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デス・オブ・オブライエン

「その血のために誰も涙を流さない悪人の魂」

 闇夜の柳の木の下で、悪魔は言った。

「再び君が娘と会うには、そんな魂が必要だ」

 悪魔は、最初に会ったときは黒犬、その次は黒髪の女、そして今は痩せた男の姿でオブライエンの前にいる。

「本当にその...魂、があれば、ソフィアは蘇るんだな?」

 オブライエンは悪魔の目をじっと見た。姿は違えど、その燃えるような赤い瞳は常に同じだ。

「君が己の手で殺した魂。それも一人や二人じゃ足りない」

 悪魔は手を差し出した。骨めいて白く、細く長い指を持つ手だ。
 オブライエンは自分が犯さなくてはならない罪と、悪魔の取引の裏に隠された破滅的な罠の予感について逡巡した。

 だが、ソフィアの命と悪人、そして己の魂など比べるべくもない。

 彼は悪魔の手を握った。その冷たさは掌を通って心臓を刺すかに思われた。

「最初に殺す相手は決まっている」

 そう呟き、全ての始まり、半年前のソフィアの死に思いを巡らした―

【続く】

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