パーフェクト・ルーム

 ベルギーで大ヒットしたという傑作スリラーをハリウッド映画化したという本作を視聴。原題は『ザ・ロフト』で、アメリカのタワーマンションのロフト(日本のようなのじゃなくて、高級コンドミニアムみたいなの)を舞台にした物語。
 もともとこの部屋は建築家のヴィンセントがデザインしたビルの一室で、彼の提案で友人達クリス、ルーク、マーティン、フィリップの総勢五人で借りたもの。目的はただ一つ、「妻にばれないように浮気をする」いわゆるヤリ部屋。
 愛妻家のクリスとルークは乗り気ではないものの、クリスはパーティーに出会った政治家秘書に本気になり彼女とだけ部屋を使ったり、恐妻家のルークは一度も使わなかったり、DV野郎のフィリップは娼婦を連れ込んでは暴力的なセックスに使ったりと個々の理由でこの部屋を使用していた。
 しかしある日、その部屋のベッドに手錠をかけられ、血だらけで死ぬ女性の姿があり、彼らしか鍵を持っていないのだから、犯人はこの中に居るという疑心暗鬼の謎解きが始まる。

 こんな感じなんだけど、実際の映像としては彼ら五人はすでに警察に確保されて、個々で尋問を受けている状態。その尋問で出た内容が回想として映像化され、その細切れの情報からさらに謎を深めていくという体。
 例えば手錠をつながれてなどの異常セックスはフィリップがするんじゃないかや、アリバイのないヴィンセントが怪しいなど、各々が各々を疑う状況に。
 そんな中、一度も部屋を使ったことのないルークは実は窃視症で、この部屋を録画していたと白状する(彼も品行方正じゃなかったとなる)。しかし事件の起こった夕べは誰も来ると連絡なかったので録画はしていないと真犯人は見えないが、さらに進むとこの録画の中に、ヴィンセントがフィリップスの神聖視している妹を抱いている映像や、浮気がばれて離婚危機のマーティンの妻を抱いている姿、さらにはクリスが本気で惚れた政治家秘書を抱き、さらには彼女にお金を渡して「クリスを誘惑してくれ」と依頼する姿なども(彼女は実は娼婦で政治家秘書もその役割で雇われていた)。

 死んでいた女性も実はヴィンセントの愛人で(ヴィンセントはそれを隠す嘘をついていた)、本気になった愛人がうざくなり別れを切り出すと、ヴィンセントが帰ったあとに睡眠薬で自殺を図ったのを見つけたルークが、友人全員を裏切っていたヴィンセントの社会的地位を落とすために全員を巻き込んで罠にかけたと謎解き。
 フィリップがより自殺っぽく見せるために彼女の手首を切り血まみれにしたりと勝手な行動があったものの、おおむね計画通りに進みヴィンセントは重要参考人として拘留され、残り四人は警察署を後にする。
 が、実はさらにその後も。クリスも「好きかって手を出して自殺されたらさすがのヴィンセントも懲りるだろう」くらいな気持ちで乗った計画であったが、警察から「彼女は自殺じゃない、失血死による殺人だ」と聞かされヴィンセントの殺人容疑を知る。

 彼女の枕元にあった遺書は自分が持っているはずなのに、いつのまにか無くしておりそれがないと本当にヴィンセントが殺人犯になってしまうと慌ててロフトに戻ると、そこにはルークの姿も。
 ルークにもろもろと不可解な事情を突きつけると、彼は死んでいたサラに懸想しており、そこにヴィンセントが入り込んだことで邪魔をされたと怒っていた。しかし飽きっぽいヴィンセントはそのうちサラを振るだろうと機会を待ち、実際に振ったときに「自分にもチャンスをくれ」と迫る。
 しかし「あなたには興味がない」と突っぱねられたことで殺意を覚え、自殺に見せかけて殺害し、その罪をヴィンセントに被せようとしたと白状する。しかし、実はこれも失敗で、実際の死因は実際にはまだ生きていたサラの自殺をよりリアルにしようと腕を切ったクリスの弟フィリップという二転三転する流れになる。

 恐らくラストあたりがハリウッド演出なんかな、やたらともみ合った暴力あったりとサスペンスのわりにはアクションシーンあるんだけど、まぁ、実際の二転三転ぶりが納得のいく内容なので気にはならず。
 ただやっぱりハリウッドだなぁと思ったのは、ルークはロフトから飛び降り自殺(これはまぁいい)、実際の殺害者となったフィリップは裁判待ち、ヴィンセントは放免されて独りでロフトで済んでおり、マーティンは奥さんと復縁してってのだけど、クリスの前に政治家秘書が現れ、出会ったときと同じように「コーヒーでもどう?」と誘うというエンディング。

 まぁ、この中では確かにクリスが一番主役っぽいけども、言うても不倫はしてたし、陰謀にも加担してたしで、そこまでハッピーエンドにせんでもいいんじゃないのとは少し。

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