SCORPION

 アマゾンプライムにある連続ドラマで映画ではない作品。史上4番目に高いIQ197のウォルター・オブライエンと、シルベスター、ハッピー・クイン、トビー・カーティスという天才の集まったスコーピオンというグループと、天才ではないケイブ・ガロとペイジという元ウェイトレスで構成されたチームで問題解決(世界滅亡などもあり)していく一話完結のドラマ。
 グループの中で一番IQが低いと言われるトビーですら173で超絶天才なので、基本は知力で問題を解決していく。しかし彼らはそのIQの高さが災いして、一般人とのコミュニケーション能力に問題があり、そこを埋めるのがケイブ・ガロとペイジという構成。
 シーズン4で完結したドラマだけど、実はその最終話がちょっとどうかと思う怒涛の展開だった。そこに触れる前にエピソード全般の話。主人公のウォルターはIQは高いけど、とにかく理詰めで人の心を理解しない。それが原因でクライアントと喧嘩したり、チームメンバーと喧嘩したりと厄介な性格。
 シングルマザーであるペイジにはラルフという息子がおり、ペイジはラルフの取る不可解な行動に「知恵遅れ」と思っていたが、ウォルターとの出会いでラルフは実は天才で周りが誰も理解できなかったと知る。ウォルターにとってもペイジの他者と上手く交渉できる一般人としての能力が必要で、スコーピオンに誘うが、実はペイジに心惹かれていたというのが骨子。
 ペイジとウォルターが実際に付き合うようになるのはシーズン3で、それまでにラルフの実父や、ケイブ・ガロの後輩などペイジとの仲はなかなか進展しない。その理由は、ウォルターが行動を起こさずにむしろ彼らに譲るという天才ゆえの葛藤もあったり(この頭はいいけど人間的には未成熟というキャラ立てがとても面白い)。
 それでもペイジとの交流で徐々に人との接し方を学んだウォルターはようやくペイジと付き合い始める。ただ、「自分を落としてまで凡人レベルは相手しない」というプライドの高さから、ペイジの友達との会合では知識をひけらかしてまったく会話にならない状態。
 そんなおり、スコーピオン事務所の隣に化学者のフローレンスがやってきて、最初はお互いに嫌いあう状態であったが、徐々に仕事を手伝ってもらったりで正式ではないけどチームの手助けをしてもらうようになる。
 シルベスターは彼女と気が合い、告白しようとするもこれも臆病さから動けず。そんなおり、ウォルターがペイジとデートで行きたかった遺伝学の講演会を、ペイジが「彼氏のためとはいえ興味がない」と息子のラルフに話しているのを聞き、「取り繕うのも必要」と常々ペイジから言われていたウォルターは公演は中止になったと嘘をつきペイジを家に帰す。
 結果、フローレンスを誘って講演を聞きにいく。それをハッピーに見られたため、ハッピーとトビー(この二人は夫婦で、夫婦になるまでもさんざんあってそこが面白いところ)に「ちゃんと素直に言わない限り、あとで揉めるぞ」と説得される。
 しかし理詰めで考えた結果、言わない方がいいと判断したウォルターは二人の意見を無視する。本題の最終話。ちぎられた講演会の半券が二枚残っていたところからペイジにばれ、「誰と行ったの?」と問い詰められているときに、シルベスターが告白しようと呼んだフローレンスがやってくる。
 そこですべてを悟ったペイジがフローレンスに「講演会に行ったか?」と訊くと認める。しかしウォルターは「二人の間には恋愛感情はない」と開きなおるも(フローレンスもずっとそう言い続けていた)、「ここ数週間で気持ちが芽生えてきた」とフローレンスは否定(連続ドラマなのでその過程はきっちり描かれてます。人の心に鈍いウォルターだけが気づいてないだけで)。
 ペイジは「わたしはあなたの知的好奇心を満足させられないし、海洋学のレクチャーなしで普通にビーチ歩きたかった」と、ずっと我慢していたことを吐露。シルベスターも「お前は興味ないといいながら、フローレンスが気がむくように仕組んでいた。俺の方が先に彼女のこと好きになったのに」と詰め寄る。トビーとハッピーも「こうなるから素直になってフローレンスと行ったとペイジに告げろと言ってただろう。お前がフローレンスに対しその気がないのであれば、それで済んだんだ」と。
 結果、シーズン4まで途中色々とあったチーム・スコーピオンは崩壊し、ウォルター/フローレンス/ガロが残り、ペイジ/シルベスター/トビー/ハッピーは新たなチーム・センチピードを立ち上げ、商売敵となる。が、ラスト。
 ウォルターのIQ高いがうえに人の心を理解しないというのをペイジを軸に変えていくというのが一つのテーマで進んでいっただけに、結局のその理解しないせいで離反して終わりという展開にただただ茫然。
 これ、絶対にシーズン5考えてたと思う。スコーピオンとセンチピードが再び和解して仲間になる展開。が、打ち切りになったんだろうな。実は↑では書いてないけど、シーズン3くらいからすごいマンネリ化してきてて、「天才たちと、補佐の一般人が事件解決する」内容がどう考えても「悪化させたのお前らじゃね?」というマッチポンプ化してきてた。
 ある問題を解決するために要請された天才たちだが、彼ら自身が抱える問題で(トビーとハッピーや、ペイジとウォルター、シルベスターやケイブも)散漫になってミスするとか。そのミスさえなければそこまで必死になる必要ないのにというのが延々続くようになって、観てて「順調に行ってるけど、この流れだと今回はハッピーがなにかしでかすな」と分かるようになって実際その通りの展開に。
 面白くないわけじゃないんだけど、シーズン1のワクワクは確実になくなってた。で、この終わり方。心の底からなんだかなぁとはなってる。

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