ゲームエンジン開発会社のUnity Software Inc.（以下Unity）がニューヨーク証券取引所に上場し、株式を公開しました。
ここでは、UnityのS-1上場申請書を読んでわかったことを解説します。
ビジネス初心者の私が作成したまとめnoteとしてご覧ください。

参考：Unity Software Inc. FORM S-1　Unity Software IPO | S-1 Breakdown

1. Unityとは？

『The Heretic』：Unity 2019.3 で制作された短編映像作品

Unityは、世界をリードするゲーム開発プラットフォームです。
2004年に設立され、今ではゲーム開発者からアーティスト、建築家、自動車デザイナー、映画製作者など、さまざまなクリエイターに利用されています。
同社は、複数のプラットフォーム（携帯電話、タブレット、PC、コンソール、仮想現実デバイス）にわたって2Dおよび3Dコンテンツを作成、実行、および収益化するための包括的なソフトウェアソリューションのセットを提供します。
2020年6月30日の時点で、世界中の190以上の国と地域で月間約150万人の顧客がいます。顧客によって開発されたアプリケーションは、15億以上のデバイスによって、2019年には月に30億回以上ダウンロードされました。

2. Unityの年表

3. Unityのビジネスモデル

Unityには3つの収益ラインがあります。
作成ソリューション、運用ソリューション、そして、戦略的パートナーシップその他です。

作成ソリューション
コンテンツクリエーター（開発者、アーティスト、デザイナー、エンジニア、建築家）がコンテンツを作成するために使用します。開発/設計コストと時間を大幅に削減できます。

運用ソリューション
エンドユーザーの獲得と運用コストを最適化しながら顧客生涯価を伸ばすことを目的としています。

戦略的パートナーシップその他
各パートナーの特定のニーズに合わせて調整されており、開発サービス契約から共同マーケティング、収益分配の取り決めまで多岐にわたります。

4. Unityの業績

四半期ごとの収益はこのようになっています。前年比成長率も42％と増加しているのがわかります。

下記のグラフは「顧客の売上継続率」を意味するnet expansion rate。
安定して高い水準を保っています。

10万ドル以上の収益を提供した顧客数の推移は下記のとおりです。

最後に世界的にみると、収益の約30％がヨーロッパ・中東及びアフリカの顧客、約30％がアジア太平洋地域の顧客、残りの約30％が南北アメリカの顧客によって生み出されました。

5. Unityの今後ここに注目

ゲーム業界は、デバイスの向上と急増により多大な利益を得ており、今日最も急成長しているセクターです。
2019年には、世界中のモバイルゲーム、PCゲーム、コンソールゲームの50％以上がUnityで作成されました。
Unityで一度構築すれば、Windows、Mac、iOS、Android、PlayStation、Xbox、Nintendo Switch、そして主要なAR・VRなど、20以上のプラットフォームに展開できます。

UnityはFORM S-1の中で “The world is changing.”と述べ、これからのコンテンツは、インタラクティブ・リアルタイム・3Dが重要だと説明します。

•インタラクティブ：プレイヤーをリアルなシーンや風景に連れて行き、ボタン一つで即座に別のプレイヤーの視点に入ることができる。
•リアルタイム：人間の目で確認できる速さで描画でき、エンドユーザーの操作に即座に反応して、本物そっくりに見えるコンテンツを生成する。
•3D：グラフィックを形状と奥行きで表現できるため、複数の視野角が可能。仮想現実（VR）の体験は、3Dによってのみ可能。

UnityはS-1の中で「ゲーム業界と他の業界の両方で約290億ドルの市場機会に対処できる」と述べています。
今後はゲーム業界のみならず、建築、エンジニアリング、建設、自動車、輸送、製造、映画、テレビ、小売など様々な業界で存在感を示していくに違いありません。

画像の出典
「3. Unityの業績」の四半期収益グラフ：Unity Software IPO | S-1 Breakdown
それ以外：FORM S-1