まあ、単純にゲラゲラ笑って読んで欲しいとも思いますけどね(笑)。

なんか、昔"EAT MAGAZINE"っていう雑誌というか同人誌に近いヘヴィミュージック系のマガジンがあったんですけど、そこに載ってたような記事を意識して今回は書いてみました。

インタビュアーの人とミュージシャンの距離が近いというか、内輪だからこそ出てくる会話とか発言みたいなのが存分にあって、EAT MAGAZINEの記事って好きだったんですよね。

また、こういう形式の対談記事とかインタビュー記事を継続的に書いてみようと考えています。

今回は無料で出しますが、ここから先はまだちょっと未定。

でも、また何かしらで"激人探訪スピンオフ"を発信していこうと考えています!。

こちらのシリーズも、今後ともよろしくお願いします。

                       2020/12/12 YU-TO SUGANO



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