ペンタゴンペーパーズ

 Netflixでの表記は『The Post』だったのでそういうタイトルの映画かと思っていたら、邦題は表題の通りの作品だった。スピルバーグ監督作品で、トム・ハンクスやメリル・ストリープなど名優揃いの作品。
 いやぁ、これは面白かった。ワシントン・ポスト紙がメジャー化するために株式公開を行おうとしているが、そのタイミングでライバルであるニューヨーク・タイムスがベトナム戦争に関する政府の極秘文書を入手した大スクープ。
 ワシントン・ポストとしてもなんとか追い付き、追い越したいが、当時の大統領はニクソンで、タイムスへの法的措置を行おうとしている。
 タイムスが弱気になったことで、ポスト紙にもチャンスが巡って来たが、政府に睨まれると公開した株式が無価値になり、倒産の可能性もあるという状況。
 ポスト紙のオーナーであるケイ(メリル・ストリープ)と、編集長であるボブ(トム・ハンクス)が選択を迫られるという感じ。

 編集長役であるトム・ハンクスがメイン主人公かと思いきや、この作品の真の主役はオーナー役のメリル・ストリープ。どちらかという強い女を演じることの多い彼女だが、この映画では亡父・亡夫の跡を継ぐ形で望んでもいないオーナーになり、周りからも約立たずと思われている頼り投げな女性を演じている。
 経営手腕不足を補うための株式公開のさなかに降って湧いた事態に翻弄されるが、その経験を経てお仕着せのオーナーではない、メディアの責任を負うオーナーに変貌しているさまを描いている。
 報道の自由、権力の横暴の側面を描きながら(トム・ハンクスはこの報道の自由の旗手)、同時に女性の社会進出が裏テーマとして着実に描かれているようにも思った。
 メリル・ストリープが覚醒してからは、会社や裁判のシーンでも着実に女性の数が増えてる演出(それまでは男が政治の話を始めると、女性は別室に移動して世間話に嵩じる場面とかもあった)から、それも意識していたと思える。
 ちなみにこの裁判シーンで出てくる女性は、スピルバーグの実の娘らしい。
 これまでほんとうに映画観てなかったのに、一度映画づくとどえらい勢いで連続視聴してる。

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