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レシピのジレンマ

最近、これから料理を始める人は
・オムライスや筑前煮などの名前のある料理(定番料理)
・里芋といんげんの炊きものなど材料から組み立てる料理
どちらから作るのが良いのか考えている。

というのも先日こんなつぶやきをした。(ちなみに2種類の料理については、フードシェアリングサービスTABETEなど事業を行うCocookingの伊作くんから聞いた話です! )

前者は基本的なレシピが決まっているし、何度も作られてレシピとして完成しているからそう不味いものにはならない

後者は何も決まっていない。その分無限大の可能性がある。私は後者の料理の面白さを広めたいと思い、日々一汁一菜生活を発信している

例えば、今晩肉じゃがが食べたいと思っても家にお肉がなくて、買いに行く余裕がないときもある。そんな時に、ウインナーでもあれば根菜類と一緒にポトフを作るなど、そうやって状況に合わせて料理を変えていくのが後者の料理だ。

相性の良さそうな組み合わせを思いついて、実際に作ってみておいしかった時の感動。昨晩のおかずをアレンジして別の料理にしたらうまく行った時の喜び。そういう瞬間が私はとても楽しい。

私が料理を始めたのは7歳の頃。学校の図書館で子供向けのレシピ本を借りてきて食べたいものを作った。つまり、定番のレシピで料理を覚えた。毎回同じレシピでは飽きてしまって、いろんなものを作り出し、大学生になって一人暮らしを始めてから冷蔵庫の残り物で料理を作れるようになった。名前のある料理から材料組み立て料理へ、いつの間にかシフトした。

一方で料理家・有本葉子さんのレシピ本で、「レシピを見ないで作れるようになりましょう」という本がある。本には「料理はもっともっと、シンプルでいいのです。」とある。

Amazonレビューには下記のようなレビューがあった。

わたしは料理がそれ程得意ではありません。(中略)まだ始めたばかりですが、野菜の炒め方ひとつとっても本を読む前と後では味に変化が出てきました。断然甘みが増して、前より美味しく感じられるようになったことがすごく嬉しかったです。

この本はすでに13万部を売り上げ、「料理レシピ本大賞2018」料理部門入賞している。私も買ってとても楽しく読んだ。ただ、この本の対象であろう「レシピがないと料理が作れない人」は、逆を言えば「レシピがあれば料理ができる人」たちだ。それ以前のレシピがあってもうまく作れないとか、そもそも料理をほどんとやってこなかったという人は「レシピを見ないで作りたい」という心持ちにはならないはず。

名前のある料理が作れても、アレンジがうまくできないと悩む人がいる。一方で材料組み立て料理は、大まかな流れはあっても細かいレシピはない。つまり基本的な料理の方法がわかっていないと、レシピを伝えたり教えたりするのがむずかしい。だから、週3レシピを一緒にやっている平野くんには、最初に料理の初期OSをインストールする会を開催した。基本的なスープの作り方や、2つの材料でできる炒めものや和え物を教えた。材料組み立て料理は無限大にアレンジできるので、それぞれの食材によって下処理や火入れが変わってくる。同じ野菜でも旬の走り(早い時期)と名残り(遅い時期)によって水分量が変わってくるので、調理の仕方や火入れの時間も変えた方が良い。平野くんに教えていても、この辺りの感覚は言葉で伝えづらいと感じる。

ただいずれにせよ、以前のnoteで書いたように初心者が「ハンバーグ」からつくるのは間違っている気がする。

初心者向けの料理本を開くと、(私が手にとった本は)最初のレシピが「ハンバーグ」。愕然としました。これからはじめる人にとって、ハンバーグはハードル高すぎると思うのです(私も最後にいつ作ったか思い出せないほど……)。「料理をしなくてもいい時代に、料理をする意味」より

答えらしい答えは見つからないかもしれないが、これから料理を始める人が作るべきは名前のある料理か、材料組み立て料理どちらが良いのか。第三の選択肢の可能性も大いにありそう。皆さんはどう思われますか?

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